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「パンツァー・リート」の次は「SHINY DAYS」や「ふゆびより」を聴いて元気を貰います

けいおん!の聖地をゆく14 その11 嵐山の夜景とHTTフィギュア

2017年10月09日 | 洛中洛外聖地巡礼記

 

 夜の19時過ぎ、夕食をとりに、宿の近くの桂川沿いにある食事処へ行きました。嵐山地区で夜も営業している店はあまり無く、事前に、嵐山に詳しいモケジョのユキさんに訊いたところ、「「音や」ぐらいなものですよ、ライブハウスみたいな感じのレストランですけど」と教えられました。

 ナガシマさんにその店を紹介すると、そこへ行ってみましょう、となりました。しかし、着いた時には満席でしかもコンサート演奏の最中でした。全員が真剣になって音楽を楽しんでいる、あの快い緊迫感というやつが室内に横溢しているようでした。
 そこへドアを開けて入って席を探すというのも無粋で憚られる気がして、玄関外でしばらく躊躇しました。ナガシマさんと二人で迷った挙句、無理に入って行ってあのいい雰囲気を壊すのもどうか、ということで他を探しましょう、という結論に至りました。いざとなったら嵐山駅前のコンビニで弁当でも買うか、という気分になりました。

 それでは、と再び歩き出し、雨が降ったばかりの桂川畔の三条通を歩いて渡月橋を渡り、阪急嵐山駅の向かいにある温泉施設「風風の湯」に行きました。宿の風呂は普通のタイプなので、ナガシマさんには、ゆったりした天然温泉でくつろいで、早朝からのハードスケジュールの疲れを癒していただこう、と考えたからでした。
 もちろん私も初めて利用したのですが、残念だったのは、この種の施設によくある食事処が無かったことでした。しかし、温泉の質は大変に良く、疲労回復効果も抜群でした。湯に浸かりつつ、ナガシマさんも楽しそうに色々語っていました。

 

 さっぱりして疲れも取れたところで、夜風に吹かれつつ、渡月橋を渡って嵐電嵐山駅方面に向かいました。上図は渡月橋の夜景です。

 

 渡月橋より保津川渓谷方面を見ました。川沿いの旅館街の明かりが賑やかに並んで、いずれも宴の雰囲気を示していました。嵐山の観光というのは、基本的に日帰りタイプに分類されるので、夜に歩き回るというパターンはあまり無く、滞在客は宿で飲んで食べてまったりと過ごす、という形に落ち着きます。

 なので、昼は混雑して普通に歩くことも難しい渡月橋も、夜は閑散として人も車も通りません。昼と夜とのギャップが大きい観光地であるのは、今でも変わらないようです。

 

 結局、夜も営業している食事処はありませんでした。嵐電嵐山駅前のローソンに立ち寄って、ナガシマさんはMEC食関連を、私は弁当やナッツ類を買いました。

 

 向かいの嵐電嵐山駅です。改札口が廃止されていますので、ホームまでの全てがオープンスペースとして開放されています。ホームの端に足湯が設けられており、そこまで散歩するのも可能です。ただ、夜は御覧のようにガランとしています。

 

 宿に帰り、食事をして落ち着くやいなや、再び「けいおん」モードに突入全開のナガシマさんでした。持参したフィグマの組み立てに再没頭していました。よくやるなあ、この人は、と再び感心せずにはいられませんでした。

 翌日は豊郷に移動して、前回の3月の同道時にやったフィギュア撮影を今回も楽しもう、という計画でした。前回はフィギュアも全部揃っていませんでしたので、今回はお互いにワンセットを持ち寄って、組み合わせで撮影しよう、という案でした。
 それでナガシマさんはフィグマの全部、私はねんどろいどHTTの一式を持参しました。上図のように豊郷小学校での撮影を想定して、フィギュアの組み立てや配列、撮影の予行演習をやってみたわけです。

 ですが、ここで一つの問題が浮き彫りになりました。ナガシマさんのフィグマは、分割解体して持ち運びしているために、撮影時の組み立てに相当の時間がかかるのでした。私のねんどろいどは、そのままセットして終わり、ですので、上図のように5人を並べて付属品もセットするのに3分もかかりません。

 

 しかもナガシマさんは、繊細で凝り性ですから、フィグマ一体一体の動きや姿勢の隅々にも真摯な意識を叩きこんでじっくりとポーズを決めてゆくのでした。
 御本人は「客観視するとただのアホ」などと謙遜していましたが、私は芸大にも学んでフィギュアは現代アートの一環と捉える意識がありますので、フィギュアの取り扱い自体は、芸術創作活動と本質的には変わらないと解釈しています。
 フィギュアのポーズを決めるのも、芸術論にいうところの「三次元対象の骨格イメージ決定」にあたります。この決定がしっかりしていないと、彫刻も絵画も工芸も基本構想が安定しません。

 もともと仏教美術の彫刻史がメイン専攻であった私からすると、フィギュアのポーズ決めというのは、仏像の制作段階における姿勢選択と根本的には同じです。理想的なポーズというのは、案外に見定めるのが難しいので、そこへ行きつくまでに相当の試行錯誤が必要です。じっくり考えて結構、真摯にフィギュアに打ち込んで大いに結構ではないか、と思います。

 

 とにかく、時間の経つのも忘れて、真剣に取り組んでいるナガシマさんでした。

 実は、模型サークルのフィギュア分会の仲間にも、ナガシマさんと似たようなスタンスの人が居ます。彼とはミニフィギュアの話をすることが多く、フィギュアを芸術の観点で捉えるということで話題が盛り上がったりします。
 彼は、私が京都造形芸術大学に通っていた事も知っており、自分もそれやりたいな、と常々話していましたが、ようやく費用と出席可能日数の目処がたったようで、今年の春に三年次編入にて京都造形芸術大学に入学し、この夏は一生懸命に集中講義に出ていたようです。
 社会人ですから、働きながら、休日は大学に通う、という生活です。大変だけど、それ以上に楽しくてしょうがない、と笑顔で話していましたが、それはとてもよく理解出来ました。
 かつての私もそうだったのです。私が本当に楽しんで学んだ三年間を、彼も同じように過ごしつつあるのでしょう。

 それで、この時ふと思ったのですが、ナガシマさんも京都造形芸術大学の社会人コースで学んでみたらいいのではないか、と。通信教育のコースもあるので、遠隔地に居ながらでも学べます。
 最近は文化としての漫画やアニメやフィギュアに関する論考が盛んになっており、フィギュアという対象も立派にドクター論文のテーマ足り得ます。アニメの熱心なファンが、熱中するあまりマニアから学生に昇華して、芸大で色々学んだ挙句、ついには研究者になってしまった、というケースも少なくありません。
 関西の大学では、マンガ学部やアニメ学科、フィギュア専攻、というような単位も珍しくないので、そこへ通ったり、通信教育で学んだりしているアニメファンはかなり居ます。

 ナガシマさんは、いま「けいおん」に熱中していますが、そういう情熱を、学問の領域にシフトしていったら、より充実した、もっと深い楽しみ方による「熱中」が出来ることでしょう。

 

 一時間余りの組み立てを経て、ようやくフィグマの配列が完了したようです。早速スマホを撮影モードに切り替えて、さあ撮るぞ、と目をギラつかせるナガシマさんでした。こういうあたりが、私には全く真似出来ませんのですよ・・・。

 

 私も初めて見た、フィグマとねんどろいどのHTTの揃い踏みです。なかなか壮観です。この形で、明日は豊郷小学校での撮影に臨もうという計画であるわけです。
 今まで、こういう組み合わせで撮影した方はネット上でも見かけませんでしたので、私たちの試みがおそらくは最初であるようです。大袈裟でなく、前人未到の実験的撮影でありましょう。

 

 これはなかなか良いですね。仏像の群像表現にも通じるものがあります。一つの世界観が空間の中にも構築されてゆくのです。複数のフィギュアの組み合わせでないと、有り得ない雰囲気が醸成されてくるのですが、今回のそれは「けいおん」のHTTの特有のあの雰囲気です。劇中の楽しそうなライブ感です。

 これを「けいおん」の聖地豊郷小学校で再現して撮影する、という試みです。なかなか出来ない取り組みです。バカにされようとも、チャレンジする価値は充分にあります。
 だから、ナガシマさんが万難を排してフィギュア全部を持参し、長い時間をかけて真剣に組み立てて配列し、至福の表情で予行撮影にのぞんでいたのは、ファンとしての当然の帰結です。

 ですが、ナガシマさんがツイッター仲間とやり取りしたところ、「ねんどろいどぷちもあれば良い」との指摘があったそうです。
 それを聞いた途端、その発想は全く無かった、確かにそうだ、しまったな・・・、と思った事でした。早くも次の課題が出来たな、というのが正直な感想でした。 (続く)

 

コメント (2)
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