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「村田朋泰 スプライシング」 ナディッフ・ギャラリー

ナディッフ・ギャラリー渋谷区恵比寿1丁目18-4
「村田朋泰 スプライシング」
10/2-10/31



ナディッフ・ギャラリーで開催中の「村田朋泰 スプライシング」へ行って来ました。

村田朋泰のプロフィールについては作家公式WEBサイトをご覧ください。

村田朋泰Profile

最近ではともかく両国のギャラリーモモの個展が圧巻でした。

そのモモでも空間を一変させた村田でしたが、今回もこのギャラリーのともすれば狭苦しいスペースを逆手にとった作品を展開しています。

螺旋階段を降り、暗室に開かれたのはどこか昔懐かしい板葺きの日本家屋のミニチュアです。そして壁際には古びた額が立てられ、そこには「調髪1800円」と記されていることが分かります。つまりこの家屋は床屋です。もちろん内部も緻密に再現され、使いふるされた赤い椅子とタイル張りの手洗い所、そして黒電話などがひしめきあうように置かれていました。

既に散らかったその様子はまさしく残骸、言ってしまえば廃墟ですが、一方でどこか営業同時の賑わいをも彷彿させていないでしょうか。じっと見つめていると今にもお客がドアをくぐって現れるかのような錯覚さえ覚えました。

ちなみにこのミニチュアは村田自身が深い記憶に残っていたという「すずらん理容店」なるもので、何と実際に60年間営業を続けたものの近年閉店し、建物も昨年に解体されてしまったそうです。1974年10月4日というカレンダーの日付が、刻まれてきた歴史を物語っていました。

なお今回の個展には作品が数点出ています。一階エントランス脇とトイレもお見逃しなきようご注意下さい。

ナディッフ・ギャラリー(B1):「スプライシング(splicing)/すずらん理容店」2010
ウィンドウ・ギャラリー(1Fエントランス):「故き森の絵本/アブレーション、私のプティング」2009
トイレ(1F):「スプライシング(splicing)/朱の路(2002-2010)」2010


キャプションに書かれた「巨大な空間よりも小さく制限された空間の方が多くを語る。」という言葉が見に染みます。一つのミニチュアは半ば歴史と化した昭和という記憶を見事に引き出していました。

*アーティスト・トーク:村田朋泰×青木淳(建築家) 2010年10月23日(土) 17:00 - 19:00

10月2日まで開催されています。
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