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窪田恭史のリサイクルライフ

古着を扱う横浜の襤褸(ぼろ)屋さんのブログ。日記、繊維リサイクルの歴史、ウエスものがたり、リサイクル軍手、趣味の話など。

無敵の交渉術(敵対的交渉の調和的交渉への転換)ー第68回燮(やわらぎ)会

2025年03月24日 | 交渉アナリスト関係


 2025年3月21日、品川区の文化コミュニティ施設「きゅりあん」にて第68回燮会がオンラインとの併用で開催されました。燮会は日本交渉協会が主催する交渉アナリスト1級会員のための勉強会です。





 初めに、3月14日にセルバ出版より発売となった、『交渉の戦略 孫子の哲学が導く意思決定の技術』をご紹介いただきました。どうぞよろしくお願いいたします。



 前回同様、今回も2部制で行われました。第1部は定例の「交渉理論研究」第26回。「第三者の介入(2)」と題してお話しさせていただきました。



 前回は、仲裁者(メディエーター)が交渉に介入するパターンを扱い、これまで述べてきた統合型交渉のためのテンプレート作成と分析、評価のプロセスについてお話ししました。今回はそれを受け、増大したパイをいかに分けるのが公平と言えるのか?規範的に導かれる、以下に挙げる幾つかの基準についてお話ししました。公平分配については、「第22回交渉理論研究」でも扱いましたので、そちらもご覧ください。

●マクシミン解
●中間の中間
●マイモーン解
●ナッシュ解
●バランス・インクリメント解



 第2部は、1級会員で弁護士専門経営コンサルタントの向展弘さんより、「無敵の交渉術(敵対的交渉の調和的交渉への転換)」と題してお話しいただきました。扱うのは、弁護士の事案解決術です。



 弁護士にとっての経営的課題を大きく分けると二つあります。一つは「依頼者満足」であり、クライアントにできるだけ喜んでもらえる解決を目指すことです。それがリピートや紹介の増加、単価のアップにつながるからです。二つ目は、「効率化」です。時間、労力、ストレス、経費などを最小化する観点から、できるかぎり法廷での裁判ではなく、示談で解決する方が効率的だと言えます。そして、早い解決の方が、顧客満足度も高くなるのです。

 訴訟を避けるには、敵対的交渉によって対立がエスカレートしないよう、交渉を調和的交渉に転換する必要があります。そのための技術が、今回の主題である「主導権の握り方」になります。



  なぜ主導権を握る必要があるのかといえば、こちらが調和的交渉を望んでも相手もそうであるとは限らないからです。むしろ、現実の事案ではその方が普通であると言えます。調和的解決を望まない相手を導くには、交渉そのものをコントロールする、つまり主導権を握ることが欠かせないのです。

 ところで、主導権とは何なのでしょう?向さんは、主導権を「相対的主導権」と「絶対的主導権」の二つに区別しています。前者は、一般的に我々がイメージするもので、相手より自分の力が強ければ、主導権を握れるというものです。一方、後者は、自分以外の力を自分の力にできることを言います。自分だけでなく相手や外部の力も取り込み、交渉をコントロールし、調和的解決のフレームをはめ込むのです。

 この絶対的主導権を確立するために、向さんは二つの重要な視点を挙げています。一つ目は、向さんが「ヨットモデル」と名付けているもので、19世紀のアメリカの詩人、エラ・ウィーラー・ウィルコックスの「運命の風((The Winds of Fate))」という詩に次のような一節があります。

同じ風に吹かれながら
東へ進む船もあれば、西へ進む船もある
向かう先を決めるのは
吹く風ではなく、帆の向き

 つまり、交渉をコントロールしているのは外部の要因ではなく自分自身だということです。風は交渉相手や外部の力です。それを受け止め、利用し、自分が進みたい方向を決めるのは、自分というヨットの中の帆なのです。

 二つ目は、「合気道モデル」です。これは想像できますね。合気道で小さくて非力な人が大きくて剛力な人を倒すことができるのは、相手の力に逆らわず、それを自分の力としてりようしているからです。同じように、環境を上手に活用することができれば、主導権を握ることができます。合気道の創始者、植芝盛平の言葉に、次のようなものがあります。

