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N響定期 「ブラームス:交響曲第4番」 アシュケナージ

NHK交響楽団 第1703回定期公演 Aプログラム2日目

R. シュトラウス 「変容」
ブラームス 交響曲第4番ホ短調 作品98

管弦楽 NHK交響楽団
指揮 ウラディーミル・アシュケナージ

2011/5/29 15:00~ NHKホール



2007年までN響の音楽監督をつとめ、現在は桂冠指揮者の地位にあるアシュケナージが名曲を披露します。N響定期を聴いてきました。

冒頭の「変容」を簡潔に表せば実直な演奏と言えるかもしれません。ゲーテの「植物変容論」に由来するというこの作品は、弦楽合奏で紡がれる瞑想的な響きが印象に深い音楽ですが、アシュケナージは各モチーフを丁寧に積み上げ、破綻のないように手堅くまとめていきます。

途中、ワーグナーのトリスタンやエロイカの第2楽章など、言わばどこか英雄や死を連想させるモチーフも登場しますが、アシュケナージのアプローチは決して絶望のどん底まで踏み込むことはありません。N響の比較的ソフトタッチな弦の響きは、あくまでもホールを優し気に満たしていました。

一転してのメインのブラ4は大迫力の演奏です。テンポを幾分遅めにとり、一つ一つのフレーズを丁寧に歌い上げつつも、時折耳をつんざかんとばかりに金管を咆哮させ、ともかく音という音を前に出してこの曲の持つ力強さを表現していきます。

まさに重厚長大路線のブラームスです。たとえばバロック時代の音楽との関連も指摘される第4楽章の「知的な運動」(解説冊子より引用)はもっとアクロバットな音の乱舞となり、あくまでも横の線を重視した、極めて没入的な演奏が繰り広げられていました。

なお余談ですが、開演前の室内楽は震災の影響により取りやめとなっていました。予定では6月いっぱいまで中止されるそうです。ご注意下さい。
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