名古屋の白ウサギ・1964年生・

別名、ウサギ仙人・・職業・会社員

「おぎん」に想う。

2017-09-04 | 宗教

小説「おぎん」

(芥川龍之介が大正11年(1922年)
中央公論に発表した小説。)

  

孫七は長い間黙っていた。
その顔は蒼ざめたり、また血の色を張らせたり、
汗が顔にたまる。孫七の心眼は、
彼の霊魂を奪い合う天使と悪魔とを見ていた。

しかし、おぎんの涙に溢れた眼は、
不思議な光を宿しながら彼を見守る。

眼の奥に閃いているのは、
無邪気な童女の心ばかりではなく、
あらゆる人間の心である。




芥川龍之介が巨人に思えて来た・・・
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おぎん

2017-09-03 | 宗教

小説「おぎん」

(芥川龍之介が大正11年(1922年)
中央公論に発表した小説。)

・・以下、要約・・・

江戸時代初期キリスト教禁教令と共にキリシタン弾圧は苛烈となった。

隠れキリシタンは、見つかると棄教しない場合は火刑に処せられた。

その頃、長崎郊外の浦上の山里村に、おぎんという少女がいた。

元々両親と共に大阪で暮らしていたが、流浪の末に長崎に至り、
両親は亡くなり孤児となった。

山里村の農夫で隠れキリシタンの
「じょあん孫七」は、おぎんを哀れと思い、
「まりあ」の名で洗礼(ぱぷちずも)を授けて養女とした。

孫七の妻「じょあんなおすみ」もキリシタンで、
三人は隠れキリスタンとして幸福な生活を営んでいた。

何年か後のクリスマスの夜、ひっそりと暮らす孫七達も、
この日は壁に十字架を掲げた。

それが役人に知れて隠れキリシタンとして捕えられ投獄されて拷問を受けた。

三人は辛抱して耐え抜く。

代官は、三人を火炙りの刑に処す。

三人は刑場に連行され柱に縛り付けられた。

周囲には大勢の見物人が集まり、
一切の準備の終った時、役人の一人が三人の前へ進みより、
天主(キリシタンの時代キリスト教の神を 表わす言葉)
捨てるかどうかしばらく猶予を与えるから再考するように、
もし天主を捨てると云えば直にも赦してやると云った。

しかし彼等は答えない。遠い空を見守ったまま、
口もとには微笑さえ浮かべている。

するとその時、
「私は天主を捨てる事に致しました」と
おぎんは叫ぶ。
 
縛られた孫七(義理)驚愕し、
「悪魔に魅入られたのか、
もう少しで天主の顔も拝めるのだぞ」
とおぎんを責める。

おすみも、(義母)
「おぎん!おぎん!お前には悪魔がついたのだよ。
祈っておくれ」

と声をかけるが、おぎんは返事をしない。

ただ眼は墓原の松を眺めている。
役人はおぎんを赦すように命じた。

孫七はそれを見て、あきらめたように
「万事にかない給うおん主、おん計らいに任せる」と
目を閉じた。

解放されたおぎんは茫然と佇むが、
孫七やおすみを見るとその前へ跪き、
「お父様、お母様、勘忍して下さいまし」と
涙する。

「おん教を捨てました。
その訳は、あの墓原に眠る両親は、
天主のおん教も知らず、
きっと今頃は地獄(いんヘるの)に
堕ちているでしょう。
私だけ天国に入るのでは申し訳がありません。
地獄へ両親の跡を追って参ります。
お父様やお母様は、
イエス様やまりや様の御側へお出でなって」
と啜り泣く。

すると、おすみも涙を落し出した。

孫七は
「お前も悪魔に見入られたか?
天主のおん教を捨てたければ、
勝手にお前だけ捨てろ。
俺は一人でも焼け死んで見せる」
と言うが、

妻は
「いえ、私もお供をします。
けれどもそれは…天国へ参りたいからでは
ございません。
ただ貴方の、貴方のお供を致すのです」
と答える。

孫七は長い間黙っていた。
その顔は蒼ざめたり、また血の色を張らせたり、
汗が顔にたまる。孫七の心眼は、
彼の霊魂を奪い合う天使と悪魔とを見ていた。

しかし、おぎんの涙に溢れた眼は、
不思議な光を宿しながら彼を見守る。

眼の奥に閃いているのは、
無邪気な童女の心ばかりではなく、
あらゆる人間の心である。

おぎんは孫七に
「お父様!地獄へ参りましょう。
お母様も私もあちらのお父様やお母様も、
悪魔にさらわれましょう」と。

孫七はついに堕落した。
(三人はキリスト教を捨てた)

・・・・・・・・・・・・・・
以上、「おぎん」要約・・
『臨夜 海馬(イザヤ トド)電子書籍』より
抜粋、編集 


この物語の解釈は、
二つに大きく割れると思う。
どの様に解釈するかは自由。


言葉や、理論のみで受け止める事はできない。
この物語の示唆するものは大きく深いと感じる。

地獄に落ちる??・・原理主義・・・

人の心・・・

キリスト教伝来の背後にある裏と表・・・
コロンブス的??真実と打算・・・

あ・・・ん・・・

と唸ってしまった・・・

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