老人雑記

生活の中で気づいた浮世の事

   借耕牛

2019-10-26 15:06:50 | 俳句

昨日は腰が痛くて家の中で歩くのも不自由だった。

土曜、日曜と続く。病院で診てもらっていなくては、もしこれ以上に痛みが激しくなったら困る。それを心配して近所の整形外科に初めて行く。

レントゲン写真を見た医師は、骨は悪くないようだと。

「原因は?何かしましたか?」

「思いあたるのは一昨日、かわら街へ行き、用事が終わり、買物をし、大きい荷物を待ったのが、、、駅を降りて5分くらい重たい荷物を持って帰りました」

「ふふん、、打ち出の小槌かなんか?」

「果物が美味しそうだったから沢山」

「それにしても珍しいお名前ですね。讃岐の方ですか?」

「いいえ、阿波です。」

「少し立って下さい。ベッドに横になって。」

足を上に上げたり降ろしたり、膝を叩いたりした検査が終わる。

「大丈夫ですよ。それにしても身長が高いですね。」

「昔は大きかったと思いますが、今は普通ですね」

「讃岐男に阿波女、どういう意味でしょう?」

「さあ~。阿波女は情が深いのかしら?」

「僕は子供の頃、(カリコウシ)の世話をしていました」

「そうですか。いい制度だったみたいですね」

どうして (カリコウシ) の会話に、、、

医師は年寄りに見えた。私の年齢はカルテを見ると一目瞭然だ。年齢が同じくらいかも知れぬ。私もまぎれもない年寄りだ。わたし、先生のお母さんに見えたのかな~?

次から次と質問をされる。

「可愛い猫のブローチですね。」

「はい、猫や犬が好きで飼っていました。志度で!二匹とも亡くなって、病院が沢山ある、こちらへ越してきました。それで今回も先生のお世話になることに」

「ほお、、犬や猫は可愛いいですか?」

「はい、癒されます」

「先生。それにしても讃岐男も阿波女も、交通マナーは悪いですね~」

「事故の後遺症でリハビリ患者も多いですよ」

よほど医師は話好きらしい。看護婦に促されて次の患者さんが呼ばれる。

「来週の月曜日、もう一度来て下さい。様子を確かめましょう」

「ハイ 有り難うございました」

 

カリコウシとは!

< (借耕牛)と書く。徳島の山間部は草資源が多く牛を飼いやすく、反対に香川県は平野部は水田が多く稲わら、麦わらは副業に使用するため、草資源に乏しく、牛を飼うのが容易でなかった。などなどの事情から行われるようになったと、、、。普通、取次業者が中に入って契約を交わし農繁期の、夏秋を通じ約80日ほどであった。借耕牛の頭数は、多い時期には夏秋作を通じ約八二〇〇頭。徳島からの経路は、五名口、清水口、岩部口、美合口、塩入口、猪ノ鼻口、野呂内口、曼蛇口などであった。 賃貸の時期には各峠の集合場は牛を追い上げ、追い上げる両県の農家でにぎわい、飲食店などが繁盛したらしい。>

一度、このカリコウシが通った峠道を歩きたいと思いつつ、身体が利かなっくなっている。懐かしい言葉だ。実家からの帰り、遠廻りし、今は温泉施設がある峠を、カリコウシが通ったなどと、想いを馳せながら休憩をすることも。

 

     🌸    山桜そのかみ借耕牛通る

     ✾    待合室せはしなげなる秋扇子

     ❁    話好きの医師と患者や暮早し
     
     ❀    宿題は狐が提灯下げ来るぞ

 

今日はまだ、食卓の上の鉄瓶に手を伸ばすとじんと痛みが、、、。ああ歳は取りたくない!

 

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     柘榴の実

2019-10-24 14:37:00 | 俳句

   

 

柘榴を見ていると、バックパッカーが四人通りかかった。

最近は日本人にもまして外国のパッカー?遍路がよく通る。

「オオー」と言って先頭の人が立ち止まると、みな柘榴を見上げている。

「私の家の柘榴だと、ちぎって差し上げれるのですけれど」とお接待の心がわいてきた。

「ええ、ありがとううございます」と短い会話をして別れた。

柘榴は原産はペルシャ地方で、シルクロードを通って平安時代に薬として日本へ入ってきたそうだ。

 

           実柘榴や抜けた乳歯を屋根に投げ

           柘榴の実一つこぼして又こぼす

           パッカーの恋し柘榴の実る家

           かき鳴らす竪琴柘榴の実る丘

           柘榴酸っぱその一粒のいとほしく

 

昼食も終わった。これからお裁縫を、、、布地が二~三枚、目の前に。

 

     

 

  

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    菊池寛通り

2019-10-23 21:01:00 | 俳句

         

 

用事があり高松の中心街のビジネス中心地へ行く。秋暑しで歩くだけで汗がにじむ。

途中ふと目しした薬局の名前が「菊池寛通り調剤薬局」

そうだこの辺りは菊池寛の生家の跡地もあり、高松では迢有名な文豪の名前のついた、菊池寛通りなのだと思った。

 

    

 

辺りには、彼の代表作である「父帰る」の作品の一場面のシーンの像がある。

他の作品で一番に想い出に残っているのが、子供の時に読んだ「恩讐の彼方に」。そして「忠直卿行状記」「藤十郎の恋」「屋上の狂人」「真珠夫人」等々。もっともっと多くの名作があるから又読み直すのもいいものだ。

      🐦     パッカーの短いズボン鳥渡る
      
      ✾     色鳥や街にあふれるビジネスマン

 

     

 

目を転ずると大通りの向う側には市民が親しむ「中央公園」がある。薄く紅葉づる木の間に、菊池寛の銅像が道路に向いて高松の変遷を観察?というより考える風の表情で建っている。


       🎈    菊池寛獅子の風貌空高し

       🎈    芥川賞欲しき文士よ柘榴の実

 

説明はいらぬと思うが彼は

 {「私費で雑誌「文藝春秋」を創刊し、出版事業の進展に尽力。'26劇作家協会と小説家協会が合併して日本文藝家協会を発足、初代会長に就任。 文芸家の職能を擁護確立、地位向上、言論の自由の擁護、収入・生活の安定などを活動の主軸とした。

個人的にも横光利一川端康成、小林秀雄らの新進の文学者に金銭的な援助をおこなった。 また、日本文学振興会を設立し、純文学の新人作家を対象とした芥川賞・直木賞の設置するなど、文壇の大御所として活躍した。」}

 

作家として生きてゆくための登竜門の芥川賞や直木賞を、今年は誰の手に渡るかが恒例の行事となっているが、さあ、あまり関心の無い人には菊池寛が創設した文学賞だとは知らない人もいるか?

(芥川賞が欲しくて欲しくてたまらないまま、ついに自死してしまった「太宰治」は賞をとったどの人とりも人気作家として現在も読み続かれている)

 

つい最近の話題で、日本文学振興会は21日、現在開催中のラグビーW杯で初めて決勝トーナメント進出を果たした日本代表チームに、第67回菊池寛賞を授賞することを追加発表した。関係者によると、70年近い歴史を誇る同賞の中で、追加発表が行われるのは史上初となる、、、、こんなニュースが流れた。日本中を興奮のるつぼにしたラグビー、まだその興奮は覚めていないようだ。

 

そんな半日を、、、ああ疲れた。お日さまに弱い私。街から電車を利用して帰ると二時間余り寝てしまった。

 

 

     🍎    地下街の低き天井そぞろ寒

      🍎    ちちろ虫鳴く地下街の五交路かな

     🍎    秋遍路ビジネス街はお昼時
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   世間を狭くしているのは、、、

2019-10-21 13:40:38 | 俳句

      

 

最近は老人が主体の 「サロン」に行っている。

体操教室もそこでの教室。

昨日は、100円ショップで求めてきた(指導者)花を芳香剤に張る企画だった。

私は少し秋色にまとめた。本当は地味な薔薇の花ばかりが良かったのだけれど、行くのが遅かったから、残っている花が少なく木の実擬きの飾りを貼ってお茶を濁した。決して満足はしていない。

 

さあ、この花がお気に召した人達がいて、自分の作った作品を私のところに持ってき、最後の仕上げをやってくれと集まって来た。

ゆきあたりばったりに有る材料を貼っている。落着きの無いというかセンスが無い。残っていた花を数個貼り、切ったり、取ったりして最終の仕上げを手伝った。

先生が(指導者)気を悪くしているのがひしひしと私には伝わる。

そして、ある人が私の出来損ないの作品を指さして、次はこの作に使っている花や実を揃えて下さい、、、と希望を出している。

「どこに飾るの」、、、と聞くと、「応接室か床の間」と言う。

「有り難う」と何回も言われた。聞いた。

私が着ているリメイクの服も、作り方を教えてくれと数人に頼まれた。本当は嬉しいが「お断り」

上手くいって当たり前、気にいらねば何と思われるか?自分の事は抜きにして、教えた人に責任を押し付けるのが関の山と解っているから。

「私の家に遊びに行ってもいいか?」と言う人も。、、、、「黙」

しかし楽しかった。後から参加をした私だけれど、自分がどう思われているか少し解った。

最後に「お茶しましょう?」

「待っている者がおりますから、夕食の材料を買って帰ります」

 

     ☆     澄みゆきて水であること忘れけり    櫂

     ☆     哲学者考えすぎて散る柳    櫂

 

生きることは難しい。世間を狭く、難しくしているのは自分自信かな。

 

 

 

 

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    ハロウィン

2019-10-20 09:35:26 | 俳句

      

 

どこへ行っても、ハロウィンの飾り。病院の壁にまで、七宝焼きのかぼちゃのランプの壁飾りが、、、。

< さて、ハロウィンて何の行事?  広辞苑によると、諸聖人の祝日の前夜(10月31日)に行なわれる祭り。スコットランド、アイルランドに起源をもつアメリカの祝い。

そしてブリタニカのよると、ケルト暦の大みそかにあたり、この夜は悪霊や魔術師たちが戸外を駆けめぐって次の年の予報を声高に叫び歩いた、、、、他にも色々な諸説があるようだ、、、、

 

その、ハロウィンのパーティの呼ばれていたが、風邪気味で欠席をした。

何もやらないでいるほどに重症でもない。

そこで半日かけて縫ったのがカットソーの服。

 

     

 

型紙があったので、裁つだけで簡単だった。

伸縮する素材だから、最初から体操着と決めていた。

最近、老人体操に行っている。ストレッチ体操や転倒予防や能テレ、歌を唄いながら誤嚥を防ぐ体操、、、と全く老人向きで私にはピッタリの体操教室。そこで身体を動かすのに適した服を手持ちの生地から選んで作った。

 

           

 

ドルマンスリーブで軽いし着心地は満点。胸に前後の区別のスパンコールを貼り付けた。

俳句と違い、選を受けなくて良い。自画自賛をしていればいい。季節が変わり、しのぎよくなって、お裁縫に熱が入り出した。いいぞ、いいぞ、下手な俳句から少し距離を置き、不満を満足に変えてストレスの無い毎日を送ろう、、、。

今日は何を縫おうか?

 

           夜話の横にかぼちゃのランプかな

           ハロウィンのお面紅葉に染まりをり

           面つけて信楽貍紅葉狩

 

想像句ならいくらでも出来るが、、、な~。

     

 

 

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