
6月1日、国立競技場にジャパンラグビーリーグワン2024-25プレーオフ決勝、東芝ブレイブルーパス東京vsクボタスピアーズ船橋・東京ベイの観戦に行ってきました。新しくなってからの国立競技場は初めてでしたが、予想以上に観戦しやすい作りになっていました。観衆は公式発表で51,009人。
昨年劇的な逆転勝利でリーグワンを制した東芝。一方、昨年6位に沈んだクボタの決勝進出は2年ぶり。強力なフォワード陣を要するクボタ、攻守にバランスの取れたチームですが、あえて言うなら堅いディフェンスが持ち味の東芝。少々強引ですが、対照的なチーム同士の決勝となりました。

試合は序盤から東芝の猛攻。タテに突っ込んでクボタのディフェンスラインを下げつつ、素早い球出しからフィールドを広く使った横展開で数的優位を作り、終始相手陣内でプレーします。東芝の早いテンポにクボタが翻弄されているようにも見えました。前半8分、相手陣ゴール前3mのところまで攻め込むと、杉山 優平選手からパスを受けた、先週の準決勝でも大活躍のリッチー・モウンガ選手が左隅に持ち込んでトライ。難しい角度のゴールは不成功に終わりましたが、東芝が先制。5vs0。

一方、クボタは17分、相手陣ゴール左35~6m位のところでペナルティを獲得。バーナード・フォーリー選手がゴールを決め、5vs3。

しかし、東芝も22分、相手陣ゴール正面、22mラインからモウンガ選手がペナルティ・ゴールを決め、再び5点差。

クボタは32分、フォーリー選手が今度はゴール左ポストから40mほどあるペナルティ・ゴールを決め、8vs6。流れとしては東芝優位でしたが、点差はわずか2点で前半を折り返します。

後半も開始早々から東芝は相手陣に深く切り込みます。2分、ワーナー・ディアンズ選手が渡来したかに見えましたが、デーヴィッド・ブルブリング選手が下から抱えてグラウンディングさせず。

しかし8分、東芝はハーフウェイライン付近でのマイボールスクラムからパスを受けたモウンガ選手が20mくらい独走。さらに22mライン付近でパスを受けた森勇登選手が走り切ってトライ。

モウンガ選手のゴールも決まり、15vs6。クボタを突き放します。

10分、2月に観戦したキャノン戦で大活躍だったハラトア・ヴァイレア選手が故意のノックフォワードでシンビンとなります。しかし、1人少ない10分間、クボタのディフェンスはよく頑張りました。また、スクラムについては前半から優位でしたが、後半に入るとそれがより顕著になりました。ですが、その強みを発揮させなかった東芝は見事です。

16分、東芝は相手陣トライライン5mほどの位置からロブ・トンプソン選手、マイケル・コリンズ選手、パスをつなぎ、最後はパスを受けたモウンガ選手が走りこんでトライを決めたように見えましたが、トンプソン選手からコリンズ選手へのパスがスローフォワードの判定。トライはキャンセルとなります。

しかし21分、またしてもモウンガ選手がゴール左ポストから40mほどあるペナルティ・ゴールを決め、18vs6。残り20分を切って12点差。しかし、早めに1本でも返すことができれば、まだ時間はあります。

前半から東芝の堅い守りに阻まれ、横に展開してもなかなかゲインできなかったり、せっかくのマイボールラインアウトでミスが出たりと、クボタとしてはフラストレーションの溜まる展開。フォワードの優勢を考えれば、もっとボールを保持し、縦にゴリゴリ押した方が良いのではないかと素人目には映っていましたが、ここへきてようやくそれが見え始めます。25分、相手陣左深く攻め込んだクボタは、ラインアウトからのモールを押しまくってトライラインに迫り、最後は藤原忍選手が飛び込んだかに見えたのですが、ここでもモウンガ選手に見事に阻まれます。元オールブラックスのスタンドオフ、当たり前といえば当たり前なのかもしれませんが、攻守にわたり凄いとしか言いようがありません。

しかし32分、ついにその時がやってきました。相手陣左トライラインまであと5mのところでペナルティを得たクボタは、タッチでもスクラムでもなくピックアップを選択。東芝はトライまであと数十㎝というところで、クボタのアタックを4度阻みます。見ている側としては、まさにラグビーの醍醐味とも言える、拳を握り息を飲む展開。しかし、最後は右サイドに大きくボールを出し、最後はやはりこの人、大ベテランの立川理道選手がゴール右に飛び込むトライ。ゴールも決まり、残り10分を切って5点差に迫ります。

クボタは最後の最後まで攻め立てましたが、東芝のディフェンスが本当に素晴らしく、一歩及びませんでした。しかし、最後の最後まで目まぐるしい攻防、リーグワンの頂点を決めるにふさわしい、激しくも締まった試合でした。ラグビーの楽しさを存分に味わうことができました。
繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした
