法律の周辺

核心ではなく, あくまでも物事の周辺を気楽に散策するブログです。

懲戒免職の知事部局職員名の原則公表について

2005-11-01 21:46:45 | Weblog
懲戒免職の知事部局職員名を原則公表/県が新たな方針決定 - さきがけonTheWeb

知事会見の3時間後,一転して方針転換/懲戒免の県職員名公表 - さきがけonTheWeb

 「飲酒運転の検挙者を懲戒免職の対象としながら実名を公表してこなかった対応が、県民に分かりづらい」と言われて取るべき措置は,単純に考えれば,a 飲酒運転の検挙者を懲戒免職の対象から外し,実名は現行どおり公表しない,b 飲酒運転の検挙者は現行どおり懲戒免職の対象とし,実名を公表する,の2つ。

 県は b を取ったわけだが,これは誤りだと思う。
県は,人事委員会が8月におこなった「飲酒運転で懲戒免職処分となった職員の処分を停職6カ月に改めた裁決」の意味を今一度考えるべきだ。
「酒気帯び運転は公務員にあるまじき行為」までは結構。しかし,何故,停職○カ月ではなくて,懲戒免職でなくてはならないのか。「酒気帯び運転で検挙即懲戒免職」は,いくら何でも均衡を失している。
武藤知事室次長の「名前を公表する方が,飲酒運転撲滅に取り組む姿勢としてインパクトがある」は,過度に処分の威嚇効果を強調するもの。このような考え方には賛成できない。
「飲酒運転は悪」は言うまでもないが,秋田県が現在とっている「酒気帯び運転で検挙即懲戒免職」という処分は,「一般市民の健全な法感情」によって支えられているとはとても思えない。飲酒運転憎しで,「厳しいほど良い」と考えるのは,やはりおかしい。

因みに,危険運転致死傷罪が新設された際,人事院は「懲戒処分の指針」の内容を次のように改め,平成14年5月,各省庁に通知している。

 酒酔い運転で死亡事故を起こした場合
   免職あるいは停職→免職のみ
 酒酔い運転で傷害事故を起こした場合
   停職あるいは減給→免職あるいは停職
 酒気帯び運転が明らかになった場合
   減給あるいは戒告→減給,戒告あるいは停職

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

高齢者虐待防止法の成立について

2005-11-01 14:02:40 | Weblog
asahi.com:高齢者虐待防止法が成立 発見者に通報義務 - 暮らし

 10月28日に衆議院本会議で可決,参議院に送付されていた高齢者虐待防止法(正式名「高齢者虐待の防止,高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」)が,本日,参議院本会議で可決,成立した。
主な内容は,記事のとおり,a 高齢者虐待の防止等に関する国等の責務,b 高齢者虐待を受けた高齢者に対する保護のための措置,c 高齢者の養護者に対する支援のための措置等。中には,努力規定といった性質のものも見受けられるが,重要な法律が成立した。
公益通報者保護法と同趣旨なのであろう,虐待を通報した養介護施設従事者等は解雇その他の不利益な取扱いを受けないことも規定されている(法第21条第7項。なお,法第23条参照)。また,市町村に対しては連携協力体制の整備を課している(法第16条)。

 この法律において,「養護者による高齢者虐待」「養介護施設従事者等による高齢者虐待」として,「高齢者の財産を不当に処分することその他当該高齢者から不当に財産上の利益を得ること」が盛り込まれたことの意義は大きい(法第2条第4項・第5項)。
法第27条は,財産上の不当取引の被害を受け,又は受けるおそれのある高齢者につき,老人福祉法第32条の規定に基づき,市町村長が適切に審判の請求をすべきものと規定している。「適切に」がポイント。これとの関係で,連携協力体制の整備の如何・程度が重要になる。

「高齢者虐待の防止,高齢者の養護者 に対する支援等に関する法律」全条文


「高齢者虐待の防止,高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」の関連条文

(目的)
第一条 この法律は,高齢者に対する虐待が深刻な状況にあり,高齢者の尊厳の保持にとって高齢者に対する虐待を防止することが極めて重要であること等にかんがみ,高齢者虐待の防止等に関する国等の責務,高齢者虐待を受けた高齢者に対する保護のための措置,養護者の負担の軽減を図ること等の養護者に対する養護者による高齢者虐待の防止に資する支援(以下「養護者に対する支援」という。)のための措置等を定めることにより,高齢者虐待の防止,養護者に対する支援等に関する施策を促進し,もって高齢者の権利利益の擁護に資することを目的とする。

