窪田恭史のリサイクルライフ

古着を扱う横浜の襤褸(ぼろ)屋さんのブログ。日記、繊維リサイクルの歴史、ウエスものがたり、リサイクル軍手、趣味の話など。

日本実務能力開発協会交流会(第17回)に参加しました

2019年11月24日 | 日本実務能力開発協会


  11月23日、札幌にて日本実務能力開発協会の交流会に参加させていただきました。年2回の交流会ですが前回5月は参加できず、1年ぶりの参加となりました。この日、僕にとってはこの冬一番の寒さで、初マフラー、初セーター、初手袋だったのですが、札幌の皆さんが口々に「今日は暖かいね、マフラーいらないくらい」とおっしゃるのにびっくりしました。



  講師の上前拓也先生。毎回交流会は勉強会と懇親会の二部構成で行われますが、今回の勉強会テーマは、「交流分析と質問会」でした。「交流分析」は、アメリカの精神科医、エリック・バーンが1950年代後半に提唱した、人格と個人の成長と変化における体系的な心理療法の理論を言います。

  バーンは、人間にはP(親)、A(大人)、C(子供)の3つの自我状態があると仮定しましたが、弟子のジョン・M・デュセイは、これを元にさらにCP(厳しい親)、NP(優しい親)、A(大人)、FC(自由な子供)、AC(従順な子供)の5つに分類し、「エゴグラム」という、これら5つの自我状態が放出する心的エネルギーの高さをグラフ化する方法を考案しました。エゴグラム診断はインターネット上でも手軽に行えますので、ご興味の方はやってみてください。

  さて、勉強会ではこのエゴグラム診断を一人一人行い、まず自分の現在の自我状態の特徴と、その長所・短所、各自我状態の伸ばし方について確認しました。因みに僕は「合理的」と呼ばれるタイプでした(個人的には、後天的に身についた部分が強く表に出ている気がします)。



  そして、それぞれ異なる自我状態の特徴を持つ人が、それぞれの特徴を活かしながら協働作業を行うとどのようなことになるのかを体験するため、ビジネス研修などでよく使われる、「ペーパータワー」というゲームを行いました。これは、道具を使わず、どれだけ高い紙のタワーを作ることができるかを競うゲームです。これを2度行いましたが、1回目よりも2回目の方がよりチームワークが高まった気がします。



  勉強会の後半では、それぞれ異なるバックグラウンドを持つ受講者が日頃コーチングのスキルをどのように活かしているのか、あるいはどのような課題に突き当たっているのかなどをざっくばらんに話し合う、質問会が行われました。僕自身、頭では分かっていても、現実の行動となるとなかなかうまくいかないという日常を繰り返していますので、これは大変勉強になりました。

  貴重な交流会ですから、必然的に質問は懇親会に移ってからも続きました。個人的には、お話の中で出てきた、観客や参加者が自分の体験したできごとを語り、それをその場ですぐにインプロとして演じる「プレイバック・シアター」と呼ばれる技法は、実際やるのは簡単ではないと思いますけれども、非常に興味深く感じました。

  今回も本当に有意義な時間を過ごさせていただきました。ありがとうございました!

繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした

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価値交換型ビジネスの時代-第44回燮(やわらぎ)会

2019年11月23日 | 交渉アナリスト関係


  2019年11月22日、日本交渉協会の第44回燮会に参加してきました。燮会は交渉アナリスト1級会員のための交渉勉強会です。



  いつもの通り、燮会は二部構成。僕が担当させていただいている「交渉理論研究」の今回のテーマは、「期待効用理論批判」。前回の期待効用理論を受け、それに対する幾つかの批判(アレのパラドックス、エルスバーグのパラドックス、プロスペクト理論)について取り上げました。これらの批判はいずれも、現実の人間行動が期待効用理論には従わないことを示すものですが、今回出席された1級会員のみなさんは、合理的選択をされる方が多かったようです。「交渉理論研究」の内容は、随時日本交渉協会HPの「交渉アナリストニュースレター」でもご紹介していきますので、どうぞそちらもご覧ください。

  次回はこうした批判を受け、H.ライファによる1985年の論文” Back From Prospect Theory To Utility Theory”を解説する予定です。



  第二部は、1級会員でソフトバンク株式会社および株式会社Agoopの加藤有祐様。同社では交渉をテーマとした社内認定講師も務めておられ、「価値交換型交渉のビジネス活用事例 〜最新のビジネスモデルと価値交換の関係を読み解く〜」と題してお話しいただきました。

  ソフトバンクの孫正義会長が40年前から言い続けている「同志的結合」という言葉があるそうです。一言で言うと、資本だけでなく同じ理念を目指す連携を指すそうですが、加藤さんはその考え方が交渉学における「統合型交渉」に非常に近いと感じておられるそうです。加藤さんが交渉学と出会ったのは、ある事業課題に取り組んだことがきっかけだったそうですが、実際お仕事で行ったことは、共通のゴール設定、ニーズやリスクの徹底したヒアリング、価値創造というまさに統合型交渉のプロセスそのものでした。

  また、近年のビジネスモデルを観察すると、時代はまさに統合型交渉を形作る主要素である「価値交換型」モデルが主流となっており、交渉学は日々のビジネスを考える上で非常に親和性の高いものになっているということです。例えば、加藤さんの会社で新商品導入までの道筋を示したガイドラインは、交渉学における「交渉のセットアップ」、「交渉中」、「合意」の各フェーズに一致しています。その過程で、誰の何を解決したいのか、その課題は本当か、解決案は必要とされているかを徹底的に考えていきます。交渉と同じように、特にセットアップが大事だそうです。

  即ち、10年以上前にこのブログでも「経験価値」としてご紹介したことと同じですが、「モノ」より「コト」が重視され、モノが売れなくなった時代にビジネスモデルも経済合理性の追求(ビジネスモデル1.0)から社会性/創造性/経済合理性の追求(ビジネスモデル2.0)へと変化していきました(「八方よし」、「儲けのしくみ」、「逆説の構造」など)。顧客価値と企業価値の最大化の志向は、統合型交渉そのものです。

  ビジネスモデルは様々ありますが、特に統合型交渉に近いものとして今回取り上げられたモデルが「サブスクリプション(月額制)」と「フリーミアム(最初無料)」です。サブスクリプションの典型はAdobeで、かつては高額でソフトのCD-ROMを売っていた同社は2013年にサブスクリプションに移行することでユーザーを劇的に増やしました。フリーミアムは、オンラインゲームアプリが一時随分と話題になりましたので、ご存知かと思います。いずれのモデルも共通しているのは、下図のように、ユーザーと企業との間で「価値交換」が行われ、そして少しだけ企業にうまみのある、「統合型」であるということです。



  前述のように、加藤さんは社内講師を務めておられ、「基本をおさえる!WIN-WIN交渉力研修」という研修を年4回年間100名ほど実施しておられるそうです。その中でWin-Winの時代になってきたと感じておられ、できれば社会人だけでなく初等教育のころから交渉学が教えられるようにしていきたいと考えておられるそうです。



  そのビジョンは、” Win win negotiation for happiness”,”Win win negotiation as a happiness”. 我々ももっとできることがありそうですね。

繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした

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【講演メモ】「戦国武将に学ぶ経営術」

2019年11月21日 | 講演メモ


  11月20日、横浜中小企業懇話会の経営者セミナーにて、静岡大学名誉教授、文学博士、小和田哲男様のお話しを拝聴する機会がありました。こちらは、「戦国武将に学ぶ経営術」と題したご講演のメモです。

  イントロでは、NHK大河ドラマの時代考証という仕事がどういうものなのか、お話しがありました。たとえば、これは小和田様が手掛けられたものではありませんが、2016年に『真田丸』というドラマがありました。主人公の名前は真田信繁。かつては真田幸村と呼んでいましたが、本当は信繁が正しく、このドラマでは「信繁」が採用されました(1985年の『真田太平記』では、「幸村」でしたね)。こうした歴史研究の移り変わりを反映するのも大事なお仕事のようです。

