老人雑記

生活の中で気づいた浮世の事

羽毛のジャケットのリメイク

2015-11-30 13:36:09 | 俳句
          秋愁や舌噛みさうな病の名    葉

          あびるやう目薬さして冬籠もり   葉



 急に寒くなったので、冬の部屋着を出した。
今年はまだストーブも炬燵も出していない。夜、テレビを観たり、パソコンを打つときちょっとはおる上着が、このベストかな?ちゃんちゃんこかな?



これこそ、私のリメイク中のリメイク。
十年以上も前に羽毛の上着が出始めたときに買った、中に羽毛がもこもこ入って、丈が短いジャケット。
四、五年前、袖を外して、ベストにリメイクをした。
寸法をきちんと図り、ベストの型紙を取り、藍染の端切れをつないだ。
刺し子糸でステッチをかけた。古布をつないで、刺し子で洋服を作っているのを参考に、新しい布でやってみた。ばっちりだ。
裏はジャケトをそのままに使用。襟ぐり、袖ぐりは、バイアスに繋いだ藍の布でくるむ。
   
       入院の荷に香水をしのばせる    葉

 二年前は、七回入院した。内臓から目にきた、特定疾患の珍しい病気。間で、ヘルペス、口腔の病気、お終いは、足の怪我。その間に、交通事故。信号待ちで止まっていた車に認知症のじじい(ずいぶん言葉が悪いけれど、もしあのまま、、、)に追突された。今でも許していない。入院はしないですんだが、背中が三週間ほど、筋が痛くて動けなかった。
諸々のことが、じじいとの間にあって、書くことは長くなるから控える。
そんな、年もあるもので、去年、今年と目の手術のおかげで、良く見えるものだから、すっかり、苦しかった一昨年のことは忘れていた。

 冬の何回かの入院で、このベストが、大変役にたった事を、ふっと思い出したのである。
ぞろぞろと長いガウンより、ずーっと重宝した。
目が見えるようになり、本が読める、何よりもパソコンを打ってブログを書くことができるなんて、幸福なことである。



この、ちゃんちゃんこは、娘の時の羽織に姉が綿を入れて、仕立て直してくれたもの。
一度も袖を通したことのなかった着物はしつけ糸が付いたまま、姉にあずけていた。
私がリメイクをやり出してから、着物はあっちへ行ったり、こっちに返ってきたり忙しい。
その内の一枚が、暖かいちゃんちゃんこに姉がリメイクしてくれたのである。中に入れている綿がまことに軽い、そして暖かい。(かあちゃんの温もり)
これも、風呂あがりや、布団の上に置いておくと、夜中のトイレの時に重宝する。


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公園の鴨

2015-11-29 18:45:46 | 俳句

            尻を振り大きい足で鴨歩く   葉


 人と待ち合う時間まで、二、三十分あったから、栗林公園に鴨を見に入る。
入り口を右に行くと、すぐこの立札がある。
書いてあるとおり。


秋の日曜日とあって、観光客で賑わっている。
コースに沿ってゆくと、この鴨の覗き穴は一番にあるのだけれど、誰も見向きをしない。
ボランティアのガイドさんも、素通りしてゆく。
形は、古墳のように見える。高さはニメートルくらいかな。
穴から覗いた先は、二メートルくらいの幅で二十メートルくらい距離の水を引き込む水路が有る。が物音はしない。何かが動く気配も無い。

裏に回って、見るとこうなっている。
小径をたどって行く。
       
        芳しきこの香はなにぞ冬の森

        先に立つはボランティアの子冬紅葉


いたいた。通し鴨かもしれないが、美しい羽根をしているからは、オスの真鴨だろうか。
        
        おい四羽の鴨よいかなる関係ぞ

 この鴨池の辺りはほとんど人が来ない。



        この池に映える逆さの紅葉かな

        振りむけば今し着水したる鴨

        雲の影ほどけてゆける鴨の池

        鳥の水尾が切りて紅葉に染まる池

待ち合わす時間がせまってくるから、いやいやながらこの池を去った。
残念。
松平の殿さまは、自分の思うように、池を造り、春夏秋冬、美しい庭を愛でたのあろうな。優雅でしたな。

検索の句
     ☆彡   垣間見る冬の日向の蓆干

     ☆彡   唐傘を干して貴船の紅葉茶屋



         

 

        
        
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KOSI   から(3)

2015-11-28 12:04:48 | 俳句


      ☆    山茶花の一樹にむすぶ庵かな   長谷川櫂

 山茶花の大きな木がある庵である。「一樹にむすぶ」は「一樹に暮らす」とも読める。石川丈山の詩仙堂が思い浮かぶ。
(大呂インターネット句会より)



「俳句自在」から
     ☆   朴落葉水面に浮きて動かざる   下村和生
「動かざる」がみえたこと、ここが立派だ。この一語は冬そのものの姿でもある。
     
     ☆   柿熟すおばも熟して九十七   野田省吾
おばあさんを熟柿にたとえた。このいい方が卓抜。

     ☆    間引き菜は洗うそばから流れ去る   真板道夫
この句の間引菜は人間界の比喩でもある。逆にいえば人間界を描くにはこうすらばいい。

     ☆    秋晴や人形焼の顔を選り   小池沙智知
     ☆    生れしより故郷にをり菊の酒   今村武章
ふと気がつけば、ずっと故郷にいる。そうした人の姿が目に浮かぶ。

     ☆    柿供へかへらぬ日々にまた涙    橋詰芳子
誰かを悼む句である。「かへらぬ日々にまた涙」という言葉の流れが自然。つまり型どおりではない。

     ☆    時かけて十字にひらく椿の実   諏訪いほり
「時かけて」というところが、年齢の賜物。


何年か前の古志のページを繰っていたら、特選句の選評があった。
何げなく読んでいたのだろう。今、読み返すと、いつも師が口を酸っぱく、言っていることが書かれている。
理屈はいけない。思いがこもっていなければ、、、形容詞以外の言葉で。
短い選評の言葉に、これらが込められていた。


