『ワールド・クラスルーム:現代アートの国語・算数・理科・社会』 森美術館

森美術館
『森美術館開館20周年記念展 ワールド・クラスルーム:現代アートの国語・算数・理科・社会』 
2023/4/19〜9/24


ジャカルタ・ウェイステッド・アーティスト『グラフィック・エクスチェンジ』(2015年、部分)

学校で習う教科を入口として、現代アートの作品を紹介する展覧会が、森美術館にて開かれています。

それが『ワールド・クラスルーム:現代アートの国語・算数・理科・社会』で、会場では54組のアーティストによる約150点の作品が公開されていました。


イー・イランの『ダンシング・クイーン』(2019年)

まず冒頭の「国語」では言葉や言語をテーマとした作品や、文学や詩の要素を持つ作品が展示されていて、さまざまな女性の生活を支えてきたポップソングの歌詞を織物にしたイー・イランの『ダンシング・クイーン』などを見ることができました。


アイ・ウェイウェイ(艾未未)『漢時代の壷を落とす』(1995/2009年)、『コカ・コーラの壷』(1997年)

これに続くのが今回の展示にて最もボリュームを占める「社会」で、美術史を主題としたアイ・ウェイウェイに森村泰昌や、戦争や災害をテーマとするディン・Q・レに畠山直哉などの作品に目を引かれました。


ヴァンディー・ラッタナ『爆弾の池』(2009年) 

ヴァンディー・ラッタナの『爆弾の池』とは、カンボジアの農地に点在する円形の凹みや湖を写真に収めたもので、いずれもベトナム戦争中に米軍の爆撃によって作られた爆弾クレーターでした。


ハラーイル・サルキシアン『処刑広場』(2008年)

またハラーイル・サルキシアンは『処刑広場』において、シリアで過去に公開処刑が行われた三つの街の広場を写していて、先の『爆弾の池』と同じく一見、平穏な景色に映りながらも、その内実を知るとまた違った印象が与えられました。


青山悟 作品展示風景

このほか「社会」では、工業用ミシンを用いた刺繍を制作し、労働のあり方を問い直す青山悟の作品や、愛知県の製陶産業の歴史と世界経済の関係を人間浄瑠璃にて語る田村友一郎の映像も見応えがあったかもしれません。


李禹煥(リ・ウファン)『関係項』(1968/2019年)、『対話』(2017年)

さらに「哲学」、「算数」、「理科」、「総合」と展示が続いていて、宮島達男に李禹煥、またマリオ・メルツに杉本博司、そして宮永愛子からヤン・ヘギュといったさまざまな作品を見ることができました。


杉本博司 作品展示風景

出品作品の半数以上は森美術館のコレクションにて占められていて、端的に同館のコレクション展としても充実していたのではないでしょうか。


現代アートで学ぶ、新しい世界。『ワールド・クラスルーム:現代アートの国語・算数・理科・社会』が森美術館にて開催中!|Pen Online


ヤン・へギュ、作品展示風景

なお「音楽」と「体育」の上映作品は前期と後期で作品が入れ替わります。上映スケジュールなどは同館のWEBサイトにてご確認ください。


ヤコブ・キルケゴール『永遠の雲』(2023年)

会期中は無休です。9月24日まで開かれています。

『森美術館開館20周年記念展 ワールド・クラスルーム:現代アートの国語・算数・理科・社会』 森美術館@mori_art_museum
会期:2023年4月19日(水)〜9月24日(日)
休館:会期中無休。
時間:10:00~22:00
 *火曜日は17時で閉館。ただし5月2日(火)、8月15日(火)は22時まで。
 *入館は閉館の30分前まで。
料金:[平日]一般2000(1800)円、高校・大学生1400(1300)円、4歳~中学生800(700)円、65歳以上1700(1500)円
[土・日・休日]一般2200(2000)円、高校・大学生1500(1400)円、4歳~中学生900(800)円、65歳以上1900(1700)円。
 *( )内はオンラインチケット料金。
住所:港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー53階
交通:東京メトロ日比谷線六本木駅より地下コンコースにて直結。都営大江戸線六本木駅より徒歩10分。都営地下鉄大江戸線麻布十番駅より徒歩10分。
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