呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記

中国の最新情報を上海・東京・神戸を拠点に活動する株式会社TNCリサーチ&コンサルティングの呉明憲が紹介します。

人材採用

2010年08月15日 | 日記
 中国に来て始めて人材採用のための面接をするようになった人も少なくないだろう。日本の感覚で中国人と面接をするとこれは失敗のもとだ。私もそのあたりはできるだけ気をつけるようにしている。うんうんとうなづく方も多いだろうが、面接でよく見られるのは大体次のようなものだ。

 ・ 履歴書にかいてある内容があまりにも立派(逆に全くちゃんとかけていないケースもあり)
 ・ できるできないにかかわらず、なんでもできるという

 色々あると思うが、ほとんどこの二つに集約されるだろう。これらをいかに切り崩してその人の本質を引き出していくのか、これもテクニックだと思う。このときに引き出すことができなければ実際に働き始めて始めてようやく本質がわかるようになる。働き振りがよければ結果オーライなのだが、逆のパターンもありえる。こんな話をとあるお客さんと話していたところ面白いことを聞いた。その会社では採用にあたり当然面接を行うのだが、この人を採用しようと決めたら最後にその人の家族とも会うというのだ。ここまでするケースはほとんど聞いたことがないだろう。これをすることでその人の家族のその会社に対する見方もポジティブなものになり、またそう思った家族に対してかっこいいところを見せないといけない面接者のモチベーションにも繫がっているのかもしれない。それもあって従業員との関係はきわめて良好だという。結局従業員からすると自分はどれだけ関心をもたれているのか、どれだけ可愛がられているのか、単純なようだが、これは結構大事だ。この部分は日本であろうが中国であろうが同じだ。中国のほうが大事度合いは大きいとは思うが。日本でもそうですよね、自分はどれだけ関心をもたれているのかって、結構仕事のモチベーションに影響しますよね。

合弁相手探します

2010年08月13日 | 日記

 最近の中国進出の形態は独資での進出が圧倒的に多い。しかしながら、独資での形態が認められていない業種なんかは合弁パートナーが必要であるし、また最近注目の中国国内需市場をターゲットとする場合に中国パートナーの力を必要とするということで合弁の形態を選択することもあるだろう。

 

 では、いままで合弁形態で進出した企業はどのようにして合弁パートナーを見つけてきたのだろうか。長らく貿易取引をしてきた取引相手との合弁というのが例としてよく聞かれる。そのほかにも現地政府からの紹介というのもあるだろう。このようなルートがない場合、中国に進出したい、合弁がいい、でもどのようにして探したらいいかわからない。さあ、どうしようか、ということだが、そのお手伝いいたします!

 

 ファンドという言葉は日本ではあまりいいイメージを持たない人も多いだろう。投資ファンド、村上ファンド、なんとなく企業の敵のように思う人もいる。マイナス面だけを取り上げるとそうかもしれない。でもこれをうまく活用することも考えるべきだ。中国のサービス産業においてはファンドからの資金調達を行っているところは少なくない。特にネット系はそうだ。そしてここでいう合弁相手探しというのはこのファンドをうまく活用するということだ。例えば日本企業があるプロジェクトを進めたいとしよう。そしてそのプロジェクトを合弁で進めたいが、中国側パートナーをどう探していいかわからない。このパートナーをファンドに探させるのである。ファンド会社が中国側にプロジェクトの優位性を説明し、それに納得してもらった場合にファンド会社がファンドをその中国企業に投入する、そしてその資金で合弁企業に出資する。合弁相手探しに困っていた日本企業はwin、いいプロジェクトにめぐり合えた中国企業もwin、同じくいいプロジェクトにめぐり合えたファンド会社もwin、そして私もこのプロデュースという商売ができてwin、私の存在を抜きにしてもwin-winではなくてwin-win-winと、winを勝ち取る主体が一つ増える。この場合、ファンドが合弁会社に直接投入されているわけではないので、ファンドに抵抗感を感じる日本企業にとっても受け入れやすいかもしれない。さすがにファンドというだけあって、プロジェクトは吟味するし、相応の資金を投入するので、そこそこの規模のプロジェクトである必要がある。私が知っているこのファンド会社は直接日本企業にファンドを投入するのも全然やぶさかでない、むしろ技術力のある日本企業に資金を投入したいとも言っている。日本経済はあまりに成熟しすぎてしまっており、企業が今以上の発展を目指すには何か起爆剤が必要とも言え、そのひとつの手段としてこういうファンドを活用してみるのも悪くないだろう。


 また話が前に戻るが、言いたかったことは語うべない手探しで、ファンドを通じての合弁相手探しも検討してみる価値はあると思う。例えば高齢化の進む上海で老人ホーム事業を行うのなんて面白いと思う。最近ちょっと調べたのだが、上海ではまだ外資の老人ホームを批准したことがないという。もし外資の老人ホームができれば第1号になる。こんな事業もいいと思うけどなあ。

セミナー満員御礼

2010年08月08日 | 日記

 記事にするのがちょっと遅れてしまったが、当ブログでも案内していた「今あらためて保税区ビジネス」というセミナーを8月3日に開催した。当初30名の海上を押さえたいたのだが、申込者が多く途中で大きめの会場に変更した。おかげさまでその会場をほぼ埋め尽くす大盛況だった。しかしこの日は暑かった。一時半から受付開始ということもあり、それまでエアコンを着けてもらうことができずセミナーが開始する頃にもまだ十分に冷え切っていなかった。さすがに上着を脱がせたもらった。



 
 セミナーの冒頭でも話したのだが、いまどき保税区に関するセミナーなんてほとんどない。ではなぜそんなセミナーを開催したのか。今年3月から「税関実務の基礎」、「加工貿易の基礎」、「外貨管理の基礎」とくことで、「基礎」をキーワードに開催してきた。その狙いだが、会社の社員というのは多くの仕事を抱えている。わかりやすいので駐在員を例に取ると、会社の規模にもよるが、あれもやらないといけない、これもやらないといけない、目を光らせる範囲が非常に広い人がいる。全部をフルに神経を集中させると回らなくなるので自ずとスタッフにある程度任せることになる。こういうときに起こりがちなのが、スタッフの問題ないと言う言葉を信じて後からえらい目にあうというリスクである。スタッフが行っている仕事の全てを理解することは不可能だが、何か違うのではないかとピンと来る感覚だけは必要だ。そのためには細かい部分まで把握できなくてもある程度の知識が必要になってくる。これに対応することを目的としてのが今までのセミナーだ。今までのセミナーの参加者に今後どんなセミナーを聞きたいかを聞いていったところ「保税区について聞きたい」という声が多く、また今までのセミナーのコンセプトである「基礎」にも関連すると思ったので今回の「今改めて保税区ビジネス」セミナーを開催したのである。

 異動に伴い駐在員は入れ替わるものである。その際に業務の引継ぎが行われる。しかしながら、中国ビジネスの実務的な部分までの引継ぎが行われることはそれほどないだろう。後任者はどうしても自分で学んで覚えていかなければならない。業務の引継ぎは行われるが、知識の引継ぎまでは行われないものなのである。こういうのをコンセプトにしたセミナーも一通り行ったと思うので、今度はまた違うものをやっていこうと思う。ネタは今考え中だ。過去のセミナーで聞きたいテーマについてアンケートをとってきているが、そのほかにも何か意見があれば取り入れて行きたい。


上海市の賃上げ率指導ガイドラインは平均11%

2010年08月06日 | 日記

 上海市人力資源・社会保障局が2010年の上海資企業給与の増加指導ラインを発表した。平均が11%、上限16%、下限4%だ。

 

 この指導ラインは現地の経済成長、消費者物価、労働就業、人的コスト及び前年度の給与水準等の主要な経済指標を元に決められる。ちなみ主要他都市の状況は次の通りだ。

 

 

基準ライン

上限ライン

下限ライン

広州市

11%

16%

3%

廈門市

9%

11.5%

6.5%

山西省

15%

25%

3%

浙江省

12%

上限設けず

4%

 

 上海市人力資源・社会保障局では生産経営が正常、経済効益良好な企業は、平均ラインを参照して賃上げ率を確定することができるとしている。前年の平均給与が全市従業員の平均給与の60%を下回る企業の場合、上限ガイドラインを参考にすることができ、経済効益が良好でない企業は下限ラインを参考にすることができるとしている。また、赤字により賃上げが困難な企業については一定の手続きを踏んで従業員に状況を説明しなければならないとしている。

 

 そもそも賃上げ率の指導ラインというのが企業から見て大きなお世話でもあるが、逆に言えばこれを参考にすればこういう根拠があるということで納得を得やすいともいえる。しかし、賃金格差が大きいという状況の中で、果たして低賃金従業員と高賃金従業員が同じ賃上げ率というのもおかしな話で、そのあたりまで踏み込まないと発表された賃上げ率が一人歩きしてしまう可能性がある。まあ、そこまでやってもらっても大きなお世話であるに違いないのだが。しかし平均で11%か、日本だと昇格でもしない限りこんな上昇率はなかなかないあ。

 

 


オンラインゲームイベント

2010年08月02日 | 日記

 7月29日から8月1日にかけて「ChinaJoy 2010」(第八届中国国際数碼互動娯楽展覧会)というイベントが上海の新国際博覧中心で開催された。中国最大のゲームショーで今年で8回めの開催だ。こういったコンテンツで日本のインバウンドにつなげられるのかという情報を集めることもあり、弊社も参加したのである。仕事ですよ、仕事。このイベントを紹介した大阪萌え大使のブログをご覧ください。

 イベントはオンラインゲームの紹介という意味合いもあり、各ゲームソフト会社がキャンペーンガールを用意してゲームの紹介をしたり、コスプレの格好をした人立場見にイベントを行ったりと結構な盛り上がりであった。私は日本でこのようなイベントに行ったことがなかったのだが、両方参加した人に聞くとこちらのほうがかなり大々的なイベントだそうだ。その模様はこちら。

      

 今年第2四半期の中国のオンラインゲーム市場の全体規模は73.4億元が見込まれているが、前年同期比1.8%のマイナス、この業界のオンライン広告への投入額も前年同期比29.4%ものマイナスとなった。イベントはあれだけにぎわっていたのに現状ではマイナス指標が出ている。そして、マイナス指標が現れたのは今回が初めてだ。とはいうものの、今後とも増大していく市場であるという見方はほぼ一致しており、また上位企業に集中する度合いが集中していくというのがおおむねの見方だ。ちなみに2009年の市場規模(オンラインゲームによる収入)は256.2億元、2008年比39.4%の増加であった。

(ご参考)
2009年中国オンラインゲーム市場(⇒中国からは繫がらない)

 文化部より公布された《オンラインゲーム管理暫定弁法》が8月1日より施行された。参入を検討している企業はこれをよく理解する必要があるが、オンラインゲームに関しては部門同士の管轄が錯綜している状況にある。文化部以外にも新聞出版総署も独自の通達を公布しているのだ。この関係で、網易が代理運営する《魔獣世界》というゲームは既に新聞出版総署の審査を通過したにもかかわらず、文化部の審査も別途必要としており、現在ではこれがまだの状態だ。この手のルール関係は全体的に簡略化されている傾向にあるのだが、オンラインゲームに関しては複雑なままだ。企業としては現状を受け入れざるを得ず、両部門の審査批准を取得していかざるを得ない。また、オンラインゲームはインターネット情報サービスに該当し、これに該当する場合、単純な100%純外資での参入は不可能で、別途スキームを考えて参入する必要がある。日本のアニメも中国にかなり浸透しているが、無料で動画サイトで見ることができたり、キャラクター品もコピー品が蔓延していることから、日本と同じような形で、すなわちテレビで放送すること、キャラクターグッズを販売することでは、中国で収益を上げていくのは難しい。しかしながら、オンラインゲームならこれを打開できる可能性がある。

 また、今回大阪萌え大使がやってきたのは、日本のサブカルチャーを中国に広めることで、日本の町おこしにつなげようというのが狙いだ。これは日本のポップカルチャーが集まっている大阪日本橋(にっぽんばし)というエリアの日本橋まちづくり振興という組織が仕掛けたものだ(ちなみに秋にJapan Pop Culture festival 2010 が開催される)。日本の色んな地方自治体が観光客誘致を目的とした活動を行っているが、大阪萌え大使のような方法はおそらく今までなかったのではないと思う。中国における日本アニメの認知度は非常に高いので、このような地道な活動を通じて日本文化をさらに広めていくのも新たな試みだ。