孫ふたり、還暦過ぎたら、五十肩

最近、妻や愚息たちから「もう、その話前に聞いたよ。」って言われる回数が増えてきました。ブログを始めようと思った動機です。

小津好み

2015年01月08日 | 日記
小津安二郎の「東京物語」は、世界の映画監督が映画の中のベストだと賞賛するので有名な映画です。日本の映画の中でベストだというのではなく、世界中の映画の中のベストだというのですから、これは大したものでしょう。

最近、山田洋次監督が、この作品を真似して、「東京家族」という映画を作りましたが、出来栄えはもうひどいものでした。小津の「東京物語」を何度も観ている者にとっては、あの作品は屈辱的な、見るに耐えられないものでした。やはり、小津作品には欠かせない、笠智衆の老け役には誰も勝てないことが分かりますし、小津映画が如何に緻密に作られているかが、よく分かりました。

笠智衆も原節子も好きですが、私が好きな俳優は、杉村春子です。「東京物語」にもちょっとドライな長女役で出ていますが、演技の上手さでは飛び抜けている感じがします。「麦秋」の中の杉村春子の演技には、瞬きをするのも惜しいほど見入ってしまいます。それとカラーになってから作られた、「秋刀魚の味」に出ている岡田茉莉子も、私の大好きな女優です。中井貴一のお父さん、佐田啓二と夫婦役を演じていますが、ゴルフクラブを買う買わないというシーンは、何度見ても面白い、絶妙なやりとりです。また、彼女のセリフの中に、返事をしない夫に対して言う、「・・・ノーコメントか。」というのがあります。終戦直後の映画ですので、実にモダンな響きのあるセリフだったことでしょう。

カラー映画は、当時は総天然色映画と呼ばれたそうですが、小津のカラー映画の色使いは、非常に凝っています。特に小道具に粋な赤い色をこれでもかと使い、それがまた実に映画に気品を持たせています。さりげなく置かれた赤いやかんや、壁にかかった赤いマフラーなどは、小津のセンスの良さを感じさせます。20代や30代の時観てもあまり感動しなかった小津映画ですが、50を過ぎてからは、小津映画の良さがビンビン感じられるようになりました。手に入れたDVDはいつも手元に置き、好きな時に思う存分楽しんで観ています。何と贅沢な楽しみでしょうか。



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