法律の周辺

核心ではなく, あくまでも物事の周辺を気楽に散策するブログです。

楽天・TBSの経営統合問題における信託の利用について

2005-11-29 14:25:28 | Weblog
楽天とTBS,和解へ最終調整・統合案撤回へ NIKKEI NET

「信託」という奥の手・楽天とTBS経営統合問題 NIKKEI NET

 「楽天から信託銀行への株式の信託が実現すると,楽天は信託期間中に限り,形式上,議決権を行使できなくな(る)」はそのとおりだが,必ずしも,信託契約の成立=楽天の経営介入阻止,というわけではなかろう。受託者は,善良な管理者の注意をもって信託事務を処理する(信託法第20条)。理論的には,TBSが楽天による経営介入を抑えることができるかは,「信託の目的」の内容如何に係るところである。

詳細は分からないが,この信託,バーター取引の一方の対価物といった色彩が濃厚。議決権の一部凍結を目的にしているとすれば,形式こそ信託だが実質は全くの別物,という言い方もできそうだ。なるほど,信託の目的は,実現可能であること,強行法規及び公序良俗に反しないこと,といった要件を具備すれば問題ないとは一応言えるが・・・。


信託法の関連条文

第一条  本法ニ於テ信託ト称スルハ財産権ノ移転其ノ他ノ処分ヲ為シ他人ヲシテ一定ノ目的ニ従ヒ財産ノ管理又ハ処分ヲ為サシムルヲ謂フ

第四条  受託者ハ信託行為ノ定ムル所ニ従ヒ信託財産ノ管理又ハ処分ヲ為スコトヲ要ス

第七条  信託行為ニ依リ受益者トシテ指定セラレタル者ハ当然信託ノ利益ヲ享受ス但シ信託行為ニ別段ノ定アルトキハ其ノ定ニ従フ

第二十条  受託者ハ信託ノ本旨ニ従ヒ善良ナル管理者ノ注意ヲ以テ信託事務ヲ処理スルコトヲ要ス

第二十二条  受託者ハ何人ノ名義ヲ以テスルヲ問ハス信託財産ヲ固有財産ト為シ又ハ之ニ付権利ヲ取得スルコトヲ得ス但シ已ムコトヲ得サル事由アル場合ニ於テ裁判所ノ許可ヲ受ケ信託財産ヲ固有財産ト為スハ此ノ限ニ在ラス
2 前項ノ規定ハ受託者カ相続其ノ他包括名義ニ因リ信託財産ニ付権利ヲ承継スルコトヲ妨ケス此ノ場合ニ於テハ第十八条ノ規定ヲ準用ス

商法の関連条文

第二百六条  株式ノ移転ハ取得者ノ氏名及住所ヲ株主名簿ニ記載又ハ記録スルニ非ザレバ之ヲ以テ会社ニ対抗スルコトヲ得ズ
2 会社ハ定款ヲ以テ名義書換代理人ヲ置ク旨ヲ定ムルコトヲ得此ノ場合ニ於テ名義書換代理人ガ取得者ノ氏名及住所ヲ株主名簿ノ複本ニ記載シタルトキ(其ノ複本ノ作成ニ代ヘテ電磁的記録ノ作成ガ為サレタル場合ニ於ケル其ノ電磁的記録ニ記録シタルトキヲ含ム)ハ前項ノ名義書換アリタルモノト看做ス
3 会社ハ株券ヲ登録スル為定款ヲ以テ登録機関ヲ置ク旨ヲ定ムルコトヲ得

第二百三十九条  総会ノ決議ハ本法又ハ定款ニ別段ノ定アル場合ヲ除クノ外総株主ノ議決権ノ過半数ヲ有スル株主出席シ其ノ議決権ノ過半数ヲ以テ之ヲ為ス
2 株主ハ代理人ヲ以テ其ノ議決権ヲ行使スルコトヲ得但シ其ノ株主又ハ代理人ハ其ノ代理権ヲ証スル書面ヲ会社ニ差出ダスコトヲ要ス
3 第二百二十二条ノ五第三項及第二百四条ノ二第三項ノ規定ハ前項但書ノ書面ノ差出ニ之ヲ準用ス
4 第二項ノ代理権ノ授与ハ総会毎ニ之ヲ為スコトヲ要ス
5 会社ハ株主ガ二人以上ノ代理人ヲ総会ニ出席セシムルコトヲ拒ムコトヲ得
6 取締役ハ総会ノ終結ノ日ヨリ三月間第二項但書ノ書面及第三項ニ於テ準用スル第二百二十二条ノ五第三項ノ電磁的方法ガ行ハルル場合ニ於テ其ノ方法ニ依リ作ラルル電磁的記録ヲ本店ニ備置クコトヲ要ス
7 株主ハ営業時間内何時ニテモ左ノ請求ヲ為スコトヲ得
一  前項ノ書面ノ閲覧又ハ謄写ノ請求
二  前項ノ電磁的記録ニ記録セラレタル情報ノ内容ヲ法務省令ニ定ムル方法ニ依リ表示シタルモノノ閲覧又ハ謄写ノ請求

第二百三十九条ノ四  株主ハ二個以上ノ議決権ヲ有スルトキハ之ヲ統一セズシテ行使スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ会日ヨリ三日前ニ会社ニ対シ書面ヲ以テ其ノ旨及理由ヲ通知スルコトヲ要ス
2 第二百四条ノ二第二項及第三項ノ規定ハ前項後段ニ規定スル書面ヲ以テ為ス通知ニ之ヲ準用ス
3 株主ガ株式ノ信託ヲ引受ケタルコト其ノ他他人ノ為ニ株式ヲ有スルコトヲ理由トセザルトキハ会社ハ株主ガ議決権ヲ統一セズシテ行使スルコトヲ拒ムコトヲ得

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会社法の施行に係る法務省令案の公表について

2005-11-29 12:15:16 | Weblog
法務省HP 「会社法施行規則案」等に関する意見募集

 会社法の設立等に係る技術的・細目的な事項は法務省令に委任されているが,本日,その省令案が公表された。公表された省令案は9つあり,次のとおり。

「会社法施行規則」
「株主総会等に関する法務省令」
「株式会社の業務の適正を確保する体制に関する法務省令」
「株式会社の計算に関する法務省令」
「株式会社の監査に関する法務省令」
「株式会社の特別清算に関する法務省令」
「持分会社に関する法務省令」
「組織再編行為に関する法務省令」
「電子公告に関する法務省令」

意見募集は,本日から同年12月28日(水)までとのこと。

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自民税調の2006年度税制改正に係る議論について

2005-11-29 08:41:47 | Weblog
自民税調,定率減税の全廃を容認 YOMIURI ONLINE

 出席議員からは,定率減税の存続を求める意見は出なかったとのこと。12月15日の与党税制改正大綱に「2007年度からの定率減税の全廃」が盛り込まれるのは確実の情勢。
一方,a IT減税廃止と新たな企業優遇措置の創設,b 不動産登記の登録免許税の軽減措置の取扱い,などについては定率減税廃止とのバランスを考慮して議論がおこなわれるとのこと。こちらは未だ浮動的か。

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