合気とは敵と戦うことではなく、世界を調和させ、人類を一家のごとくまとめあげる道である。

 外部の力を拒絶したり、抵抗したり、相手を負かすのではなく、受け入れ、調和し、自分の力として活用する調和的交渉の精神です。敵対的交渉は、意識の焦点が「相手」にあり、相手に囚われやすくなります。一方、調和的交渉は、意識の焦点が「自分」にあり、相手に囚われにくいのです。そのため、敵対的交渉は「Youメッセージ」になりがちであり、対立をエスカレートさせてしまうのに対し、調和的交渉は「Iメッセージ」が中心となり、相手に配慮しつつも自分の主張を的確に伝えることができます。

 この後、「合気道モデル」に則っり交渉の主導権を握った事例が紹介されました。

繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした
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#74 孫子で読む交渉学③

2025年03月19日 | メディアアーカイブ


 出張で更新が遅くなってしまいましたが、Podcast、「人をつなぐ、未来をつなぐ。 トレードオンの交渉学」でお話ししました。

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【WBN】アロマセラピー入門~香りで心と体の声をきく~

2025年03月19日 | WBN情報


 3月18日、WBN(早稲田ビジネスネット横浜稲門会)の分科会に参加してきました。



 今回は、芳香療法士、調香師の中田真世様より、自然の力で心と体を癒すアロマセラピーについてのお話を伺いました。



 アロマセラピー、つまり香りを用いた療法では、エッセンシャルオイルと呼ばれる植物の香り成分を抽出した油を用います。素人の僕は、油に植物の香りをつけたものだと思っていたのですが、違うんですね。水蒸気蒸留法や圧搾法によって抽出された貴重なオイルは、わずか1滴に450グラムものハーブが必要なのだそうです。

 香りと人類との歴史は古く、およそ3000年前、古代エジプトに遡るそうです。彼らは政治交渉、医療、美容、権威づけなどの場で香りを活用していました。例えば、身分の高い女性や神官が、ミルラやフランキンセンス(乳香)と牛脂を混ぜ、ワインで煮て固めた香油コーンを頭にのせている絵が古代の墓の壁画に描かれています。牛脂が溶けることで体臭をおさえる、あるいは儀式のために用いられていたと考えられています。また、ミルラには乾燥させる効果があり、彼らはミイラを作るためにそれを用いていました。

 ちょっと脱線してしまいますが、香油コーンのお話を伺ったとき、白隠禅師(1686–1769)の「軟蘇の法」を思い出しました。「軟蘇の法」とは、呼吸により気を丹田集めることで心身の調和、健康回復を目的とした瞑想のことですが、その際、頭の上にのせた「蘇」がゆっくりと溶け、それが全身に染みわたるようにイメージせよと述べているのです。「蘇」とは、通常チーズあるいはヨーグルトのような乳製品とされますが、禅師の『夜船閑話』では、「蘇」について次のように表現しています。

「蘇とは、乳のごとく白く柔らかにして、香気馥郁(ふくいく)として、鼻を撲(う)つがごとし」

それが呼吸とともに溶けていくというのです。勝手な想像ですが、ここで蘇と言われているものは古代エジプトの香油コーンに源流があるのかもしれません。



 そもそも、嗅覚は視覚や聴覚などと比べて最も古くからある感覚です。視覚や聴覚が、多細胞生物が進化した後に発達したと言われているのに対し、嗅覚は単細胞生物の時代からあったと考えられています。嗅覚とは生存のために化学物質を感知する能力のことであり、人間の場合、鼻の奥にある嗅毛が受容体の役割を果たし、わずか0.2秒で脳の大脳辺縁系に届くのだそうです。このことは、生まれたての赤ちゃんで目が見えず、耳が聞こえない段階でも、嗅覚はあるということからも分かります。この大脳辺縁系は感情、情動、本能に関わる、進化の過程から見て比較的古くからある部分です。つまり、香りは脳にほぼダイレクトに届き、感情や情動、自律神経などに働きかけます。香りが心身の調和に資するメカニズムはここにありそうです。本能的な快/不快のレベルなので、自分が好きな匂いだと感じれば、それが脳内ホルモンの分泌を促し、心身を活性化させたり、落ち着かせたりします。逆に不快だと感じれば、それは生存のために脳が危険だと判断していることでもありますので、かえって心身の負担となってしまうことがあります。アロマセラピーでは、自分が好きと思える香りを見つけることが大切です。

 さて、今回5種類のエッセンシャルを体感しました。

1.オレンジ(実)



