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クルマに関する妄想集(+その他のことも少し)

最下級グレードの世界⑩ 日産180SX(RS13型)

2009年09月08日 00時12分00秒 | Weblog
この不定期連載を始めた当初より、僕はこのクルマのこのグレードをとりあげたくて仕方がなかった。写真のクルマは、日産180SXの最下級グレード、TYPE Iである。ウェブ上にこのグレードの写真がなかなか無く、したがってブログ上で見せることも難しかったのだが、今回ようやく用意することができた。このグレードをとりあげることができて、うれしい。

前期型のTYPE I、これはレア中のレアなグレードである。僕も街中で実物を見たのはたったの1回だけだ。エアロパーツやアルミホイールでカッコよく飾り立てることが当たり前となっているスポーツ/スペシャリティカーの世界で、虚飾を廃するという逆張り路線を歩み、それが成功している点で、このグレードの存在は愉快だ。特に、この15インチのスチールホイールにはスパルタンな迫力があると思う。

今は、スチールホイールは完全に黒子と化し、ホイールキャップに覆われて表に出ることを禁じられた存在だ。でも、ほんの20数年前までは、スチールホイールも立派にデザインの一部の役割を果たしていた。このTYPE Iのスチールホイールには、明らかに見られることを意識した意匠が施されている。僕は、つねづねスチールホイールには人間と同じように表情があると思っているが、この日産のスチールホイールの表情はいい。

ところで、前期・中期・後期と分かれる180SXのうち、僕は好みは前期型である。いかにも日産を感じさせるグリルのせいで、どことなくヨーロピアンな匂いがただよう。また、中後期型に比べるとどことなく華奢に見えることも気に入っている。一方、分割グリルが廃された中後期型のフロントマスクは、一転してアメリカンを感じさせるところがおもしろい。
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広告ヲタク(ただしクルマのみ)①日産・M11プレーリー

2009年09月06日 12時52分07秒 | Weblog
これは、2世代目の日産プレーリーが市場投入された時の広告である。発売年月は、1988年9月で、もう21年も前のクルマだ。

広告が言うには、このプレーリーは日本と欧州で同時に発表、なんだそうだ。欧州でも同時に発表(発売)するぐらい、日産にとって重要な戦略車種です、ということが言いたいのだろうか… それは日産という企業の都合であり、消費者に直接的な利益をもたらす要因ではないのだが。まあ、一方で、僕のような「世界戦略車」好きがいることも事実ではある。

プレーリーというクルマは言うまでもなくミニバンに属するクルマだが、その広告は、セダンという言葉を広義の「乗用目的のクルマ」と定義したうえで、「新しい考え方が織り込まれている」と謳う。

では、その新しい考え方の結果は? というと、どうやら「家族や友人、趣味、仕事の各シチュエーションで、それぞれの時間を充実させてくれる、速さやステータス以外の価値を追求したバランス感覚に富むクルマ」と読むことができる。画面中央に配されたヨーロピアンらしき人物が醸し出す、穏当でリベラルな印象は、この「バランス感覚に富む」というイメージと一致する。

ここに至って、この広告のメッセージは今日のミニバンの広告におけるメッセージ(広さ、豪華さ、セダンと変わらない走行性能の訴求)とは大きく異なることに気づくのである。
1982年の初代プレーリーは、その商用車くさいボディがたたり、セールス的に惨敗している。したがい、それを後継するこのクルマが、まずは純然たる乗用車であることを前面に出し、どんなシーンにも応えられる万能車と自らを規定するのは当然のことだ。しかし、それゆえにミニバン由来の広さや利便性の訴求が後回しになってしまったのは、このクルマの不幸である。

今となっては仕方のないことだが、いっそこの世代から、「プレーリー」名を捨ててもよかったのに、と思うこともある。日産は、初代プレーリーから今日のラフェスタまで、この「比較的背の低い3列シート車」というセグメントで27年もビジネスを続けているわりには成功体験に恵まれない(一方、背の高い3列シート車の方では成功裏にビジネスを続けていることは知っての通りだ)。もし、この2代目プレーリーが違う名前で出ていたら、もしかすると現在のミニバン勢力図は少しは違うものになっていたかも知れないのである。
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