【戦国時代のキーワード】

1.弱肉強食
2.合従連衡
3.下剋上



1.下剋上と立身出世願望

1)「負け組」も勝つことができた時代
・三方ヶ原の戦いでの敗北が、家康を天下人にしたといわれる。
・朝倉宗滴 「巧者の大将と申すは、一度大事の遅れに合ひたるを申すべく候」

2)身分は固定化されていなかった
・例:石田三成(茶小姓だったという説)、豊臣秀吉(百姓)

3)通用しない「親の七光り」
・江戸時代と違い、大名の嫡男が大名とは限らない。

2.一般的だった大名間移動と途中入社

1)終身雇用ではない時代
・信長の人材登用:領地付きの城主となったのは、譜代の臣ではなく明智光秀が初。その次は羽柴秀吉。
・藤堂高虎は7度主を変えている(浅井長政、阿閉貞征、磯野員昌、織田信澄、豊臣秀長(~秀保)、豊臣秀吉(~秀頼)、徳川家康(~家光))。

2)自己の能力開発
・禅僧から教育を受ける者が多かった(太原雪斎は有名)
・生涯学習の傾向:毛利家の家臣、玉木吉保は、中国古典→日本古典→兵法書→歴史・地理→料理→医学と生涯学び続けた武将であり、医師でもある。

3.埋もれた才能の掘り起こし

1)異能者と異業種間交流
・桶狭間の戦いの論功行賞で一番手柄だったのは、一番槍の服部子平太(一忠)でも、今川義元の首級をあげた毛利新介(良勝)でもなく、隠密の簗田政綱であった。情報の価値が武功よりも認められた事例。

2)北条氏綱の遺訓(北条氏綱公御書置)から
・「侍中より地下人・百姓等に至るまで、何れも不便ふびんに存せらるべく候。すべて人に捨りたる者はこれなく候」
・「その者の役に立つ所をば遣ひ、役に立たざる所をば遣わずして、何れをも用に立て候を能き大将と申すなり」
・「此の者は一向の役に立ざるうつけ者よと見限りはて候事は、大将の心には浅ましき狭き心なり」
・「侍中に我身は大将の御見限りなされ候と存じ候へば、勇みの心なく、誠のうつけ者となりて役に立ず」
・「皆々役に立たんも、又た立つまじきも大将の心にあり」

3)秀吉を抜擢した織田信長
・人材登用に優れていたのが、信長。
・秀吉と年齢も仕官した時期もほぼ同じ前田利家は、身長180㎝(当時の平均身長は160㎝程度と推定される)、槍の名人でもあった(「槍の又左」の異名)。家柄も利家の方がはるかに上。一方の秀吉は推定154㎝、華奢な体躯で戦国時代にあっては通常有能な家臣とは言い難い。しかし、先に出世したのは秀吉の方であった。
・信長が秀吉に見出した才能は「話術」。この才能で美濃攻めの際、西美濃三人衆(稲葉良通、安藤守就、氏家直元)の籠絡に成功。彼らの内通により、難攻不落の稲葉山城は落城した。
・一方、信長の問題点は競争原理に偏り過ぎたこと。赤母衣衆筆頭の前田利家と黒母衣衆筆頭の佐々木成政は犬猿の仲であったと言われる。羽柴秀吉と明智光秀も競争関係に置かれ、それに疲れた光秀が本能寺の変を起こす遠因になったとも推測される。

4.上の人への自由な批判が可能だった社会

1)毛利家家臣、志道広良(しじひろよし)
・「君は舟、臣は水。水能く舟を覆す」(『荀子』)。江戸時代であれば、このようなことは言えない。
・『甲陽軍鑑』より。「国持つ大将、人をつかふに、ひとむきの侍をすき候て、其そうきやうする者共、おなじぎやう儀さはうの人計、念比(ねんごろ)してめしつかふ事、信玄は大きにきらふたり」(イエスマンばかりで周りを固めたくない)

2)黒田長政の福岡城「釈迦の間」
・福岡城本丸に「釈迦の間」を設け、「異見会」という家老と対等な立場で討論する仕組みを作った。当時は関ケ原の戦い後で社会が安定し始めていたころであり、江戸時代の身分の固定化、官僚主義的な色が濃くなりつつあった時代であり、そうした背景を考えれば異例のことであった。

