老人雑記

生活の中で気づいた浮世の事

  久々に嬉しかった

2019-08-31 09:33:09 | 俳句

      

 

前の日に餌をやりに行った夫が

「おい、ナナメがおるようだ」と言う。

聞くと、顔にホクロがあり、隣の塀からじっとこっちを見ていた。声をかけたが、トラを見てどこかへ行ってしまった。あれはナナメに違いがないと言う。

ナナメが消えてから三か月あまり。ずっと心配をしていた。

こころ無い人に、、、。猫どうしが喧嘩をして、もしかしたら、、、と悪い想像ばかりをしていた。

 

     ☆    あきらかに恋をしてゐる猫のかほ    櫂

 

       

 

きじ猫のトラの為に、それと、トラが子供を連れているから、それらの為に夫はせっせと餌を運んでいた。いつもナナメはどうなったのだろうと会話をし心配をしていた。

それが三か月ぶりにナナメに似た猫を見たと言う。

そして昨日、一緒に向うの家に行く。

「ナナメ~、ナナメー、-」と何度か呼んでみる。

おい、後ろ、後ろ、、、、と夫が言う。何か気配を感じていたが「ナナメー」と呼んでいると「ニャー ナニヤー ママサンー」と言う声が。

さっきから「ニャーニャー」と言っていたのはトラと思っていたのは、傍まで来ていたナナメだったのだ。

 

     ☆     猫の子暴れん坊と冬ごもり    櫂

 

手を差し伸べると頭を寄せてくる。何度も何度も「ナナメ、ナナメ」と声をかける。喉をなでるとゴロゴロと、、、。

私から離れて、部屋に入り、やがていつものように、二階へ上がって行く。家中を一巡をして満足をしたようだ。

餌には見向きもせず、トラを追っかけて二匹とも唸りながら去って行った。勢力争いをしているらしい。どっちが勝ても負けても、困った困った。

大事にしてくれる家を見つけたのか。お腹が大きくなっていたからどこかで出産をしたらしい。小さい小さい猫は夫も見ている。

最後まで責任のもてない私達。

「ナナメ、連れて行けないでごめんね」と頭を撫ぜながら聞かせた言葉を理解しているらしい。涙腺が緩んだけれど、やはり無責任だな!

 

     🍏    三月ぶり猫戻りくる秋黴雨

 

久々に逢えた。私の呼ぶ声に応えて、我が家へ来たナナメ。嬉しかった生きていた。ナナメは強い、どこかで野良らしく生き抜いているようだ。

 

 

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  エンジンがかからない

2019-08-29 09:54:27 | 俳句

     

 

エンジンがかからない。

もう秋だというのに、頭の中はいつの風とも判らぬ風が吹き抜けるばかりで、それによって空っぽになるばかり。

 

    ☆     晩涼や葉隠れの花みえながら     櫂

    ☆     何入るる生簀籠とや秋の風     櫂

 

先生には、草花を詠んだ句は少ない。 句集を読みながらそんな事に気づいた。大きい、大きな景が秋とともにやってきた。

 

     

 

琴電が川向うを通る。

どなたか忘れたが、結社の句会があって

     🎐     コトコトと琴電:::::

このような、コトコト を、いたく感心して誉めていた選者がいた。

いつもこの電車を観ている私は、このように褒められる句心はこれまでも、これからも湧かない。平常、日常からこのフレーズに思いいたらぬ自分の、、、何と申そうか俳句を作る境地に至っていないのであろうと感じた。

俳句は難しいと考えさせられた句として、こんな句に疑問符が、、、。

とある有名結社の、二番手、三番手の俳人。名前はよく売れているようだ。

     ☆     サングラス百円ショップで百八円

よく解らない。

 

さてさて、秋風が吹いて、環境としては申し分ない時季になった。句は少しも出来ない、アアアアー。

      
         

昨日は小雨の中を散歩。 整備された散歩道を、川向を走る電車を見つつ行く。途中龍の髭が咲いていた。秋も深まると濃い宝石のような紫の玉がつく。

       🍏    留学生会館真昼しずかや龍の髭


 

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   朝の雨

2019-08-27 14:56:42 | 俳句

     

 

今朝は雨。

昨日から二学期の始まり。雨の中を通学の小学生は北へ、中学生は南へと行きかうのを窓から見る。

およそ十分間くらいの通学路の賑わいだ。

 

       

 

みんな楽しい子供時代があった。立派な両親に育てられても、芸術家の性がまさってしまい薬物に染まった俳人の句集をふと手にた。

 