 オレンジの皮から抽出したオイルです。今回の中では、個人的に一番好きな香り。不眠、不安、ストセスなどに良いとされ、ストレス性消化器疾患、便秘や下痢などに効能があるようです。個人的には柑橘系の香りが好きなのだなと思いました。

2.ユーカリ(葉)



 コアラが大好きなユーカリですが、実は毒性の強い植物なのだそうです。そんなユーカリを食べざるを得なかったコアラ。クマ科なのに竹を食べざるを得なかったパンダとともに、生存競争の悲哀を感じます。ユーカリはウイルス性の風邪や花粉症などに良いとされ、呼吸器系に働きかけます。また、集中力を増すのにも良いそうです。

3.ジャスミン(花)



 ジャスミン茶のイメージからは想像もできない、僕には形容しがたい香りでした。クレオパトラはこのジャスミンのオイルを好んだそうで、政治交渉の場で相手を威圧するためにも用いていたそうです。ホルモンバランスを保つ、自信をつけるのに良いとされています。香りは嗅いだ時に肺からも吸収され、血液によって全身をめぐります。それを通じても臓器などに働きかけるようです。

 因みに、様々な香りを連続で嗅ぐのに、前の香りをリセットするには、水を飲む、コーヒー豆の香り、あるいはアンモニア臭を嗅ぐといった方法があるそうです。

4.フランキンセンス(樹脂)



 いわゆる乳香のことです。子供のころ読んだ物語の影響で、乳香や白檀は、中世アラブの交易商人によって高値で取引される香木というイメージがあります。



 こちらがフランキンセンスの樹脂。先ほどのユーカリを強くしたような香りに感じました。好き嫌いは別にして、落ち着きます。実際、外に向いた意識を内に向ける効果があり、瞑想の時などに用いられるそうです。

 因みに、複数の香りを組み合わせると、それぞれを強め合うことがあります。例えば、リラックスには、ラベンダー とスイートオレンジとサンダルウッド、爽やかさや活気にはペパーミントとレモンとユーカリといったようにです。

5.シダーウッド(木)



 比較的強い香り。どこか覚えがあると思っていたのですが、自分が28年使っている香水「アクア・ディ・ジオ」が、時間がたって古くなった時の香りに似ています。檜風呂からもイメージできるように、木系の香りは呼吸を落ち着かせる働きがあります。気を落ち着かせ、また霊性を高めるとも言われています。 



 個人には木系の香りは好きだと思っていて、今でも車でサンダルウッドのアロマオイルを使っているのですが、今回エッセンシャルオイルを直接嗅いだ限りでは、ちょっと強すぎるように感じました。泌尿器系に良いそうです。

 これを機会により意識的に香りを生活に取り入れてみようと思います。子供にも勧めてみます。

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カンボジアの港町で評判のピザーToto‘ Pizza (シハヌークビル)

2025年03月14日 | 食べ歩きデータベース


 3月5日、出張で行ったシハヌークビルの夜。トゥクトゥクを飛ばして、この町で評判のイタリアン”Toto’ Pizza”へ行ってきました。



 スマホが示す住所に着いたものの、お店が見あたりません。少し探すと、ありました、”Toto’ Pizza”の看板が!



 しかし、お店はどこ?



 まさかと思いながらも、ここしかないので、思い切って暗がりを奥へ進むと、空のプールに突き当たりました。そしてその奥に見えるのが…。あれがお店?半分露店のようなスペースに、トト・ピッツアはありました。



 路地裏の小さなお店でしたが、やはり評判なのでしょう。我々の前に、2名の白人客がいて、その後あっという間に店は我々以外の日本人2名を含む外国人客でいっぱいになりました。いっぱいと言っても8名ほどしか入れません。

 フライドポテトで時間を潰しながら、注文したピザを待ちます。トトさんというお名前なのか分かりませんが、イタリア人と思われる店主さんが一人で切り盛りしており、離れの窯でピザを焼いてくれます。



 ピザは確かに本格的。トマト系が好きなので、マルゲリータとキノコとハムのピザを頼みました。



 アラビアータの自家製生ペンネも美味しかったです。



 注文の時、ご主人の肩に乗っていたコガネメキシコインコは、ご主人がピザを焼いている間、カウンターでいい子にしています。それでも寂しかったのか、ご主人を呼ぶような鳴き声で鳴いていました。

