窪田恭史のリサイクルライフ

古着を扱う横浜の襤褸(ぼろ)屋さんのブログ。日記、繊維リサイクルの歴史、ウエスものがたり、リサイクル軍手、趣味の話など。

鰻をめぐる冒険ー三代目うな衛門(花咲町)

2022年06月30日 | 食べ歩きデータベース


 例年になく早い梅雨明けと連日の猛暑中、先日は羊づくしをお届けしましたが、今回は「うなぎ」。こちらも以前大先輩に紹介していただき、ずっと気になっていたお店です。羊ならジンギスカン、鰻も蒲焼きか白焼きと食べ方が偏りがちな食材ですが、このお店では様々なバリエーションでうなぎが楽しめます。



 お願いしたのは、「うなしゃぶ」のコース。付き出しは、とれたてのうな肝とカボチャ餡の最中。



 うなぎの卵焼きと燻製の「小鉢2点盛り」。特に燻製はスモーキーなうなぎと強い甘みが特徴の紅はるかとの相性がとても良く、驚きました。



 続いて「うなぎの湯引き」。ご覧の通り鱧の湯引きと同じで、弾力がありさっぱりとした食感を酢味噌か梅肉で味わいます。今年は早くも真夏の京都を思わせるような蒸し暑さですから、その様な中で涼を感じられるホッとする一品。一方で、うなぎということを考えれば、嵐の前の静けさとも言えるでしょうか。



 うなぎ串焼き三種。尾から食べるもよし、肝から食べるもよしだと思うのですが、僕自身は肝からの順番で良かったと思いました。肝は串の先の方でまずこってりとした肝と炭火焼きの焦げの香りを味わい、奥になると山椒を効かせ少しサッパリした食感になるよう工夫されています。身の方はパリッと焼き上がった皮と、バターのような独特な風味と甘みが感じられます。そしてそれより少し弾力のある尾へ。くどいと思われるようでしたら粗切りわさびをのせると良いと思います。



 「うなぎ串カツ」。どちらかと言えばくどいうなぎを油で揚げてしまうという…。ところがこれがどうして、先ほどお話ししたようなうなぎが持つそこはかな甘みと揚げたパン粉の相性が良いのです。そして薄い黄金色とサクッとした衣の食感。油やパン粉など細かい所にも心配りが感じられました。味噌も良いですが、とくに山椒塩が良かったです。



 「うなぎ白焼き」。表現するのが難しいですが、串焼きとも湯引きともまた違った食感。これをわさび、粗塩、土佐醤油でいただきます。土佐醤油のかつおの香りがアクセントとなり、また脂っこいものが続いた後だけに一層美味しく感じられます。



 野菜ときのこがたっぷりの、「うなぎしゃぶしゃぶ(冒頭の写真)」。水菜のように見えるのは、若い空心菜です。うなしゃぶは、湯に潜らせる時間を変えることで引き締まった身からだんだん柔らかい身へと、好みで様々な食感が楽しめます。汁もやさしいかつお出汁で、五臓六腑にしみわたりほっとします。



 〆は雑炊で(うどんにもできます)。



 デザートは塩あずきのアイスクリームをいただきました。

三代目うな衛門



神奈川県横浜市中区花咲町2-62-18



<おまけ>
その後は、実に13年振りの映画鑑賞に行きました。



繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした
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野球は表の回しかないのか?-日本プロ野球2022 横浜vs広島10回戦

2022年06月25日 | スポーツ観戦記


 6月24日、横浜スタジアムに横浜vs広島10回戦の観戦に行ってきました。今シーズン、横浜は何とここまで対広島1勝8敗。セリーグはヤクルトが2位巨人に9ゲーム差をつけ独走。2位から最下位まではわずか4.5ゲーム差でしたので、両チームにとって今後のAクラス入りをかけた重要な一戦と言えました。



 横浜の先発は前々回の日本ハム戦でノーヒットノーランを達成した今永投手。しかし、前回登板の阪神戦では初回に4点を失い、6回6失点、球数92球という内容でした。今シーズンは怪我で出遅れ、復帰登板が5月17日だったのですが、怪我の前から三振こそ数多くとるものの球数が多く6回くらいまでしか持たないといったところに課題がありました。個人的にですが、質の高い投球をしようと考えすぎるあまり、かえって球のキレや躍動感が失われているように思えます。



 結果から言ってしまうと、この日の今永投手は前回阪神戦と全く同じ轍を踏んでしまいました。まず、先頭の上本選手はサードゴロだったものの8球粘られ、



 宇草選手もセカンドゴロに討ち取ったものの、ボール先行。



 2アウトまでこぎ着けまずが、三番菊池選手にファウルで粘られ5球目の内角甘めに入ったストレートをレフトに弾き返されます。この試合、広島の打者の投げてから打つタイミングを見ていますと、ストレートを狙われていた気がします。



 四番マクブルーム選手はカウント1‐2と追い込みますが、やはりストレートをセンター前へ運ばれます。これで二死二塁・一塁。



 そして五番坂倉選手には2球目のカットボールがほぼど真ん中に入ってしまいました。これがセンターフェンス直撃のタイムリー二塁打。広島があっという間に2点先制。今永投手、初回に要した球数なんと27球。



 一方、広島の先発はエースの大瀬良投手。少しでも球数を投げさせてリズムを崩してくれればと思っていたのですが、横浜打線は何と先頭打者からわずか5球で三者凡退。正直、これでこの試合は決まってしまっていたように思います。せいぜい、「2点ならまだイニングがあるから…」という程度。球数からも明らかなように、それ位両先発の差は歴然としていました。