        咲き満ちて山茶花に翳なかりけり   葉
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着物で街歩き

2015-11-27 12:37:50 | 俳句


この美しい、お嬢さん方、ブログに載せてもいいですか?と承諾を得て写真を撮らせてもらった。快く、承知してくださった。

昨今、古い町並みを歩いていると、着物を着た若い人達に出会う。
真ん中のお嬢さん、普通だと地味な色あいである。洋服感覚で着て、帯は反対に派手め。右のお嬢さんも粋な縦模様の着物に、締めれば横柄となる帯。左のお嬢さんは、年齢相応の可愛い着物。青い帯がよく映えている。
後ろに回って結んでいる帯を見せてもらう。着物を着る機会もないし、娘もいないので、よく解らないないが、蝶々結びだったり、片方を長く垂らしていたり、綺麗に結んで貰っている。
貰っているというと語弊があるかも知れない。きもの教室などに通って、ちゃんと一人で着付けをして、帯も一人で結んだのかもしれないから。
ここは、亰都の嵯峨野駅。竹林の散歩か、電車に乗って紅葉見物か。着物がよく似合う楽しそうな、素晴らしい三人のお嬢さん達であった。

着物を着て歩くのに似合う街はどこも、レンタル着物に力を入れて、街を散策するのに一役かっている。
棒の先にカメラ取り付け(何と言う名前か)アベックが瞬時に笑顔をつくり自分たちで撮影をしている。
男性はなんと、皆さんきれいに着こなしている。雪駄を履いて、外股歩きをしていても、不自然でない。羽織をはおり、手には巾着袋を下げている。姿勢がいいのが一段と良い男にうつる。皆、小物のような細々とした物、足袋も含めて、レンタル屋が用意をしているのだろう。
愛する女性が、一日、着物を着たい。付き合ってと押し切られて着た感じがしないでもないが、、、、
平和な日本、着物姿っていいな~。



        ☆    うすももの下うすももな六本木    小沢信夫

        ☆    羅を着し自意識に疲れけり    小島照子

        ☆    落ち椿赤い着物はもう要らぬ   村井一枝

        ☆    薄物や背ナ逞しき僧来たる    原田廸子
    
        ☆    すれちがい移り香残し秋袷    瀧瀬はる子

着物の句を検索すると、いっぱい有名俳人の句が出てくる。山のように。どれも名句である。ことに杉田久女はあまたの句どれも心がうたれる。

        ☆    花衣ぬぐや纏わる紐いろいろ   杉田久女

その他、何句も。

昨日の検索句
     ☆彡   鮟鱇鍋「吟醸の栓ぬきまかしようか」
      



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冬の雨

2015-11-26 12:16:05 | 俳句
昨日も半日雨。
今日は朝から雨。
夏の間は、毎日テレビが報告する、吉野川の源流にある、早明浦ダムの貯水量が気にかかるのだけれど、冬になると、そのことはすっかり忘れている。
お隣の方々、野菜を育てている人とか、たまには水遣りをやらねばならぬガーデニングの愛好家さんが、
「雨が降らなくて大変」と嘆いているのを聞いて、ああそうか、雨はこの何日間か降っていないと、思うそれくらいの関心如になってしまっている。
殿 が元気だった頃は、雨の日の散歩はいやだった。
人間て、ことに私だけかもしれぬが、勝手なこと。

冬の雨の俳句を拾ってみた。

       ☆    冬の雨火箸をもして遊びけり   一茶
         
一茶の淋しさがぐっと胸にせまる。一茶を、あまり裕福でない俳人と、先入観を抱いて観賞している、私がいる。江戸時代の火箸が何で出来ているのかこの句を読むまで思ったこともなかった。
長い竹の箸、それとも木を削った細い棒状の箸か。火鉢を抱え込んで、火の消えかけて衰えた火勢に、持っていた火箸を折ってくべている。それを遊んでいると強がっている、一茶が見えてくるのだ。
俳諧師として、訪れる句座を開く家は、鉄で出来た私達も知っている、火箸を使用していたんだろうな。


       ☆    編棒のかちあう音や冬の雨   芝川百合子

       ☆    冬の雨ブラックコーヒー膝に猫    安部里子

       ☆    ひさびさに皆家に居り冬の雨    村上留美子

       ☆    口紅を濃くひき冬の雨に出づ     柳生千恵子       

どなたの句も雨となった冬の日の一こまを俳句に詠いあげた。
毛糸編みに夢中になっていると編棒のふれる音がする。かすかな音である。編んでいる本人にしか聞こえない。
熱い紅茶にしようか、コーヒーか。コヒーを入れて寛いでいると膝に来る猫。寒くて退屈な猫はご主人さまの膝の上が大好き。これも膝を貸している人にしか聞こえない、猫の規則的な寝息がする。
久々に家族が揃ったから、今日はすき焼きにでもしょうかと会話が聞こえてきそうな句。
そして、勝負服ではないけれど、少しでも、雨のくらさをふきとばさんと、口紅を朱くひいて気合を入れ雨の街へ出かけてゆく。
どなたの句も、気持ちがよくわかる。日常茶飯のこの事柄に気がつかなかった、私は、まだまだ俳句修行が足りないな~。


       昼近き朝餉となりぬ冬の雨
       猫あくび夫のため息冬の雨
なんと情のこもらぬ下手くそ俳句。オソマツでした。
検索したら
       ☆彡    池の岸打ちたる鳰の水輪かな
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