呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記

中国の最新情報を上海・東京・神戸を拠点に活動する株式会社TNCリサーチ&コンサルティングの呉明憲が紹介します。

広告の重要性

2011年04月20日 | 日記

 

 最近は意識的に非日系企業に関係する話題を多く書いていますが、第一財経日報でカゴメに関する記事が出てましたので、今日はこれを紹介したいと思います。

 

 カゴメが広告を大きく打ち始めまているというきじなのですが、確かに最近多く見かけます。なかなかかわいらしいアニメーションのキャラクターを使っています。初めて見たときはちょっとムーミンを思い出しました。

 

   

   

 カゴメは2005年に中国市場に参入しましたが、その当時はまだカゴメの良さが受け入れられるには早すぎたようで、つまり健康に対する意識がそれほどでもなく、また味覚的にも高濃度の野菜・果物ジュースは受けがよくなかったようです。市場がまだ未成熟であったことやそれを打開するプロモーションも不足し、消費者に対するアピールもできていなかったようです。それがずっと続いてきたのですが、カゴメはこのような状況に風穴を開けるために、広告宣伝への投入強化を決断しました。上の写真はテレビCMで使っているキャラクターです。しかしながら、テレビ離れが進んでいることも考え合わせ、店頭でのイベントも多く行うようにしました。

 

 新商品の導入も行っております。従来のトマトジュース等は酸味が強かったのですが、甘みを加えることにして口当たりを良くしました。これは現地社員の意見によるものだそうです。その次に「日本からやってきたブランド」を強調しようとしたところ、実はこれは日本人のほうが反対しました。しかし、中国人社員が日本の製品のほうが流行にあっており、品質的にもよいイメージがあるのでどうしてもこれを使いたかったことから、この意見を受け入れました。キャラクターを使うこともアニメ大国日本を連想させ、有名スターを使うよりも説得力があると考えました。これも中国人の意見です。これらを通じて半年後に平均出荷量が前年比81.5%のプラスとなったとのことです。

 

 広告投入をどこまで行う方は確かに難しいです。広告費を投入して確実にそれに見合う効果が得られるとは限らないからです。100%確実というわけにはいきませんからね。ただし、ここ中国においては広告等でアピールすることは不可欠で、非日系企業はかなり広告費を使っている印象がありますし、実際にほぼ同一時期に中国市場に参入した同一業界の日系企業と欧米系企業のその後の売り上げの伸び率は広告投入に連動しているデータ(日系企業は欧米系企業の10分の1の広告投入で売り上げも10分の1)を見たこともあります。そういう意味ではコンサルティング会社が提供するようなビジネススキームや戦略のサポートも重要ですし、「中国人は広告は信用しないし、広告できないところはもっと信用しない」という言い方もありますが、広告そのものの重要性・必要性を認識する上で、カゴメのケースは参考になるといえると思います。