5.部下を信頼するシステム

1)副の置き方
・秀吉晩年の暴走は、良きサブであった弟・秀長の死後であったと言われる。

2)徳川家康の三河三奉行
・天野康景、高力清長、本多重次の三名。「仏高力、鬼作左、どちへんなきは天野三兵」と謡われ、性格が異なる者を抜擢し、個性に応じて用いた家康の眼力がうかがわれる。
・後に老中まで上り詰めた本多正信は三河一向一揆に与し、一度追放されている。しかし、後に帰参し、石川数正が出奔し豊臣秀吉についた際、本多作左衛門(重次)を推挙したのは正信であった。

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着物をもっと自由に楽しむー第114回YMS

2019年11月15日 | YMS情報


  11月13日、mass×mass関内フューチャーセンターにて、第114回YMS(ヨコハマ・マネージャーズ・セミナー)を開催しました。

  余談ですが、奇しくも今日11月15日は、着物の日なのだそうです。



  今回の講師は、鎌倉を中心に活躍していらっしゃる、着物着付師の棟方環様。お名前から推察されるとおり、日本を代表する版画家、棟方志功のお孫様でいらっしゃいます。今や我々のような中年でさえ馴染みのなくなった着物をもっと楽しむため、「ハレの着物 ケの着物」と題してお話しいただきました。

  残念ながら僕が参加することができなかったため、受講者の感想をいくつかご紹介させていただきます。




1.江戸時代の話から、最近のデニムの着物まで、着物の世界に親しみを覚えた90分の講義だった。様々な実際の着物に棟方環先生の実演、リアリティにあふれていた。生活感のある経営スタイルとしても、大いに勉強になった。男の着物というタイトルだったけれども、これからはやはり女性の時代なのだと思った。男性では、これだけの説得力で、女性を開眼させることはできないだろう。それにしても、染物が織物よりも「格が上」という感覚は、世界でも日本だけではないかと思う。絹が木綿よりも上ということなら、ありそうな話だ。絹の紐が締りが良いという話の次に、でも男性にはマジックテープの紐があるというのだから、日本独自の文化であることは確実だ。日本文化の「品格」と「独自性」、そしてなにより日本女性の「経営力」はあなどれない、そして素晴らしい。




2.棟方先生の独自視点での着物の考察(例えば今はやりのデニムの着物にブーツの組み合わせとか)は目から鱗が落ちるくらいでありました。(着物にブーツって坂本龍馬の風体を思い浮かべました。)男性の着物の着方、女性の着物の着方、身長が低い時代の古い短めの着物の着方、今どきの着物の着こなし方など90分では端折ってしるしかなかったのでもう少し長い時間で色々伺えたらと感じた講義でした。ファッション同行ではなく着物着付け同行もできるというお話でしたので、ご興味がある方は是非!!



3.単に着付け、というより、所謂「伊達男」「いなせ」そんな文化、オシャレを感じるレクだったと思います。勿論、着付けの基礎をちゃんと踏まえた上で、日常着として着られる着物の提案などもあり、和装に対する敷居が低くなった、と個人的には思っています。数年前、大枚をはたいて購入した浴衣があるのですが、あれ、来年の夏に普段使いしてみようかなw



4.男性の着物の着こなしは、スーツと同様であり、TPOに合わせて何ら難しく考えるものではない。しかし、洋服が主流の昨今、まずは入りやすい浴衣からのチャレンジで色々と試して、普段着に取り入れるポイントをレクチャーして頂いた。基本的にホテルや旅館でしか着たことがないのだが、棟方さんが実践されている、鎌倉や横浜を着物で歩く会にはチャレンジしていきたい。



  次回第115回YMSは、12月11日、横浜中華街『菜香新館』にて恒例の忘年会を開催の予定です。奮ってご参加ください。

過去のセミナーレポートはこちら

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カジュアルな雰囲気の中で本格フレンチをール・ブーケガルニ(関内・本町)

2019年11月14日 | 食べ歩きデータベース


  かなり以前より、とある方からご紹介いただいていたものの、なかなかいく機会に恵まれなかった、フレンチ・レストラン「ル・ブーケガルニ」へようやくお邪魔することができました。飾らない家庭的な雰囲気の店内で、横浜で唯一のフランス人による本格的なフレンチを堪能することができます。毎月、お店ではフランス家庭料理の料理教室も開催しているようです。



  食前酒のシャンパンは、シャルル・オルバン・トロイシー・ブラン・ド・ノワール。ピノ・ムニエ60%、ピノ・ノワール40%、フルーティな香り、バランスの良い辛口のスパークリングワインです。



  中年男性5人で、トラディッション・コースを頼みました。初めは玉ねぎのスープから。いわゆるオニオングラタンスープとは違った、クリーミーな味わい深い、空腹に染みわたるスープでした。



  5品から選べる前菜は、エスカルゴのコルネパイを選びました。玉ねぎやきのこの入ったクリームソースに絡めたエスカルゴの身が、これまた貝殻を思わせるサクサクのコルネパイにたっぷりと入っています。ソースは思いの外サッパリとしていて、このパイのサクサク感とよく合いました。



  他の仲間の前菜もご紹介。レンズ豆と鴨肉のサラダ。サラダとはいっても、たっぷりと盛ったレンズ豆の上にローストした鴨肉がびっしりと並んでいます。イメージとしては富山の鱒ずしの鴨&レンズ豆版といったところでしょうか。そのためしっかりとした食べ応えがあり、またこのレンズ豆と鴨肉の相性が抜群に良いのです。



  イカのバリグール風。バリグールとは、元々アーティチョークの花芯にアカモミダケを詰めた南仏料理を言うそうですが、こちらは中にエビを詰め込んだまるまると太ったイカ。アーティチョークは食べたことがないので分かりませんが、真ん中にあるのがそれだったかもしれません。



 ヴィノヴァリー・アンジュ・ブラン2015。僕の好きなブドウ品種、ソーヴィニヨン・ブラン。きれいな黄金色で、柑橘系のフレッシュな味わい。先ほどのイカのバリグール風など、よく合ったのではないかと思います。また、ワインはとても良心的な価格設定なのではないかと思います。



  7品から選べる、メインのお肉料理(または魚料理)。季節のジビエは何ですか?と伺ったところ、エゾジカのフィレだというので、一発で決まりました。それも全員が。

  僕は馬も好きですが、鹿も好き。もちろん食べる方です。しかもこの大きさ!臭みがなく、柔らかくて脂身の少ない鹿肉は本当に美味しい、なぜもっと普及しないのか不思議なくらいです。



  6品から選べるチーズ(またはデザート)は、サーベル・デ・カニュを選びました。サーベル・デ・カニュは、スプレッドチーズに刻んだハーブや酢などを加えた、リヨンの名物料理だそうです。甘くないヨーグルトのような感じですね。これにカリカリに焼いたバゲットをディップして食べます。



  食べているうちに、これは蜂蜜を加えたら美味しいだろうなと思ったので、お店の人にお願いして持っていていただきました。出てきたのは、フランス産の栗(シャテニエ)の花の蜂蜜。その濃い色からしてそうですが、何と形容したらよいのか、薬草、咳止め飴のような独特の香りと濃い味わい。それでいてミントのような爽やかな後味がします。今まで経験したことのない不思議な蜂蜜でした。



  予想通り、これがサーベル・デ・カニュとよく合いました。おかげで次から次へと足される自家製パンがすすみました。

  特にランチタイムは賑わっていそうなお店の雰囲気と料理でした。またお邪魔したいと思います。

ル・ブーケガルニ



神奈川県横浜市中区本町1-5 西田ビルB1F



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16年ぶりの謝甜記-中華粥(横浜中華街)

2019年11月13日 | 食べ歩きデータベース


  10月27日、横浜中華街では香港路の安記(昭和7年)に次ぐ中華粥の老舗、謝甜記(昭和26年)へ行ってきました。お粥を食べるために中華街へ行くという機会はなかなかなく、実に16年振りのことになります。子供の頃に読んだ本には、中華街で働く料理人たちが朝食のために鍋を持って謝甜記に列を作ると書いてあった記憶があります。

