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クルマに関する妄想集(+その他のことも少し)

水や空気のように

2020年09月07日 22時03分50秒 | Weblog

日産マーチというブランドは、1981年の初代K10型に始まるので、すでに40年近くの歴史を持つことになる。 現在売られている日本車の中では、気付けばだいぶ古株となってきて、ブランドの知名度は相当高い。

現行K13型は、2010年に投入されたが、10年のモデルライフを経てなお、この7月には自動ブレーキをはじめとする安全装備を与えられ、あと数年は現役でいる気配が濃厚である。 僕はこれを、とてもポジティブに受け止めている。なぜなら、現行K13型は、いわゆる自動車評論家の評価とは関係ないところで、特段クルマ好きではないがクルマは必要な市井の人々に、ひそかな満足を届けるモデルと信ずるからだ。

K13型は、前型・前々型の評価が高すぎたこと、車両組立てが日本ではない国で行われたことで、投入直後からネガティブな評価に囲まれた。しかし、売価は廉くとも工夫に満ちた手を抜かないエンジニアリングや、細部まで地味に凝った美しい外観など、日産の真面目さがよく表れたクルマだと思う。

僕は、クルマは玩具である前に人々の良き道具であるべきだと思う者である。だから、スポーツカーよりも実用車を愛するし、長く支持される実用車を作ることはスポーツカーを作るより難しいことを知っている。マーチは、自分のものにして、長い期間毎日のように使ってみると、引っかかる部分の非常に少ない、使いやすい優秀な道具であることがよく分かる。水や空気のように、普段は有り難みを感じないが、なくなって初めて良さが分かる類のものだ。 こういう、よく考えられた真面目なクルマが、必要な時にいつでも買えるというのはとてもいいことだ。 日産には、業界に寄生する記者や評論家の無責任な言論には目もくれず、日本で最も廉く買える登録車のひとつとして、このクルマを淡々と作り続けてほしいと思う。

コメント
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