法律の周辺

核心ではなく, あくまでも物事の周辺を気楽に散策するブログです。

類似商号規制の廃止と商標法について

2005-11-23 13:47:52 | Weblog
法務省 パンフレット『使える・使おう 会社法』

 会社法の施行により,類似商号規制は廃止される。
例えば,法務省作成に係るパンフレット『使える・使おう 会社法』のQ21の説明は,次のとおり。

Q21 商号については,どのような見直しが行われるのですか。

 会社法では,会社の商号について,他人が登記した商号と同一・類似の商号については,同一市区町村内において,同一の営業のために登記することができないという規制(いわゆる「類似商号規制」)について,会社の設立手続を簡略化するなどの観点から,廃止することとしています。(引用おわり)

 会社法には「不正競争の目的の推定」を規定する商法第20条に相当するものは存しないが,商号の不正使用に対しては,会社法第8条,不正競争防止法第4条・第5条などにより回復措置をとることは可能,と説明されている。

 注意したいのは,現行法で類似商号規制として実質的に機能しているのは商法,不正競争防止法のほかに,商標法もあるということである。
上記のパンフレット「第2 会社法の要点」のP12掲載の一覧表にも,同一市町村の類似商号欄には「可能(商標登録されているものを除く)」とある。

 商標法は,会社法の施行に伴う整備法による改正の対象外。会社設立・商号変更等の際の登録商標のチェック,今後もなおざりには出来ないということであろう。

特許庁HP 商標に関しては


商標法の関連条文

(目的)
第一条  この法律は,商標を保護することにより,商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り,もつて産業の発達に寄与し,あわせて需要者の利益を保護することを目的とする。

(定義等)
第二条  この法律で「商標」とは,文字,図形,記号若しくは立体的形状若しくはこれらの結合又はこれらと色彩との結合(以下「標章」という。)であつて,次に掲げるものをいう。
一  業として商品を生産し,証明し,又は譲渡する者がその商品について使用をするもの
二  業として役務を提供し,又は証明する者がその役務について使用をするもの(前号に掲げるものを除く。)
2  この法律で「登録商標」とは,商標登録を受けている商標をいう。
3  この法律で標章について「使用」とは,次に掲げる行為をいう。
一  商品又は商品の包装に標章を付する行為
二  商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡し,引き渡し,譲渡若しくは引渡しのために展示し,輸入し,又は電気通信回線を通じて提供する行為
三  役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物(譲渡し,又は貸し渡す物を含む。以下同じ。)に標章を付する行為
四  役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に標章を付したものを用いて役務を提供する行為
五  役務の提供の用に供する物(役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物を含む。以下同じ。)に標章を付したものを役務の提供のために展示する行為
六  役務の提供に当たりその提供を受ける者の当該役務の提供に係る物に標章を付する行為
七  電磁的方法(電子的方法,磁気的方法その他の人の知覚によつて認識することができない方法をいう。次号において同じ。)により行う映像面を介した役務の提供に当たりその映像面に標章を表示して役務を提供する行為
八  商品若しくは役務に関する広告,価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し,若しくは頒布し,又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為
4  前項において,商品その他の物に標章を付することには,商品若しくは商品の包装,役務の提供の用に供する物又は商品若しくは役務に関する広告を標章の形状とすることが含まれるものとする。
5  この法律において,商品に類似するものの範囲には役務が含まれることがあるものとし,役務に類似するものの範囲には商品が含まれることがあるものとする。

(存続期間)
第十九条  商標権の存続期間は,設定の登録の日から十年をもつて終了する。
2  商標権の存続期間は,商標権者の更新登録の申請により更新することができる。
3  商標権の存続期間を更新した旨の登録があつたときは,存続期間は,その満了の時に更新されるものとする。

(差止請求権)
第三十六条  商標権者又は専用使用権者は,自己の商標権又は専用使用権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し,その侵害の停止又は予防を請求することができる。
2  商標権者又は専用使用権者は,前項の規定による請求をするに際し,侵害の行為を組成した物の廃棄,侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の予防に必要な行為を請求することができる。

(専用使用権)
第三十条  商標権者は,その商標権について専用使用権を設定することができる。ただし,第四条第二項に規定する商標登録出願に係る商標権については,この限りでない。
2  専用使用権者は,設定行為で定めた範囲内において,指定商品又は指定役務について登録商標の使用をする権利を専有する。
3  専用使用権は,商標権者の承諾を得た場合及び相続その他の一般承継の場合に限り,移転することができる。
4  特許法第七十七条第四項 及び第五項 (質権の設定等),第九十七条第二項(放棄)並びに第九十八条第一項第二号及び第二項(登録の効果)の規定は,専用使用権に準用する。

(通常使用権)
第三十一条  商標権者は,その商標権について他人に通常使用権を許諾することができる。ただし,第四条第二項に規定する商標登録出願に係る商標権については,この限りでない。
2  通常使用権者は,設定行為で定めた範囲内において,指定商品又は指定役務について登録商標の使用をする権利を有する。
3  通常使用権は,商標権者(専用使用権についての通常使用権にあつては,商標権者及び専用使用権者)の承諾を得た場合及び相続その他の一般承継の場合に限り,移転することができる。
4  特許法第七十三条第一項 (共有),第九十四条第二項(質権の設定),第九十七条第三項(放棄)並びに第九十九条第一項及び第三項(登録の効果)の規定は,通常使用権に準用する。

(侵害とみなす行為)
第三十七条  次に掲げる行為は,当該商標権又は専用使用権を侵害するものとみなす。
一  指定商品若しくは指定役務についての登録商標に類似する商標の使用又は指定商品若しくは指定役務に類似する商品若しくは役務についての登録商標若しくはこれに類似する商標の使用
二  指定商品又は指定商品若しくは指定役務に類似する商品であつて,その商品又はその商品の包装に登録商標又はこれに類似する商標を付したものを譲渡又は引渡しのために所持する行為
三  指定役務又は指定役務若しくは指定商品に類似する役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に登録商標又はこれに類似する商標を付したものを,これを用いて当該役務を提供するために所持し,又は輸入する行為
四  指定役務又は指定役務若しくは指定商品に類似する役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に登録商標又はこれに類似する商標を付したものを,これを用いて当該役務を提供させるために譲渡し,引き渡し,又は譲渡若しくは引渡しのために所持し,若しくは輸入する行為
五  指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について登録商標又はこれに類似する商標の使用をするために登録商標又はこれに類似する商標を表示する物を所持する行為
六  指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について登録商標又はこれに類似する商標の使用をさせるために登録商標又はこれに類似する商標を表示する物を譲渡し,引き渡し,又は譲渡若しくは引渡しのために所持する行為
七  指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について登録商標又はこれに類似する商標の使用をし,又は使用をさせるために登録商標又はこれに類似する商標を表示する物を製造し,又は輸入する行為
八  登録商標又はこれに類似する商標を表示する物を製造するためにのみ用いる物を業として製造し,譲渡し,引き渡し,又は輸入する行為

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葉玉氏のブログの引っ越しについて

2005-11-23 11:53:33 | Weblog
 以前,このブログでも書いた葉玉匡美氏のブログですが,ヤフーからライブドアの方に引っ越されたようです。一応,お知らせということで (^^) 。
因みに,私も,先日,『新・会社法100問』購入しました。誤植が多いという話しですが,これは,初版ですから仕方がありません。とはいえ,程度にもよりますけど。債務の本旨に従っていないと評価できるような状態だと,ちょっと困りますね ^^; 。


民法の関連条文

(錯誤)
第九十五条  意思表示は,法律行為の要素に錯誤があったときは,無効とする。ただし,表意者に重大な過失があったときは,表意者は,自らその無効を主張することができない。

(債務不履行による損害賠償)
第四百十五条  債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは,債権者は,これによって生じた損害の賠償を請求することができる。債務者の責めに帰すべき事由によって履行をすることができなくなったときも,同様とする。

(売主の瑕疵担保責任)
第五百七十条  売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは,第五百六十六条の規定を準用する。ただし,強制競売の場合は,この限りでない。

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住民票・戸籍謄本の発行事務の民間開放について

2005-11-23 11:26:09 | Weblog
住民票・戸籍謄本などの発行,06年度にも民間開放 : 政治 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

 これは,いきなり,という感じ。戸籍・住民基本台帳の原則非公開の方向性と,必ずしも矛盾するというわけではないと思うが,いかにも唐突な感じがする。私が知らなかっただけ? 「民間ができる」と「民間に任せて良い」は,同義ではないと思うが。

総務省 「住民基本台帳の閲覧制度等のあり方に関する検討会報告書」の公表

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東証の上場規則要綱試案の取りまとめについて

2005-11-23 08:59:54 | Weblog
東証 投資家保護を重視 上場規則要綱試案,「黄金株」原則禁止に (産経新聞) goo ニュース

東京証券取引所 コーポレート・ガバナンスの充実に向けた上場制度の整備について

東京証券取引所 買収防衛策の導入に係る上場制度の整備等について (要綱試案)

 試案の買収防衛策導入の3条件のうち「透明性」「予測可能性」は分かるが,「株主権を過度に制約しない」は曖昧な概念。結局,東証自ら言うように,個別の判断にならざるを得ない。このままでは,事例が重なれば格別,初期段階から十全に機能するのか疑問なしとしない。
また,留意事項に違反した場合は,東証が公表し,投資家に注意喚起するとともに,企業に是正を促す,ということだが,上場企業がこれを強行突破するとは考えにくい。その意味で,東証の「投資家に公表することで市場の規律が働く」という事態は,あるのかどうか。

個人的には,東証の要綱試案自体,予測可能性という点で不十分であり,かつまた,過度の規制のように思えるのだが。

敵対的買収防衛策の導入については,多くの企業が株主総会を開催する来年6月がターニングポイント。2月の規則改訂は,それを視野に入れたもの。与謝野大臣の発言などからすれば,このまま認可されるとは思えない。

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