「千葉正也個展」 東京オペラシティアートギャラリー

東京オペラシティアートギャラリー
「千葉正也個展」 
2021/1/16~3/21



東京オペラシティアートギャラリーで開催中の「千葉正也個展」を見てきました。

1980年に神奈川県で生まれた画家の千葉正也は、これまで国内のギャラリーで作品を発表してきた他、「ふぞろいなハーモニー」(広島市現代美術館)や「六本木クロッシング展:アウト・オブ・ダウト」(森美術館)などに出展して活動を続けてきました。

その千葉の美術館での初の個展が文字通り「千葉正也個展」で、絵画のみならず、彫刻、映像、インスタレーションなどの多様な作品が展示されていました。



さて「斬新でスリリングな絵画体験」と公式サイトに記されていましたが、足を踏み入れた途端、目の前に広がる光景に思わず驚いてしまったのは私だけではないかもしれません。



とするのも、展示室内には木屑の入った木製の通路が伸びていて、観葉植物などが半ば無造作に置かれていたと思うと、周囲におもちゃのようなオブジェや絵画が展示されていたからでした。



また絵画は壁に掛けられず、大半の作品は通路に沿うように並んでいて、しかも通路の方を向いていました。つまり通常の順路に従って進むと、サインが記された絵画の裏側だけしか見ることは叶いませんでした。



そして通路はギャラリーの4室を巡るように繋がっていて、各展示室の仕切りの壁をトンネルのようにぶち抜いていました。



木組の通路に沿うように歩きながら、木枠に立てられたキャンバスや彫像にオブジェなどを見ていると、仮設の工事現場に彷徨い込んだような錯覚に陥るのと同時に、観葉植物や書籍も置かれているからか、あたかも作家のアトリエを訪ねているような気持ちにもさせられました。



絵画には山や湖の広がる屋外の光景を背に、木の棚に白いオブジェや観葉植物、それに家電製品などが並んでいる様子が描かれていて、一部は展示室のオブジェなどと重なって見えるからか、画中の世界がまるで三次元的に広がっているようにも感じられました。



なお千葉は絵画を描くことに際し、先に粘土や木片で人型のオブジェを象り、身の回りの品々とともに仮設の風景を築くことから始めるそうです。こうした二次元と三次元を行き来するような手法も興味深いかもしれません。



木製の通路は広いスペースを伴っていたり、また緩やかな坂道になっているなど、あたかもアトラクションのような様相を呈していました。それにしても一体、この木製の通路は何故に展示室に張り巡らされていたのでしょうか。



驚くことに答えは亀でした。何と通路には生きた亀が棲息していて、亀はのんびりと体を休めつつ、ある時にはモゾモゾと通路の上を自由に移動していました。言わば通路は亀の家と化していて、過半の作品は亀の視点から見るのに都合の良い場所に設置されていたわけでした。



それこそ亀になったつもりで、亀の視点を想像しつつ、展示空間を追っていく体験も面白いかもしれません。奇をてらわない展覧会タイトルとは裏腹に、様々な仕掛けの施された、千葉の絵画世界を謎解きのように楽しめる空間が広がっていました。



事前予約なしで入場可能です。また入場時の混雑回避のため、予め来館日時をWEBで指定することもできます。(予約サイト



撮影も可能でした。3月21日まで開催されています。

「千葉正也個展」 東京オペラシティアートギャラリー
会期:2021年1月16日(土)~3月21日(日)
休館:月曜日、2月14日(日)
時間:11:00~19:00 
 *入場は閉館30分前まで。
料金:一般1200(1000)円、大・高生800(600)円、中学生以下無料。
 *同時開催中の「収蔵品展070難波田龍起 初期の抽象」、「project N 81 小瀬真由子」の入場料を含む。
 *( )内は各種割引料金。団体での受付は当面停止。
住所:新宿区西新宿3-20-2
交通:京王新線初台駅東口直結徒歩5分。
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