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クルマに関する妄想集(+その他のことも少し)

トヨタのおいしい部分-ターセル・ハッチバック

2009年12月21日 20時59分31秒 | Weblog
1986年に発表されたターセル・ハッチバックである。そのグレード体系における上位かつスポーティ機種として、リトラクタブルヘッドライトを備えた「リトラ」がちょっとだけ話題になった世代だ。でも、このクルマのハイライトは、ごく普通の5ドアハッチバックにある。

当時小学生だった僕は、なかなかその事実に気づかなかったけれど、この5ドアのデザインはなかなか見どころがある。このデザインは明らかにモダン路線を狙ったものだ。そして、その目論見は成功しているように思える。徳大寺有恒風にいうなら、「新しい生活を感じさせてくれる」ものがあるのだ。今日の視点を持ち出すなら、ノーズがやや長いというところにパッケージングの古さを感じさせるが、それとてさほど気になるものではない。

もともとトヨタはハッチバックのデザインが巧みな会社だ。少なくとも1980年代から90年代の初期まではそうだった。初代FFスターレット(1983)とその次期型(1990)、初代カローラFX(1984)、4代目ターセル/コルサ(1990)を思い出してほしい。その後、残念ながら、1990年代の中盤にかけて、トヨタは凡庸な、「とりあえずハッチバックをやりました」という程度のハッチバックしか産み出せなくなる。1994年にターセル/コルサ/カローラⅡがフルモデルチェンジしたとき、旧型より明らかに後退したそのデザインをまのあたりにして、トヨタもついにネタ切れか、と思わずにはいられなかった。1996年のスターレットのフルモデルチェンジにいたって、さらにその思いを強くした。プラットフォームと各種パーツを旧型から極力流用し、したがって設計の自由度が大幅に制限されるモデルチェンジだったとしても、あまりにひどいものがあった。トヨタがハッチバックのデザインで再びわれわれを驚かせてくれるのは、1999年の初代ヴィッツまで待たねばならない。

ところで、写真のターセルには、出来の良いディーゼルターボを積むグレードがあった。このサイズ、このデザインのハッチバックをディーゼルで走らせながら、クレバーな都市生活者を気取る…という発想はあまりに80年代的だろうか。
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