中国の社会保険法が今年7月1日より実施されます。その第97条で、「外国人が中国国内で就業している場合、本法規定を参照して社会保険に参加する」とあります。そして、この条文の表現から、「外国人も社会保険に加入しなければならない」、「外国人は社会保険に加入しなくてもよい」と見解が分かれています。個人的には前者が正しいと思っています。その理由としては次の二つです。
1.社会保障協定締結の方向
1月29日付で日経新聞で報道されていますが、駐在中の保険料二重払い解消を目的として社会保障協定を日中韓で締結すべく、中国とは締結を視野に入れた情報収集を強化する方針が示されています。これって要するにお互いの国が二重払いリスクがあるというのを認識しているということですよね。
2.条文の意味
条文が断定的な書き方になっていないために見解が分かれています。しかし、「・・・本法規定を参照して社会保険に参加することができる」という表現であれば、確かに加入したい人はこのとおりやってもらっても結構ですよという意味合いになりますが、今回は「・・・本法規定を参照して社会保険に参加する」というように、参照することができるのではなくて、参照するという表現になっています。例えば外商投資関連の通達で、「香港特别行政区、マカオ特别行政区及び台湾地区の投資者が、・・・、本規定を参照して処理する」というのがあります。この条文を見て、香港・マカオ・台湾企業はその通達を無視して進めることはできないのと同じ理屈です。
ということで、一部でまだ見解が分かれていますが、私個人の考え方は上記のとおりです。