法律の周辺

核心ではなく, あくまでも物事の周辺を気楽に散策するブログです。

子供の「父親を知る権利」について

2005-11-26 21:18:21 | Weblog
非配偶者間授精:子どもたちが「父親を知る権利」訴え MSN毎日インタラクティブ

 寡聞にして「AID児」という言葉は初めて知った。一般論として言えば,「知る権利」を根拠としたとしても,公的機関に対して主張するものであれば格別,そうでない限り,提供者(遺伝上の父親)を知ることは現実問題としては難しい。
仮に,相手方が国立病院等の医療機関であっても,提供者にもプライヴァシーを保護されるべき権利がある。ストレートに「開示請求認容」という結論が出てくるとは思えない。匿名を条件に精子が提供されたとなれば尚更である。これを無視して開示したとなれば,医療機関等が債務不履行責任ないし不法行為責任を追及されることになろう。

 ただ,生まれた子どもにとってはアイデンティティーにもかかわるきわめて重要な問題。開示を求める気持ちは理解できる。

 代理出産が現行法制で難しい問題に直面していることは,先日の最高裁決定でも,あらためて明らかとなった。しかし,子どもが成長した後は,本記事にもあるような,また別の問題が生ずることになる。生殖補助医療の発展に,法制度を含めた社会のシステム,なかなか追いつけない。

厚労省HP 精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療制度の整備に関する報告書


日本国憲法の関連条文

第十三条  すべて国民は,個人として尊重される。生命,自由及び幸福追求に対する国民の権利については,公共の福祉に反しない限り,立法その他の国政の上で,最大の尊重を必要とする。

第二十一条  集会,結社及び言論,出版その他一切の表現の自由は,これを保障する。
2  検閲は,これをしてはならない。通信の秘密は,これを侵してはならない。

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登録免許税の過誤納金の還付請求について

2005-11-26 12:04:43 | Weblog
最高裁HP H17.04.14 第一小法廷・判決 平成13(行ヒ)25 処分取消請求事件

 『ジュリスト No.1300』に4月に出された登録免許税の過誤納金の還付請求に係る最判に関する評釈が掲載されている。担当されているのは,前最高裁調査官の高世三郎氏。

本判決は,登記を受けた者が,登録免許税法第31条第2項所定の請求の手続によらなくても,国税通則法第56条に基づいて,過誤納金の還付請求が出来ることを明らかにするもの。
登録免許税法第31条第2項の請求に対する拒否通知が行政処分であることも肯定している。


不動産登記規則の関連条文

(登録免許税を納付する場合における申請情報等)
第百八十九条  登記の申請においては、登録免許税額を申請情報の内容としなければならない。この場合において、登録免許税法 (昭和四十二年法律第三十五号)別表第一第一号(一)から(三)まで、(五)から(六の二)まで、(七)、(八)及び(九)イからホまでに掲げる登記については、課税標準の金額も申請情報の内容としなければならない。
2  登録免許税法 又は租税特別措置法 (昭和三十二年法律第二十六号)その他の法令の規定により登録免許税を免除されている場合には、前項の規定により申請情報の内容とする事項(以下「登録免許税額等」という。)に代えて、免除の根拠となる法令の条項を申請情報の内容としなければならない。
3  登録免許税法 又は租税特別措置法 その他の法令の規定により登録免許税が軽減されている場合には、登録免許税額等のほか、軽減の根拠となる法令の条項を申請情報の内容としなければならない。
(第4項から第7項までは省略)

登録免許税法の関連条文

(過誤納金の還付等)
第三十一条  登記機関は、次の各号のいずれかに該当する事実があるときは、遅滞なく、当該各号に掲げる登録免許税の額その他政令で定める事項を登記等の申請をした者又は登記等を受けた者(これらの者が二人以上ある場合には、そのうち登記機関の選定した者)の当該登録免許税に係る第八条第二項の規定による納税地の所轄税務署長に通知しなければならない。
一  登録免許税を納付して登記等の申請をした者につき当該申請が却下されたとき(第四項において準用する第三項の証明をする場合を除く。)。 当該納付された登録免許税の額
二  登録免許税を納付して登記等の申請をした者につき当該申請の取下げがあつたとき(第三項の証明をする場合を除く。)。当該納付された登録免許税の額
三  過大に登録免許税を納付して登記等を受けたとき(国税通則法第七十五条第一項第五号 (他の行政機関の処分についての審査請求)の規定による審査請求に対する裁決により第二十六条第一項 の認定に係る処分の全部又は一部が取り消されたときを除く。)。 当該過大に納付した登録免許税の額
2  登記等を受けた者は、当該登記等の申請書(当該登記等が官庁又は公署の嘱託による場合にあつては当該登記等の嘱託書とし、当該登記等が免許等である場合にあつては財務省令で定める書類とする。)に記載した登録免許税の課税標準又は税額の計算が国税に関する法律の規定に従つていなかつたこと又は当該計算に誤りがあつたことにより、登録免許税の過誤納があるときは、当該登記等を受けた日(当該登記等が免許等である場合において、当該免許等に係る第二十四条第一項又は第二十四条の二第二項に規定する期限が当該免許等をした日後であるときは、当該期限)から一年を経過する日までに、政令で定めるところにより、その旨を登記機関に申し出て、前項の通知をすべき旨の請求をすることができる。
(第3項から第8項までは省略」)

