「巡りゆく日々 サラ・ムーン写真展」 シャネル・ネクサス・ホール

シャネル・ネクサス・ホール
「巡りゆく日々 サラ・ムーン写真展」 
4/4~5/4



シャネル・ネクサス・ホールで開催中の「巡りゆく日々 サラ・ムーン写真展」を見てきました。

1960年代にモデルとしてデビューしたサラ・ムーンは、70年代に入ってファッションや広告で写真を手がけるようになると、1995年には「パリ写真大賞」を受賞し、以来、世界各地で個展を開くなどして活動してきました。



サラ・ムーンの近年の写真、約120点が、銀座のシャネル・ネクサス・ホールにやって来ました。その多くは日本初公開であり、中には日本で撮影された写真もありました。



サラのカメラを向ける対象は幅広く、おおよそ一括りにすることは出来ません。いわゆるファッションから、女性のモデル、水着の人物、その身体を写した作品があったと思うと、花瓶の花束、屋外の樹木、はたまた荒野の一本道が現れ、中には博物館の剥製や、工場、観覧車を捉えた作品もありました。また時代も地域も判然とせず、ひたすらに被写体の存在だけが写し出されていました。



モノクロームの写真の目立つ中、一部にカラーも手がけていて、サラ自身、「カラー写真は饒舌で、モノクロ写真は内向的」と語っています。主題によって、モノクロか、カラーかを選んでいるそうです。

近年では、インダストリー、つまり産業的なモチーフに関心があり、実際に日本では川崎の工場地帯を撮影しました。ただしサラの手にかかると、工場はもはや操業を終えた廃墟、ないし遺跡のようで、なにやら長く時間が静止しているように感じられるかもしれません。



海辺を舞う鳥や、波打ち際を俯瞰した構図で捉えた写真も美しいのではないでしょうか。それに、強い風で旗が靡き、草原の上の空を雲が浮かぶ作品も、どことない郷愁を誘うかもしれません。また、例えば伝統的な静物画を連想させる、絵画的とも呼べる作品も目を引きました。



サラは撮影に際して、日本のオリンパスの最新機種を用いているそうです。また近年は、ドキュメンタリーやショートフィルムなどの映像制作に力を入れていて、会場内でも来日して撮影された「SWANSONG」が上映されていました。



被写体は、時に朧げで、独特の滲みも見られるなど、「はかなさやノスタルジー」(解説より)が感じられる作品も少なくありません。セレクトもまちまちで、厳密に年代やモチーフ別に構成されているわけではありませんが、どういうわけか、並び合う写真からは、まるで夢の中を覗き込むようなストーリーが展開していて、ともに響きあっているように感じられてなりませんでした。



なおサラは、本展の開催に際し、「純粋な白紙で作品を見てもらいたい」と語り、ともかく「白い空間」を作ることを求めたそうです。結果、生み出されたのは、確かに息をのむほどに眩しい純白の空間でした。


入場は無料です。5月4日まで開催されています。

「巡りゆく日々 サラ・ムーン写真展」 シャネル・ネクサス・ホール
会期:4月4日(水)~5月4日(金・祝)
休廊:会期中無休。
料金:無料。
時間:12:00~20:00。
住所:中央区銀座3-5-3 シャネル銀座ビルディング4F
交通:東京メトロ銀座線・日比谷線・丸ノ内線銀座駅A13出口より徒歩1分。東京メトロ有楽町線銀座一丁目駅5番出口より徒歩1分。
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