 カンボジアの夜に、思いがけず美味しいイタリアンを楽しみました。

Toto‘ Pizza



Sereypheap Street, Sihanoukville 18000 Cambodia



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日頃のマナーと相互理解がペット防災につながるー第174回YMS

2025年03月13日 | YMS情報


 3月12日、コミュニティラウンジ「Benten103」にて、第174回YMS(ヨコハマ・マネージャーズ・セミナー)を開催しました。



 今回の講師は、深谷建築設計室代表、一級建築士の深谷美登里様。深谷さんは神奈川県動物愛護推進員でもあり、ライフワークとして「人とペットの防災」に取り組んでおられることから、今回は「間違いだらけ?の “ペット防災”」と題してお話しいただきました。何人も災害とは無縁とは言い切れない今日にあって、ペットの飼い主はもちろん、僕のように飼っていない者にとっても役立つお話でした。

 日本列島に居住している以上、避難せざるを得ないような災害に見舞われる可能性はどんな人にもあります。そして、今やペットの数が子供の数を上回っているとも言われる今日、避難所にいるのは人間ばかりでないというのは不可避であり、その意味でペット防災はすべての人にかかわる問題であると言えます。

 人とペットが共存して避難生活を送るためには、非飼育者と飼育者の相互理解が重要ですが、その下地はまだまだ十分とは言えません。2011年の東日本大震災などの経験を踏まえ、国は「人とペットの災害対策ガイドライン」を示していますが、住民の理解が追い付かないままに規則が先行するさまに危機感を覚えた深谷さんは、それをきっかけにトラブル防止のための啓発活動を始められたそうです。具体的には、自治体が防災訓練やYoutubeなどで行っている相互理解を深めるための啓発活動に、非飼育者と飼育者双方を含む住民としての立場から情報発信の協力をされています。

本日の話、

1.「同行避難」と「同伴避難」の違い

同行避難…災害発生時に飼い主が飼育しているペットを連れて避難すること(行動)。飼い主とペットが同じ空間で過ごすことを意味しているのではない。

同伴避難…災害発生時に飼い主とペットが同じ避難所で避難生活を送ること(状態)。ただし、避難所で、ペットと飼い主が別の場所で過ごす場合もあり、その場所が屋外である場合もある。

 さらに、公式な定義とは別に「同室避難」という言葉も生まれています。

同室避難…飼い主とペットが同じ安全な室内で避難生活を送ること。

 これらの言葉の意味は日常生活の中で曖昧に、あるいは混同されて捉えられており、そのことが誤解とトラブルを生む要因となっています。国や自治体としては全国各地域で環境や条件が異なるため、避難所におけるペットの飼育環境を一律で規定することは困難です。だからこそ、曖昧な部分を自分たちで補うことで、環境改善と問題解決を図る必要があります。

2.避難所生活の現実

 前述の通り、同伴避難と言っても、ペットと飼い主が同室で避難できるわけではありません。例えば、避難所が学校で、飼い主が校舎や体育館に避難しているとすれば、ペットは校庭の鶏小屋や行事で使うテントなどに居場所を確保することになります。あるいは、屋内ではなく屋外で飼うのが通例のペットは、鉄棒などにつないで避難場所とすることもあります。その他、小型のペットはクレート(ペット用のキャリーケース)に入れます。こうした規定は、各自治体の避難場所によって異なります。

また、飼い主は協力して、

 ① 害虫を発生させない
 ② 給餌と片付け
 ③ 病気の予防
 ④ 臭いや騒音防止
 ⑤ その他の安全確保

等の対策に努めなければならないと規定されています。しかし、人間にとっても非常時である状況の中で、こうしたことを求めるのが果たして現実的といえるでしょうか?

 避難所でよく起こるペットに関するトラブルの中で多いものを挙げると、以下の通りになります。

 ① 吠え声
 ② 抜け毛(僕もです)
 ③ 臭い
 ④ いたずら(例えば人間がペットにストレスを与えてしまう場合など)
 ⑤ 事故(咬みつきなど)
 ⑥ 盗難(ペットが連れ去られる)

 これらのトラブルについて、④~⑥は、飼い主がそばにいれば防ぐことができます。しかしながら、特に多い①~③は飼い主が離れたところにいては対処できませんし、②と③は飼い主にも臭いや抜け毛はつくので、飼い主自身がその元となってしまうこともあります。ペットも災害時は怯えますし、慣れない環境でストレスも感じているのです。

3.全員にやさしい避難所に

そこで、飼育者と非飼育者で空間を分けた方がいいのではという声もあります。実際、避難所自体を分けてしまうという動きもあります。一方で、ペットの存在が避難者の癒しとなっている側面もあり、むしろ分離している避難所の方が殺伐としているという声もあります。被災者の精神衛生上、どちらが望ましいのか難しいところです。

4.今取り組むべきこと(普段からやれること)

 現時点でさまざまな問題を抱えている避難所におけるペットと人間の共存ですが、簡単ではなく少なくもない課題を解決するのに、規則を整備したり、環境を整備したり、啓発活動を行っていくことはこの先も継続的に必要でしょう。しかし、見方を変えれば、「そもそも避難所に行く必要があるのか?」と問うことで、これらの課題を減らすことにつなげられるのではないでしょうか?すべての災害状況で、必ずしも避難所に避難しなければならないわけではありません。そもそも避難する条件やタイミングを理解しているか?自宅や勤務地周辺のハザードマップを理解しているか?こうした視点も重要です。幸い、「重ねるハザードマップ」という複数の災害を重ね合わせて見られる便利なサイトがあります。日頃から手軽に点検しておくことが大切でしょう。

 ペットも避難所へは行きたくはないのです。ですから、できるかぎり在宅避難を考え、ダメなら同行避難します。しかし、その場合でも、必ずしも指定避難場所である必要はなく、親類、友人宅、ペットホテル、動物病院など様々な避難先が考えられます。指定避難場所は最後の手段と位置付けます。そのためには、日頃からのご近所づきあいや飼い主同士のネットワークづくりが大切です。

 災害支援は人命優先であり、ペットは後回しにされがちです。水、薬、療法食など人間と共有が難しいもの、特にペットに特有のもの、またペットの年齢や性格に合わせた備蓄をしておきましょう。

 災害で迷子になったペットは痩せたり汚れたりして飼い主でも見分けがつかないほど相貌が変わってしまうことがあります。これに備えて、マイクロチップによる所有者明示がお勧めです(首輪は痩せると抜け落ちてしまうことがあります)。
普段から遊びの中に取り入れ、クレートに慣れさせる練習をしておきます。クレートは一見狭いところに閉じ込めるので可哀想なように思えますが、動物の本能からすればむしろ巣穴に近く、慣れれば安心できるようです。Youtubeで遊びながら調教する動画が見られますので、参考になるでしょう。しつけやマナーを守った日常の暮らし方が、災害対策につながります。また、日頃から様々な体験をさせたペットの方が、災害時でも適応力が高いと言われています。ペットを家族だと思うからこそ、地域社会の一員であるという自覚も併せて持つべき、というのはその通りだと思いました。

 大型犬、中型犬は外傷予防のブーツ、咬みつきなど他者とのトラブルを未然防止する他、動物が苦手な方への配慮のため、口輪を用意します(今はさまざまなタイプの口輪があります)。

 また、散歩しながら、避難場所やそこまでの距離、途中の障害などを経験しておくのも良いでしょう。

 最後に、建築士の観点からペットにまつわる、建物の安全対策について。

 1.自宅の安全対策…とにかく、モノが落ちない、割れない、倒れないようにします。安全なばかりでなく、逃げる時間を確保することができ、片付けの手間が小さくて済むので、早く在宅避難に戻ることができます。

 2.家具の固定…突っ張り棒だけでなく、ストッパー、滑り止めマットとの併用が望ましいです。突っ張り棒は家具の両端、かつ一番奥に設置します。

 3.停電復帰後の通電火災予防…感電ブレーカーを設置します。後付けも可能で、そんなに高くないそうです。

 4.窓ガラス…飛散防止フィルムを貼ります。言うまでもなく、割れたガラスによる怪我防止、また窓からペットが出て行ってしまうことを防ぐためです。

 5.ベランダ…ペットが驚いて飛び出してしまわないよう、ネットを張ります。

 6.ドア…同じくドアが開いたとたんに出て行ってしまわないよう、ペットゲートを設置します。

 7.備蓄品…ペットの分も忘れないようにする。ペットフードは用意していても、水を忘れていたといったことが起こりがちです。日常生活で使用する食料や日用品を、災害時に備えて多めに買い置きしておくローリングストックや、災害時に備えて特別なものを用意するのではなく、日常生活で役立つものを災害への備えとして利用するフェーズフリーなどの工夫をします。



 これまで173回のYMSの中で、防災およびペットに関するお話はなかったと記憶しています。2010年にYMSが始まって以来、直後に東日本大震災を経験し、コロナも経験しました。この15年間で様々な環境や規範などの変化があった中、新鮮な角度で物事を捉えていくことは常に大切なことではないかと思います。

繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした

過去のセミナーレポートはこちら
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伊勢の味とクラフトとビールが楽しめるお店ー伊勢角麦酒(丸の内)

2025年03月05日 | ワイン・日本酒・ビール


 2月19日、伊勢角屋麦酒にお誘いいただきました。個性的なクラフトビールと同時に、三重県伊勢の味覚も楽しめるお店です。三重の地酒も豊富でした。

 聞くところによれば、伊勢角屋さんは何と1575年(天正3年)創業の元は伊勢の参拝客に黄粉餅を振舞うお茶屋さんだったそうです。天正3年といえば、「天目山の戦い」で武田氏が滅亡した年。途方もない歴史をお持ちです。

 既に八重洲と新橋にクラフトビールのお店を出されていて、昨年11月に丸ビル店をオープンしました。実は僕は12月からお酒を止めているのですが、それには触れないことにして、まず1杯目はホップの苦みの効いた「ペールエール」から。



 お通しは、筍と飛龍頭(がんもどき)。がんもどきを伊勢では飛龍頭(ひりょうず)と言うそうです。



 ビールにあうおつまみも続々。志摩のタコの唐揚げ。鮮度が良く、プリプリしていました。



 続いて「ヒメホワイト」。ベルギー式のホワイトエール。一転して香り豊かな優しい味わいになります。



 三重県の銘柄鶏、伊勢赤鶏の唐揚げ。身が引き締まって旨味が強く、さっぱりとした唐揚げです。



 「ホップにゃおん第8艦隊DDH Jazy IPA」。フルーティですが、ホワイト系にありがちな雑味がなくすっきりと入ってくるIPA。



 伊勢の海鮮手巻き寿司。写真だと分かりにくいですが、刺身の下にご飯があって、自分で巻いて食べます。



 「ノルウェーの森」。今回飲んだ中では一番個性的、今まであまり飲んだことのない味でした。まず、アルコール度数が10度もあります。それでいて、マンゴーのような強い甘みもあります。アルコールの強さを感じさせません。この日はありませんでしたが、「ノルウェーの林」、「ノルウェーの木」もあるそうです。名前は、ノルウェー産の酵母を使用していることに由来します。



 濃厚な出汁を具材にしっかりとしみ込ませた、伊勢おでん。



 直営店舗限定醸造のビール、「鈴なり福来るJuicy IPA」。鈴木福くんみたいな名前のビールです。これまでのビールに比べパンチは弱いですが、すっきりと飲みやすいもので締めました。



 最後は、伊勢うどん。伊勢うどんは吉田うどんのようにもっとコシが強いイメージがありましたが、むしろ博多ほどではありませんが、やわらかく茹でてありました。甘すぎない優しい味わいのタレ(?)を絡めて食べます。太めのうどんですが、苦になることはありません。

 新鮮なクラフトビールだけでなく、伊勢も味わえる楽しいお店でした。またお邪魔したいと思います。

伊勢角屋麦酒 丸ビル店

東京都千代田区丸の内2-4-1 丸の内ビルディング 5F



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書籍出版のお知らせ

2025年03月04日 | 交渉アナリスト関係


 この度、ご縁があり、『交渉の戦略~孫子の哲学が導く意思決定の技術』(セルバ出版)という本を出す運びとなりました(3月14日予定)。

 簡単に言うと、最古の兵法書とされる『孫子』を読みながら、それを交渉学の言葉を置き換えて理解しようと試みたものです。

 『孫子』、その知恵が持つ普遍性から、軍事、外交、ビジネス、自己啓発など幅広い層に支持され、今日まで根強い人気があります。僕も初めて『孫子』を読んだのは中学生の頃だったかと記憶しています。その後、『孫子』について時間をかけて学ぶ機会もありました。