国税通則法の関連条文

(還付)
第五十六条  国税局長、税務署長又は税関長は、還付金又は国税に係る過誤納金(以下「還付金等」という。)があるときは、遅滞なく、金銭で還付しなければならない。
2  国税局長は、必要があると認めるときは、その管轄区域内の地域を所轄する税務署長からその還付すべき還付金等について還付の引継ぎを受けることができる。

(還付金等の消滅時効)
第七十四条  還付金等に係る国に対する請求権は、その請求をすることができる日から五年間行使しないことによつて、時効により消滅する。
2  第七十二条第二項及び第三項(国税の徴収権の消滅時効の絶対的効力等)の規定は、前項の場合について準用する。

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耐震偽造マンションの住民に対する退去勧告について

2005-11-26 10:22:30 | Weblog
国交省,住民に退去勧告へ・耐震偽造マンション NIKKEI NET

耐震偽造:近隣住民が悲鳴 「いつ崩れてくるか不安」と MSN毎日インタラクティブ

 手続きとしては,退去勧告→退去命令,という段階を踏むよう。法文上,これらの名宛人は「当該建築物又はその敷地の所有者,管理者又は占有者」となっているようだ。しかし,程度の差こそあれ,隣接地の住人の中にも同様の危険にさらされている方がおられるのではないか。


日本国憲法の関連条文

第二十九条  財産権は,これを侵してはならない。
2  財産権の内容は,公共の福祉に適合するやうに,法律でこれを定める。
3  私有財産は,正当な補償の下に,これを公共のために用ひることができる。

建築基準法の関連条文

(構造耐力)
第二十条  建築物は,自重,積載荷重,積雪,風圧,土圧及び水圧並びに地震その他の震動及び衝撃に対して安全な構造のものとして,次に定める基準に適合するものでなければならない。
一  建築物の安全上必要な構造方法に関して政令で定める技術的基準に適合すること。
二  次に掲げる建築物にあつては,前号に定めるもののほか,政令で定める基準に従つた構造計算によつて確かめられる安全性を有すること。
イ 第六条第一項第二号又は第三号に掲げる建築物
ロ イに掲げるもののほか,高さが十三メートル又は軒の高さが九メートルを超える建築物で,その主要構造部(床,屋根及び階段を除く。)を石造,れんが造,コンクリートブロック造,無筋コンクリート造その他これらに類する構造としたもの

(違反建築物に対する措置)
第九条  特定行政庁は,建築基準法令の規定又はこの法律の規定に基づく許可に付した条件に違反した建築物又は建築物の敷地については,当該建築物の建築主,当該建築物に関する工事の請負人(請負工事の下請人を含む。)若しくは現場管理者又は当該建築物若しくは建築物の敷地の所有者,管理者若しくは占有者に対して,当該工事の施工の停止を命じ,又は,相当の猶予期限を付けて,当該建築物の除却,移転,改築,増築,修繕,模様替,使用禁止,使用制限その他これらの規定又は条件に対する違反を是正するために必要な措置をとることを命ずることができる。
(第2項から第15項は省略)

