孫ふたり、還暦過ぎたら、五十肩

最近、妻や愚息たちから「もう、その話前に聞いたよ。」って言われる回数が増えてきました。ブログを始めようと思った動機です。

グローバル企業は英会話番組を作ったら??

2016年01月10日 | 英語関連
最近、テレビに子供・幼児向けの英会話教室のCMが盛んに流されていて、単純に文科省の英語教育若年化政策に呼応しているようで、憂慮せざるを得ない。

子供向けの英会話教室といっても、中身は多分英語に親しみを植えつける程度で、簡単な挨拶とか、動物や食べ物の名前などを絵で示して覚える「お遊び」だと推察する。

よく書店の入り口や、ファミレスの入り口などに置いてある無料求人情報誌を眺めると、英会話教室のチェーン展開をしている企業が、盛んに講師の募集の広告を掲げていて、どれも対象が英語が少し得意だった主婦を対象としていることから、専門的な語学の力量などなくてもいい、「英語が好きだ」レベルの主婦で結構、という募集側の魂胆が分かる。

この風潮は、当然政府の早期英語教育の政策を受けてのことだろうが、増えつつある外国人観光客や2020年の東京五輪なども影響しているのかもしれない。

いわゆる「グローバル企業」が積極的に、社内での英語公用語宣言をして、英語ができないと仕事に支障をきたすような印象を社会に与えていることも、この風潮に大きく影響しているのは間違いない。



義務教育で6年間も英語を勉強してきたのに、外国人に道案内もできない・・・。これではダメだ。今までの英語教育は読み書きだけに比重をかけすぎて、コミュニケーションツールとしての教育を怠ってきた結果だ。



グローバル化の流れに遅れないためには、もっと早くから話せる英語を教え込む必要がある。そうでないと、日本は世界の流れに乗り遅れ、将来は危ういものになる。

ざっと、こんな感じで今の風潮が出来上がってきたようだ。以前の経営者は社内の英語公用語などあり得ないと笑い飛ばしていた自動車メーカーも、社長が交代すると英語を社内公用語にすると発表したことがニュースとなったほどだ。



世間の外国語アレルギーの強い親御さんたちは、せめて我が子には英語くらい話せるようになって欲しいと思うようで、そういう大人たちは特に積極的に、幼いうちからその手の教室に通わせたり、教材を購入したりするのだろう。

昨年、次男がインドネシアに出張してかえって来た時、ボソッと「高校のときもう少し英語をまじめにやっておけば良かった・・・。」と呟いていた。

初孫なっちゃんが、「エービーシーディー・・・」とABCの歌を得意げに歌ってくれたので、「なっちゃん、その歌幼稚園で覚えたの?」と聞くと、「パパとお風呂に入るとき歌うんだよ。」と教えてくれた。

どうも、風呂場の壁にアルファベットの一覧表がはってあるようで、お風呂で一緒に歌って覚えたらしい。

それを聞いて、私は何とも複雑な気分になったものだが、こういう親御さんたちが全国には五万と存在するんだろう。それを英語教室のテレビCMは、さらに煽って商売にするわけだ。

しかし、どう考えても今の風潮は良くないものだと思うのである。自分の過去を冷静に考えたとき、中学、高校で学んだ読み書き中心の英語の授業はまったく無駄ではなく、むしろ大変役に立っていたと感ずる。

当時は、そもそも話す必要性は特になかった所為もあるのだろうが、その後に話し言葉としての英語を覚えようと発奮したとき、中高生で覚えた読解・文法の知識は大きな礎となっていた。

社会人になって、仕事上英語を使わざるを得なくなっても、話すだけでは不十分で、むしろ読んだり書いたりすることの方がずっと重要になるのは、それを経験してみれば容易に分かる。

いずれも日本を代表する「グローバル企業」なのだから、日本人の英語コンプレックスを払拭するため、つまらないスポットCMに金をかけたり、下らないバラエティー番組のスポンサーとなるくらいなら、15分番組でもいいから、英会話習得を目的とした教育番組作成のスポンサーとなって、子供から大人まで、せめて外国人観光客に道案内できるように先導することを考えてみたらどうだろうか?