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『ジャン・プルーヴェ展 椅子から建築まで』 東京都現代美術館

東京都現代美術館
『ジャン・プルーヴェ展 椅子から建築まで』
2022/7/16〜10/16



東京都現代美術館で開催中の『ジャン・プルーヴェ展 椅子から建築まで』を見てきました。

1901年にパリに生まれ、金属工芸家として活動をはじめたジャン・プルーヴェは、のちに家具から建築を手がけると、新たな素材を用いた実験的かつ先進的な仕事で多くの業績を残しました。

そのジャン・プルーヴェの仕事を紹介するのが『椅子から建築まで』とした展示で、オリジナルの家具や建築物など約120点を図面やスケッチなどとともに展示していました。



父は画家、母は音楽家の家に生まれたプルーヴェは、幼少の頃にパリからナンシーに移住し、20代には金属を加工する職人として自立すると、30歳にして早くも工場を開きました。

20世紀初頭のナンシーは製鉄業や鉄鋼業で栄えていて、芸術家や職人、それに工場経営者たちにより、芸術を刷新し日々の暮らしに取り入れることを目指すナンシー派が活動していました。



プルーヴェもナンシー派の影響を多く受けると、1920年代末には金属工芸を離れ、特注品と量産品の双方を手がけるなど、早い時期から仕事に現代性を追い求めていきました。



一連のプルーヴェの仕事の中で重要なのは、家具、とりわけ椅子のデザインでした。1934年にのちにスタンダードチェアと呼ばれる最初期のモデルを制作すると、環境や資材の変化に合わせて改良を繰り返し、合理性を重視した製造方法にて多様なオフィスチェアやイージーチェアを作りました。



工場「アトリエ・ジャン・プルーヴェ」にて成功を収めたプルーヴェは、戦後、さらに現代的に設備を刷新すべく、ナンシーより郊外へと移転させると、最適な生産体制やプロセスを整えました。



今回の展示で興味深いのは、椅子や家具、それに建築模型だけでなく、実際の建築部材や建築作品も公開されていることでした。



工場製品の量産によって健やかな暮らしをもたらすと考えるプルーヴェは、経済性、軽量性、拡張性などを重視し、規格化された建築パネルなどを用いて解体や移設可能な建物を多く手がけました。



そのハイライトとも言えるのが、地下2階のアトリウムに展示された『F 8x8 BCC組立式住宅』でした。



これは第二次世界大戦中の1941年から43年にかけて、スイスの建築家のピエール・ジャンヌレと協働して建てられたもので、組立式と呼ばれるように大人6人が6時間かけて組み立てることのできる家でした。



中へ入ることこそ叶わないものの、窓などの開口部からのぞき込むことも可能で、木造の室内空間も見やることができました。



デザイナーや建築家ではなく、「構築家」と自ら呼んだプルーヴェの業績を丹念に検証した好企画だったのではないでしょうか。会場内も思いの外に盛況でした。


もう間もなく会期末を迎えます。10月16日まで開催されています。

『ジャン・プルーヴェ展 椅子から建築まで』 東京都現代美術館@MOT_art_museum
会期:2022年7月16日(土)〜10月16日(日)
休館:月曜日。但し7月18日、9月19日、10月10日は開館。7月19日、9月20日、10月11日は休館
時間:10:00~18:00
 *入館は閉館の30分前まで。
料金:一般2000円、大学・専門学校生・65歳以上1300円、中高生800円、小学生以下無料。
 *「MOTコレクション」も観覧可。
住所:江東区三好4-1-1
交通:東京メトロ半蔵門線清澄白河駅B2出口より徒歩9分。都営地下鉄大江戸線清澄白河駅A3出口より徒歩13分。
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