 2回裏。横浜は二死から六番楠本選手がレフト前ヒット。



 続く嶺井選手もショート内野安打で二塁・一塁。下位打線でチャンスを作りましたが、森選手が三球三振。森選手、まだ大瀬良投手には手も足も出ない雰囲気でした。因みに2回終了時点で今永投手42球に対し、大瀬良投手24球。



 3回表。先頭の上本選手にカウント2‐1から真ん中やや低めの甘いストレートをセンター前に。やはり、カウントを悪くしてからのストレートを狙われているようでした。肉眼で見ている限り、球速こそ150㎞前後でているのですが、置きに行ったようなストレートで球が走っているようには見えませんでした。ですから、いずれもきれいに弾き返されているのです。



 そして一死一塁から菊池選手に真ん中高めのストレートをレフトスタンドに運ばれてしまいます。ファウルかなという当たりではあったのですが、この球場独特のレフト側の風で球は切れず。この試合横浜にはツキもありませんでしたが、そうは言っても甘い球ではありました。これで4vs0。前回の阪神戦(初回4失点、3回1失点)の再現を見ているかのようでした。



 さらに4回表。先頭のルーキー中村選手に3球目のこれもストレートをレフトスタンド上段に運ばれます。申し訳ないですが、ほぼど真ん中の打って下さいと言わんばかりの球でした。



 4回裏、横浜は一死から交流戦後調子を落としている牧選手がライト線に落ちる二塁打で出塁しますが、後が続かず。



 今永投手はもはや5回を投げ切るというのが唯一の使命。結局、5回8安打5失点93球という内容でした。6回表からは二番手入江投手が登板。入江投手は力のあるストレートで6回を1安打打者4人で抑えます。



 回跨ぎとなった7回表、宇草選手、菊池選手を討ち取り二死としますが、菊池選手には6球粘られました。たとえアウトになっても、こういう何かリズムを崩す仕掛けが大事だと思うんですよね。この試合、横浜の打者でそれらしき様子が伺えたのは桑原選手だけでした。

 そして、続くマクブルーム選手が四球で出塁。



 坂倉選手がセンター前ヒット。



 さらに堂林選手がレフトの頭上を越えるタイムリー二塁打で6vs0。ただ、二死だったので坂倉選手生還できなかったのかな?というのはありました。



 7回裏、横浜は一死から宮崎選手がレフト線付近に落ちる長打コースのヒットを放ちます。クッションボールが内側に跳ね返った不運は確かにありましたが、ふと内野方向を見ると宮崎選手がまだ走っています。いくら何でもこれは…。DBスターマンが走っているのかと思いました。レフトからの返球で宮崎選手は二塁タッチアウト。リプレイ検証のリクエストが出ますが、判定通りアウト。ひょっとすると今シーズン宮崎選手は肉離れで一時離脱していましたので、脚の具合が思わしくないのかもしれません。



 8回表。横浜は三番手三上投手が登板。



 回跨ぎとなった9回表、二死から坂倉選手にライトへの一発を浴びます。これで7vs0。



 9回裏、横浜は先頭の蝦名選手がヒットで出塁しましたが、続く中軸打線が悉く討ち取られ万事休す。大瀬良投手は結局、104球6安打8奪三振の完封。7点も入った試合だというのに、まだ8時41分。いかに広島が効率よく得点を重ね、一方の横浜が淡白だったかということです。このブログの写真の赤青比率を見ても分かる通り、横浜にはチャンスらしいチャンスも反撃の様子もほとんど見られず、野球には表の回しかないのかと思われたほどでした。波に乗れそうで乗れない、苦難の戦いが続きます。

繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした
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羊をめぐる冒険―串羊 羊サンライズ(関内)

2022年06月23日 | 食べ歩きデータベース


 知人がFBに投稿されているのを拝見して「行こう!」と即決、期待を上回る素晴らしい冒険をさせていただきました。お店での話によると、オージー・ラムの普及に努める「ラムバサダー」の関澤波留人さんが最初麻布十番にオープンした、羊肉の魅力を存分に楽しめるお店です。僕がお邪魔したのは、横浜関内店。奥に個室もありますが、キッチンを囲むカウンター席のお洒落な雰囲気。



 上の写真(右)はマスクホルダー。羊への愛が感じられます(結果的に食べてしまうのですが)。「本日の羊肉」として書かれていたのは、日本でシェア1%以下という希少な国産羊肉、北海道せたな産「小野めんよう牧場」と士別産「かわにしの丘しずお農場」のサフォーク種でした。サフォーク種というのは、「ウォレスとグルミット」に登場するひつじのショーンのような、頭の黒い羊です。ショーン、食肉用だったんですね。

 なお、コースメニューはその名も「羊をめぐる冒険」。僕は小説を読まないので知らなかったのですが、村上春樹氏の小説に『羊をめぐる冒険』というのがあるそうです。それでは、冒険の旅に出かけましょう!



 登場したのは、「国産羊のユッケ」。羊のユッケですよ、初めて食べました。臭みがなく柔らかい新鮮なユッケ、スタートには最適でした。



 続いて、「オーストラリア・ビクトリア州産パスチャーフェッドラム」。パスチャーフェッド(Pasture fed)の名が示す通り、マメ科・イネ科の牧草(パスチャー)を与えて育てたラムで、クセがなく濃厚な旨味、上品な脂が特徴だそうです。これに醤油漬けのマスタードをのせてかぶりつきます。



羊に合わせたのは、南オーストラリアの「ブラックウイング・シラーズ 2015年」。空気を含ませると甘みが出てきて、ベリー系の果実味が強いワインです。



 「あさりと羊のスープ」。海のアサリと丘の羊の相性がこんなに良いなんて!海幸山幸。羊のスープといえば中国の古典で良く出てくるくらいのイメージしかありませんでしたが、とても美味しかったです。多分古代では大変なご馳走だったから逸話が多いのでしょうね、分かる気がします(恐らく事実ではないでしょうが、戦国時代、遊牧民族の白狄が建国した中山国が一杯の羊のスープをケチったばかりに恨みを買って滅ぼされたなんていう話もあります)。因みに羊羹(ようかん)も元を正せば「羊の羹(あつもの)」、つまり羊のスープのことです。



 「焼売とキョフテ」。濃厚な旨味の羊を焼売にする!これは盲点でした。キョフテというのは、トルコのつくね。これをトルコらしくヨーグルトのソースでいただきます。



 「茄子とヤンロー」。米茄子の上に羊をミンチにした仙台の南蛮味噌のようなものがのっています。ヤンロー(羊肉串)は、ウイグルの串焼き。以前このブログでご紹介した、御徒町の「羊香味坊」でも出てきましたが、羊の串焼きは遊牧民族に広く分布した料理なのでしょう。



 実はこの日一番の逸品だと思ったのが、こちらの「フラン」。一言で言えばフランス料理の茶わん蒸しですが、羊の生ハムの塩味との相性が絶妙でした。思わず唸ります。



 フランで一息ついたところで、再びガツンと「国産羊のロースト」。うメェ~🐑🐑🐑



 こちらはコースにない、オプションの「羊のソーセージ」。



 ワインを「シャトー・メルシャン 笛吹甲州グリ・ド・グリ2020年」に切り替えました。リンゴのような香りのオレンジワイン。羊肉は意外と白ワインとも合うのかなと思いました。



 締めの坦々麺も羊の挽肉に羊の脂が分厚く膜を張っていて、食べたことのない味わいでした。



 デザートは羊のミルクから作ったアイス最中。アイスクリームまで羊にこだわっています。



 デザートにはデザートワイン。ハチミツだけを発酵させて作ったドイツの「カトレンブルガー・ハニーワイン・ミード ・ドクターディムース」。貴腐ワインよりもさらにトロッとしています。

 最初から最後まで驚きの連続、ディズニーランドのアトラクションのような楽しさでした。

串羊 羊サンライズ 横浜関内店



神奈川県横浜市中区常盤町3-33 シーステージ横浜3階



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食に人生あり-大船海鮮食堂 魚福(大船)

2022年06月20日 | 講演メモ


 今日は奇しくも、こちらのお店の1周年だそうです。「大船海鮮食堂 魚福」さんに初めてお邪魔したのは、昨年10月。長年YMS(ヨコハマ・マネージャーズ・セミナー)を共にやっている友人に誘われ、こちらのお店を営んでおられる湯澤剛社長とお会いした時でした。

 大船駅前で、コストパフォーマンスの良さと気軽に寄れそうな気取らない雰囲気。そして入口いっぱいに張り出された品書きが道行く人たちの目を惹くお店です。



 この日のメニューは上のフォトチャンネルにまとめました。横浜の下町で育った僕としては、大衆居酒屋らしさを残した馴染みのあるメニューが安心感を与えてくれますし、大船駅前の雰囲気にも合っているように思えます。

 湯澤社長は11歳上の大先輩ですが、お話を伺うと大学が同じだったり、空手をやっていたことなど色々と共通点があって不思議な感じがしました。これがご縁でその後2回ほどお会いさせていただいたのですが、先週小田原で改めてゆっくりお話を伺ったのがきっかけで、この週末は湯澤さんのご著書「ある日突然40億円の借金を背負う――それでも人生はなんとかなる」を拝読していました。

 ご尊父の急逝に伴い、36歳で40億円という年商の2倍の借金を抱え倒産寸前の会社を継承。16年かけて借金を返済されたことは大まかには伺っていました。しかし、お会いした時の湯澤さんからは、悲壮感のようなものが全く感じられないのです。それだけに手に取った本に書かれていた苦難は想像をはるかに超えたものでした。



 これに比べたら自分などまだ苦労の「く」の字も知らない、恵まれた甘ったれに過ぎません。自分が作ったわけでもない借金の返済に追われ、わが身のみならず妻子を路頭に迷わすかもしれない恐怖との闘い。そこへさらに追い打ちをかけるように降りかかってくる艱難辛苦の連続。自分ならとても16年も耐えられないでしょう、何しろ渦中にいた時は16年で返済できると約束されていたわけではないのですから。いや、いかに想像を巡らせたとて、所詮紙の媒体からでは本当のご苦労の万分の一も、現在の僕に分かりはしないでしょう。

 コロナ禍に見舞われたこの2年でさえ、決して順風満帆ではなかったはずです。しかし、お会いした時の湯澤さんは辛さを噯にも出されないのです。愚痴の一つさえ出ません。それどころか、口を衝いて出てくるのは、その場にいる人を含めた周りの人たちへの感謝と敬意の言葉ばかり。人生への賛歌、働くことの素晴らしさ、そして人々への感謝の言葉。苦難の果てに暗闇に光が差し込んできた時、照らされたのはそのようなものだったのでしょう。

