都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
金沢に谷口建築を訪ねて 後編:谷口吉郎・吉生記念金沢建築館
前編「鈴木大拙館」に続きます。谷口吉郎・吉生記念金沢建築館を見学してきました。
谷口吉郎・吉生記念金沢建築館が位置するのは、金沢市寺町5丁目の谷口吉郎の住まいの跡地でした。鈴木大拙館から道なりで約1.3キロと歩けなくはありませんが、私は周遊バスを利用し、最寄りの広小路バス停より向かうことにしました。
同館は谷口吉郎、ないし吉生を顕彰し、建築資料のアーカイブを構築すべく建てられた施設で、谷口吉生の設計により2019年7月に開館しました。まだオープンしてから半年も経っていないゆえに、金沢の新たな建築観光スポットと呼んでも差し支えないかもしれません。
蛤坂へと下る寺町通りの坂道に面した建物は、簾や庇などの日本の建築要素を取り入れた外観を特徴としていて、道路の反対側からもガラスを通して1階のラウンジを望むことが出来ました。また地上2階、地下1階建てで、周囲の建物と軒高を揃えていることから、街並みへも違和感なく溶け込んでいるようにも見えました。
1階のエントランスを進むと、案内、それにミュージアムショップとカフェが、縦に長いラウンジへと連なっていました。ちょうど夕方前の時間帯ゆえか、窓からは燦々と光が降り注いでいて、必ずしも広いとは言えないにも関わらず、かなりの開放感がありました。
内庭のある地下は2つの企画展示室から構成されていて、開館記念展である「清らかな意匠―金沢が育んだ建築家・谷口吉郎の世界」が開催されていました。ここでは谷口吉郎の建築をパネルや資料で紹介していて、金沢だけでなく、全国に展開する谷口建築を見知ることが出来ました。(企画展示室内は撮影不可。)
一方の2階部分には、常設展示として、谷口吉郎の設計した迎賓館赤坂離宮和風別館「游心邸」の広間と茶室が再現されていました。
そして寺町通りを挟んだ反対側には水庭が築かれていて、犀川沿いの崖地の上に面していることから、樹木越しに金沢市街を眺めることも出来ました。
1974年に建てられた「游心邸」は、日本の伝統的な建築を基にしていて、広間は47畳の一の間と12畳の二の間から成り立っています。
広間から広縁へ連なる天井は、平天井と斜め天井が組み合わせられていて、縦長のデザインの障子や広い床や棚など、思いの外に変化のある空間にも見えました。
また能舞台のような小間のある茶室は、周囲の椅子席より点前を鑑賞出来るように作られていて、ここでも斜め天井や木を編んだ網代天井など、上下に起伏のある空間が作られていました。
中への立ち入りは出来ないため、座敷から外を眺めることは叶いませんが、広間からは斜め天井を通し、広縁、そして水庭の景色を一体となって取り込むように設計されているそうです。日本の伝統的な様式へ現代の意匠を融合させた、谷口吉郎の稀なセンスも感じられました。
一通り、見学を済ませた後は、1階カフェの茶房「楓」で少し休憩することにしました。ここでは加賀紅茶やコーヒーなどの軽食をとることが可能で、まるでビールのような泡立ちのドラフトアイスコーヒーも美味しくいただけました。金沢21世紀美術館内のFusion21と同様、主に金沢でカフェなどを展開するメープルハウスが運営しています。
さて最後にお出かけの際におすすめしたいのが、金沢市文化施設共通観覧券です。
*泉鏡花記念館
同観覧券は、鈴木大拙館、及び谷口吉郎・吉生記念金沢建築館を含む、金沢市内の17の文化施設にフリーで入場出来るパスポートで、1DAYパスポート520円、3日間パスポート830円などがあります。(1年間パスポート2090円もあり。)私も1DAYパスポートを購入しました。
*寺島蔵人邸
そしてパスポートを手に泉鏡花記念館、寺島蔵人邸、室生犀星記念館の3施設もあわせて行きましたが、全て対象施設のためにフリーで見学出来ました。また「1ウィークとくとくミュージアムめぐり」にも参加し、5館のスタンプを集め、クリアファイルなどの記念品も頂戴しました。
*寺島蔵人邸
1DAYタイプであれば、鈴木大拙館と谷口吉郎・吉生記念金沢建築館でも元が取れます。さらに他の施設の見学を含めれば、相当にお得ではないでしょうか。
*ひがし茶屋街
なお言うまでもなく、金沢市内には鈴木大拙館や谷口吉郎・吉生記念金沢建築館だけでなく、石川県立伝統産業工芸館や金沢市立玉川図書館など、谷口親子の手掛けた施設が存在します。今回は残念ながら時間の都合もあり、他の建物までは廻れませんでした。また改めて出向きたいと思います。
「谷口吉郎・吉生記念金沢建築館」
休館:月曜日
*月曜日が休日の場合はその直後の平日。
*年末年始(12月29日~1月3日)
時間:9:30~17:00
*入館は16時半まで。
料金:一般310(260)円、65歳以上210円、高校生以下無料。
*( )内は20名以上の団体料金。
*金沢市文化施設共通観覧券で入場可。(1DAYパスポート520円、3日間パスポート830円。)
*特別展開催時は別途料金の場合あり。
住所:石川県金沢市本多町3-4-20
交通:JR金沢駅兼六園口(東口)より城下まち金沢周遊バス、及び北陸鉄道路線バス「広小路」下車、徒歩2~3分。
