「日本の美・発見3 茶 Tea - 喫茶のたのしみ - 」 出光美術館

出光美術館千代田区丸の内3-1-1 帝劇ビル9階)
「日本の美・発見3 茶 Tea - 喫茶のたのしみ - 」
4/3-6/6



出光美術館で開催中の「日本の美・発見3 茶 Tea - 喫茶のたのしみ - 」へ行ってきました。

私自身、お茶の素養はまるでありませんが、それ自体に意匠のこらされた器や水注、また箱などを見るのは素直に楽しいものです。館内には出光コレクションの誇る茶道具や煎茶具、さらには書画など、全120点の作品が紹介されていました。

1.「愛用・愛玩の美学」
2.「注ぐ 水注とポット」
3.「茶の室礼」
4.「喫茶の彩り」

なお構成は道具別ではなく、例えば茶を取り巻くシーン毎に作品を見るものと言えるかもしれません。良い意味で大まかな括りでした。



今回、私が惹かれたのは、水や湯を器物に注ぐための水注です。その形状は多様ですが、湯をはって器を温める、まるで蓮の花のような承盤の付いた水注には目を奪われました。またもう一つ興味深いのは、柿右衛門とほぼそれを写したウースター窯による水注(ポット)の比較展示です。鮮やかな彩色が施されながらも、細部の異なる意匠に、また相互の文化の趣味の違いを知ることが出来ました。またマイセンの水注やティーカップも1、2点ほど展示されています。華やかでした。

茶碗の出品は多くありませんが、「井戸茶碗 銘 奈良」は一推しの一点です。釉薬の収縮によって出来たという梅花紋が、器に独特の景色を広げています。また他には黄天目と、出光では比較的見る機会も多い禾天目の天目二点も印象に残りました。

なおお茶を楽しむ人々を表した屏風絵なども一部展示されていますが、中でも書画で注目したいのは佐竹本です。何故かチラシや美術館WEBサイトでは殆ど告知されていませんが、本展には2つの佐竹本が出品されます。

「佐竹本三十六歌仙絵 遍照」(鎌倉時代) 伝藤原信実 4/3~5/9
「佐竹本三十六歌仙絵 人麿」(鎌倉時代) 伝藤原信実 5/11~6/6

会期中、一度の展示替えを挟んで計2点ほどの紹介です。会期に十分にご注意下さい。(他にも数点ほど、途中に入れ替わる作品があります。出品リスト。)

また同じく展示替え前、前期中には東山御物から秀吉、また秀忠にも伝わったというかの牧けいの名作、「平沙落雁図」(~5/9)も展示のハイライトかもしれません。染み入るように広がる大気と、そこへ連なるか弱い雁の群れは、あまりにも儚く美しい景色を作り上げていました。

ところで余談ですが、この四月より、出光美術館の界隈の4つの美術館によって「東京駅周辺美術館MAP」が発行されました。



このパンフレットを持参すると、「2館目割り」として、例えばブリヂストンでは100円、また三井記念美では200円、さらにはオープンしたばかりの三菱一号館美術館が200円と、それぞれ割引優待が受けられます。MAPは館内で配布されていましたので、是非お手に取ってご覧下さい。

「すぐわかる茶の湯の美術/矢部良明/東京美術」

6月6日まで開催されています。
コメント ( 4 ) | Trackback ( 0 )