職場にネパール人が配属される、と聞いて私は勝手にネパールといえばエベレスト。エベレストといえばシェルパ、というイメージ展開で、登山家を助けるシェルパ族のような顔かたちの青年がやってくるものと思っていた。
シェルパ族の青年の顔
少数民族のシェルパ族は、モンゴロイドに属する人種で、見た目は我々と同じ顔つきだということは知っていた。
しかし、先月中旬にやってきたネパール人は、予想と異なりシンガポールのヒンドゥー教寺院でよく見たインド人そのものだった。色黒でヒゲをはやし、身長は190cmくらいあるかもしれない大男だ。
彼がどういうスキルを持つ青年でこれから何を担当するのか、事前情報はまったく無いのだが、何でもシンガポールと英国に留学したそうで、英語も日本語も読み書き話すに不自由しないそうだ。年齢は、当てずっぽうだが40歳前後ではなかろうか。
こんな感じのネパール人
初日の朝礼で自己紹介したのだが、体格に似合わず蚊の鳴くような小さな声で話すので、内容はほとんど聞き取れなかった。
新人に対するオリエンテーションを終えて、業務が始った。どうやらソフトウェアに長けた方のようで、いわゆるシステムエンジニアのようだ。
彼の席は私の左斜め前で、彼の面倒見となった日本人社員とは流暢な日本語で会話しているようだ。おかしなことに、ネパール人の話すのは100%日本語なのに、日本人社員の方はまるでルー大柴みたいに、変てこな英語を交えて話している。
何か質問された日本人社員は、「オー、イエス、イエス、それで良いよ。バット、分らないことがあったら、遠慮しないでテルミーだよ。」「ハイ、ワカリマシタ。」な~んてやっているので、私は自分の唇を噛んで笑いを堪えている。
しかし、すぐに困ったことが判明した。
問題とは彼の体臭であった。彼が自分のデスクに座ってパソコンの設定などをし始めた時はそれほど気にならなかったが、翌日から漂ってくる独特の臭いの発生源は、間違いなく彼の体臭だった。
それは、私がシンガポールにいた時行った、ヒンドゥー教寺院で嗅いだあの独特な臭いと同じだった。総務の女子事務員などが時々やってきては、何やら彼に説明していたが、きっとその強烈な体臭に驚いたことだろう。
ネットで調べてみると、ネパール人は風呂に毎日入らず、週に一度くらいだとあった。鼻が曲がりそうになるような不快で不衛生な臭いではないのだが、香水のような臭いではなく、体臭だと分る独特な臭いである。
そのうち慣れるかと今のところ我慢しているが、決していい気分にはなれないでいる。
ネットでネパール人のことをいろいろ検索してみると、今やすごい勢いでネパール人が日本に入っているようで、以前韓流のときコリアンタウンとして有名になった東京の新大久保は、今やネパール人が急増したためにリトルカトマンズと呼ばれているそうだ。
急増した理由は定かではない。
先日、朝礼で順番に短いスピーチを披露するのだが、その順番が彼に廻ってきた。何を話すかと興味深かったが、彼の話したのは実にあっ気ない話だった。曰く・・・
「私が日本語学校に入学した時、授業が終わってから先生が、みんなで教室の掃除をしてください、と言いました。ネパールの学校は勉強するところですので、生徒は掃除などしません。日本は、すごいなあと思いました。」
テレビなどでは、外国人が日本の文化や習慣を褒めちぎる番組が目白押しなので、この手の日本文化賛美は聞き飽きている。
しかし、このネパール人は決しておべんちゃらを言ったのではなく、実際に掃除などしたことはなかったのではないかと私は思った。その理由は、ネパールには今でもカースト制というインドにあるような身分階級制が存在するからだ。
彼は、シンガポールや英国に留学できるような身分の家庭に育ったようであるから、掃除などはやった事などなかったのだろう。
何でも彼らからみると、ネパールにやってくる欧米人を初めとする日本人なども含めた外国人ですら、身分階級はずっと低いと見なすものらしい。
