経理・経理・経理マンの巣窟

大・中・小あらゆる企業で経理実務経験約40年の蔵研人が、本音で語る新感覚の読み物風の経理ノウハウブログです

粋な着流しのおじさん

2012-03-08 11:33:49 | 通勤地獄編

 俺はこれだけ足が長いのだぞ、と言わんばかりに大股を広げて、二人分の座席を占領し ている若者。前に人が立っているのも我感ぜずと、足を組んで座っている若者。
 もちろん若者だって、年寄りに席を譲る優しい若者もいる。別段若者の悪口を言うためにこれを書いている訳ではない。たまたまそうした若者が私の隣に座っていたのだ。そしてその若者の前にあるおじさんが立った。車内はそれほど混んではいなかったし、周囲にはいくらでも立つ場所があったのにである。

 そのおじさんは角刈で、渋い紺色の着流しに草履を履いていた。まるで高倉健の世界じ ゃないか。
 それでもタヌキ寝入りの若者は、相変わらず足を大きく組んだままである。おじさんの 足元をみると、あきらかに若者の靴先が着物の裾を汚しているではないか。若者は小柄な おじさんの二倍くらいある大男である。

 おじさんは無言だ。黙ったまま暫くはじっと若者を見下ろしていた。しかし若者は足をどけようとしない。それどころか、その足はさらに伸びて、おじさんの膝にぶつかっているではないか。
 とうとうおじさんが動いた。膝にぶつかっている若者の足を自分の足に絡め、ゆっくり と半円を描き、組まれた若者の足をはずしてしまったのだ。一言も発せず、怒った様子も 見せず、堂々とそしてゆったりとしている。

 その途端に若者がはっとして、おじさんを睨みつけた。だがおじさんは微動だにせず、 何もなかったかのように、相変わらず無言で若者を見つめている。
 すると若者は急に立ち上がり、「申し訳けありませんでした!」と、頭を下げておじさんに謝ったのだ。
 おじさんはニャッと笑い、小さく手を横に振ると、あとは知らんぷり。恐縮した若者は、 小さく座り直してうつむいている。
 やった~!私は思わず快哉し、この着流しおじさんに「サインしてください!!」と叫びたくなってしまった。暫くして電車が次の駅で止まると、くだんのおじさんは、ゆっくりと した足どりで電車を降りていった。

  下記の2つのバナーをそれぞれクリックすると、このブログのランクが分かりますよ! またこのブログ記事が役立った又は面白いと感じた方も、是非クリックお願い致します。

注)会社のPCでクリックすると、ランキングに反映出来ない場合があります。出来れば自宅のPCからもクリックしてくれると凄く嬉しいです。

にほんブログ村 経営ブログ 財務・経理へにほんブログ村

 人気ブログランキングへ

 


コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« いまさら中国進出もないだろう | トップ | 常に前向きで、創造力と実行... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

通勤地獄編」カテゴリの最新記事