窪田恭史のリサイクルライフ

古着を扱う横浜の襤褸(ぼろ)屋さんのブログ。日記、繊維リサイクルの歴史、ウエスものがたり、リサイクル軍手、趣味の話など。

王者の王者たる所以(大敗を目の当たりにして)-日本プロ野球2022 横浜vsヤクルト18回戦

2022年08月30日 | スポーツ観戦記


 前回観戦の8月9日以降も横浜は快進撃を続け、首位ヤクルトとの直接対決を迎えるまでで8月16勝3敗。通算58勝47敗で貯金11(前回観戦時が貯金1)、4ゲーム差まで接近しました。既に巷でも言われていることですが、やはり思い出すのが1997年のシーズンです。この年の横浜は8月に球団記録となる20勝6敗を挙げ、僕が24歳の誕生日を迎えた前後に当時も首位のヤクルトに2.5ゲーム差まで肉薄しました。しかし、9月頭の首位攻防戦でノーヒットノーランを含む3連敗を喫し、そこで力尽きてしまいました。


【引用:Sportsnavi】

 そのような状況で前日に行われた直接対決の初戦は、ヤクルトが横浜の右の柱である大貫投手を6回に攻略し、6vs3で勝ちました。得点差以上に力でねじ伏せられた印象です。そう、首位ヤクルトがここでやるべきことは勢いに乗り、かつ消化試合数が5試合少ない横浜を完膚なきまでに叩き、挑戦する意欲を挫くことです。当然それが分かっているので、この日もヤクルトは目下3冠王へ邁進する村上選手に復調の兆しを見せる山田選手に加え、外国人を3人配置するという攻撃型オーダーで臨んできました。

 横浜スタジアムは観衆32,426人の満員御礼。ファンもこの一戦をいかに重く見ていたかが分かります。



 両チームの先発は横浜が石田投手、ヤクルトが小川投手。横浜勝利の条件として、石田投手が最低6回まで試合を作ることと、立ち上がりに不安のある小川投手に対し、序盤早打ちで助けないことが欠かせないと戦前考えていました。



 その石田投手の立ち上がり。無失点で切り抜けはしたものの、山田選手、村上選手に連続ヒットを許し、球数も22球を要する不安な船出。



 この流れでますます横浜打線がいかに小川投手の立ち上がりを揺さぶれるかが重要になってきたわけですが、その横浜はまず先頭の桑原選手が幸先よくヒットで出塁。



 つづく楠本選手の3球三振はいただけませんでしたが、三番佐野選手の時に桑原選手が盗塁を決めると、



佐野選手がセンター前にヒットを放ち、鮮やかに1点を先制。



 牧選手はセンターフライに倒れるも6球投げさせ、つづく宮崎選手は5球投げさせて四球。さらにソト選手も6球投げさせて四球と、ここまでは良い展開。返す返すも悔やまれるのはここで小川投手を攻めきれなかったことです。結局、初回の横浜は1点止まり。



 2回表。ヤクルトは一死から内山選手が7球目をセカンドゴロ。ところがこの遊撃手真正面のゴロを守備に定評のある柴田選手がまさかのトンネル。これさえなければ、8番で終えることができていただけにもったいなかったです。結果的に、1点で終わった横浜の攻撃に続き、これもヤクルトに完全に流れを引き渡す要因になったと思います。蟻の一穴、小さなミスから大きな流れが変わることがあります。

 さらに良くなかったのが2回裏の横浜の攻撃。8番からの下位打線だったとはいえ、わずか5球で終わってしまったのです。これが制球に苦労していた小川投手を立ち直らせてしまいました。



 そして3回表。先頭塩見選手の強烈な打球を三塁手宮崎選手がジャンピングキャッチ。ここまでは何とか横浜も堪えていたのですが、つづく途中加入でまだ本塁打のないギブレハン選手に来日第1号となる本塁打を浴びてしまいます。ギブレハン選手はこの日、5打数4安打(うち3本塁打)+死球と、5打数5安打(うち2本塁打)+1敬遠の村上選手と並び、信じられないような大活躍でした。



 つづく山田選手の打球は詰まったのですが、レフト前に落ちるヒット。さらに盗塁を決め、一死二塁。村上選手は申告敬遠で一死二塁一塁。サンタナ選手は打ち取ったのですが、オスナ選手に四球を与え、二死満塁。



 そして内山選手にセンター前へ弾き返され、走者2人が生還。3vs0。これだけも十分でしたが、さらに悪いのは8番長岡選手に四球を与え、結局次の回もまた先頭打者からという局面を作り出してしまったことです。しかも石田選手はわずか3回で72球。これだけ悪いリズムを作り出せば、後の回に起こったことはおまけのようなもので、これ以降横浜は総崩れとなります。ヤクルトのスコアボードには3回以降、3、4、2、0、5、0と数字が並び、まるで電話番号。村上選手の史上最年少150号到達のメモリアルを含む7本塁打、23安打、16得点。横浜投手陣が雪崩のように崩壊したこともありますが、最後まで手を緩めなかったヤクルトもさすが王者の王者たる所以です。最近はデータ重視の風潮から「試合に『流れ』は存在しない」という意見もあるようですが、僕は必ずあると信じていますし、軽視してはならない要素だとさえ思っています。「善く人を戦わしむるの勢い、円石を千仞の山に転ずるが如き者は、勢なり」です。



 4回表、横浜は二番手としてガゼルマン投手が来日初登板。2軍でも打ち込まれる試合が続いていたのでどうかと思いましたが、結果は1本塁打を含む4安打3失点。しかし、安打は不運なものもありましたし、思っていたより球は走っているようでした。制球も来日前に言われていたほど悪くはないようです。お世辞にも良いとは言えませんが、ビハインドの場面で投げさせられる目途はついたのではないかと思います。というより、9月に28試合という過密日程が待ち受けており、投げてもらわなければ困る台所事情があるのですが。

 なお余談になりますが、マンガ「キン肉マン」にガゼルマンという超人が登場することから、登板時はアニメ版のOPテーマ「キン肉マン GO FIGHT!」にのっての登場でした。残念ながら初登板は「見事に転ん」でしまいましたが、次回期待しています。



 5回表は、中川虎大投手。8月に入ってからの登板はいずれも無失点とビハインドの場面ながら好投を見せてくれていました。ただ、三試合連続登板だったのが仇となったのか、二死満塁から村上選手にタイムリーを浴び二失点。しかし、つづく6回はオスナ選手にヒットこそ許したものの、下位打線ながら後続を断ちました。



 初回以降、横浜ファン唯一の盛り上がりは6回裏出た牧選手の2ラン。しかしすでに9vs3。



 7回表になると、今度は、同じく三連投の宮國投手がメッタ打ちに遭います。



 まず一死からギブレハン選手にこの日2本目となるホームラン。



 続く山田選手は二塁打。



 村上選手、タイムリー。



 サンタナ選手、2ラン。



 挙句は今シーズンまだ1本塁打の内山選手にまで、二者連続となる本塁打。



 なおも止まらず、長岡選手にヒット。



 小川投手の代打、2021年ドラフト2位の新人丸山選手にもヒットを浴び、1イニング打者10人に対して7安打5失点、3本塁打とまるで打撃投手のような内容に終わりました。もはや数えても仕方ありませんが、14vs3。横浜スタジアムに通って44年、初めて途中で帰ろうかと思いました。



 7回裏、横浜は桑原選手のタイムリーで1点を返します。8回表は8月25日に中継ぎに回ってから好投を見せてきた坂本投手。ただし、彼も三連投。



 その坂本投手、ギブレハン選手にこの試合3本目第3号、村上選手にもこの試合2本目の第48号を浴びます。これでヤクルトは7本塁打(日本記録は9本塁打)。村上選手は本塁打2位の丸選手に24本差、すなわち二倍の差をつけました。2013年にヤクルトのバレンティン選手がシーズン60本の日本記録を樹立した時でさえ、2位のブランコ選手とは19本差でした。いかに村上選手が群を抜いているかが分かります。因みにこの時点でヤクルトは残り28試合を残していますので、このペースを最後まで持続できればバレンティン選手の記録を抜くことになります。



 横浜の救いは、9回表に平田投手がヤクルト打線をこの試合初めて三者凡退に討ち取ったことです。



 追い上げる2位チームを16vs4という圧倒的大差で退ける、まさに横綱相撲のヤクルト。一方の横浜はこの翌日の試合も5vs4で敗れ、3タテ4連敗という最悪の結果。しかし、28日の内容を見る限りまだ立て直せる可能性はあると感じました。今日(8月30日)からの中日戦、応援しています!

繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした
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3年ぶり出張YMS、大阪交流会-第141回YMS

2022年08月25日 | YMS情報


 2022年8月23日、第67回(2016年2月:沖縄)、第108回(2019年5月:沖縄)以来、3年ぶり3回目となる地方交流会を開催しました。今回は、地域ポータルサイト 「オオサカジン」で取り上げられた、大阪の社長の皆さまとYMSとの合同勉強会&交流となりました。



 開会にあたり、今回の会を主催いただいたジェイライン株式会社代表取締役、野上尚繁様よりご挨拶をいただきました。



 続いて、勉強会。テーマは「INSTAGRAMを用いたマーケティング戦略-ユーザーの心を掴むIT戦略」。中学生から大学生まで約3,000名の学生から成るコミュニティ「舞空キャンパス」様よりお話しいただきました。講師は何と中学生、35年前の自分と比べると驚きを禁じ得ません。

 僕個人に関して言えば、INSTAGRAMはアカウントを持っているという程度でほとんど使っていないのですが、同SNSの特徴とユーザーの属性、そして機能を踏まえてオーソドックスなマーケティング・アプローチを当てはめていく。そうすることで、企業や個人が提供するサービスの内容によっては大きな可能性があると感じました。皆さん真剣に聞き入っておられ、時間が足りなくなるほど質問が飛び交っていたのが印象的でした。



 第二部は名刺交換会ですが、その前に僕からYMSの活動について簡単にご紹介させていただきました。
YMS(ヨコハマ・マネージャーズ・セミナー)の概要や過去のセミナーレポート(文末にリンクがあります)については、ぞれぞれのリンクからご覧ください。



 そして怒涛の名刺交換会。時間の制約上、この場では深い交流とまでは叶いませんでしたが、その後の懇親会にて十二分に補うことができました。



 YMSとしては、今後もこのような横浜を出た交流の場を増やしていきたいと考えております。

過去のセミナーレポートはこちら

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3年ぶりワインセミナー復活!-第140回YMS

2022年08月12日 | YMS情報


 8月10日、2013年から毎年ご好評いただいていたYMS(ヨコハマ・マネージャーズ・セミナー)の馬車道十番館ワインセミナーが、3年ぶりに戻ってきました!



 テーマは、「真夏にガブ飲みできるスッキリ爽やかワイン」 。今回は感染症対策としてテーブル着座形式となり、ワインも好きなものを自由に飲んでいた従来のやり方から、サーブする形式に変わりました。しかし、ワインセミナーという趣旨からすればむしろこの方が良かったのではないかと思います。

【過去のワインセミナーの様子】
2019年:おうちで楽しめるテーブルワイン
2018年:ワインを飲んでいる時間を無駄な時間だと思うな。その時間にあなたの心は休養しているのだから
2017年:酷暑の中でさっぱり飲めるワイン特集
2016年:世界が認める勝沼甲州ワインを軸にした日本ワインとフレンチのマリアージュ
2015年:夏に合うワインと料理のマリアージュを楽しむ
2014年:注目のジャパニーズ・ワインを楽しむ
2013年:手ごろなワインと料理のマリアージュを楽しむ



 早速始めましょう。最初は、オーストラリアの「ジェイコブス・クリーク江戸切子スパークリング」。伝統工芸士根本達也氏とのコラボレーションによる日本限定販売の辛口スパークリングワイン。ブドウ品種はシャルドネを主体に、ピノ・ノワール、ピノ・ムニエ、瓶内二次発酵で造られています。爽快感があり、まさにこの蒸し暑い季節にぴったり。



 ワインとのマリアージュを意識したメニューは、オードブルの盛り合わせから。



 続いて、フランスの辛口白、「バロン・ベルナール ミュスカデ 2019年」。ロワール地方、ペイ・ナント地区のワインです。バランスの良いほど良い果実味とシトラス系の香り。先ほどのオードブル盛り合わせと良く合います。