      ☆     天高し二日つづきの雨なれど

      ☆     秋風の匂ひす今日は日曜日

      ☆     翼ある船に乗る夢迢空忌

彼の有名な映画監督でもあり俳人でもある角川春樹氏の「檻」の中から窓辺からの雨を見つつ読みながら抜粋をした句。

獄舎の中で作った句と思われる。氏にとって経験の一つとしてしかとらえていない、、、さて重大な事だったのかしらとしか思えない。

     ☆     浮雲のゆたかに流る九月かな

     ☆     秋深き獄舎にひとりさびしくないぞ

数を詠むために作句したとしか思えないような句が、、、

心の底からふつふつと沸き出した句とは思えない。持て余す才能を獄舎の中で遊ばせた句のようだと思いつつ繙いている。心に響いてこないのだ。 

 

見知らぬ人には挨拶をしても挨拶を返さない、今の子供達。どんな大人に育つのやら。 塵を捨てに行って子供に出逢い挨拶をすると、上目ずかいに睨み返された。毎度の事だから。驚きもしないが、、、、。!

 < 物言えば唇寒し秋の風 >  って心境だ!

 

 

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   団地のお祭り

2019-08-26 21:39:19 | 俳句

     

 

      ☆    おみこしにほいほいほいとついてゆく    櫂

 

もうすぐ秋のお祭り。

向うの家に住んでいたら、、、。

初めてのお祭りの夜、伊勢音頭を唄いながらお神輿を町内に迎えた時の心の昂ぶりを想いだす。

静に伊勢音頭が流れ、お神輿の提灯が揺れる。家々から見物や、お神輿を迎える人々が道々にあふれ、いつもひっそりとした団地が一刻だけ賑やかな様相になる。

この町の住人になってここで生きてゆくと決心をしたような、、、

ささやかに氏神さまに寄付をし、お神輿を担ぐ人達の接待を町内会の、その年の役員達がする。

本祭りの前日は子供神輿が町内を歩く。神輿を担ぐ、そんな力は最近の子供には無いらしく、お神輿を積んだ車を曳いて行く。

田舎の小さな町のお祭りを懐かしんでいる今。

 

       

 

実った田圃の向うに祭屋台が通る。屋台には子供が乗り太鼓を叩いている。

あちこちの町内から、大小の屋台が集まると、大集団となり一か所に集まると、祭りもたけなわ。月が出る頃に提灯に灯が点り伊勢音頭が流れるとちょっと、、、嬉しく淋しく複雑な心ぶりになった。 そんな感情を味わい楽しんだ去年までの何年間だった。

 

      ☆     鈴鳴つて神がかりゆく神輿ぶり    櫂

 

村の鎮守の神様の、、、、ドンドンヒャララ、ドンヒャララ、、、、唱歌の村祭りと趣が異の志度郷のお祭りを秋風が吹く窓辺で思い出している。  

 

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   風蘭

2019-08-25 10:19:05 | 俳句

  

     

     ☆    風蘭や大樹を風の吹きかよふ     櫂

 

     ☆    風蘭に月落ちかかる軒端かな     櫂

 

 

風蘭はとても良い匂いがする。 白い可憐な花は夜になると芳香を放ち蛾などを誘うらしい。

木の幹に咲いた、この風蘭。親しい友人から電話がかかり、風蘭が、今は盛りと咲いて良い匂いだから、いらっしゃいよと言ってきてくれた。

大きな家の大きな客用の座敷の縁側に通された。古い槙の木の枝分かれした幹や、何か所もある枝に見事に花をつけていた。

辺りは良い匂いが咽るように漂っている。

特等席に座って 風蘭を愛でる。白い花もさることながら、一番のお茶受けはこの環境だ。

 

昔、仕事をしていた時。部長室に呼ばれた。部長室に呼ばれるなんて事はめったに無い。悪い話では無かった。 自慢になるからその時の話は秘密。30数年前の事。

ドアを開くと、大きな部長の机の上に小さな風蘭の鉢植えがあった。きっと、どなたか側近の方の差し入れだろう。良い匂いの時は部長の机の上。花期が終われば、側近の誰かが、持って帰って又手入れを重ねて来年も又咲かすのだろう。そんな思いが頭の中をくるくるとよぎった。

「風蘭ですか? よい匂いですね?」

部長に、おくすることも無く言った。

その頃は珍しい花だった。私ま名前を知っていたし、写真で見たことはあっても、実物の花、良い匂いに接したのは初めてだった。

「ああ、そうだよ、俳句をしているから知っていたか?」

そんな会話を今でも想い出す花だ。

会社に勤めた経験がある者は会社は縦割りの組織で、ペイペイの平社員は社長室や部長室は用事の無い場所。直接、呼ばれることなどめったにあるものでは無い。


侘び寂びの世界と別の 風蘭 の想い出。


              


      🎐     風蘭のかをり纏ひて部屋出づる

およそ粋とは関係の無い句しかできない・   

 

 

 

 

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