  訪れたのは、本店から少し離れた弐号店の方。地元では有名ですが、トレードマークは入口に置かれたサンタクロースで、創業時に近所のバーから譲りけたものと聞いています。確か、「サンタクロースのように、世界中に知られる店になりたい」という思いがあったとも、単純に目立つからという説もあります。

  お店のHPによれば、お粥は、生米を乾燥牡蠣、乾燥貝柱、丸鶏と共に約4時間も煮込むそうです。塩もセルマランドゲランドという、フランス北西部、ゲランド地方の塩田で作られた塩を使っているそうです。この塩は、フランス有機農業推進団体、ナチュール・エ・プログレが定める伝統的製法に基づいて収穫され、精製せずに出荷しているとのこと。

  お粥は土鍋に入ってくる普通サイズと、その半分ほどのどんぶりの中椀サイズとがあり、今回は色々味見しようということで中椀にしました。結果的にはあまりにもすんなり入ってしまったので、普通サイズでも良かったのですが…。

  まず冒頭写真のお粥は、牛肉、豚肉、鶏肉、豚すね肉、ピータンの入った、五味(うい)粥。一つで色々な味が楽しめる欲張りなお粥です。お粥はどれも具が底に入って出てきたので、混ぜないと表面的な見た目が同じになってしまいます。中華風揚げパンである油条に出汁の効いたお粥をたっぷりしみ込ませて食べると一層美味しいです。



  その他のお粥は、海鮮風味の効いた海老粥と、海老、白身魚、イカ、野菜の入った優しい五目粥。4時間も煮込んであるだけあり、ほぼあんかけに近い程とろみのついたお粥は、胃に優しく、かつ思いの外味わい深いです。16年の時を経て、僕もこういうのが嬉しい歳になったのかもしれません。

  お店のメニューに紹介してあったことですが、曹洞宗の開祖、道元の著書『赴粥飯法(ふしゅくはんぽう)』に、「粥有十利」(しゅうゆうじり)という、お粥の10の効能が挙げられているそうです。その効能とは、

1. 色 (肌つや・顔色を良くする) 
2. 力 (体力をつける)
3. 寿 (寿命を延ばす)
4. 楽 (胃に優しく、体調が楽になる)
5. 詞清辯 (頭の働きが向上、言葉もなめらかに)
6. 宿食除 (胸のつかえが治る)
7. 風除 (風邪を引かない)
8. 飢消 (空腹を癒す)
9. 渇消 (喉の渇きを癒す)
10.大小便調適 (おなかの調子を整える)



  さて、お粥以外の人気メニューを。まずは一番人気という、梅みそ付鶏の唐揚げ。梅みそといっても酸っぱくはなく、むしろ甘いみそをチューリップの唐揚げにつけて食します。



  海老とマヨネーズの春巻き。表面がサクサクの網目春巻きです。マヨネーズは甘みを添える程度であまり感じません。

  子供の頃、正直お粥は熱いだけで物足りなく思っていました。しかし今や、お粥の優しさがしみじみ美味しいと思える46歳です。

謝甜記弐号店



神奈川県横浜市中区山下町189-9



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希少なお酒がずらり-たちきや(神戸・三宮)

2019年11月12日 | ワイン・日本酒・ビール


  今回の神戸の締めくくりは、日本酒バー「たちきや」へ。業界でいつもお世話になっている方の先輩が営まれている、日本酒にこだわったお店ということで以前から伺ってはいたのですが、この度ようやくお邪魔することができました。



  カウンターのみの純和風なお店。カウンターや棚には珍しい限定日本酒がずらりと並んでおり、それだけで楽しみになります。

  まずは冷奴をお供に地元兵庫県のお酒から。加古川市に唯一残る、創業140年の酒蔵、岡本本家の純米吟醸SEITEN生原酒(冒頭写真)。近ごろはさっぱりとしてキレのある純米酒が好みですが、それなりに食べ飲んだ後でもあるので、ややインパクトのあるお酒の方が良いというのもありました。そういう意味では、すっきりとした中にも、微妙に乳酸系の爽やかさを感じるこのお酒は飲みやすかったです。



