Open your eyes

クルマに関する妄想集(+その他のことも少し)

最下級グレードの世界⑬ マツダ3 15C

2021年07月24日 22時15分28秒 | Weblog

この「最下級グレードの世界」も、9年ものブランクはあったが、しつこく続けていきたいと思う。今回はマツダ3の最下級グレードを街でシューティング。

写真の仕様を見たとき、ホイールキャップを装着していることで最廉価グレードだとすぐに分かった。急いで写真に収め、後日確認したら、カタログには載っていない裏グレードともいうべき法人専用機種「15C」であると判明。やはり、ファミリア~アクセラ時代からの法人カスタマーを切り捨てることはできなかったか。

このクルマ独特の豊かなボディに、小さめのスチールホイールとキャップが組み合わされ、相対的に上物(ボディ)の存在感がさらに増すこととなった。デザイナーがまったく想定していないであろう味わいを見せるが、なかなか似合うところが面白い。カタログに載せていないということは、このクルマのコンセプト上、本来なら設定したくないグレードとメーカー自身が認めていると受け取れなくもない。祝福されずに生まれてきたところがなんともいえない。

写真のクルマは白いボディカラーがいかにも法人仕様だ。このグレードを買ってソリッドの赤いボディカラーに塗れば、アメリカで足グルマとして使われる何でもないセダンの雰囲気。そういう方向でクルマをいじる人がもっと出てくればいいと思う。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

FIT3との旅

2021年07月03日 15時54分57秒 | Weblog

   

 

四国へ出張する機会を得た私は、現地の足として3代目フィットを借りることにした。以下は、このクルマで300kmあまりを走った際のメモである。300kmの内訳は、高速道路9割、一般道路1割。車両は2017年に初度登録された13GFCVTで、いわゆる自動ブレーキも装備されない法人向け最下級グレード。累計走行距離は5万キロ強を刻んでいた。

朝、クルマを受け取って、走り出してすぐに感じたのは、音のうるさい、ガサツなクルマだということだった。最下級グレードだけに遮音材が省かれているのか知らんと疑いたくなるほど、ロードノイズやエンジン音がボディ全体で共鳴しているような感覚。いかにも鉄でできた、荒っぽい機械を思わせ、このクルマを借りたことを少し後悔した。

物理スイッチを排したエアコン操作パネルは、ブラインドタッチを受け付けない。ナビ周辺のデッドスペース、片目の顔を連想させるステアリングが気にかかる。そんないくつかの違和感を覚えながら、しばらく一般道を走り、やがて高速道に乗った。癖が飲み込めないままに使うナビは、仕事相手との約束よりもだいぶ後の到着時間を表示していた。だから私は、140km先の目的地に向かって、法定速度を大幅に超える途方もないスピードで、馬鹿みたいにフィットをぶっ飛ばした。

こんなゲタのようなクルマでも、タコメーターの針が5を超えるあたりから、エンジンの音と回転感覚が硬質で精緻なものに変わることに驚いた。ややもすると高級と言ってもいいぐらいの、物質感を伴う回り方をするのである。ホンダのエンジンはモーターのようにスムーズだと言われるが、モーターのように退屈ではなく、常に低いギアで積極的にエンジンを回そうと思わせるほど楽しかった。ロードノイズの大きさを考慮しなければ、ではあったが。

 

 

この3世代目のフィットはモデルライフを通じてリコールが頻発、クレームを恐れるホンダディーラー販売員に嫌われたこと、日産ノートがe-POWERシステムを積んで鳴り物入りで再登場してきたこと、そして何より身内のN-BOXに客を奪われたことで、販売台数面では不遇の世代であった。それでも、夕刻に松山空港近くのレンタカー店に帰着する頃には、ツアラーとして役割を果たしたこのクルマを認めたい気持ちになっていた。このセグメントは、各社とも販売台数の嵩上げの駒に使うことが多く、旧型モデルは比較的短期間のうちに路上から消える傾向が強い。この世代のフィットも間もなくレンタカー店から姿を消してしまうだろう。たった300km、それもずいぶん偏った走行パターンではあったが、このタイミングで「FIT3」を試せたことで、私は満足して機上の人となった。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする