オーストリアの精神分析学者。
ジークムント・フロイト1856年~ 1939年。
無意識研究、精神分析神経症研究、自由連想法、に没頭。
最終的には、精神力動論の構築に至る。
フロイトの提唱した理論は、
後世の心理学、精神医学、の基礎となる。
後に、
文学、芸術、人間洞察など、幅広い分野に影響をもたらした。
私は、フロイトが嫌いです。
なぜ嫌いなのか?
その理由は複雑です。
私が抱くフロイトの人間像のなかに、
「 自分 」 と重なる部分があるからかも知れません。
「 フロイトが嫌い 」
と思う自分の深層部には、
「 同類 」というエネルギーあり、
磁石の同極が反発し合っているような作用が
自分の内部で起きているのかも知れません。
それはさておき・・・
フロイトの一番の功績は、
「 潜在意識 の発見 」
フロイトは、
人の意識に無意識( 潜在意識)
の領域があことを突き止めたのです。
フロイトは人間の意識( 心 )は、
3重構造になっていると考えました。
(1) 意識 ・・・・
意識が自覚できる領域
(2) 前意識 ・・・・
思い出そうと意識すれば思い出すことが出来る領域( 記憶 )。
(3) 無意識 ・・・・
意識の奥底に潜んでいる、実体が掴みにくい隠れた領域。
フロイトは、「(3)無意識 」の部分のなかには、
「 (1)意識 」が認めたくない部分が存在していると考えたのです。
フロイトの著書のなかに、
「 花瓶のお話 」があります。
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ある医者が、自分が治療していた
患者の女性から、多くの贈り物を受け取りました。
のちに、この患者が精神病であることが判明。
医者は、精神錯乱状態で差し出された物品を
自分の物にしてしまう事は、医者として、正当ではないと判断。
医者は、この患者から受け取ったすべての贈り物を返却する。
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ここまでは、ごく常識的なお話ですが、
ここからが興味深いところです・・・
この医者は、患者からもらった多くの
贈り物をすべて返却したのですが、
実は、ひとつだけ、返却しなかったものがあるのです。
それは、「 美しい花瓶 」でした。
医者は、内心では、良心がとがめていました。
また、それと同時に、
その自分の行為を、「 自分の良心 」に対して、
正当化しようとする意識が働きました。
「 荷造りが困難だから返せない 」
「 この花瓶は高価な物ではない、わざわざ返すまでもない」
と、思うことによって、自分の良心を誤魔化したのです。
医者は、やがて、
自分のした横領行為が、
発覚した場合のことを考えるようになりました。
不安になって来たのです。
しかしながら、今さらどうする事もできない・・・・
そんなある日の出来事・・・
医者が、花瓶の水を取り替えようとしました、
そのとき・・・・
医者の手が、無意識のうちに、不自然な動きをしたのです。
花瓶を机の上から落下させてしまう。
花瓶は割れて飛び散る。
咄嗟に、その破片を拾い集め、継ぎ合わせようと試みる。
継ぎ合わせれ修復可能であることが分かった瞬間、
また偶然が起きる・・・・
2つの破片を、床に落としてしう。
落とした破片は粉々になった・・・・
もう、完全に修復不可能。
なぜ、こうなったのか?
フロイトの理論を当てはめれば、
これは偶然ではない。
これは、
「 不当に入手した花瓶から、開放されたい 」
という意識が働いたのです。
もちろん、それは、「 無意識 」の領域での事です。
その「無意識」 が、
「自分の行為」となって姿を現したのです。
決して、意図的に花瓶を割った訳ではないのです。
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フロイトが記した、この「 花瓶の話 」は、
「 人間の運命 」のカラクリを解明する
大きな糸口であるのです。・・・・