 右手の赤は、フランス・ルーション地方の「カノン・デュ・マレシャル ルージュ 2020年」。ベリー系の果実味と酸味。程よいタンニンがあり力強さも感じます。ブドウ品種はビオディナミ(自然農法)で造られたワインシラーとグルナッシュ。今回の赤の中では僕はこちらの方が好きです。



 魚料理は、真鯛のソテー、ラヴィゴットソースとアサリのア・ラ・クレーム、パイの包み焼きパプリカソース。



 次はイタリアのワイン。左は「タヴェルネッロ オルガニコ ベッロ トレッビアーノ シャルドネ」。その名の通りオーガニックワインで、甘く先ほどのラヴィゴットソースとアサリのア・ラ・クレームと良く合います。

 右も「タヴェルネッロ オルガニコ ベッロ」のサンジョヴェーゼ。先ほどのカノン・デュ・マレシャル ルージュと比べると酸味がなく、果実味が前面に出ています。やや重めで甘く飲みやすいですが、味の立体感に欠けます。



 そんな赤ワインに合わせて出てきたのが、オーストラリア産牛フィレ肉の開化風。このマリア―ジュでバランスが取れました。



 最終組はポルトガルのワイン。この2本は皆さんの評判が良かったです。世界一売れているヴィーニョ・ヴェルデの造り手と言われるアヴェレーダの「カザル・ガルシア・ブランコ」(左)。ヴィーニョ・ヴェルデとは、スペインとの国境付近にあるミーニョ川周辺地域で造られるワインのことをいい、「緑のワイン」という意味です。その理由は、完熟前のブドウを早めに収穫し(つまり、糖度が低め)、長期熟成させないワインがほのかな若草色をしているからという説があります。

 ヴィーニョ・ヴェルデの赤は主にポルトガル国内向けだそうですが、ロゼならあります(右)。見た目も美しいですし、爽やかでフルーティ。



 今回は種類こそ控えめでしたが、1本につき最低2杯は飲めましたので、結構な量飲みました。

 第140回という節目であると同時に、無事ワイン会を再開できたことを嬉しく思います。

過去のセミナーレポートはこちら

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不沈艦攻略!―日本プロ野球2022 横浜vs阪神17回戦

2022年08月11日 | スポーツ観戦記


 8月9日、横浜スタジアムに横浜vs阪神17回戦の観戦に行ってきました。



 前回の観戦は6月24日でした。この時点で横浜は借金7、その後今シーズン苦手としている広島に連敗し、借金は最大の9まで膨らんだ時期でした。ところが、その後チームは徐々に勝てるようになり、この日の試合の3試合前の中日戦でついに借金を完済。その後1勝1敗で、恐らく首位独走のヤクルトを除いた団子状態の5球団の中では投打の戦力が最も整っていると思われる阪神戦を迎えました。



 横浜としては今シーズン掲げている「横浜反撃」のためにチームは波に乗れるか否かを占う重要な一戦。しかも、この日の阪神先発は地元神奈川県出身、ここまで何と12勝1敗というほぼ無敵のエース青柳投手。さらに横浜は特にこの青柳投手を苦手としており、昨年から何と0勝8敗という成績です。チームとしても対阪神戦はここ数年ほどではないにせよ、ここまで8勝8敗。チーム浮上の条件としては非常に高い壁と言えました。



 対する横浜の先発は今永投手。ここまで5勝3敗ですが、何しろ立ち上がりが不安定なのと、丁寧な投球にこだわり過ぎているのか、非常に球数を要する結果、6回位までしか持たない(結果として、中継ぎ投手に負担がかかる)投球が続いています。個人的な話ですが、僕が観戦する時今永投手が登板することは結構多く、今永投手が入団した2016年以降観戦した横浜戦26試合(他球団同士の試合2試合を除く)のうち、6試合が今永投手の先発でした。そしてその成績は2勝4敗、イメージ通りあまり相性が良くありません。

 しかし、この日の立ち上がりは、先頭打者の近本選手を初球で片づけると、つづく島田選手には8球粘られはしたもののショートゴロ。3番ロドリゲス選手もショートライナーと、三者凡退。課題の立ち上がりでしたが、14球で上々の滑り出しを見せます。