  続いて、角右衛門ひやおろし特別純米酒。秋田、木村酒造のお酒。秋のお酒のイメージがあるひやおろし。以前ブログでもお話ししましたように、ひやおろしは出荷前の二度目の火入れ(加熱殺菌)をしないことから「冷や卸し」と呼ばれているのだそうですが、こちらも角右衛門特別純米酒を、春に一度瓶燗火入れしてひと夏熟成させたものです。低温で熟成させたため、フレッシュ感のある飲みやすい仕上がりになっています。



  三杯目は愛媛、中条本店の城川郷純米原酒。ここへきてまろやかでお米の甘みがしっかりとつづくお酒に。



  岡山県備前地区の原料米「雄町」を使用した、龍勢ひやおろし雄町特別純米(藤井酒造)。聞きそびれてしまいましたが、こちらのお店は旧店名を「備前たちきや」といったことから、地元と関係あるのでしょうか?こちらはしっかりとしたお米の旨味が感じられる、厚みのあるお酒です。



  最後は、再び兵庫県に戻り、江井ヶ島酒造の日本魂(やまとだましい)純米無濾過生原酒みずもと仕込み。みずもと(水酛)についても以前ブログでお話ししましたが、生米と蒸米を水につけて乳酸菌を増殖させ、その水を仕込み水として利用して酒母を作る、復刻した古来の仕込み法を言います。水酛は全国でも珍しく、米由来の旨味、甘み、酸味も雑というのではなく、何というか本来の日本酒といった自然感がありました。

  またゆっくり、じっくりとお邪魔したいと思います。

たちきや



兵庫県神戸市中央区北長狭通2-9-4 西島ビル 1F



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ウィスキーを覚えるには好適!-スタンドクラシック 神戸 ハイボール

2019年11月11日 | BAR&WHISKY etc.


 三宮でぶらりと寄った立ち飲みバーです。軽く寄っただけでしたが、非常に面白いところだと思いました。まず、ウィスキーの種類の豊富さ。立ち飲み屋ながら、スコッチ(もちろんハイランド、スペイ、アイラ、ローランド各種)、アイリッシュ、アメリカン、カナディアン、ジャパニーズ等の定番銘柄がずらりと並んでいます。各ボトルは値段によってシールで色分けされており、安いものは1ショット390円のものもあれば、上は1,000円レベルのものまで。それでもオーセンティックなバーに行けば1,000円はするであろうレベルにあるものが500円前後だった気がします。さらには、台湾のカバランやインドのアムルットなど、世界的に注目されながら日本ではまだまだ置いてないところも多い、僕自身おすすめの銘柄まで揃えてあります。

 「ウィスキー覚えたいけど、バーは敷居が高いし」と感じておられる方、色々飲んで覚えるにはまさに好適ではないでしょうか?

スタンドクラシック 西店



兵庫県神戸市中央区北長狭通2-8-5



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このごろ神戸では羊多し-ひつじやジンギスカン三宮店

2019年11月08日 | 食べ歩きデータベース


  いつもお世話になっている三宮のステーキ屋さん「カルネ」が今回満席だったため、大学時代の旧友の紹介で「ひつじやジンギスカン」というチェーン店に行ってきました。ちょうど1年ほど前も「味香苑」というお店で羊肉串でしたが、僕は羊が大好きなので大歓迎です。「羊」に「大」と書いて「美し(うまし)」という位ですからね。

  基本はデフォルトで人数分のジンギスカンが来て、あとは好みで野菜や肉、トッピングを追加する感じです。羊肉は胃にもたれないのでスイスイと進んでしまいます。しかも、冒頭の肉の色をご覧ください。何と美しい…、臭みのない豪州産ラムだそうですが、生でも食べられる新鮮さだそうです。よって、レアがおすすめ。



  これではどんどん行けてしまいます。肉だけだととんでもないことになりそう。



  羊のタン(ラムタン)も。



  締めは太麺の特製焼きそば。

  羊、美し。なかなかのメエ~店でした!

