呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記

中国の最新情報を上海・東京・神戸を拠点に活動する株式会社TNCリサーチ&コンサルティングの呉明憲が紹介します。

オンラインゲームイベント

2010年08月02日 | 日記

 7月29日から8月1日にかけて「ChinaJoy 2010」(第八届中国国際数碼互動娯楽展覧会)というイベントが上海の新国際博覧中心で開催された。中国最大のゲームショーで今年で8回めの開催だ。こういったコンテンツで日本のインバウンドにつなげられるのかという情報を集めることもあり、弊社も参加したのである。仕事ですよ、仕事。このイベントを紹介した大阪萌え大使のブログをご覧ください。

 イベントはオンラインゲームの紹介という意味合いもあり、各ゲームソフト会社がキャンペーンガールを用意してゲームの紹介をしたり、コスプレの格好をした人立場見にイベントを行ったりと結構な盛り上がりであった。私は日本でこのようなイベントに行ったことがなかったのだが、両方参加した人に聞くとこちらのほうがかなり大々的なイベントだそうだ。その模様はこちら。

      

 今年第2四半期の中国のオンラインゲーム市場の全体規模は73.4億元が見込まれているが、前年同期比1.8%のマイナス、この業界のオンライン広告への投入額も前年同期比29.4%ものマイナスとなった。イベントはあれだけにぎわっていたのに現状ではマイナス指標が出ている。そして、マイナス指標が現れたのは今回が初めてだ。とはいうものの、今後とも増大していく市場であるという見方はほぼ一致しており、また上位企業に集中する度合いが集中していくというのがおおむねの見方だ。ちなみに2009年の市場規模(オンラインゲームによる収入)は256.2億元、2008年比39.4%の増加であった。

(ご参考)
2009年中国オンラインゲーム市場(⇒中国からは繫がらない)

 文化部より公布された《オンラインゲーム管理暫定弁法》が8月1日より施行された。参入を検討している企業はこれをよく理解する必要があるが、オンラインゲームに関しては部門同士の管轄が錯綜している状況にある。文化部以外にも新聞出版総署も独自の通達を公布しているのだ。この関係で、網易が代理運営する《魔獣世界》というゲームは既に新聞出版総署の審査を通過したにもかかわらず、文化部の審査も別途必要としており、現在ではこれがまだの状態だ。この手のルール関係は全体的に簡略化されている傾向にあるのだが、オンラインゲームに関しては複雑なままだ。企業としては現状を受け入れざるを得ず、両部門の審査批准を取得していかざるを得ない。また、オンラインゲームはインターネット情報サービスに該当し、これに該当する場合、単純な100%純外資での参入は不可能で、別途スキームを考えて参入する必要がある。日本のアニメも中国にかなり浸透しているが、無料で動画サイトで見ることができたり、キャラクター品もコピー品が蔓延していることから、日本と同じような形で、すなわちテレビで放送すること、キャラクターグッズを販売することでは、中国で収益を上げていくのは難しい。しかしながら、オンラインゲームならこれを打開できる可能性がある。

 また、今回大阪萌え大使がやってきたのは、日本のサブカルチャーを中国に広めることで、日本の町おこしにつなげようというのが狙いだ。これは日本のポップカルチャーが集まっている大阪日本橋(にっぽんばし)というエリアの日本橋まちづくり振興という組織が仕掛けたものだ(ちなみに秋にJapan Pop Culture festival 2010 が開催される)。日本の色んな地方自治体が観光客誘致を目的とした活動を行っているが、大阪萌え大使のような方法はおそらく今までなかったのではないと思う。中国における日本アニメの認知度は非常に高いので、このような地道な活動を通じて日本文化をさらに広めていくのも新たな試みだ。