坂の上のピアノ教室

おうちの方にレッスン室の様子、日頃思っている事をお知らせするためのblogです。

なんちゃって

2014-05-08 | 伝えたいこと


(1週間ほど前、横須賀しょうぶ園という所に藤の花を見に行ってきました)


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さて、


たまに、ですが、

レッスンの最初か最後にお母様に来ていただき、
生徒のピアノのミニコンサートをします。

そんなとき、私も1、2曲、ピアノを弾きます。

そういう時、必ず弾く曲がいくつかあります。
それは、おけいこの有名曲~ピアノを習っている子供たちが必ず弾く(弾きたい曲)です。

ブルグミュラーのアラベスクや貴婦人の乗馬、ベートーヴェンのエリーゼのために、
モーツァルトのハ長調のソナタ。。。

ある時、私が「エリーゼのために」を弾いていたら、
(お母さん自身もおうちでピアノを弾く方が)

「わたしの持っている楽譜と先生の弾いたのと、ちょっと違うみたいね・・・」と
お子さんと、つぶやいていました。

(きっと、同じ楽譜なのだと思います。)

私は、けっしてすごく上手なピアニストじゃないですけれど、
その曲があるべき姿、本来のベートーヴェンさんが作曲した姿で
弾こうと努力して弾いた結果が

「違う楽譜じゃないかな?」と思われたのだとおもいます。


よく子供たちが、こういう有名曲を弾くと

最初の方の よく知られたメロディは、ちゃんと弾くのだけれど、
ちょっと難しい場所に進むと、急にテンポが 倍の遅さになってしまいます。

そして、どこもかしこも、元気なフォルテの曲になっていたりします。

私が、

「○ちゃんが、弾き始めたテンポで、最初から最後まで弾くよ」と

全部同じテンポで 弾いてあげると

生徒は目を丸くします

「えっ、ココはこんなに速く弾くの!」


「あなたが、弾いていたのは、『なんちゃってエリーゼのために』
でも、少しだけテンポを遅く弾き始めること、そして、中間の難しい所を
うんと練習して、全部同じテンポで弾けるようにしよう。
そうじゃないと合格はしませんよーー」


わたしは、「なんちゃって・・・」は、やめてよ~と、よく生徒に
言っています。

ちゃちゃっと、有名どころだけを、それっぽく弾いた曲では、
それは間違いです。

そして、こどもたちは(それが子供の特権なのですが)
全部フォルテで、元気いっぱい弾いてしまいがちです。
それも、間違いなわけです。

どんなに時間をかけても、楽譜で示されたことを音楽にできるように
したいな、と思います。


「なんちゃってピアノ」はだめです。
それだったら、おうちで、1人で勝手に遊んで弾いてるだけ、と
同じ。

こういう事は、いつも言っている私がとても大切にしている事です。


でも


ところが


自分で弾きたいから、と選んだベートーヴェンのとても有名なソナタを
練習している中学生がいます。

部活にも、塾にもいっぱい時間をとられています。
家で練習する時間は、とても少ないでしょう。
譜読みも ちょっと苦手ちゃんです。

途中で、「これは、高校生になってからやり直そうか」
と言いかけました。。。。

でも、あるときから、ぐっと進んで仕上がりも見えてきました。

すらすらと良いテンポで弾けるようになりました。

ところが、あまりに「好き」な気持ちが
前面に出て、やたらに ritが、かかります。
気持ちが前倒しになってしまう所もあります。


ピアノと書いてあるところも、ほとんどフォルテです。
(でも、乱暴なフォルテでは、なく、ものすごく感情移入した(しすぎた)フォルテです。

う~~ん、これは、ちょっと違うなあ。
演歌っぽくなっちゃってる。


練習の過程でも、何回か 注意しましたけれど・・・・

でも、仕上がれば仕上がるほど、
「好き」が出てきて、「やっと弾けるようになった喜び」が出てきて、
あふれています


ちょっと考えてしまいましたが・・・

いまの、彼女には、これでいいな~
○をあげよう。

でも、それでは、間違った事(間違った曲)を教えた事になります。

だから、あと1、2回後のレッスンで、楽譜に指示されたように
弾いてあげようと思います。

そのうえで、もう少し大きくなったら、もう一回レッスンしようね、

という事にしようかな、と思っています。