(定義)
第二条 この法律において「高齢者」とは,六十五歳以上の者をいう。
2 この法律において「養護者」とは,高齢者を現に養護する者であって養介護施設従事者等(第五項第一号の施設の業務に従事する者及び同項第二号の事業において業務に従事する者をいう。以下同じ。)以外のものをいう。
3 この法律において「高齢者虐待」とは,養護者による高齢者虐待及び養介護施設従事者等による高齢者虐待をいう。
4 この法律において「養護者による高齢者虐待」とは,次のいずれかに該当する行為をいう。
一 養護者がその養護する高齢者について行う次に掲げる行為
イ 高齢者の身体に外傷が生じ,又は生じるおそれのある暴行を加えること。
ロ 高齢者を衰弱させるような著しい減食又は長時間の放置,養護者以外の同居人によるイ,ハ又はニに掲げる行為と同様の行為の放置等養護を著しく怠ること。
ハ 高齢者に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応その他の高齢者に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと。
ニ 高齢者にわいせつな行為をすること又は高齢者をしてわいせつな行為をさせること。
二 養護者又は高齢者の親族が当該高齢者の財産を不当に処分することその他当該高齢者から不当に財産上の利益を得ること。
5 この法律において「養介護施設従事者等による高齢者虐待」とは,次のいずれかに該当する行為をいう。
一 老人福祉法(昭和三十八年法律第百三十三号)第五条の三に規定する老人福祉施設若しくは同法第二十九条第一項に規定する有料老人ホーム又は介護保険法(平成九年法律第百二十三号)第八条第二十項に規定する地域密着型介護老人福祉施設,同条第二十四項に規定する介護老人福祉施設,同条第二十五項に規定する介護老人保健施設,同条第二十六項に規定する介護療養型医療施設若しくは同法第百十五条の三十九第一項に規定する地域包括支援センター(以下「養介護施設」という。)の業務に従事する者が,当該養介護施設に入所し,その他当該養介護施設を利用する高齢者について行う次に掲げる行為
イ 高齢者の身体に外傷が生じ,又は生じるおそれのある暴行を加えること。
ロ 高齢者を衰弱させるような著しい減食又は長時間の放置その他の高齢者を養護すべき職務上の義務を著しく怠ること。
ハ 高齢者に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応その他の高齢者に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと。
ニ 高齢者にわいせつな行為をすること又は高齢者をしてわいせつな行為をさせること。
ホ 高齢者の財産を不当に処分することその他当該高齢者から不当に財産上の利益を得ること。
二 老人福祉法第五条の二第一項に規定する老人居宅生活支援事業又は介護保険法第八条第一項に規定する居宅サービス事業,同条第十四項に規定する地域密着型サービス事業,同条第二十一項に規定する居宅介護支援事業,同法第八条の二第一項に規定する介護予防サービス事業,同条第十四項に規定する地域密着型介護予防サービス事業若しくは同条第十八項に規定する介護予防支援事業(以下「養介護事業」という。)において業務に従事する者が,当該養介護事業に係るサービスの提供を受ける高齢者について行う前号イからホまでに掲げる行為

(連携協力体制)
第十六条 市町村は,養護者による高齢者虐待の防止,養護者による高齢者虐待を受けた高齢者の保護及び養護者に対する支援を適切に実施するため,老人福祉法第二十条の七の二第一項に規定する老人介護支援センター,介護保険法第百十五条の三十九第三項の規定により設置された地域包括支援センターその他関係機関,民間団体等との連携協力体制を整備しなければならない。この場合において,養護者による高齢者虐待にいつでも迅速に対応することができるよう,特に配慮しなければならない。

(周知)
第十八条 市町村は,養護者による高齢者虐待の防止,第七条第一項若しくは第二項の規定による通報又は第九条第一項に規定する届出の受理,養護者による高齢者虐待を受けた高齢者の保護,養護者に対する支援等に関する事務についての窓口となる部局及び高齢者虐待対応協力者の名称を明示すること等により,当該部局及び高齢者虐待対応協力者を周知させなければならない。

(都道府県の援助等)
第十九条 都道府県は,この章の規定により市町村が行う措置の実施に関し,市町村相互間の連絡調整,市町村に対する情報の提供その他必要な援助を行うものとする。
2 都道府県は,この章の規定により市町村が行う措置の適切な実施を確保するため必要があると認めるときは,市町村に対し,必要な助言を行うことができる。

(養介護施設従事者等による高齢者虐待に係る通報等)
第二十一条 養介護施設従事者等は,当該養介護施設従事者等がその業務に従事している養介護施設又は養介護事業(当該養介護施設の設置者若しくは当該養介護事業を行う者が設置する養介護施設又はこれらの者が行う養介護事業を含む。)において業務に従事する養介護施設従事者等による高齢者虐待を受けたと思われる高齢者を発見した場合は,速やかに,これを市町村に通報しなければならない。
2 前項に定める場合のほか,養介護施設従事者等による高齢者虐待を受けたと思われる高齢者を発見した者は,当該高齢者の生命又は身体に重大な危険が生じている場合は,速やかに,これを市町村に通報しなければならない。
3 前二項に定める場合のほか,養介護施設従事者等による高齢者虐待を受けたと思われる高齢者を発見した者は,速やかに,これを市町村に通報するよう努めなければならない。
4 養介護施設従事者等による高齢者虐待を受けた高齢者は,その旨を市町村に届け出ることができる。
5 第十八条の規定は,第一項から第三項までの規定による通報又は前項の規定による届出の受理に関する事務を担当する部局の周知について準用する。
6 刑法の秘密漏示罪の規定その他の守秘義務に関する法律の規定は,第一項から第三項までの規定による通報(虚偽であるもの及び過失によるものを除く。次項において同じ。)をすることを妨げるものと解釈してはならない。
7 養介護施設従事者等は,第一項から第三項までの規定による通報をしたことを理由として,解雇その他不利益な取扱いを受けない。