(保安上危険な建築物等に対する措置)
第十条  特定行政庁は,第六条第一項第一号に掲げる建築物その他政令で定める建築物の敷地,構造又は建築設備(いずれも第三条第二項の規定により第二章の規定又はこれに基づく命令若しくは条例の規定の適用を受けないものに限る。)について,損傷,腐食その他の劣化が進み,そのまま放置すれば著しく保安上危険となり,又は著しく衛生上有害となるおそれがあると認める場合においては,当該建築物又はその敷地の所有者,管理者又は占有者に対して,相当の猶予期限を付けて,当該建築物の除却,移転,改築,増築,修繕,模様替,使用中止,使用制限その他保安上又は衛生上必要な措置をとることを勧告することができる。
2  特定行政庁は,前項の勧告を受けた者が正当な理由がなくてその勧告に係る措置をとらなかつた場合において,特に必要があると認めるときは,その者に対し,相当の猶予期限を付けて,その勧告に係る措置をとることを命ずることができる。
3  前項の規定による場合のほか,特定行政庁は,建築物の敷地,構造又は建築設備(いずれも第三条第二項の規定により第二章の規定又はこれに基づく命令若しくは条例の規定の適用を受けないものに限る。)が著しく保安上危険であり,又は著しく衛生上有害であると認める場合においては,当該建築物又はその敷地の所有者,管理者又は占有者に対して,相当の猶予期限を付けて,当該建築物の除却,移転,改築,増築,修繕,模様替,使用禁止,使用制限その他保安上又は衛生上必要な措置をとることを命ずることができる。
4  第九条第二項から第九項まで及び第十一項から第十五項までの規定は,前二項の場合に準用する。

(第三章の規定に適合しない建築物に対する措置)
第十一条  特定行政庁は,建築物の敷地,構造,建築設備又は用途(いずれも第三条第二項(第八十六条の九第一項において準用する場合を含む。)の規定により第三章の規定又はこれに基づく命令若しくは条例の規定の適用を受けないものに限る。)が公益上著しく支障があると認める場合においては,当該建築物の所在地の市町村の議会の同意を得た場合に限り,当該建築物の所有者,管理者又は占有者に対して,相当の猶予期限を付けて,当該建築物の除却,移転,修繕,模様替,使用禁止又は使用制限を命ずることができる。この場合においては,当該建築物の所在地の市町村は,当該命令に基づく措置によつて通常生ずべき損害を時価によつて補償しなければならない。
2  前項の規定によつて補償を受けることができる者は,その補償金額に不服がある場合においては,政令の定める手続によつて,その決定の通知を受けた日から一月以内に土地収用法 (昭和二十六年法律第二百十九号)第九十四条第二項 の規定による収用委員会の裁決を求めることができる。

(都道府県知事又は国土交通大臣の勧告,助言又は援助)
第十四条  建築主事を置く市町村の長は,都道府県知事又は国土交通大臣に,都道府県知事は,国土交通大臣に,この法律の施行に関し必要な助言又は援助を求めることができる。
2  国土交通大臣は,特定行政庁に対して,都道府県知事は,建築主事を置く市町村の長に対して,この法律の施行に関し必要な勧告,助言若しくは援助をし,又は必要な参考資料を提供することができる。

(特定行政庁等に対する指示等)
第十七条  国土交通大臣は,都道府県若しくは市町村の建築主事の処分がこの法律若しくはこれに基づく命令の規定に違反し,又は都道府県若しくは市町村の建築主事がこれらの規定に基づく処分を怠つている場合において,国の利害に重大な関係がある建築物に関し必要があると認めるときは,当該都道府県知事又は市町村の長に対して,期限を定めて,都道府県又は市町村の建築主事に対し必要な措置を命ずべきことを指示することができる。
2  国土交通大臣は,都道府県の建築主事の処分がこの法律若しくはこれに基づく命令の規定に違反し,又は都道府県の建築主事がこれらの規定に基づく処分を怠つている場合において,これらにより多数の者の生命又は身体に重大な危害が発生するおそれがあると認めるときは,当該都道府県知事に対して,期限を定めて,都道府県の建築主事に対し必要な措置を命ずべきことを指示することができる。
3  都道府県知事は,市町村の建築主事の処分がこの法律若しくはこれに基づく命令の規定に違反し,又は市町村の建築主事がこれらの規定に基づく処分を怠つている場合において,これらにより多数の者の生命又は身体に重大な危害が発生するおそれがあると認めるときは,当該市町村の長に対して,期限を定めて,市町村の建築主事に対し必要な措置を命ずべきことを指示することができる。
4  国土交通大臣は,前項の場合において都道府県知事がそのすべき指示をしないときは,自ら同項の指示をすることができる。
5  都道府県知事又は市町村の長は,正当な理由がない限り,前各項の規定により国土交通大臣又は都道府県知事が行つた指示に従わなければならない。
(第6項から第12項は省略)

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