 読み終えた後、改めて10月にお邪魔した時の料理の写真を眺めた時、こうした一品一品の背後に、湯澤さんを始めとする多くの方の人生を賭けた壮絶なドラマがあるのだとしみじみ思いました(本書では、お店の名前の由来やどうしてこのようなメニューにしたのかなどのエピソードについても触れられています)。きっと、他の飲食店にもそれぞれのドラマがあるに違いありません。もちろん、飲食に限らず他の業種でもです。半世紀も生きていて、今更ながら思います。だから僕たちは食べ物を前にして「いただきます」、「ごちそうさま」と手を合わせるのだと。

 最後に、心に残った、湯澤さんが苦境を前に立ちすくみ絶望に打ちひしがれている人たちへ贈ったメッセージを「あとがき」からそのまま引用させていただきます。ここに湯澤さんの人柄が凝縮されているように思ったからです。

 もう一度立ち上がってみませんか。
 「これ以上はとても無理だ、もう終わりだ、死んだ方がいい-」
 そう思っていても、もう一度だけ、立ち上がってみませんか。
 私は「朝の来ない夜はない」と、これ以上なく強く信じています。
 そして、あなたがその足でもう一度立ち上がるなら、あなたはその手であなただけの宝物をつかみとるだろうと、信じています。
 頼れる人もいなくて、どうしたらいいかわからず、それでも自分の人生を失ってなるものかと、そう願ったあの日の私のような人へ、この本を贈ります。
 立ちはだかる巨岩を前に、こんなものが動かせるわけがない、自分にはとても不可能だと足をすくませている人へ、この本を贈ります。
 不可能かどうかは、立ち上がってみてからでないと分からないものです


大船海鮮食堂 魚福



神奈川県鎌倉市大船1-10-15



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連合の理論-第55回燮(やわらぎ)会

2022年06月19日 | 交渉アナリスト関係


 6月18日、第55回燮会を開催しました。燮会は交渉アナリスト1級会員のための交渉勉強会です。2016年から始まった横浜での開催(2020年は中止)、今回で6回目となります。過去の横浜開催の内容については、下記をご覧ください。

【過去の横浜開催】
第48回燮会
第42回燮会
第37回燮会
第32回燮会
第27回燮会



 さて、通常の燮会(2時間)より時間の取れる横浜開催(4時間)。第1部は、第49回燮会でもお話しいただいた、1級会員の篠原祥さん。交渉そのものを生業とされている篠原さんから、「実践的交渉戦術と実例」と題し、最近の燮読書会で取り上げたロジャー・ドーソン著『本物の交渉術 あなたのビジネスを動かす「パワー・ネゴシエーション」』、また昨年の第48回燮会で取り上げた、『キッシンジャー超交渉術』で説かれている交渉術やフレームワークの具体的事例をお話しいただきました。



 事例1のテーマは、「決定権を持たない人への対応」。『本物の交渉術 あなたのビジネスを動かす「パワー・ネゴシエーション」』からのキーポイントは、

1.自分が決定権を持っていることを相手に知られてはいけない。
2.あなたの高次権威は、個人ではなく漠然とした組織であるべき。

の2つでした。

 事例2のテーマは、「相互利益の交渉術」。海外のシンクタンクとの協力関係に関する事例で、キーポイントは、

1.相互利益とは、双方が等しく譲歩することでも、双方が等しく得ることでもない。
2.お互いに相手が負けたと思っていても、双方が勝ったと思えば、相互利益である。
3.相手が自分と同じものを望んでいると思い込まないこと。
4.交渉中に最も重要な思考は、「相手に何を与えてもらえるか」ではなく、「自分の立場を崩さず、相手にとって価値のあるものは何か」である。相手が望むものを与えれば、相手もあなたが望むものを与えてくれるだろう。

の4つでした。



事例1のテーマは、「広角的な見方を取り入れる」。第48回燮会でお話しした「3D交渉」の事例です。『キッシンジャー超交渉術』からのキーポイントは、

1.戦略を立てる際には「広角レンズ」を使って、関連が予想される関係者すべてを分析しよう。
2.交渉の準備をする時には、面前の相手だけではなく、交渉の成功率を上げてくれそうな他社に注意を向けよう。
3.有能な交渉者は、戦略的枠組みから「ズームアウト」する能力を育むと同時に、交渉相手に鋭く「ズームイン」する習慣を身につけるべきだ。そうすれば、ミクロの視点とマクロの視点が生産的な方向で連携できるようになる。

 3D交渉の提唱者、ジェームズ・セベニウスが推奨する通り、視野を広げて「全当事者相関図」を描き、「逆方向マッピング」によって、交渉目的を達成するための交渉順序を組み立てる。この非常に高度な交渉についての具体的なお話は大変興味深いものでした。



 休憩を挟み、第2部に入る前に、日本交渉協会名誉理事、国際基督教大学名誉教授の土居弘元先生より、昨年お亡くなりになった日本の交渉学の祖、藤田忠先生のお話と交渉学の歴史的流れについてお話しいただきました。先生からは実務家の立場からの交渉学を深めていって欲しいとの言葉を頂きました。



 続いて第2部は、毎回担当している「交渉理論研究」。第17回のテーマは、「連合形成」。最初に3人の交渉者が連合形成と、連合によって得られる得点の分配を決める交渉のロールプレイを行いました。



 二者間交渉と比べ、たった一人のプレイヤーが増えるだけで交渉は格段に複雑になります。30分の交渉を終えた後、各グループの結果を見ながら、以下のようなテーマで振り返りを行いました。

1.各グループでは、プレイヤーのパワーをどのように捉えていたのか?
2.その認識が交渉にどのような影響を及ぼしたのか?
3.(利己的に考えれば二者連合の方が得になるのに)三者連合を選択した理由は?
4.得点の配分は誰がどのように決めたのか?



 このロールプレイは各自が自己利益の最大化だけを追求すれば、二者連合の方が得点が多くなるように設計されています。しかし、今回の場合、全てのグループが三者連合で合意しました。分配については、1つのグループを除いて各プレイヤーのパワー関係に応じて得点が決められたようです。二者連合の過当競争に陥らないよう、最初に三者連合目指すことに合意したグループ、最もパワーを持っているプレイヤーがそのパワーを自己利益の最大化ではなく、平等を基準とした分配に他のプレイヤーを合意させるために行使したグループ、最もパワーが弱いと思われたプレイヤーがキャスティングボードを握ることによってパワーを行使したグループ。グループによってさまざまな交渉の形がみられました。

 この「交渉のパワー」は、ロールプレイから学ぶ重要ポイントの一つです。多数者間交渉におけるパワーの源泉として、以下のようなもの重要であるとロールプレイを通じて実感できたのではないかと思います。

1.パワーに対する認識
2.コミュニケーション
3.客観的基準
4.BATNA
5.明確かつ具体的なコミットメント



 最後に、上記の得点配分における「客観的基準」について、”Negotiation Analysis”で取り上げられている幾つかの解決策についてお話ししました。

1.安定した配分
2.シャープレイ値
3.H.ライファの折衷案





 今回は3年ぶりに懇親会も開催(乾杯撮影用にマスクを外しています)。おかげさまで大変有意義な時間を過ごすことができました。

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趣深い雰囲気の中で牛なべー右近(箱根)

2022年06月15日 | 食べ歩きデータベース


 日頃お世話になっている地元経営者の方のお誘いで、箱根の「牛なべ 右近」さんに初めてお邪魔しました。箱根湯本駅から歩いて15分ほどのところです。



 少しモダンな雰囲気も感じさせつつ、落ち着いた和の佇まい。お品書きによれば、店の名前「右近」は、小田原征伐の際、高山右近が蒲生氏郷と細川忠興に牛鍋を振る舞ったという言い伝えに因んでいるそうです。



 案内された外の座敷は、緑豊かな渓流を眼下に眺めることができます。ちょうどこの日、知人がSNSに日光の渓谷の写真を投稿していて、「ああ、こういうところ行きたいな」と思っていたところだったので、何だか思いが実現したようでした。梅雨寒で6月なのに席は炬燵でしたが、その代わり川の水が多く水音にとてもリラックスできました。この景色は春夏秋冬、さまざまな顔をみせそうです。



 水無月の献立です。お椀は、豆乳と自然薯のすり流し。



 前菜は左から、牛センマイ胡麻酢味噌和え、わさび漬けとクリームチーズきゅうり添え、牛時雨煮、右近のカステラ焼き。



 蒸物、牛すじの玉子蒸し新玉葱餡。



 国産黒毛和牛の牛なべ。茅ヶ崎の新鮮な卵と自然薯につけていただきます。



 御飯は白米も選べますが、せっかくなので牛すじとコーンの炊き込みご飯にしました。



 最後の水菓子は、直送宮崎産マンゴー「太陽のタマゴ」とマンゴープリンでした。



 食事、景色もさることながら、細やかな気配りをしていただいた仲居さん、素晴らしい人柄の経営者の皆さんとご一緒させていただき、大変有意義な時を過ごすことができました。ありがとうございます。

牛なべ 右近



神奈川県足柄下郡箱根町湯本茶屋185-5

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私のきもの革命!日本のきものを未来へつなぐためにー第138回YMS

2022年06月09日 | YMS情報


 2022年6月8日、mass×mass関内フューチャーセンターにて第138回YMS(ヨコハマ・マネージャーズ・セミナー)を開催しました。



 今回は、3年前の第114回YMS以来となる着物のお話しです。講師は、創業103年の着物専門店おがわ屋の小川淳様。小川様は今回のタイトルに「私のきもの革命!日本のきものを未来へつなぐために」とある通り、「きもので日本を元気にする!」、「きもので世界中の人々を幸せにする!」をミッションに掲げ、着物パーティ開催、着付け講座、オリジナル小物制作、きもの研究会、粋人倶楽部(男性着物倶楽部)等を主宰するなど、民族衣装「着物」を広め伝えるため活躍していらっしゃいます。

 さて、現在に至る着物の原型は平安時代に遡ると言われます。遣唐使廃止などで、日本独自の文化が花開くようになった時代です。その後、鎌倉時代にはほぼ現在の着物に近くなり、江戸時代の元禄期に着物文化は頂点に達しました。当時もちろん写真は存在しませんが、浮世絵から当時の特に女性の着物が実に多様であったことを伺い知ることができます。残念ながらここに掲載することはできませんが、今では見たこともないような図柄、技法は、当時の日本人がいかに衣装に情熱を傾けていたか、またそれを可能にする富の蓄積がなされていたかを現在に伝えています。ご興味がおありの方は、下記のサイトなどが面白いかもしれません。