第二十三条 市町村が第二十一条第一項から第三項までの規定による通報又は同条第四項の規定による届出を受けた場合においては,当該通報又は届出を受けた市町村の職員は,その職務上知り得た事項であって当該通報又は届出をした者を特定させるものを漏らしてはならない。都道府県が前条第一項の規定による報告を受けた場合における当該報告を受けた都道府県の職員についても,同様とする。

(財産上の不当取引による被害の防止等)
第二十七条 市町村は,養護者,高齢者の親族又は養介護施設従事者等以外の者が不当に財産上の利益を得る目的で高齢者と行う取引(以下「財産上の不当取引」という。)による高齢者の被害について,相談に応じ,若しくは消費生活に関する業務を担当する部局その他の関係機関を紹介し,又は高齢者虐待対応協力者に,財産上の不当取引による高齢者の被害に係る相談若しくは関係機関の紹介の実施を委託するものとする。
2 市町村長は,財産上の不当取引の被害を受け,又は受けるおそれのある高齢者について,適切に,老人福祉法第三十二条の規定により審判の請求をするものとする。

(成年後見制度の利用促進)
第二十八条 国及び地方公共団体は,高齢者虐待の防止及び高齢者虐待を受けた高齢者の保護並びに財産上の不当取引による高齢者の被害の防止及び救済を図るため,成年後見制度の周知のための措置,成年後見制度の利用に係る経済的負担の軽減のための措置等を講ずることにより,成年後見制度が広く利用されるようにしなければならない。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

中央三井信託銀行のリバースモーゲージの改訂について

2005-11-01 08:17:25 | Weblog
中央三井,住宅担保の老後資金ローン対象を60歳以下に NIKKEI NET

 8月にワタミとの提携で,リバースモーゲージを改訂した中央三井信託銀行。
この度,60歳からの5年間は資金需要が高いと判断し,リバースモーゲージの利用対象者を65歳から60歳に引き下げると発表した。65歳までは,a カードローン形式,b 借入限度額は担保評価額の最大10%,とのこと。

 高齢者,老後の大事な資産(被害回復の困難性),といったことに加え,自由に借りられる,ということもある。セキュリティ面,万が一の被害補償の要件等といった点で,他の商品とは違った工夫が必要のようにも思われる。

詳細は明らかではないが,担保土地評価額5000万円以上,借入限度額50%以内は変わらずか?

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

杉浦法相の死刑執行をめぐる発言の撤回について

2005-11-01 07:49:25 | Weblog
「死刑執行のサインせぬ」と発言,すぐに撤回 杉浦法相 (朝日新聞) - goo ニュース

 死刑制度廃止賛成派からすれば「言質をとった」といったところだったと思うが・・・。
それにしても,「(命令書には)サインしない」と言明しておきながら,「発言は個人としての心情を吐露したもので,法相の職務の執行について述べたものではない」は,いかにも苦しい。
死刑制度に関する意見は様々だと思うが,記事にある故後藤田正晴氏の「法相が個人的な思想・心情・宗教観でやらないなら,はじめから大臣に就任することが間違いだと思う」が全てであろう。


刑法の関連条文

(刑の種類)
第九条  死刑,懲役,禁錮,罰金,拘留及び科料を主刑とし,没収を付加刑とする。

(死刑)
第十一条  死刑は,監獄内において,絞首して執行する。
2  死刑の言渡しを受けた者は,その執行に至るまで監獄に拘置する。

刑事訴訟法の関連条文

第四百七十五条  死刑の執行は,法務大臣の命令による。
2  前項の命令は,判決確定の日から六箇月以内にこれをしなければならない。但し,上訴権回復若しくは再審の請求,非常上告又は恩赦の出願若しくは申出がされその手続が終了するまでの期間及び共同被告人であつた者に対する判決が確定するまでの期間は,これをその期間に算入しない。

第四百七十六条  法務大臣が死刑の執行を命じたときは,五日以内にその執行をしなければならない。

第四百七十七条  死刑は,検察官,検察事務官及び監獄の長又はその代理者の立会の上,これを執行しなければならない。
2  検察官又は監獄の長の許可を受けた者でなければ,刑場に入ることはできない。

第四百七十八条  死刑の執行に立ち会つた検察事務官は,執行始末書を作り,検察官及び監獄の長又はその代理者とともに,これに署名押印しなければならない。

第四百七十九条  死刑の言渡を受けた者が心神喪失の状態に在るときは,法務大臣の命令によつて執行を停止する。
2  死刑の言渡を受けた女子が懐胎しているときは,法務大臣の命令によつて執行を停止する。
3  前二項の規定により死刑の執行を停止した場合には,心神喪失の状態が回復した後又は出産の後に法務大臣の命令がなければ,執行することはできない。
4  第四百七十五条第二項の規定は,前項の命令についてこれを準用する。この場合において,判決確定の日とあるのは,心神喪失の状態が回復した日又は出産の日と読み替えるものとする。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする