漫画/ハリソンさんはカノ紳士 Mr.Harrison is THE GENTLEMAN ― フランス通過編 ―(前半)

18世紀欧州が舞台の歴史ロマン。アヴィニヨンの薬屋小町クレールとハリソン&マルセル主従との運命の出会い。

モーツァルトさんと相似曲 ♪

2010年08月28日 21時03分16秒 | トリシャン・カノ紳version.
 
  兄さん…自分の知ってる事は、
  いろいろ話してくれるけど僕の質問には
  ちゃんと僕が納得の行くようには
  答えてくれてないよね〜。



 「 トリストラム・シャンディ 」 の中で、
トゥビー叔父さんが口笛で吹く、
「 リラブレロ 」 という曲がどんな感じの曲かご存じですか?
まー、ローレンス・スターンさんの元っからのファンの方はご存じで、
Yes, of course. ってトコなんでしょうが…。

 トゥビー叔父さん、
物語の中で何か釈然としなかったり、
呆れた事があると、いつも同じ曲の数小節を口笛で吹いて、
その原因となった人や出来事に対して、
抗議の気持ちを表現するのでした。


 ▼ 楽譜では、こんなんです。


♪ ヘンリー・パーセル作曲 /
 リリバーレロ,新しいアイルランド風の調べ
 ( ト長調版 )

 




 もしかしたら、トゥビー叔父さんが吹いていたのは、
最初の音が♭ミから始まり、
最高音は1オクターブ上の♭ミの
変ホ長調版かもしれませんが。

 で、この曲、収録されているCDもあって、

「 パーセル&ブロウ作品集 」

の中で、グスタフ・レオンハルトさんが、
多分トゥビー叔父さんが実際口笛で吹いていたのよりは、
アップテンポでハープシコードを弾いています。

 
 で、そのCDの解説書の中にも指摘があるのですが、
作者も言われてみれば似ていると思ったのでした。


▼ その曲とは 、あの超有名なーー 。


♪ モーツァルト作曲 / ピアノソナタ第11番イ長調 K.331
  (第3楽章はトルコ行進曲)


 



 第16話にあったように、
モーツァルト家の人達、英国へと家族一同で演奏旅行に来て、
1年以上滞在していたのでした。
ちょうど、「 トリシャン 」 7・8巻が発売されたのと同時期なのですが、
モーツァルトさんがパーセルさんの曲を知って、
自分の曲作りの脳内アイディア箱にしまって、
大人になってから取り出したのかは不明なのでした。

 上記の2曲が 「 相似曲 」 であるというのは、
パーセルさんサイドでは言っているのですが、
モーツァルトさんサイドからは、
そのような文献が今の所、
発掘できませんでした。

 ちなみに、二人とも36歳くらいで没しています。
で、パーセルさんは、モーツァルトさんより100年以上前に生まれた人なのに、
現代では 「 英国のモーツァルト 」
― と呼ばれているのでした。

 パーセルさん、王室皇室関係のTV番組のバックでよくかかっている、
ジェレマイア・クラークさん ( 1673-1707 ) 作曲の、

「 トランペット・チューン 」
「 トランペット・ヴォランタリー 」

… が、作者が若い頃くらいまでは、
誤って代表作だとされていました。





 「 リラブレロ 」、
口笛での全曲演奏をアップできれば
ベストだったんでしょうが、
あいにく作者、
マルセル・トロワ君と同じで、
口笛が吹けないんですけんのぉ!