日本服飾史
きものの文様の歴史

 面白かったのは、江戸の豪商石川六兵衛の妻と京の難波屋十右衛門の妻の東西衣装対決のエピソード。今で言えばセレブによるファッション対決ですが、それ位ファッションに対するブームが過熱していたということですね。さてこの対決、緋繻子(ひじゅす)に洛中図をあしらった小袖の十右衛門の妻に対し、六兵衛の妻は、黒羽二重南天柄。一見すると派手なのは十右衛門の妻だったのですが、何と六兵衛の妻の南天は一つ一つ珊瑚を縫い付けたものだったそうです。勝負は石川六兵衛の妻に軍配が上がりました。因みに、この石川六兵衛の妻は豪奢が行き過ぎたために将軍綱吉の逆鱗に触れ、財産没収の上、遠島を命じられました。

 その後、幕政改革で度々奢侈禁止令が出されました。その結果、「四十八茶百鼠(しじゅうはっちゃひゃくねずみ)」と言われるように、地味な色の種類がやたらと増えることになりました。即ち、庶民が着ることを許される着物の色が茶・鼠・藍に制限されたので、許される範囲での新色が次々と登場したというわけです。また、表地は取り締まられているので、裏地に凝るといったことも行われたようです。

 なお、庶民の間では古着としての着物、今でいうリユースが盛んにおこなわれたようです。この辺は以前当ブログで「江戸の古着屋」としてまとめていますので、そちらをご覧ください。

 それほどまでに当時の日本人が情熱を傾けた着物ですが、現在は技法もデザインもカジュアル化。そして着物市場は全盛期の1/10にまでなってしまったそうです。当然、作り手が疲弊してしまうわけですが、着物は分業制の進んだ産業であるため、工程の一部が失われてしまうだけでも、全体の技術が衰えてしまいます。一方で工業的に量産された着物もありますが、着物に対する美意識、感性は失われるばかりです。

 現代日本人が着物を着なくなった理由としては、着る機会がない、どこで買えばよいか分からない、高い、手入れの方法が分からない、着方が分からない、保管場所がない等、様々あるようですが、小川さんがおっしゃるには、着物を着る場面は何も冠婚葬祭に限定する必要はないということです。むしろ着物不可という場面はほとんどなく、大抵の場合好意的に受け止めてもらえるそうです。

 シリコンバレーで事業を営んでおられる男性で、敢えてビジネスシーンで着物を着るという方がいらっしゃるそうです。理由は、グローバル化した世界だからこそ、自分が何者なのかをハッキリさせる必要があるから。着物は日本人であることのメッセージそのものだと言えます。現在、着物を着るのは9割が女性。小川さんは、男性にもっと着物を着てもらえるよう、「3分で着れるオトコのきもの」を開発し、普及に努めていらっしゃいます。

 僕自身、思えば12年前の九条館での煎茶会以来、着物から遠ざかっています。来年には50歳を迎えるにあたり、そろそろ着物もいいかなと思いました。

過去のセミナーレポートはこちら

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第4回燮読書会に参加しました

2022年06月09日 | 交渉アナリスト関係


 6月7日、第4回燮読書会に参加しました。前回に引き続き、ロジャー・ドーソン著、『本物の交渉術 あなたのビジネスを動かす「パワー・ネゴシエーション」』(KADOKAWA、2021年)より、第26~40章、第45~61章が対象でした。



26.相手に先に提示してもらう方が有利になる
27.間抜けを演じるのは賢い
28.契約書は相手に書かせない
29.契約書は毎回読む
30.ファニーマネー(パーセンテージや月額など)ではなく、リアルマネー(総額)で考えよう。
31.人は印刷文字で見ると信じてしまうので、物事を文書化しよう
32.論点に集中しよう
33.常に相手を祝福しよう
34.タイム・プレッシャーの効力を知ろう
35.情報は力である
36.立ち去る準備をする
37.さもなくば立ち去るぞ、ではない。
38.フェエタ・コンプリ(既成事実化)
39.ホットポテト(責任転嫁)
40.最後通告
45.ボディランゲージ
46.会話に隠された意味
47.パワーネゴシエーターの個人的特性
48.心構え
49.信念
50.正統パワー
51.報酬パワー
52.強制パワー
53.畏敬パワー
54.カリスマ・パワー
55.エキスパート・パワー
56.シチュエーション・パワー
57.情報パワー
58.パワーの組み合わせ
59.その他のパワーの形
60.交渉の原動力
61.相互利益の交渉術



 今回は結構なボリュームがありましたが、いつもファシリテータの波戸岡さんがサマリーを作成してくださるので、忙しくて読めなかった方、極端な話、本をお持ちでない方でもお気軽にご参加いただけます。また、ディスカッションは1回完結ですので、出席できなかった回があったとしても大丈夫です。

 今回もサマリーを確認した後、グループアウトセッションを行いました。前回同様、同じ本を読んでいるにも拘らず、グループごとの着眼点が驚くほど違いました。その結果、各グループのご意見を合わせると、自分だけでは得られなかった非常に多角的な視点、知見が得られます。それが読書会の良いところですね。

※アジア人は名刺など肩書を重視すると言われているが、重きを置くポイントが異なるだけで、西洋社会でも肩書を重視するのは同じではないのか?
※本書が書かれたのがかなり前なので、交渉スタイルなど変わってきているものもあるのでは?
※契約書が大事というのは本書の通り。一方で、意外と契約書に無頓着な人が多いという印象もある。
※タイムプレッシャーの話は得心する。
※相手が望んでいるものをどうすれば分かるのか?実務の課題として持っている。
※理論が言うように、条件は先に提示してもらうのが良いのか?(本書では後が良いと述べている)
※立ち去る準備、その根拠を持っているのは強い。
※相手に勝ったと思っていただくのは大事。



 続いて今回の範囲に関連する交渉理論面の補足を行いました。今回のトピックは、

・オファーは先か後か?
・交渉と文化
・交渉とパワー

 特に、交渉に対する文化の影響について考えた時、様々な実験結果から分かることは、交渉理論そのものも主としてアメリカ文化の影響を多分に受けたものであるということでした。だからと言って理論が我々日本人にとって無意味ということではありませんが、(特に認知心理学系、言語/非言語コミュニケーション系については)普遍性が確かめられていない可能性が十分にあるということを弁えた上で、過度な一般化に注意するという姿勢は必要なことかと思います。

 第5回は2022年8月開催予定です。

<新刊本のご紹介>


繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした
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反撃の烽火となるか-日本プロ野球2022 横浜vs楽天1回戦

2022年06月05日 | スポーツ観戦記


 6月3日、横浜スタジアムに横浜vs楽天1回戦の観戦に行ってきました。心配された雨も午後の一時的なもので済み、試合開始前には晴れ間も見えるようになりました。横浜は交流戦、ソフトバンクに2勝1敗で勝ち越したものの、西武とオリックスに1勝2敗、ここまで4勝5敗です。一方、対戦相手の楽天はシーズン序盤で圧倒的な強さを見せ、首位を独走していましたが、現在パリーグ2位です。

 このところの横浜は先発投手陣が炎上続きで軒並み2軍落ち。仮にそこそこの失点で抑えていたとしても、四球が多いなどリズムを作れず、そんな時は打線が沈黙するという悪循環が続いているように思えます。目下頼れるのは今永投手、大貫投手ぐらいで、あとは投げてみなければ分からない。一方、序盤苦しんだ中継ぎから抑え陣は少し安定しつつあります。この日、怪我で戦列を離れていた大田選手、森選手が待望の一軍登録。ぜひこの二人に出場機会のあるような展開を期待したいところです。



 さて、横浜の先発は何とか頼れる二人の一人、大貫投手。ここまで3勝2敗ですが、これでもチームの勝ち頭というところに現状の苦しさがあります。



 その立ち上がり。不振に苦しむ西川選手にファウルで粘られ、結果三振でしたが、討ち取るのに9球を要しました。



 続く小深田選手は2‐1と追い込んでから4球目でレフトフライ。



 しかし、3番浅村選手にはフルカウントからの8球目をセンター前に、それもきれいにライナーで弾き返されます。



 さらに島内選手もフルカウントからの8球目をレフト前へ。単打ではありましたが、いずれも強い当たりでこの先が思いやられる内容でした。



 案の定、マルモレホス選手は初球レフトフライでしたが、フェンスギリギリ。何とか無失点で切り抜けたものの、ボールが先行し、打者3人にフルカウント。初回だけで30球を要するという不安な立ち上がりでした。



 1回裏、楽天の先発は昨年2年目で二桁勝利を挙げたものの、今季はまだ1勝と振るわない瀧中投手。



 その瀧中投手の立ち上がり。横浜は一死から二番柴田選手がセンター前ヒットで出塁。



 すると続く宮崎選手が、外角から真ん中よりの低めに入ったストレートをレフトへホームラン。立ち上がりに苦しむ大貫投手に大きな2点をプレゼントします。



 2点を貰って落ち着きを取り戻してほしい大貫投手でしたが、2回表もピリッとしません。先頭の辰巳選手を不運といえば不運なセカンドへのボテボテのあたりで出塁させると、



 続く鈴木選手もセンター前へ。あっという間に無死二塁・一塁。その後は下位打線に向かう中で抑えましたが、2回で52球。このペースでは4回途中で100球に達してしまいます。



 2回裏、二死から8番関根選手が四球を選び、この回を9番で終わらせます。次の回に投手を残して簡単に3人で終わらないこと。地味な貢献ですが、大事なことだと思います。



 3回表。この回も先頭の小深田選手をボテボテのピッチャーゴロに討ち取りながら、送球が走者に当たるというプレーで出塁を許すという嫌な展開。しかし、中軸打線を迎え、ここから大貫投手が粘りました。3番浅村選手を4球で三振、4番島内選手はまたしてもボール先行で3‐1となりましたがライトフライ、そしてマルモレホス選手も4球で三振。立ち直りの兆しを見せます。



 3回裏、一死から柴田選手が四球で出塁。



 続く宮崎選手も四球。現在三冠王に最も近い男、牧選手の前にランナーを貯めるという理想の形が出来上がります。



 そうなれば横浜ファンの期待は牧選手のホームランに集中します。何とその初球、よりによってチェンジアップがど真ん中に甘く入りました。これを牧選手が逃すはずもなく、打った瞬間それと分かるレフトスタンド上段への3ラン。これで0vs5。あとは不振に喘ぐソト選手が復調してくれば、オースティン選手の復帰を待たずとも相当破壊力のある打線になります。



 4回まで持つかと心配された大貫投手でしたが、4回表を下位打線とは言え三者凡退に抑えます。結果、先に先発に見切りをつけたのは楽天の方でした。楽天は4回裏から酒居投手が登板。酒居投手は嶺井選手にヒットを許しますが、下位打線のこの回を無失点で抑えます。



 5回表の大貫投手。酒居投手の代打渡邊選手にまたしてもフルカウント。結果的にファーストゴロで、続く西川選手はピッチャーゴロに討ち取りますが、そこから小深田選手、浅村選手に連続四球。最後、島内選手を三振に切って取り、この回無失点。悪いなりにゲームを作ったとは言えますが、5点のリードを貰いながら最後までフラフラした感じが拭えませんでした。ただ、全体的には制球が定まらなかったというより慎重になりすぎた印象です。



 横浜は6回、7回と入江投手が登板。この入江投手が素晴らしい投球でした。150㎞超の力強いストレートと140㎞前後のフォークボールが冴え、打者6人を完璧に抑えました。特に圧巻だったのは7回表、炭谷選手、山崎選手、西川選手と三者連続三振。2回4三振という素晴らしい内容でした。入江投手が試合を締めてくれたことにより、流れは完全に横浜に傾いたと感じましたし、安心して見ていることができました。



 さらに球場の雰囲気を盛り上げたのが、7回裏。一死二塁から代打大田選手が登場。良い時と悪い時のムラがある大田選手ですが、この選手には雰囲気を変えるオーラがあります。結果は死球でしたが、



 ここでもう一人。お待ちかねの森選手が代走で登場します。球場の横浜ファンは大喜び。



 その7回表をも上回ったのが、8回表、牧選手と森選手2つのファインプレー!特に森選手、絶好調のオープン戦で好調故の怪我で離脱し、その鬱憤を晴らすかのように躍動していました。明らかにセンター前に抜けるかという当たりに追いついただけでも凄いのに、そこからの送球動作の早さ、さらには送球も投手やれるんじゃないかと思わせるほどの肩の強さ。目の前で見て度肝を抜かれました。



 古い話ですが、往年のオジー・スミス選手を彷彿とさせます。まさに次代のスーパースターに駆け上がる素質十分です。



 8回裏、横浜は一死一塁から、こちらも復調が待たれる桑原選手の二塁打でさらに1点追加。これで0vs7。



 最後は宮國投手がやや不安定ながらも無失点で締めました。もちろん課題がなかったわけではありませんが、見どころ満載の完勝だったと言えるでしょう。選手の顔つきにも集中の様子が見て取れますし、大田選手や森選手が復帰してきたことによって、横浜反撃の機運を感じました。

 横浜ファンは1回勝っただけで「横浜優勝!」とか大はしゃぎするとよく言われます。それは一つには、ここ最近のオリックス戦、西武戦を見ても分かるように、せっかく良い内容で勝っても後が続かない。こうした傾向も一因としてあると思います。今度こそ、この試合が反撃の烽火となりますように!

繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした
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2022年5月アクセスランキング

2022年06月01日 | 人気記事ランキング


 毎年思うことですが、今年も早6月、前半が終わろうとしています。年々時間の経過速度は早まっていくように感じますが、このブログも開設して15年になります。今や文字で記録するという時代でもないのでしょうが、文章には文章の良さもあり、続けています。アクセスの変化を追っていますと、2年位前から大きな変化が起きているように感じます。

 さて、2022年5月にアクセスの多かった記事トップ10です。5月は比較的昔の記事が上位を占め、当月アップした記事は僅かの差ながら11位から17位の間に固まるという現象が見られました。とりわけ、ここ数ヶ月の中では先月に続き、比較的投稿した方だったにもかかわらず、定番3記事へのアクセスが多かった傾向にありました。

2位:「エコノミーとエコロジーの語源」(89ヶ月連続)
3位:「久村俊英さんの超能力を目撃してきました」(24ヶ月連続)
5位:「Yema(イェマ)-フィリピンのお菓子」(8ヶ月連続)
8位:「上田和男さんバーテンダー歴50年を祝う会」に参加してきました」(2ヶ月ぶり)

 9位:「仲本工事さんのお店に行ってきました-仲本家(自由が丘)」ですが、どうも週刊誌に記事が出たようで、その影響でアクセスが伸びたのではないかと思います。とても良いお店だったので、このコロナが本当に恨めしいです。

 6位:「初めてのスカイバーカウンター-日本プロ野球2019 横浜vs中日10回戦」。野球場にもお客さんが戻り、G.W.もあって久々のランクインになったのではないかと思います。ただ、東京オリンピックのために折角外野スタンドを増設した横浜スタジアムも、満員になったのはまだ数回しかなく、かつての賑わいを取り戻すにはもう少し時間がかかりそうです。

1 トップページ
2 エコノミーとエコロジーの語源
3 久村俊英さんの超能力を目撃してきました
4 久しぶりの焼肉新規開拓-DINNING BULLS(野毛)
5 Yema(イェマ)-フィリピンのお菓子
6 初めてのスカイバーカウンター-日本プロ野球2019 横浜vs中日10回戦
7 わが子すら七人七色、況や…-第137回YMS
8 「上田和男さんバーテンダー歴50年を祝う会」に参加してきました
9 仲本工事さんのお店に行ってきました-仲本家(自由が丘)
10 交渉の男女差研究①-第54回燮(やわらぎ)会

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