 ところで、現代に生きる私たちが『孫子』を読むとき、それ自体は今日の日常とは程遠い古代の戦争のやり方について書かれた書であるため、多かれ少なかれ自身に身近な話題に置き換えて理解しているだろうと思います。その置き換えのバリエーションは無数にあり、いかようにも応用できることが『孫子』のような古典を読むときの魅力の一つだと思っているのですが、反面、そのために13篇から構成される『孫子』の理論的つながりが失われてしまう欠点もあります。この欠点を補うため、何か置き換えるのに一つのテーマで読むことができたら、という思いはかなり若い時分から自分の中にありました。

 そこで1篇から13篇まで一気通貫して当てはめられるテーマとして選んだのが「交渉」の理論および研究である「交渉学」だったのです。一方で交渉学は、扱う範囲が非常に幅広いため体系立てて整理するのが難しいという欠点があります。それならば、理論の全部でなくても重要な部分を逆に『孫子』の体系に当てはめることで、理解しやすく整理することができ、そこから学べる知恵を日常の実践の場に応用しやすくなるのではないかと考えました。結果として、本書は『孫子』というより専ら「交渉学」に関する内容になっています。

 実は交渉は、私たちにとって大変身近なテーマです。恐らく全く交渉と無縁の生活をしている人というのはほとんどいないのではないかと思います。そういう意味では、「兵法書」とか「交渉」とか、何やら難しいことを扱っているようですが、その言わんとするところは意外と幅広い人にとって日常的な内容なのではないかと思います。ただ、取り上げたのが個人の経験やテクニックとしての交渉ではなく、あくまでアメリカを中心に研究されている学問としての交渉(交渉学)であるという点は、ちょっと変わってはいますが。そして、僕が取り組んでいるもう一つの分野である「表情分析」も一部に盛り込んでいます。

 2024年の4月末から執筆を開始し、9月初めに初稿が書きあがりました。初めはお世話になっている日本交渉協会が配信しているPodcastの番組『トレードオンの交渉学』の原稿として書いたものですが、さまざまなお力があって書籍化という形になりました。いざ本にするとなると、何から何まで初めてのことで、どうすればよいのか分からないことだらけです。出版に至るまで半年余りの間、本当にたくさんの方々にご支援を頂き、またご迷惑をおかけしてしまいました。とりわけ出版社の皆様には大変なご苦労をおかけしました。この場を借りてお詫びと感謝を申し上げます。

 繰り返しになりますが、本書は『孫子』の現代語訳や解説本ではありません。それらについては、多くの優れた書籍がありますので、『孫子』そのものに関心のある方はそちらをご覧ください。本書が「交渉学」の一端をご紹介する機会となれば幸いです。



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2025年2月アクセスランキング

2025年03月03日 | 人気記事ランキング


 3月になり、春の兆しが見えてきました。

 さて、2月も激しく忙しかったですが、それはさておき、アクセスの多かった記事、トップ10をご紹介します。

 9ヶ月連続ランクインを続けてきた8位:「近くにできたハンバーグ屋さんに行ってきましたー万平食堂(吉野町)」は、最終週に入る前までランク外にあり、とうとう記録が途絶えるかと思われましたが、最終週に入ってアクセス数を伸ばし、10ヶ月連続を達成しました。現在の最長記録になります。7位:「2025年新年会を開催しました」も最終週に圏内に飛び込み、一気に7位に駆け上がりました。相変わらずの「Yema(イェマ)-フィリピンのお菓子」は3位で、記録を9ヶ月連続に伸ばしました。

2位:川沿いにできた、驚きの居酒屋―ささご(野毛)(3ヶ月連続)
3位:Yema(イェマ)-フィリピンのお菓子(9ヶ月連続)
6位:横浜在住51年、なのに初!―ハングリータイガー(横浜駅)(3ヶ月連続)
8位:近くにできたハンバーグ屋さんに行ってきましたー万平食堂(吉野町)(10ヶ月連続)

1 トップページ
2 川沿いにできた、驚きの居酒屋―ささご(野毛)
3 Yema(イェマ)-フィリピンのお菓子
4 最新のお米事情について―第173回YMS
5 実は初めてでしたー横浜八十八(吉田町)
6 横浜在住51年、なのに初!―ハングリータイガー(横浜駅)
7 2025年新年会を開催しました
8 近くにできたハンバーグ屋さんに行ってきましたー万平食堂(吉野町)
9 本厚木の大ちゃんに行ってきました!-ホルモン亭大ちゃん(本厚木)
10 第21回ネゴシエーション研究フォーラムに参加しました

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