自分の部屋から阿蘇の山々が見える。
山の山頂まで緑が生い茂っていて、家の傍ではセミが鳴いている。
朝、晩はエアコンがいらないほど涼しく感じる。
いつもの夏だったら観光客が多いはずなのに。
空に浮かんだ大きな雲が山に影を落としている。
一か月前に死者を出して、壊滅的な被害を出した大雨が嘘のよう。
床上浸水した家では畳の張り替えが終わり、お店は少しずつ開店を始めている。
一部の旅館では来年までかかるところもあるし、病院を移転した所もある。
実家の畑に流れ込んできた隣の家の畑の土。
柵は倒れたままになっていてそこから雑草が生い茂っている。
ボランティアに依頼したけれど、人が集まらないのかまだやってはこない。
横倒しになってしまった柿の木は、枯れることもなく実がなっている。
秋になれば熟れていくのだろう。
四季は変わることなく流れていく。
私達人間はその中で生かされている。