11月11日、快晴の旭川。ホテルからは白く輝く大雪山系の美しい山並みが、青空にくっきりと浮かび上がっていました。
札幌へと移動するこの日、午前中のわずかな時間ではありましたが、有名な旭川市旭山動物園に行ってきました。
旭山動物園といえば、従来の動物そのものを見せる「形態展示」から動物をなるべく自然に近い生態で見せる「形態展示」を取り入れ、一躍有名になった動物園。1967年に開園、1983年には来園者数59万人を数えましたが、それが1996年にはわずか26万人にまで落ち込んだそうです。そこで苦境を打開すべく前述の「行動展示」と呼ばれる展示手法を取り入れると、来園者が増加。2007年には何と307万人に達し、東京の上野動物園に迫る勢いを見せたそうです。その奇跡の復活劇は、各テレビ局でドキュメンタリーやドラマにもなりました。
現在でも日本で三番目の来園者数を誇り、外国人観光客も多く訪れる旭山動物園。僕のような中年の男が「せっかく旭川に来たのだから」と動物園に行ってみようと思うくらいですから、やはり凄いことなのだろうと思います。
さて、残念ながらゆっくり観ている時間がなかったため、快晴とはいえ雪の積もる氷点下の旭川でも元気そうな寒冷地の動物にターゲットを絞って見物することにしました。初めはホッキョクグマ。予想通り、朝から元気に泳いでいました!
元々北極の動物とはいえ、この寒いのによく泳ぐなあと感心してしまうのですが、ホッキョクグマはそもそも海洋性なのだそうで、体つきも泳ぎに適した細長い流線型をしています。たまたま一瞬水の中で立ち上がったのですが、予想以上の大きさに驚きました。また、水に浮いている引き裂かれたプラスチック製の樽を見ていると、その力の程もうかがい知れます。
こちらは、檻の下から顔を出してホッキョクグマを観ることができる天窓。運がよければ餌を食べているところを間近に観ることができるそうですが、生憎お尻を向けていました。
続いて、垂直に立った円筒形の水槽の中をゴマフアザラシが泳ぐことで有名な「あざらし館」。ゴマフアザラシは流氷と共に南下し、出産のため北海道にやってきます。近年は時々本州各地に突然現れ、話題になりましたね。
この日は残念ながら、なかなか円筒水槽の中を通り抜けてくれません。入館した最初の一瞬をカメラに収めることができたのは幸運でした。
トラの中でも最も大きい、アムールトラ。横浜出身の僕にとって、トラというとベンガルトラなどを見て「意外と小さいな」とがっかりするか、アムールトラがいたとしても大抵暑さでバテているというのが、動物園のトラのイメージ。しかし、体長240cm~270cm、体重100kgs~300kgsにもなるという、アムールトラが目の前で立ち上がり、活発に動き回る姿は、大迫力で観ている人たちの目を釘付けにします。尤も、伸びをしたり、雪の上で仰向けに寝転がってじゃれたりと、よく観察していると行動はネコそのもの。
ペンギンが泳ぎまわる巨大な水槽のトンネルで有名な「ペンギン館」。まず地上では皇帝ペンギンに次いで大きなオウサマペンギンの群れが遠吠えをしていました。まるで牛のような大きな鳴き声。ペンギンが吠えるのを初めて見ました。
残念だったのは、この日は天気が回復しペンギンたちにとって日向ぼっこ日和だったのか、水槽の中を泳ぐペンギンが少なかったことです。ヒッチコックの映画「鳥」のように、ペンギンの群れがバタバタと泳ぎ回るところを期待していたのですが…。
じゃれあう二頭のレッサーパンダ。その愛らしさがひときわ来園者の目を引きます。檻と檻の間には釣り橋が渡してあり、来場者の頭上をレッサーパンダが渡っていくのですが、脱走しないのだろうかと不思議になります。恐らく、レッサーパンダが恐怖を感じる程度の高さに橋を渡してあるのでしょう。しかし、過去には脱走したこともあったようです。
上の写真、どこに何の動物がいるかお分かりでしょうか?
そう、写真中央、雪の上に座っているシロフクロウです。これぞ擬態!肉眼で見てもどこにいるのかなかなか分かりませんでした。非常に大きなフクロウで、午前中だというのに頭をくるくると活発に動かし、活動的でした。後で調べたところによると、シロフクロウは他のフクロウと異なり、昼行性なのだそうです。
最後はエゾジカ。やはり本州のニホンジカと比べるとかなり大きいですね。
駆け足の訪問とはなりましたが、それでも噂に違わず結構楽しむことができました。
旭川市旭山動物園
北海道旭川市東旭川町倉沼
繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした