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クルマに関する妄想集(+その他のことも少し)

最下級グレードの世界⑨ 三菱ギャラン(EA/EC型)

2009年05月01日 07時52分08秒 | Weblog
このブログで使用している画像は、そのほとんどがSO903iTVに内蔵されている200万画素のカメラで撮影したものである。200万画素といえば、今日の水準ではプアというほかないレベルだが、なかなか必要十分なレベルを満たしていることに驚く。そんなわけで、たいして思い込みのないまま買って1年半になるSO903iTVだが、ちょっと手放せないなというぐらいに気に入っている。どんな道具でも、納得のいく機能が備わっていることに加え、その機能を使いこなしているという実感を高めることで愛着も深まっていくという好例だ。

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世の中には警察マニアと呼ばれる人々がいるらしい。彼らは制服マニアにおける警察マニアなのかもしれないが、彼らの活動内容は警察グッズの収集、警察グッズを使用したコスプレ、その他警察関連情報の収集ということになろうか。その道の達人になると、自分のクルマをあたかも覆面パトカーのように装って、深夜に男二人でパトロールよろしくドライブすることを喜びとする者もいると聞く。

写真のクルマは、EA/EC型三菱ギャランにおける最下級グレード「VE」である。EA/EC型ギャランのこのグレードは一時期、捜査車両(覆面パトカー)として大量に警察庁に納入された実績を持つ。2000年に始まった例のリコール隠し以降、三菱車が国費で購入される機会はほぼなくなったが、それ以前は街中でも前席に警官とおぼしき男性二人を乗せて走っているのをときどき見かけた。先述した「面パトを装って深夜に男二人のドライブ」を趣味とする人たちにもっともよく使われたのもこのクルマだという。三菱のクルマに漂う、そこはかとない軍隊臭=官給品のイメージと、警察のイメージがうまく重なったことも大きいと思う。

この代のギャランは比較的大柄なボディが特徴のひとつだが、大柄なボディに質素な外観という組み合わせは、それだけであまたのクルマに飽いた「末期的クルマオタク」のこころを掴んで離さないものがある。ちなみに、大きなボディに大きな排気量が良い(パワフルなクルマが良い)、あるいは地を這うような「カッコいい」クルマが良い、という嗜好は、免許取得を意識する年齢になってからようやくクルマ好きになった、クルマオタク暦が比較的浅い人間の特徴である(スーパーカー世代を除く)。幼い頃からクルマが好きな、もはや不治のクルマオタクは、そうした嗜好の段階は小学生ぐらいに済ませており、長ずるに及んで、むしろパワーのないクルマや、いっぷう変わったデザインのクルマへその嗜好をシフトさせていくものなのだ。

この代のギャランは、全長・全幅・全高のバランスがとても良いうえに、質感を感じさせるフロントマスクやアスレティックなボディの隆起、考え抜かれたフロントノーズ・ルーフ・リアデッキの比などによって、セダンとして飽きのこない美しさを持つ。ギャランといえばVR-4に見られるように、エアロパーツで固めた武闘派セダンという印象が強いが、軟弱とは反対のソリッドなデザインという意味で、このVEのようなプレーンな外観にもギャランらしさはしっかり表現されている。1996年に世に出たクルマではあるが、近年のエッジや隆起を強く訴求したデザイントレンドを先取りしているため、そう古く見えない。

実は写真のクルマは、都内某所の交番付近で撮影した、れっきとした警察車両である。そんな車両を、いくらアクセス数が知れているブログとはいえ、インターネットに載せていいのかという懸念もないではないが、理性よりもクルマオタクの感性が勝ってしまったのだから仕方ない。以前、上級グレードのホイールキャップを後付けしたVEなら見かけたことがあるが、ホイールキャップが省略され、いちばん安いボディカラーに塗られた「オリジナルVE」を再び見かける可能性は限りなくゼロに近い。なので、あえて危険を冒すものである。
コメント
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