そう知ってからは、就業時間が終わると、無言でスッと帰ってしまう彼の行動も、きっとそのあたりに由来しているのかなあ、と考えてしまうのだった。
シェルパ族の青年の顔
少数民族のシェルパ族は、モンゴロイドに属する人種で、見た目は我々と同じ顔つきだということは知っていた。
しかし、先月中旬にやってきたネパール人は、予想と異なりシンガポールのヒンドゥー教寺院でよく見たインド人そのものだった。色黒でヒゲをはやし、身長は190cmくらいあるかもしれない大男だ。
彼がどういうスキルを持つ青年でこれから何を担当するのか、事前情報はまったく無いのだが、何でもシンガポールと英国に留学したそうで、英語も日本語も読み書き話すに不自由しないそうだ。年齢は、当てずっぽうだが40歳前後ではなかろうか。
こんな感じのネパール人
初日の朝礼で自己紹介したのだが、体格に似合わず蚊の鳴くような小さな声で話すので、内容はほとんど聞き取れなかった。
新人に対するオリエンテーションを終えて、業務が始った。どうやらソフトウェアに長けた方のようで、いわゆるシステムエンジニアのようだ。
彼の席は私の左斜め前で、彼の面倒見となった日本人社員とは流暢な日本語で会話しているようだ。おかしなことに、ネパール人の話すのは100%日本語なのに、日本人社員の方はまるでルー大柴みたいに、変てこな英語を交えて話している。
何か質問された日本人社員は、「オー、イエス、イエス、それで良いよ。バット、分らないことがあったら、遠慮しないでテルミーだよ。」「ハイ、ワカリマシタ。」な~んてやっているので、私は自分の唇を噛んで笑いを堪えている。
しかし、すぐに困ったことが判明した。
問題とは彼の体臭であった。彼が自分のデスクに座ってパソコンの設定などをし始めた時はそれほど気にならなかったが、翌日から漂ってくる独特の臭いの発生源は、間違いなく彼の体臭だった。
それは、私がシンガポールにいた時行った、ヒンドゥー教寺院で嗅いだあの独特な臭いと同じだった。総務の女子事務員などが時々やってきては、何やら彼に説明していたが、きっとその強烈な体臭に驚いたことだろう。
ネットで調べてみると、ネパール人は風呂に毎日入らず、週に一度くらいだとあった。鼻が曲がりそうになるような不快で不衛生な臭いではないのだが、香水のような臭いではなく、体臭だと分る独特な臭いである。
そのうち慣れるかと今のところ我慢しているが、決していい気分にはなれないでいる。
ネットでネパール人のことをいろいろ検索してみると、今やすごい勢いでネパール人が日本に入っているようで、以前韓流のときコリアンタウンとして有名になった東京の新大久保は、今やネパール人が急増したためにリトルカトマンズと呼ばれているそうだ。
急増した理由は定かではない。
先日、朝礼で順番に短いスピーチを披露するのだが、その順番が彼に廻ってきた。何を話すかと興味深かったが、彼の話したのは実にあっ気ない話だった。曰く・・・
「私が日本語学校に入学した時、授業が終わってから先生が、みんなで教室の掃除をしてください、と言いました。ネパールの学校は勉強するところですので、生徒は掃除などしません。日本は、すごいなあと思いました。」
テレビなどでは、外国人が日本の文化や習慣を褒めちぎる番組が目白押しなので、この手の日本文化賛美は聞き飽きている。
しかし、このネパール人は決しておべんちゃらを言ったのではなく、実際に掃除などしたことはなかったのではないかと私は思った。その理由は、ネパールには今でもカースト制というインドにあるような身分階級制が存在するからだ。
彼は、シンガポールや英国に留学できるような身分の家庭に育ったようであるから、掃除などはやった事などなかったのだろう。
何でも彼らからみると、ネパールにやってくる欧米人を初めとする日本人なども含めた外国人ですら、身分階級はずっと低いと見なすものらしい。
そう知ってからは、就業時間が終わると、無言でスッと帰ってしまう彼の行動も、きっとそのあたりに由来しているのかなあ、と考えてしまうのだった。