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クルマに関する妄想集(+その他のことも少し)

奥目ライトのクルマたち② トヨタ・ターセル(L20型)

2008年11月19日 21時31分18秒 | Weblog
写真は、L20型トヨタ・ターセルのUS仕様である。このクルマも、US仕様としての奥目ライト顔を与えられており、80年代のアメリカ車の流行にぬかりなく乗っている。僕はターセル/コルサ/カローラⅡ兄弟が好きで、初代から最終型の5代目まで一貫して注目してきた者だが、L20型にこのような第2の顔があることは、遅ればせながら最近知った。

規格サイズの角型ヘッドライトを奥まった位置に配することでアメリカンな感じが醸し出されるのか、それとも、多くのクルマがそうすることで、このデザイン様式が80年代アメリカ車の流行となったのか、どちらなんだろう? 普通に考えれば後者のような気がするけれど、僕はあえて前者を支持したいと思う。規格品のヘッドライトでも、ちょっと奥まった位置に配置することで、がぜん味わい深い表情になるじゃないか…というコロンブスの卵的な発想に基づいたプラグマティズムにアメリカを感じるからだ。

広大なアメリカのことだから、80年代当時は補修部品としての異形ヘッドライトがタイムリーに大量供給できず、結果的に規格サイズのヘッドライトを工夫して使った、というだけなのかもしれない。けれど、それでもこのデザイン様式からは、細かいことにはこだわらない、のどかで大陸的な、しかし、もはや過ぎ去ってしまった80年代のUSクルマ文化を感じずにはいられない。

P.S. アメリカンな顔つき(という印象)を形成する要因として、大きく突き出たUSサイズのバンパーもあるかもしれない。
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最下級グレードの世界⑥ トヨタ・アリオン(T240型)

2008年11月18日 23時35分36秒 | Weblog

 

プレミオ/アリオンについては、僕は現行型よりも旧型のほうが好きである。このクルマが出たのは2001年12月のことだったが、僕は初めてこのクルマを見たとき、今となっては旧型となってしまったVWパサートをまっさきに思いうかべた。後になって、元トヨタのデザイナーという知り合いに確かめたところ、やはりパサートをパクったとのこと。まあ、パクリにしても、そのパクリのレベルが高かったので腹も立たなかったが。それに、いまさらトヨタが他社のデザインをパクったと聞いても、特に驚くに値しないし。

そんなわけで、旧型プレミオ/アリオンは、日本の5ナンバーセダンとしてはとても意欲的な造形だったと思うが(パクリだけど)、現行型は旧型のよさをいじり壊して破壊した観がある。しかも、変更感を出したいがための確信犯的な変更であることが一目瞭然で、どうせこのクラスのクルマを買う人は造形的な美しさなどに関心はないのだ、といわれているようで、旧型におけるパクリ行為よりもむしろ腹が立つ。

写真は、そんな旧型プレミオ/アリオンの中で、僕がひそかに注目している最下級グレードの「A15スタンダードパッケージ(アリオン)」である。ドアのサッシュがブラックアウトされておらず、ドアミラーも無塗装のままなので、おたくが見ればひとめでそれと知れるのだ。法人ユーザーには、「お客様を乗せる機会も多いので、いかにも安物っぽいクルマでは具合が悪い」という声があるらしく、そんなある意味ワガママなニーズにミートさせるべく、発売から10ヵ月後に追加設定されたグレードだ。

それにしても、旧型プレミオ/アリオンの真横のショットからは、このクルマが論理的にデザインされたことがよくわかる(パクリだけど)。僕は最近、意味不明なデザイン要素のない、全ての構成要素がきれいに分解できる建築的でシンプルなデザインのことを指して「積み上げのデザイン」という言葉を思いつき、それをなんとか構造的に定義しようともがいているが、初代ティアナや初代ムラーノ、現行ティーダとともに、この旧型プレミオ/アリオンも、トヨタにはめずらしい建築的デザインのクルマということができる。

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最下級グレードの世界⑤ 日産ラシーン

2008年11月05日 22時00分00秒 | Weblog
絶版になって8年も経つのに、中古車価格が依然として高値を維持しているラシーン。僕はあえてラシーンでいちばん魅力的なのは最下級グレードの「B仕様」であるといいきりたい。写真のクルマは、モデル末期になって最下級グレードの地位をB仕様にとって代わった「TYPEⅠ」である。

ラシーンB仕様(TYPEⅠ)は、スペアタイヤを背面に背負わず、ルーフレールも省略され、ホイールもスチールむき出し(※) のいたって簡素な外観だが、これらの特徴はラシーンのエクステリアデザインの魅力をいささかも損ねておらず、むしろ強調する役割を果たしていると思うのだがどうだろう。

惜しむらくはB仕様(TYPEⅠ)は非力なGA15DEエンジンしか選択肢がなく、これがSR18DEエンジンだったらなあと思わないでもない。しかし、そんな「物足りない感」もラシーンには似合っている。


(※) このスチールホイールがまたイイ表情なのだ。これについては稿をあらためて述べたい。
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ボリュームのある尻が好き

2008年11月03日 19時04分50秒 | Weblog
前回の記事でADバンのことを書いたからというわけではないけれど、カルディナバンの写真が撮れたこともあり、このクルマについて今日は書いてみたい。

このクルマは僕が高校生のときに世に出たのだが、そのときから、商用車の割に良いスタイルを持っていると思っていた。ワゴン仕様も悪くないが、バン仕様の方がデザインのおもしろさがそのまま活きているので好みだ。個人的に、この角度はカルディナのベストアングルだと思っている。

ワゴン/バンのデザインにおいて、荷室部分をどう見せるかは、いうまでもなくデザイナーの腕の見せどころな訳だけれど、このクルマの場合は、サイドウインドゥグラフィックに工夫をこらして、荷室部分をボリュームのあるマスとしてわざと強調しているところがおもしろい。アウディのアヴァントやアコードワゴンと比べると、ワゴンらしさをうまく訴求するデザインだ。ワゴンやハッチバックなどの、ハッチゲートを持つクルマはそのリアビューがデザインの成否を決めるけれど、このクルマはトヨタのハッチゲートデザインの中でも相当上に位置づけられる作品だと思う。

カルディナバンは、その10年のモデルライフのなかで(なにげに長寿モデル)、インパネだけを全とっかえというイベントを経験している。僕は、初期型の有機的な曲線が特徴的なインパネのほうが好きなんだけれど、写真のクルマは「プレミオ」のサブネームがついたT210系コロナからもらった、直線基調のインパネを備えた後期型だった。
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