老人雑記

生活の中で気づいた浮世の事

猫置いてどこへもゆけぬ

2015-09-08 14:21:42 | 俳句


     ☆    秋の水やわらかに手によみがへる    中村汀女

     ☆    もろこしを焼くひたすらになりてゐし

     ☆    ほつほつと木犀の香に降つて来し

     ☆    裁ち鋏月をよそなる切れ味に

中村汀女の台所俳句を拾ってみた。
省略の極みのなかに、言われえぬ女性の心根が溢れる句だ。
澄明な秋の水に、家庭を守る汀女の凛とした姿がある。
ひたすらな生活に中、何か思いつめながら 玉蜀黍を焼いている。今、心を占めているものがあるのであろうか。
夕餉の支度にかかろうとすると、雨になった。雨の気配があると、ものみな香をよく放つ。
ほつほつは雨にも金木犀の香にもかかるのか。
あたかも月の夜。子供の洋服でも作るのか。切れ味の良い鋏がつつうと、生地の上を走る。
季語の月の光と鋏の取り合わせがなんとも言えぬ。
省略が凄い。平明で奥が深い。


     ☆    とどまればあたりにふゆる蜻蛉かな 

今の季節の代表句。
優しい言葉で、心に溶け込んでくる。     



姫 が朝から私を離れない。
雨が降ったり止んだり、はっきりしない毎日。猫なりの欲求不満があるのか 後先をついて歩く。それはそれは可愛い。而して、この猫を置いて、どこへも行けない。
一泊吟行に行きたい。しかし預けると餌も食べずに待つ猫だから。



パソコンを打っていると、そろそろと邪魔をしに。
おお 姫 姫 と適当に声をかけているうちに、本格的に鼾をかきだした。
姫 の頭の構造をのぞきたい。きっと、私を母と思っているんではないかしら。

     しりとり俳句から生まれた句
         めはじきやお里見えぬか背のびする
         天高し父の記憶の肩車 
         涼新たふんでなんぼのうどん生地
         迷いをりデカルトカント大花野
         風戦ぐ高原群れる赤とんぼ
         猫じゃらし猫の眼に吾の顔

             オソマツ






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