 因みに、ショートはこの試合1番でスタメン出場の森敬斗選手。躍動感があり、守備機会のたびに観客の注目を集める華のある選手です。



 さて、一方横浜の初回。一死から二番桑原選手が4球続けての四球で出塁します。ところがその桑原選手、青柳選手の投球間隔が空いた隙を突いて盗塁を試みますが失敗。牽制(というより一塁への送球)が苦手とされている青柳投手を揺さぶる上で、アイデアとして悪くなかったと思いますが、結果的に余裕のアウトでした。ただ、この日宮崎選手を外してまで左打者をずらりと並べてきたように、やられっ放しの青柳投手を何とか攻略しようという意欲は伝わってきました。



 そしてありがちなことですが、走者がいなくなった直後に佐野選手がセンター前にきれいに弾き返し、出塁。さらに牧選手も5球で四球を選び、二死二塁・一塁のチャンスを作ります。しかし、続く楠本選手がファーストライナーに倒れ、無得点。



 2回表。序盤不振に苦しんだとはいえ、このところ徐々に調子を取り戻しつつある強打者佐藤選手をまず三球で討ち取り、一死。ところが、続く糸原選手の何でもないレフトフライを宮本選手が目測を誤り落球。記録上はヒットでしたが、背走とはいえ決して取れない打球ではなかったので事実上のエラーですね。これで二死走者なしとなるところが、一死二塁のピンチに。



 惜しむらくは、続く陽川選手をカウント1-2と追い込みながら、外角ど真ん中に甘く入ってしまったこと。これがセンター前に落ち、1vs0。



 (カメラの電池が切れてしまい、以降スマホ撮影のため写真が小さくなります。申し訳ありません)さらに、二死二塁から木浪選手にカウント2-2から真ん中低めに落ちるボールを見事にすくわれ、これもセンター前に。これは打った木浪選手を褒めるしかありません。2vs0。また序盤大量失点のパターンかと思いましたが、2点で食い止めたこと(それでも相手が青柳投手では限界の失点ですが)、今永投手のテンポが3回以降非常に良くなってきたことが救いでした。しかし、強力な上位打線をしっかり抑え、下位打線に向かってからの失点だったのがもったいない。



 4回裏。横浜は一死から牧選手がセンター前に弾き返し出塁。



 楠本選手もレフトへ運んで続きます。これで一死二塁・一塁。続く戸柱選手はキャッチャーフライで二死二塁・一塁。



 ここで宮本選手はボテボテのセカンドゴロ。ところがこれを糸原選手が一塁に悪送球。思わぬ敵失で1点を返します。2vs1。



 地味な貢献としては、柴田選手。結果としてサードゴロに倒れたものの、ファウルで粘って青柳投手に8球投げさせました。青柳投手は4回終了時点で77球。このように、淡白なイメージのある横浜打線ですが、この日は何とか青柳投手に球数を投げさせようという意欲が見られました。結果的に、青柳投手は6回までで116球を要することになったのです。因みに、柴田選手は4回表にも三塁手として非常に好プレーがありました。



 5回表。阪神は木浪選手が一死から再びヒットで出塁します。続く青柳投手はバントの構えから2球目でヒッティングに切り替え。これがセカンドゴロとなり、まず二塁手牧選手が遊撃手森選手に送球し、一塁走者の木浪選手がアウト。しかし、青柳投手がバントの構えを見せていたため一塁手の佐野選手と今永投手が前に突っ込んでおり、一塁が誰もいません。すると、二塁手の牧選手が自ら一塁に入り、森選手からの送球を受け、併殺プレーが完成。4-6-4という珍しいプレーでした。牧選手が一塁に入るまで待っての森選手の強肩ぶりも素晴らしいものでした。

 今永投手は尻上がりに調子を上げ、6回終了時点で77球。結果的には9回を投げ切り、113球、被安打4、奪三振5、無四球、失点2という素晴らしい内容でした。試合前の「(後ろの投手を休ませるため)長いイニングを投げる」という宣言通りでした。



 6回裏、ついに青柳投手攻略の時が。すでに100球に達した青柳投手に対し、先頭の牧選手がレフトへの二塁打で出塁します。続く楠本選手が送って一死三塁。



 外野フライでもという局面で、とっておきの代打オースティン選手が登場します。そのオースティン選手、期待された外野への大飛球ではなくセカンドゴロでしたが、打球が青柳投手のグラブをはじいた結果、打球方向が変わり二塁手糸原選手がバランスを崩したため、打球処理がワンテンポ遅れました。その結果、本塁送球ができず、牧選手が生還。ついに同点に追いつきます。



 そして9回裏。阪神は7回浜地投手、8回湯浅投手とつなぎ、9回は加治屋投手が登板。こうしてみると阪神は本当に中継ぎ陣が充実していると思います。



 しかし、横浜は先頭の楠本選手が9球粘って四球で出塁。代走で蛯名選手が一塁に立ちます。ところが、続く嶺井選手がバント失敗。幸い併殺崩れで嶺井選手は何とか生き残ります。このプレーは阪神矢野監督からのリクエストによりリプレイ検証となりますが、肉眼で見ても二塁はアウトでしたし、一塁はセーフでした。これで一死一塁。さらに、宮本選手が送って二死二塁とします。

 ここで横浜は柴田選手に代えて宮崎選手を送りますが、当然申告敬遠となります。



 さらに三浦監督は今永投手の代打に地元東海大相模出身、大田選手を指名。沸き立つ観衆。その大田選手に投じた初球が暴投となり、走者がそれぞれ進塁。二死三塁・一塁となります。1点目の時もそうでしたが、この試合、小さなミスが結果的に命取りとなりました。恐らく二塁・一塁のままであれば、嶺井選手は生還できなかったかもしれません。



 そして二球目。暴投の影響もあったのか、カットボールが真ん中やや外寄りに甘く入りました。これを大田選手が逃さずレフト前へ。サヨナラ打となり、横浜はついに天敵青柳投手登板の試合をモノにしました。今永投手の投球、柴田選手、牧選手、森選手等の好守備、そして青柳投手攻略のためあの手この手で仕掛けた打線。今後上位を狙う上で最も難敵となるだろう阪神相手に三連戦の頭を取ることができました。

 横浜は47勝46敗で二位阪神に0.5ゲーム差と肉薄。今後の結果次第では、この試合は大きなターニングポイントだったと言える試合になるかもしれません。

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飯山城-長野県飯山市

2022年08月03日 | 史跡めぐり


 3年ぶりの「史跡めぐり」です。2月に大雪のため行けなかった飯山を訪れ、隙間時間に散歩がてら飯山城へ行ってきました。



 上の地図(クリックすると拡大します)からも分かるように、飯山城は東を千曲川、西を関田・斑尾の山地に挟まれた狭隘地にある高さ30mほどの独立丘陵を削って築かれた梯郭式の平山城です。周辺の山には、とんば城、坪根城、山口城、岩井城などいくつもの山城があります。それらに比べれば単独のそれも低い丘に作られた城ですが、北は越後へと至る狭い地形、すぐ東側を千曲川が流れていることから要衝を抑える意味合いが強かったのではないかと想像します。



 飯山城の築城年は不明ですが14世紀にはあったとされ、1564年(永禄7年)に上杉謙信が、武田信玄に対抗するため本格的に改修し現在の城郭に近いものとなりました。1568(永禄11年)には武田軍の攻撃を受けますが、落城しませんでした。その後権力者の変遷とともに目まぐるしく城主が変わっていますが、江戸時代は飯山藩の藩庁が置かれ(上の地図は江戸期のものです。クリックすると拡大します)、明治以降、廃城となっています。

 今回は恐らく、城の南西側から入り、帰りは南の大手門側から出ました。冒頭の写真は南中門跡に民家から再移築された城門です。その後は、上の地図に沿ってご紹介していきましょう。



 西郭。写真を見ると分かりますが、石塁はほぼ本丸だけで、あとは土塁で築かれています。西郭には城主の私邸である西館が置かれました。



 西郭から帯廓へ通じる道。元々ここに道はなく、本丸へは二の丸からでなくては上がることができませんでした。



 もちろん、この帯廓から本丸へ上がる石段も元々はありません。



 本丸北側の枡形虎口にあったと思われる櫓台の跡。虎口(小口とも)とは郭への狭い出入口のことです。中世以降の城郭に見られ、防御のため様々な工夫が凝らされました。以前、このブログで韓国の「西生浦倭城」に遺る様々な形の虎口をご紹介しています。



 本丸二重櫓跡。飯山城に天守はなく、江戸時代は本丸と三の丸に二重櫓がそれぞれ1棟ずつあり、天守の代わりをしていました。東西9.9m、南北6.3m、二階建ての櫓だったと言われています。今は跡形もありません。



 現在飯山城は葵神社の境内となっています。



 本丸裏手の不明門(あかずもん)跡。江戸時代後期にはほとんど使われなかったことから不明門と呼ばれています。写真に見える石段も江戸時代にはなく、明治になってから作られたものです。19世紀初頭の絵図には「冠木門(笠木を柱の上方に渡した屋根のない門)」だったと記されています。



 本丸から二の丸へと降りていきます。写真奥に見える標識の向こうが三の丸です。このように、地形の険しい側に本丸を置き、それを囲むように二の丸、さらにそれを囲むように三の丸を配置する縄張りを「梯郭式」と言います。

 江戸時代、二の丸には二の丸御殿が置かれ、藩の執務を行う政庁として使用されました。



 坂口門跡。江戸時代前期、二の丸の東側に矢場や馬場が作られ、そこへ通じる通路として設けられました。



 再び二の丸から本丸北側の枡形虎口を望む。もう少し近づいて観察すればよかったです。



 二の丸から見た、千曲川。千曲川は、日本一長い川である信濃川の長野県側の呼び名です(何故か新潟県内を流れる部分を「信濃川」と呼びます)。下流は長岡、新潟に通じ、上流は長野、上田、佐久に通じることから戦略上非常に重要な川であり、これだけ河岸近くにある飯山城はやはり重要な戦略拠点だったものと思われます。



 西郭を見下ろす位置にある帯廓。その名の通り、郭というより通路ですが、有事にはここに兵を配置し防御に当たったことでしょう。



 最後は大手門側に降りました。写真右上に見る鳥居あたりにかつては大手門があったのではないかと思われます。なお、城を囲む堀は埋め立てられ、現在は残っていません。



 なお、翌日訪れた、臨済宗の再興者で、有名な白隠慧鶴の師である道鏡慧端が終生を過ごした庵、正受庵。道鏡慧端は真田信之の子で、飯山城で生まれたのだそうです。

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第5回燮読書会に参加しました

2022年08月02日 | 交渉アナリスト関係


 8月1日、第5回燮読書会に参加しました。こちらは交渉アナリスト1級会員のための勉強会である燮会のメンバーが有志で立ち上げた読書会で、昨年12月から毎月第一火曜日(今回はたまたま月曜でしたが)に開催しています。このように、燮会は基本的にメンバーがめいめいやりたいことがあれば手を挙げられることになっています。今回は1級会員になって初めて燮会に参加するという方も複数名いらっしゃいました。



 さて、今回から3冊目に入ります。選んだのは日本交渉学会常務理事の東川達三先生が出された、「世界標準のビジネス交渉」(現代産業選書、2022年)です。こちらは京都大学経営管理大学院でも使用されているテキスト”Practical Business Negotiation”の翻訳版ですが、日本人にも読みやすいよう随所に日本の事例等が盛り込まれています。「読み物」としての過去2冊とは違い、コチコチの教科書ですが、体系的な構成で例題も多く良書です。





 今回の範囲は第1章~第2章。いつものように、ファシリテーターの波戸岡さんより今回の範囲のサマリー。これがあるので、忙しくて本を読めなかったという人でも安心です。

第1章:交渉戦略-ビジネス交渉の戦略構想-
・分配型交渉と統合型交渉
・交渉戦略の選択
・交渉を避ける戦略

第2章:交渉の心理戦略-敵対ではなく互恵関係を築く‐
・情報収集のための戦略的質問法
・共感のメカニズム
・印象操作
・交渉に役立つ満足の感情



 その後、グループアウトセッションに分かれ少人数でディスカッション。その後全体で話し合われたことを共有しました。いつものことですが、同じテーマを扱っていても話し合われる内容はそれぞれのグループで驚くほど異なります。

 第1章については、このような意見がありました。

・「状況の変化に合わせて戦略を変更する」というのは実務でも非常に大事だと思う。
・しかし、その状況が変化していることに気づけないというような状況にしばしば遭遇する。
・当初は、最初はお互いの気持ちに配慮していても、時間の制約と共に構っていられなくなる。
・逆に戦略的に土壇場の状況を作り出すこともある。
・サンクコストの罠は意外に多い。
・「譲歩」は統合型交渉として扱うべきなのか?
・情報の非対称性が大きい場合、片方にとって統合型でももう片方にとって分配型になることがある。
・立場の強い側は分配型になりがち、弱い側はいかに統合型にもっていけるか?
・分配型と統合型の境界について疑問。
・BATNAを「BATNA力」とあえて「力」をつけている翻訳は良い。実際BATNAは交渉のパワーのひとつであり、それが感じられる。

 第2章については、このような意見がありました。

・情報収集、質問は大事。
・業界の性質上、分配型が主流の世界でも聞くことによって、相手が心を開いてくれることが多い。
・最初に何を実現したいのか、目的をはっきりさせる必要がある
・交渉の満足度のカテゴリは、交渉準備のチェックリストとして大切。ただ、各カテゴリのウェイトについては状況や文化により異なると思う。
・本当はそうでなくても相手が勝ったと思っていればwin-winになりうることもある。
・当事者の共感、信頼が代理人の存在によって阻まれることがある。
・お互いの認識はズレているのが前提であり、真意を確かめないとモデルを当てはめるだけではうまくいかない。
・交渉におけるコミュニケーションは情報収集の手段と捉えるべき。
・交渉における「共感」とは何なのか?美辞麗句にとらわれずその目的を忘れないことも大事(例えば、カウンセラーとビジネスとでは目的が違う)。

 因みに、「質問」については、日本交渉協会顧問でもある清水建二さんの「裏切り者は顔に出る-上司、顧客、家族のホンネは「表情」から読み解ける」が、タイトルこそ過激ですが科学的証拠に基づいて書かれておりお勧めです。



 今回は最初の章ということで、イントロ的色合いが強かったのですが、その割には時間一杯使い切る活発な議論がなされました。次回は10月開催となります。

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2022年7月アクセスランキング

2022年08月01日 | 人気記事ランキング


 8月は誕生月なので毎年テンションが上がります。普段スーツにネクタイ姿で通していると、休日は首元が空いているというだけで全く楽です。僕の部屋には冷房がありませんが、昨晩も寝るのに扇風機も要らないくらいでした。

 さて、2022年7月にアクセスの多かった記事トップ10です。7月はまた更新が少なく申し訳ありませんでした。

 目立ったところでは、「~冒険3シリーズ」がこぞってランクイン。

2位:「鰻をめぐる冒険ー三代目うな衛門(花咲町)」
7位:「羊をめぐる冒険―串羊 羊サンライズ(関内)」
8位:「鰯をめぐる冒険-善(清水)」

 そこに「上田和男さんバーテンダー歴50年を祝う会」に参加してきました」が2ヶ月ぶりに復帰してきて、定番4記事が揃いました。

4位:「久村俊英さんの超能力を目撃してきました」(26ヶ月連続)
5位:「Yema(イェマ)-フィリピンのお菓子」(10ヶ月連続)
6位:「エコノミーとエコロジーの語源」(91ヶ月連続)
10位:「上田和男さんバーテンダー歴50年を祝う会」に参加してきました」(2ヶ月ぶり)

 そして、「初めてのスカイバーカウンター-日本プロ野球2019 横浜vs中日10回戦」が、実は3ヶ月連続でランクインしています。

1 トップページ
2 鰻をめぐる冒険ー三代目うな衛門(花咲町)
3 組織のやりがい環境を考えるー第139回YMS
4 久村俊英さんの超能力を目撃してきました
5 Yema(イェマ)-フィリピンのお菓子
6 エコノミーとエコロジーの語源
7 羊をめぐる冒険―串羊 羊サンライズ(関内)
8 鰯をめぐる冒険-善(清水)
9 初めてのスカイバーカウンター-日本プロ野球2019 横浜vs中日10回戦
10 「上田和男さんバーテンダー歴50年を祝う会」に参加してきました

繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした
コメント
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