山口晃「大ダルマ」 墨田区役所庁舎

墨田区役所庁舎1階アトリウム
山口晃「大ダルマ」 
10/26~11/22

墨田区役所庁舎1階アトリウムで公開中の山口晃「大ダルマ」を見てきました。

1817年、葛飾北斎は、名古屋の寺院の境内にて、120畳もの紙に巨大なダルマを描きました。それは当時、大変な評判を呼び、人々は列を作って観覧し、周囲には露店も並んだとの記録も残されています。

それからちょうど200年。現代の日本画家、山口晃は、北斎のエピソードに因み、約120平方メートルもの綿布に、同じくダルマを描くというライブパフォーマンスを行いました。

観客を前にした山口は、巨大な筆を操りつつ、綿布に対峙し、一気呵成、約2時間半にて、ダルマを描き上げたそうです。山口自身も早描きを意識したと語っています。

「縦横無尽の大だるま 巨大筆握り大仕事 北斎にちなむ」(朝日新聞デジタル)

その「大ダルマ」は制作後、ライブパフォーマンスの行われたYKK60ビル(すみだ北斎美術館近く)にて公開されていましたが、10月26日に墨田区役所庁舎へと移されました。



公開場所は、区庁舎内の1階のアトリウムです。ちょうど作品の向かいのエスカレーターの上に立つと、その姿が目に飛び込んできました。ともかく話には聞いていましたが、想像以上の大きさでした。実際のところ、9メートル×13.5メートルもあります。相応のスペースがなければ、展示すら出来ません。

ただ私が出かけた際、たまたま偶然だったのか、鑑賞に際して、一つ、支障になるものがありました。というのも、写真でもお分かりいただけるかもしれませんが、作品の下に、区の福祉、あるいは医療関連の情報パネルがたくさん並べられていたからです。実際、遠目から見ると、作品の下の部分が隠れていました。



しかしここは美術館ではなく、あくまでも区の事務を取り扱う区役所です。空間にも制約があるゆえに、致し方ないのでしょう。ともかくはまず近寄ろうと、エスカレーターを降りて、作品の方へと近づいてみました。



するとやはり前のパネルが立ちはだかります。一瞬、近くまで寄れないのかと思いましたが、よく見ると、通路があり、パネルを抜け、無事に作品の目の前まで辿り着くことが出来ました。観賞のために一定の配慮がなされていたようです。



目の前から見上げると迫力満点です。この大きなダルマを、濃い墨と薄い墨を駆使しながら、素早い筆触で描いていることが分かります。眉間にしわを寄せ、いかつい表情をしながらも、僅かに目が潤んでいるようにも見えました。髪と眉、そして髭を象る筆のストロークが、特に激しく感じられました。まさにダイナミックでした。



画面の左下に目を転じると、お馴染みの山愚痴屋の号が記されていました。随所で見られる墨の飛沫が、ライブにおける即興的な制作の姿を彷彿させました。



それにしてもこれほどの大きさです。今後はどのような場所で展示されるのでしょうか。その迫力に魅了されるとともに、作品の行く末も気になりました。



なおパフォーマンスは、この10月、すみだ北斎美術館にて開催された「パフォーマー☆北斎~江戸と名古屋を駆ける~」展の関連して行われました。その制作時の映像が、インターネットミュージアムにより、youtubeへアップされています。制作のプロセスが良く分かりました。



見学は無料です。11月22日まで公開されています。

山口晃「大ダルマ」 墨田区役所庁舎1階アトリウム
会期:10月26日(木)~11月22日(水)
時間:9:00~19:00。
休館:区庁舎閉庁日に準じる。
料金:無料
住所:墨田区吾妻橋1-23-20
交通:JR上野駅公園口より徒歩10分。東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅、京成電鉄上野駅より徒歩15分。
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