ひつじやジンギスカン



兵庫県神戸市中央区北長狭通1-21-7



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食材が奏でる京文化-実伶(京都・丸太町)

2019年11月07日 | 食べ歩きデータベース


  なかなか行く機会のない京都に、今年は珍しく2度も訪れる機会がありました。10月24日、雨降る京都で6月の「押小路 悠貴」につづき、古い友人のお勧めで京料理がアラカルトで楽しめる「実伶(みれい)」に行ってきました。

  不慣れな京都で困るのは、地元の方が地名を通りの名前で認識しているのに対し、僕のようなよそ者は調べた通りの住所しか分からないということです。今回もタクシーの運転手にお店の住所を言っても通じず、とりあえず丸太町の駅まで行ってもらい、そこからスマホがさす場所を頼りに歩くことにしました。しかしそのスマホも、お店のある一角をおおまかに指し示すばかり。当の場所に到着しても肝心のお店が見つかりません。さらには、これも京都らしいところで、周囲を見回してもお店らしいものが見当たらないのです。しかたなく、まるで巻狩のように、該当する番地を徐々に範囲を狭めながら虱潰しに店らしきところをあたるという手段に。雨降る日没の中、捜索すること20分。暖簾に小さな篆書(てんしょ)体のような文字で辛うじて「実伶」と読めるお店を発見しました。



  こちらのお店は、祇園の割烹などで14年修業を積まれた店主が3年前に始められたそうです。落ち着いた雰囲気の中、本格的な京料理がアラカルトで楽しめます。お通しの後は、雲子(くもこ)ポン酢から。京都では鱈の白子を「雲子」というのだそうです。新鮮な瑞々しさと張りのある白子は、嫌な生臭さがなくすっと食べられます。これは天ぷらにしたらきっと美味しいでしょう。



  前回の反省を踏まえ、お酒は控えめにと思っていたのですが、結局飲んでしまいました。

・れいせん特別純米(岐阜)
・道灌特別純米(岐阜)
・出雲富士純米吟醸(島根)
・風の森純米(奈良)
・澤屋まつもと純米(京都)

  一つの銘柄を複数回呑んでいるので、結局は今回も相当量行ってしまったという訳です。ちょっと変わっていたのは奈良の「風の森」で、フルーティかつシュワシュワとした発泡感のあるお酒でした。



  お造り盛り合わせは、天然くえ、かつお、天然ぶり、つぶ貝、アオリイカの五種。とりわけかつおは皮がパリッと焼けていて実に美味しかったです。以前、「志満八」で書いたのと同じく、こちらも素材もさることながら、包丁を感じる美味しさでした。



  品書きでまず目にとまったのが、蛤天ぷら。大きな蛤をそのまま天ぷらに。噛むほどに旨味が楽しめる一品。



  唐すみ餅。焼餅の上にスライスした唐すみが載っているのかと思ったら、その通りでした。ただし、唐すみが分厚く切ってあり、餅だけでなく唐すみのもっちりとした食感が味わえます。餅は稗を混ぜているのではないかと思いますが、触感にアクセントと柔らかな香ばしさを添えています。海苔を巻けば、海薫る醤油なしの磯部餅。



  こちらも気になった生麩ブルーチーズ。モチモチの生麩にブルーチーズをのせ焼いたもの。こちらは期待通りの味と触感。



  このわた(海鼠腸)。文字通り、海鼠の内臓の塩辛で、ウニ、唐すみと並ぶ日本三大珍味の一つ。このようにお酒に合う料理が続いたことも、酒量に一役買ったに違いありません。言い訳ですが…。



  最後はくえあら旨煮。間もなく大相撲九州場所が始まりますが、くえを見ると九州場所の到来を感じます。

  なお、お店の名前の「実伶」ですが、実は食べ物、伶には「音楽を奏でる人」という意味があるそうです。料理は食材が奏でるハーモニーということでしょうか。

実伶



京都府京都市中京区 竹屋町通室町東入ル亀屋町143-2



繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした
コメント
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