「山本基展 原点回帰」 ポーラミュージアムアネックス

ポーラミュージアムアネックス
「山本基展 原点回帰」
1/30-3/1



ポーラミュージアムアネックスで開催中の「山本基展 原点回帰」を見てきました。

「塩も人間もいのちの原点は海」(チラシより)。その塩はやがて海へと「回帰」します。

1966年に広島で生まれ、現在は金沢に在住。主に塩を素材としたインスタレーションを手がける作家、山本基。2010年の「MOTアニュアル」(東京都現代美術館)にも参加していました。床一面へ塩がモザイク状に広がる光景を覚えておられる方も多いかもしれません。

もちろんここポーラでも用いるのは塩です。ワンフロアにほぼ一点勝負、タイトルは「たゆたう庭」です。床の大半を用いています。スケール感のあるインスタレーションでした。

撮影が出来ました。



ともかく広がるのは塩、その斑紋です。俯瞰してみると大きく渦を巻いているように見える塩の紋様ですが、近づくと塩がまるで泡のごとく円を描いては網状に繋がっていることが分かります。ところどころの隙間からは床の黒が覗いて見えました。それが時に湖や川のようにも映ります。まるで塩の描く巨大なランドスケープでした。



展示室奥に少し高い台が置かれていました。そこから立って見た景色は壮観の一言です。キャプションに「銀河」という言葉もありましたが、あながち誇張だと言えないかもしれません。

端的に見栄えのする作品でもありますが、山本が塩を使うには深い理由があります。

というのもまだ美大時代に妹を亡くすという悲しい経験を山本は、妹の生命の失われた瞬間を留めようと、「お清めの塩」を作品に用いようと考えました。この「たゆたう庭」でも一つ一つの形が妹との思い出を象徴しているのだそうです。

「亡き妹しのぶ白い光景 塩による創作、銀座で個展」(朝日新聞デジタル)

ちょうど私が出かけた時に作家の山本が公開制作をしていました。



マヨネーズチューブのような容器を手にとり、管のついた口先から一定の太さの塩を出しては床にのせていく山本。ひたすらその繰り返しです。しかしながら意外と動きは素早い。殆どためらいを見せずに線を引き続けます。そしてある時に手を休め、ふと息をついては再び塩の線をのばしていく。慎重でかつ大胆です。まさに塩を自己のものにしていました。



さてこの美しき塩の地紋、はたまた波紋。はじめにも触れたように最後は再び塩の故郷である海へと「回帰」します。

ずばり「海に還るプロジェクト」です。会期最終日に観客が作品を壊し、塩を持ち帰っては、思い思いに海へと返すというイベントが行われます。

「海に還るプロジェクト」
最終日にご来場くださった人々の手で作品を壊し、その塩を集めて、後日ご自身の手で海に還していただきます。
参加希望者は当日会場にお越しください。(先着100名を予定。)
日時:3月1日(日) 17:00~
場所:ポーラミュージアムアネックス

参加無料、先着100名(予定)です。壊すのは何とも惜しい気もしますが、逆に作品へ直に触れられるチャンスでもあります。興味のある方は参加しては如何でしょうか。



3月1日まで開催されています。

「山本基展 原点回帰」 ポーラミュージアムアネックス@POLA_ANNEX
会期:1月30日(金)~3月1日(日)
休館:会期中無休
時間:11:00~20:00
住所:中央区銀座1-7-7 ポーラ銀座ビル3階
交通:東京メトロ有楽町線銀座1丁目駅7番出口よりすぐ。JR有楽町駅京橋口より徒歩5分。
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