谷口吉郎・吉生記念金沢建築館が位置するのは、金沢市寺町5丁目の谷口吉郎の住まいの跡地でした。鈴木大拙館から道なりで約1.3キロと歩けなくはありませんが、私は周遊バスを利用し、最寄りの広小路バス停より向かうことにしました。
同館は谷口吉郎、ないし吉生を顕彰し、建築資料のアーカイブを構築すべく建てられた施設で、谷口吉生の設計により2019年7月に開館しました。まだオープンしてから半年も経っていないゆえに、金沢の新たな建築観光スポットと呼んでも差し支えないかもしれません。
蛤坂へと下る寺町通りの坂道に面した建物は、簾や庇などの日本の建築要素を取り入れた外観を特徴としていて、道路の反対側からもガラスを通して1階のラウンジを望むことが出来ました。また地上2階、地下1階建てで、周囲の建物と軒高を揃えていることから、街並みへも違和感なく溶け込んでいるようにも見えました。
1階のエントランスを進むと、案内、それにミュージアムショップとカフェが、縦に長いラウンジへと連なっていました。ちょうど夕方前の時間帯ゆえか、窓からは燦々と光が降り注いでいて、必ずしも広いとは言えないにも関わらず、かなりの開放感がありました。
内庭のある地下は2つの企画展示室から構成されていて、開館記念展である「清らかな意匠―金沢が育んだ建築家・谷口吉郎の世界」が開催されていました。ここでは谷口吉郎の建築をパネルや資料で紹介していて、金沢だけでなく、全国に展開する谷口建築を見知ることが出来ました。(企画展示室内は撮影不可。)
一方の2階部分には、常設展示として、谷口吉郎の設計した迎賓館赤坂離宮和風別館「游心邸」の広間と茶室が再現されていました。
そして寺町通りを挟んだ反対側には水庭が築かれていて、犀川沿いの崖地の上に面していることから、樹木越しに金沢市街を眺めることも出来ました。
1974年に建てられた「游心邸」は、日本の伝統的な建築を基にしていて、広間は47畳の一の間と12畳の二の間から成り立っています。
広間から広縁へ連なる天井は、平天井と斜め天井が組み合わせられていて、縦長のデザインの障子や広い床や棚など、思いの外に変化のある空間にも見えました。
また能舞台のような小間のある茶室は、周囲の椅子席より点前を鑑賞出来るように作られていて、ここでも斜め天井や木を編んだ網代天井など、上下に起伏のある空間が作られていました。
中への立ち入りは出来ないため、座敷から外を眺めることは叶いませんが、広間からは斜め天井を通し、広縁、そして水庭の景色を一体となって取り込むように設計されているそうです。日本の伝統的な様式へ現代の意匠を融合させた、谷口吉郎の稀なセンスも感じられました。
一通り、見学を済ませた後は、1階カフェの茶房「楓」で少し休憩することにしました。ここでは加賀紅茶やコーヒーなどの軽食をとることが可能で、まるでビールのような泡立ちのドラフトアイスコーヒーも美味しくいただけました。金沢21世紀美術館内のFusion21と同様、主に金沢でカフェなどを展開するメープルハウスが運営しています。
さて最後にお出かけの際におすすめしたいのが、金沢市文化施設共通観覧券です。
*泉鏡花記念館
同観覧券は、鈴木大拙館、及び谷口吉郎・吉生記念金沢建築館を含む、金沢市内の17の文化施設にフリーで入場出来るパスポートで、1DAYパスポート520円、3日間パスポート830円などがあります。(1年間パスポート2090円もあり。)私も1DAYパスポートを購入しました。
*寺島蔵人邸
そしてパスポートを手に泉鏡花記念館、寺島蔵人邸、室生犀星記念館の3施設もあわせて行きましたが、全て対象施設のためにフリーで見学出来ました。また「1ウィークとくとくミュージアムめぐり」にも参加し、5館のスタンプを集め、クリアファイルなどの記念品も頂戴しました。
*寺島蔵人邸
1DAYタイプであれば、鈴木大拙館と谷口吉郎・吉生記念金沢建築館でも元が取れます。さらに他の施設の見学を含めれば、相当にお得ではないでしょうか。
*ひがし茶屋街
なお言うまでもなく、金沢市内には鈴木大拙館や谷口吉郎・吉生記念金沢建築館だけでなく、石川県立伝統産業工芸館や金沢市立玉川図書館など、谷口親子の手掛けた施設が存在します。今回は残念ながら時間の都合もあり、他の建物までは廻れませんでした。また改めて出向きたいと思います。
「谷口吉郎・吉生記念金沢建築館」
休館:月曜日
*月曜日が休日の場合はその直後の平日。
*年末年始(12月29日~1月3日)
時間:9:30~17:00
*入館は16時半まで。
料金:一般310(260)円、65歳以上210円、高校生以下無料。
*( )内は20名以上の団体料金。
*金沢市文化施設共通観覧券で入場可。(1DAYパスポート520円、3日間パスポート830円。)
*特別展開催時は別途料金の場合あり。
住所:石川県金沢市本多町3-4-20
交通:JR金沢駅兼六園口(東口)より城下まち金沢周遊バス、及び北陸鉄道路線バス「広小路」下車、徒歩2~3分。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« 金沢に谷口建... | 「窓展」 東... » |
コメント |
コメントはありません。 |
コメントを投稿する |
ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません |