旅行先では、火山や山岳、渓谷、高原、河川などにいろいろな地形を見ることがあると思いますが、これが風光明媚な景観を造形していて、感動することも少なくないと思われます。
日本は、火山列島の上にありますので、地形や地質的にみても貴重なものが結構あるのです。近年、こういう地球科学的な価値を持つ自然の造形にスポットが当たり、「ジオパーク」というものが認定されるようになりました。これは、ユネスコが関与した世界的な取り組みなのですが、日本でも近年「日本ジオパーク」というものが認定されてきています。
これは、「大地の遺産」を保全し、教育やツーリズムに活用しながら、持続可能な開発を進めるものなので、見学施設やガイドの整備にも取り組まれ、いろいろな見学コースも整えられてきています。旅行計画の中に、こういうところを取り入れてみるのも面白いかと思います。
〇「ジオパーク」とは?
地質学(geology)と公園(park)の合成語で、「大地の公園」「大地の遺産」「地質遺産」などとも表現されていました。地球科学的な価値を持つ遺産を保全し、教育やツーリズムに活用しながら、持続可能な開発を進める地域認定プログラムです。
2004年(平成16)に、「国際連合教育科学文化機関(UNESCO)」の支援により、「世界ジオパークネットワーク(GGN)」が発足し、各国のジオパーク委員会による推薦地域を審査し,条件を備えた地域を世界ジオパークに認定してきました。日本でも、2008年(平成20)に「日本ジオパーク委員会(JGC)」が設立され、国内のジオパーク認定、および世界ジオパークへの加盟申請などを行っています。また,日本ジオパークに認定されたところ、および日本ジオパークを目指す地域協議会などにより、「日本ジオパークネットワーク」が設立されました。
そして、2008年(平成20)12月8日に、初めて7地域(洞爺湖有珠山、糸魚川、島原半島、アポイ岳、南アルプス[中央構造線エリア]、山陰海岸、室戸)が日本ジオパークに決まり、同時に、世界ジオパークへの3地域(洞爺湖有珠山、糸魚川、島原半島)の推薦が決定したのです。その後、日本ジオパークの認定と世界ジオパークへの加盟申請が順次行われてきて、2017年(平成29)7月現在、43地域が日本ジオパークに認定され、その内8地域が世界ジオパークに認定されました。これらの地域では、地史や地質現象を示す地質遺産を保全し、地球科学や環境問題の教育・普及活動を行うとともに、観光資源として地域の活性化を目指すと共に、地質災害に対する理解や防災への取り組みも行われています。
☆「日本ジオパーク」のお勧め
(1)洞爺湖有珠山ジオパーク(北海道)
2008年(平成20)12月8日に、初めて日本ジオパークに認定された7地域の一つで、翌年8月に最初に世界ジオパークにも認定されています。北海道の洞爺湖、有珠山を中心とし、火山活動により形成された地質や自然、さらにはそうした自然に育まれた縄文文化の遺跡群などを含む、伊達市、豊浦町、壮瞥町、洞爺湖町の4市町がその対象地域となりました。洞爺湖ジオサイト(神秘の水をたたえるカルデラ湖)、中島ジオサイト(噴火で形成された溶岩ドーム群からなる)、北黄金貝塚ジオサイト(縄文時代早期~中期頃の遺跡群)、カムイチャシ史跡公園ジオサイト(アイヌの砦・館跡)、小幌洞窟ジオサイト(先史時代の遺跡)、有珠善光寺・善光寺自然公園ジオサイト(大小様々な溶岩の塊が散在しています)、昭和新山ジオサイト(1944-45年の有珠山噴火で隆起して出来た溶岩ドームが有名)、1977年火山遺構公園ジオサイト(噴火で断層ができて建物が破壊された跡)、旧とうやこ幼稚園ジオサイト(2000年噴火で落下した噴石の直撃を受けた建物跡)、2000年噴火遺構公園ジオサイト(熱泥流が発生して埋まった建物跡)などが見所です。拠点施設としては、「道の駅 そうべつ情報館」「洞爺湖ビジターセンター・火山科学館」があって、見学しながらいろいろと学ぶことができました。
(2)糸魚川ジオパーク(新潟県)
2008年(平成20)12月8日に、初めて日本ジオパークに認定された7地域の一つで、翌年8月に最初に世界ジオパークにも認定されています。フォッサマグナの西端の大きな断層である糸魚川-静岡構造線にまつわるものがいろいろと観察でき、糸魚川市域がその対象地域となりました。親不知ジオサイト(日本アルプスが日本海に落ち込む断崖絶壁)、青海海岸ジオサイト(砂利浜であり、ヒスイをはじめ多種多様な岩石を観察できる)、糸静線‐塩の道(北部)ジオサイト(フォッサマグナの西縁を境する大断層の断層露頭や枕状溶岩が見学できる)、小滝川ヒスイ峡ジオサイト(日本最初のヒスイ産地)、蓮華ジオサイト(氷河によってできた湿原や湖沼がある)、月不見の池ジオサイト(地すべり地の地下を流れ下った巨礫集積地の湧水)、海谷渓谷ジオサイト(海底火山の内部がよく保存されている)、弁天岩ジオサイト(フォッサマグナの海底火山を由来とする岩礁)、権現岳ジオサイト(フォッサマグナの地層中の貫入岩体が見られる)、筒石浜徳合ジオサイト(フォッサマグナの海底にたまった砂岩泥岩互層が見られる)などが見所です。拠点施設としては、「フォッサマグナミュージアム」「糸魚川ジオステーション ジオパル」があり、面白く体験や勉強が出来ました。
(3)山陰海岸ジオパーク(京都府・兵庫県・鳥取県)
2008年(平成20)12月8日に、初めて日本ジオパークに認定された7地域の一つで、2010年(平成22)10月に世界ジオパークにも認定されています。日本列島がユーラシア大陸から分かれて、約2,500万年前の日本海形成の時代から現在に至るまでの過程を知ることが出来る貴重な地質や地形が数多く見られ、その地質・地形・気候をうまく活用した、多様な生活文化が各地に息づいているので、「日本海形成に伴う多様な地形・地質・人々の風土と暮らし」をテーマとし、京都府(京丹後市)、兵庫県(豊岡市、香美町、新温泉町)、鳥取県(岩美町、鳥取市)の1府2県の3市3町がその対象地域となりました。小天橋ジオサイト(約7kmの美しい砂浜が続く)、玄武洞公園ジオサイト(新生代第四期における地球磁場の逆転の発見につながった場所)、猿尾滝ジオサイト(上段落差39m、下段落差21m、総落差60mの大きな滝)、三尾大島ジオサイト(発達した柱状節理が一面に石の杭を隙間なく打ち込んだように見える)、浦富海岸ジオサイト(日本海の荒波によって侵食された荒々しい岩石と、岬に囲まれた白砂青松の浜が織りなすみごとな景観)、鳥取砂丘ジオサイト(広大な海岸砂丘)などが見所です。拠点施設としては、「新温泉町山陰海岸ジオパーク館」「山陰海岸ジオパーク海と大地の自然館」があり、楽しく学ぶことができました。
(4)室戸ジオパーク(高知県)
2008年(平成20)12月8日に、初めて日本ジオパークに認定された7地域の一つで、2011年(平成23)9月に世界ジオパークにも認定されています。プレートテクトニクス理論を陸上で初めて実証した四万十帯(付加体)の地質や、地震隆起と海水準変動によって形成された海成段丘などが観察でき、高知県室戸市全域が対象地域となりました。枦山-西山台地ジオサイト(大規模な海成段丘)、行当-黒見海岸ジオサイト(約4,000万年~3,000万年前に海底に堆積した地層)、室津港サイトジオサイト(地震のたびに地盤が隆起し干上がってしまうため、人の力で港を掘り下げたもの)、室戸岬ジオサイト(巨大地震が繰り返し発生した痕跡など)、日沖-丸山海岸ジオサイト(玄武岩の枕状溶岩)などが見所です。拠点施設としては、「室戸世界ジオパークセンター」があり、3つのコーナーの展示と大型スクリーンを備えた「ジオシアター」などがあって、興味深いものでした。
(5)島原半島ジオパーク(長崎県)
2008年(平成20)12月8日に、初めて日本ジオパークに認定された7地域の一つで、翌年8月に最初に世界ジオパークにも認定されています。長崎県島原半島にある世界有数の活火山である雲仙火山を中心とし、何度も噴火災害を受けながら、その恵みを活用しながら生きてきた人々が暮らす、「活火山と人との共生」がテーマで、島原市、雲仙市、南島原市の行政区域をもって構成されました。早崎海岸ジオサイト(島原半島をつくりだした最初の噴火が起きた場所)、原城跡ジオサイト(火砕流が堆積した場所で「島原・天草一揆」の最終激戦地)、龍石海岸ジオサイト(雲仙火山の最初期の地層)、白土湖ジオサイト(眉山の崩壊でできた窪地に水がたまってできた湖)、千々石断層ジオサイト(東西に走る断層が観察できる)、雲仙地獄ジオサイト(高温の噴気や熱水が噴き出している所)、仁田峠第二展望所ジオサイト(妙見岳カルデラと複数の溶岩ドームが見られる)、土石流被災家屋保存公園ジオサイト(普賢岳の平成噴火での被災家屋跡)、垂木台地森林公園ジオサイト(平成の普賢岳噴火により樹木が焼けて荒地となった跡)などが見所です。拠点施設としては、「がまだすドーム(雲仙岳災害記念館)」があり、火山噴火の脅威と防災について、体感しながら学習できました。
(6)阿蘇ジオパーク(熊本県)
2009年(平成21)10月に、日本ジオパークに認定され、2014年(平成26)9月に世界ジオパークにも認定されています。世界最大級の阿蘇カルデラと、現在も噴煙を上げているものの、平穏時は火口を見学することができる中岳など、日本を代表する活火山で、テーマは「阿蘇火山の大地と人間生活」とし、阿蘇地域の8市町村がその対象地域となりました。その中の大観峰カルデラジオサイト(阿蘇カルデラが一望できる)、中岳ジオサイト(活火山の火口が見られる)、火山の神ジオサイト(火山への信仰が感じられる)、小国郷温泉ジオサイト(火山の恵みの温泉を体感できる)、北外輪火砕流ジオサイト(広大な火砕流台地を見ることができる)、池山・山吹ジオサイト(阿蘇火砕流の中を通って湧出する水の恵みが感じられる)、らくだ山ジオサイト(岩脈の表面の様子や柱状節理を観察できる)、南阿蘇湧水群ジオサイト(湧水地が体感できる)、大峯火山ジオサイト(断層活動が観察できる)、蘇陽峡ジオサイト(噴火と水がつくりあげた渓谷で紅葉の名所)などが見所です。拠点施設としては、「阿蘇火山博物館」、「道の駅阿蘇/ASO田園空間博物館」があり、立ち寄って、いろいろと学習できました。
☆「日本ジオパーク」一覧(日本ジオパークネットワークへの加盟を認定されたジオパーク)
<北海道>
・洞爺湖有珠山ジオパーク(北海道)2008年12月加盟⇒2009年8月に世界ジオパークネットワークに加盟
・アポイ岳ジオパーク(北海道)2008年12月加盟⇒2015年9月に世界ジオパークネットワークに加盟
・白滝ジオパーク(北海道)2010年9月加盟
・とかち鹿追ジオパーク(北海道)2013年12月加盟
・三笠ジオパーク(北海道)2013年9月加盟
<東北>
・下北ジオパーク(青森県)2016年9月加盟
・八峰白神ジオパーク(青森県)2012年9月加盟
・三陸ジオパーク(青森県・岩手県・宮城県)2013年9月加盟
・男鹿半島・大潟ジオパーク(秋田県)2011年9月加盟
・ゆざわジオパーク(秋田県)2012年9月加盟
・鳥海山・飛島ジオパーク(秋田県・山形県)2016年9月加盟
・栗駒山麓ジオパーク(宮城県)2015年8月加盟
・磐梯山ジオパーク(福島県)2011年9月加盟
<関東>
・茨城県北ジオパーク(茨城県)2011年9月加盟
・筑波山地域ジオパーク(茨城県)2016年9月加盟
・浅間山北麓ジオパーク(群馬県)2016年9月加盟
・下仁田ジオパーク(群馬県)2011年9月加盟
・ジオパーク秩父(埼玉県)2011年9月加盟
・伊豆大島ジオパーク(東京都)2010年9月加盟
・銚子ジオパーク(千葉県)2012年9月加盟
・箱根ジオパーク(神奈川県)2012年9月加盟
<中部>
・佐渡ジオパーク(新潟県)2013年9月加盟
・糸魚川ジオパーク(新潟県)2008年12月加盟⇒2009年8月に世界ジオパークネットワークに加盟
・苗場山麓ジオパーク(新潟県)2014年12月加盟
・南アルプス(中央構造線エリア)ジオパーク(長野県)2008年12月加盟
・立山黒部ジオパーク(富山県)2014年8月28日加盟
・白山手取川ジオパーク(石川県)2011年9月加盟
・恐竜渓谷ふくい勝山ジオパーク(福井県)2009年10月加盟
・伊豆半島ジオパーク(静岡県)2012年9月加盟
<近畿>
・南紀熊野ジオパーク(和歌山県・奈良県)2014年8月28日加盟
・山陰海岸ジオパーク(京都府・兵庫県・鳥取県)2008年12月加盟⇒2010年10月に世界ジオパークネットワークに加盟
<中国>
・隠岐ジオパーク(島根県)2009年10月加盟⇒2013年9月に世界ジオパークネットワークに加盟
・Mine秋吉台ジオパーク(山口県)2015年8月加盟
<四国>
・四国西予ジオパーク(愛媛県)2013年9月加盟
・室戸ジオパーク(高知県)2008年12月加盟⇒2011年9月に世界ジオパークネットワークに加盟
<九州>
・島原半島ジオパーク(長崎県)2008年12月加盟⇒2009年8月に世界ジオパークネットワークに加盟
・おおいた姫島ジオパーク(大分県)2013年9月加盟
・おおいた豊後大野ジオパーク(大分県)2013年9月加盟
・阿蘇ジオパーク(熊本県)2009年10月加盟⇒2014年9月に世界ジオパークネットワークに加盟
・天草ジオパーク(熊本県)2014年8月28日加盟 - 2014年10月に天草御所浦ジオパークが合併
・霧島ジオパーク(鹿児島県・宮崎県)2010年9月加盟
・桜島・錦江湾ジオパーク(鹿児島県)2013年9月加盟
・三島村・鬼界カルデラジオパーク(鹿児島県)2015年8月加盟
日本は、火山列島の上にありますので、地形や地質的にみても貴重なものが結構あるのです。近年、こういう地球科学的な価値を持つ自然の造形にスポットが当たり、「ジオパーク」というものが認定されるようになりました。これは、ユネスコが関与した世界的な取り組みなのですが、日本でも近年「日本ジオパーク」というものが認定されてきています。
これは、「大地の遺産」を保全し、教育やツーリズムに活用しながら、持続可能な開発を進めるものなので、見学施設やガイドの整備にも取り組まれ、いろいろな見学コースも整えられてきています。旅行計画の中に、こういうところを取り入れてみるのも面白いかと思います。
〇「ジオパーク」とは?
地質学(geology)と公園(park)の合成語で、「大地の公園」「大地の遺産」「地質遺産」などとも表現されていました。地球科学的な価値を持つ遺産を保全し、教育やツーリズムに活用しながら、持続可能な開発を進める地域認定プログラムです。
2004年(平成16)に、「国際連合教育科学文化機関(UNESCO)」の支援により、「世界ジオパークネットワーク(GGN)」が発足し、各国のジオパーク委員会による推薦地域を審査し,条件を備えた地域を世界ジオパークに認定してきました。日本でも、2008年(平成20)に「日本ジオパーク委員会(JGC)」が設立され、国内のジオパーク認定、および世界ジオパークへの加盟申請などを行っています。また,日本ジオパークに認定されたところ、および日本ジオパークを目指す地域協議会などにより、「日本ジオパークネットワーク」が設立されました。
そして、2008年(平成20)12月8日に、初めて7地域(洞爺湖有珠山、糸魚川、島原半島、アポイ岳、南アルプス[中央構造線エリア]、山陰海岸、室戸)が日本ジオパークに決まり、同時に、世界ジオパークへの3地域(洞爺湖有珠山、糸魚川、島原半島)の推薦が決定したのです。その後、日本ジオパークの認定と世界ジオパークへの加盟申請が順次行われてきて、2017年(平成29)7月現在、43地域が日本ジオパークに認定され、その内8地域が世界ジオパークに認定されました。これらの地域では、地史や地質現象を示す地質遺産を保全し、地球科学や環境問題の教育・普及活動を行うとともに、観光資源として地域の活性化を目指すと共に、地質災害に対する理解や防災への取り組みも行われています。
☆「日本ジオパーク」のお勧め
(1)洞爺湖有珠山ジオパーク(北海道)
2008年(平成20)12月8日に、初めて日本ジオパークに認定された7地域の一つで、翌年8月に最初に世界ジオパークにも認定されています。北海道の洞爺湖、有珠山を中心とし、火山活動により形成された地質や自然、さらにはそうした自然に育まれた縄文文化の遺跡群などを含む、伊達市、豊浦町、壮瞥町、洞爺湖町の4市町がその対象地域となりました。洞爺湖ジオサイト(神秘の水をたたえるカルデラ湖)、中島ジオサイト(噴火で形成された溶岩ドーム群からなる)、北黄金貝塚ジオサイト(縄文時代早期~中期頃の遺跡群)、カムイチャシ史跡公園ジオサイト(アイヌの砦・館跡)、小幌洞窟ジオサイト(先史時代の遺跡)、有珠善光寺・善光寺自然公園ジオサイト(大小様々な溶岩の塊が散在しています)、昭和新山ジオサイト(1944-45年の有珠山噴火で隆起して出来た溶岩ドームが有名)、1977年火山遺構公園ジオサイト(噴火で断層ができて建物が破壊された跡)、旧とうやこ幼稚園ジオサイト(2000年噴火で落下した噴石の直撃を受けた建物跡)、2000年噴火遺構公園ジオサイト(熱泥流が発生して埋まった建物跡)などが見所です。拠点施設としては、「道の駅 そうべつ情報館」「洞爺湖ビジターセンター・火山科学館」があって、見学しながらいろいろと学ぶことができました。
(2)糸魚川ジオパーク(新潟県)
2008年(平成20)12月8日に、初めて日本ジオパークに認定された7地域の一つで、翌年8月に最初に世界ジオパークにも認定されています。フォッサマグナの西端の大きな断層である糸魚川-静岡構造線にまつわるものがいろいろと観察でき、糸魚川市域がその対象地域となりました。親不知ジオサイト(日本アルプスが日本海に落ち込む断崖絶壁)、青海海岸ジオサイト(砂利浜であり、ヒスイをはじめ多種多様な岩石を観察できる)、糸静線‐塩の道(北部)ジオサイト(フォッサマグナの西縁を境する大断層の断層露頭や枕状溶岩が見学できる)、小滝川ヒスイ峡ジオサイト(日本最初のヒスイ産地)、蓮華ジオサイト(氷河によってできた湿原や湖沼がある)、月不見の池ジオサイト(地すべり地の地下を流れ下った巨礫集積地の湧水)、海谷渓谷ジオサイト(海底火山の内部がよく保存されている)、弁天岩ジオサイト(フォッサマグナの海底火山を由来とする岩礁)、権現岳ジオサイト(フォッサマグナの地層中の貫入岩体が見られる)、筒石浜徳合ジオサイト(フォッサマグナの海底にたまった砂岩泥岩互層が見られる)などが見所です。拠点施設としては、「フォッサマグナミュージアム」「糸魚川ジオステーション ジオパル」があり、面白く体験や勉強が出来ました。
(3)山陰海岸ジオパーク(京都府・兵庫県・鳥取県)
2008年(平成20)12月8日に、初めて日本ジオパークに認定された7地域の一つで、2010年(平成22)10月に世界ジオパークにも認定されています。日本列島がユーラシア大陸から分かれて、約2,500万年前の日本海形成の時代から現在に至るまでの過程を知ることが出来る貴重な地質や地形が数多く見られ、その地質・地形・気候をうまく活用した、多様な生活文化が各地に息づいているので、「日本海形成に伴う多様な地形・地質・人々の風土と暮らし」をテーマとし、京都府(京丹後市)、兵庫県(豊岡市、香美町、新温泉町)、鳥取県(岩美町、鳥取市)の1府2県の3市3町がその対象地域となりました。小天橋ジオサイト(約7kmの美しい砂浜が続く)、玄武洞公園ジオサイト(新生代第四期における地球磁場の逆転の発見につながった場所)、猿尾滝ジオサイト(上段落差39m、下段落差21m、総落差60mの大きな滝)、三尾大島ジオサイト(発達した柱状節理が一面に石の杭を隙間なく打ち込んだように見える)、浦富海岸ジオサイト(日本海の荒波によって侵食された荒々しい岩石と、岬に囲まれた白砂青松の浜が織りなすみごとな景観)、鳥取砂丘ジオサイト(広大な海岸砂丘)などが見所です。拠点施設としては、「新温泉町山陰海岸ジオパーク館」「山陰海岸ジオパーク海と大地の自然館」があり、楽しく学ぶことができました。
(4)室戸ジオパーク(高知県)
2008年(平成20)12月8日に、初めて日本ジオパークに認定された7地域の一つで、2011年(平成23)9月に世界ジオパークにも認定されています。プレートテクトニクス理論を陸上で初めて実証した四万十帯(付加体)の地質や、地震隆起と海水準変動によって形成された海成段丘などが観察でき、高知県室戸市全域が対象地域となりました。枦山-西山台地ジオサイト(大規模な海成段丘)、行当-黒見海岸ジオサイト(約4,000万年~3,000万年前に海底に堆積した地層)、室津港サイトジオサイト(地震のたびに地盤が隆起し干上がってしまうため、人の力で港を掘り下げたもの)、室戸岬ジオサイト(巨大地震が繰り返し発生した痕跡など)、日沖-丸山海岸ジオサイト(玄武岩の枕状溶岩)などが見所です。拠点施設としては、「室戸世界ジオパークセンター」があり、3つのコーナーの展示と大型スクリーンを備えた「ジオシアター」などがあって、興味深いものでした。
(5)島原半島ジオパーク(長崎県)
2008年(平成20)12月8日に、初めて日本ジオパークに認定された7地域の一つで、翌年8月に最初に世界ジオパークにも認定されています。長崎県島原半島にある世界有数の活火山である雲仙火山を中心とし、何度も噴火災害を受けながら、その恵みを活用しながら生きてきた人々が暮らす、「活火山と人との共生」がテーマで、島原市、雲仙市、南島原市の行政区域をもって構成されました。早崎海岸ジオサイト(島原半島をつくりだした最初の噴火が起きた場所)、原城跡ジオサイト(火砕流が堆積した場所で「島原・天草一揆」の最終激戦地)、龍石海岸ジオサイト(雲仙火山の最初期の地層)、白土湖ジオサイト(眉山の崩壊でできた窪地に水がたまってできた湖)、千々石断層ジオサイト(東西に走る断層が観察できる)、雲仙地獄ジオサイト(高温の噴気や熱水が噴き出している所)、仁田峠第二展望所ジオサイト(妙見岳カルデラと複数の溶岩ドームが見られる)、土石流被災家屋保存公園ジオサイト(普賢岳の平成噴火での被災家屋跡)、垂木台地森林公園ジオサイト(平成の普賢岳噴火により樹木が焼けて荒地となった跡)などが見所です。拠点施設としては、「がまだすドーム(雲仙岳災害記念館)」があり、火山噴火の脅威と防災について、体感しながら学習できました。
(6)阿蘇ジオパーク(熊本県)
2009年(平成21)10月に、日本ジオパークに認定され、2014年(平成26)9月に世界ジオパークにも認定されています。世界最大級の阿蘇カルデラと、現在も噴煙を上げているものの、平穏時は火口を見学することができる中岳など、日本を代表する活火山で、テーマは「阿蘇火山の大地と人間生活」とし、阿蘇地域の8市町村がその対象地域となりました。その中の大観峰カルデラジオサイト(阿蘇カルデラが一望できる)、中岳ジオサイト(活火山の火口が見られる)、火山の神ジオサイト(火山への信仰が感じられる)、小国郷温泉ジオサイト(火山の恵みの温泉を体感できる)、北外輪火砕流ジオサイト(広大な火砕流台地を見ることができる)、池山・山吹ジオサイト(阿蘇火砕流の中を通って湧出する水の恵みが感じられる)、らくだ山ジオサイト(岩脈の表面の様子や柱状節理を観察できる)、南阿蘇湧水群ジオサイト(湧水地が体感できる)、大峯火山ジオサイト(断層活動が観察できる)、蘇陽峡ジオサイト(噴火と水がつくりあげた渓谷で紅葉の名所)などが見所です。拠点施設としては、「阿蘇火山博物館」、「道の駅阿蘇/ASO田園空間博物館」があり、立ち寄って、いろいろと学習できました。
☆「日本ジオパーク」一覧(日本ジオパークネットワークへの加盟を認定されたジオパーク)
<北海道>
・洞爺湖有珠山ジオパーク(北海道)2008年12月加盟⇒2009年8月に世界ジオパークネットワークに加盟
・アポイ岳ジオパーク(北海道)2008年12月加盟⇒2015年9月に世界ジオパークネットワークに加盟
・白滝ジオパーク(北海道)2010年9月加盟
・とかち鹿追ジオパーク(北海道)2013年12月加盟
・三笠ジオパーク(北海道)2013年9月加盟
<東北>
・下北ジオパーク(青森県)2016年9月加盟
・八峰白神ジオパーク(青森県)2012年9月加盟
・三陸ジオパーク(青森県・岩手県・宮城県)2013年9月加盟
・男鹿半島・大潟ジオパーク(秋田県)2011年9月加盟
・ゆざわジオパーク(秋田県)2012年9月加盟
・鳥海山・飛島ジオパーク(秋田県・山形県)2016年9月加盟
・栗駒山麓ジオパーク(宮城県)2015年8月加盟
・磐梯山ジオパーク(福島県)2011年9月加盟
<関東>
・茨城県北ジオパーク(茨城県)2011年9月加盟
・筑波山地域ジオパーク(茨城県)2016年9月加盟
・浅間山北麓ジオパーク(群馬県)2016年9月加盟
・下仁田ジオパーク(群馬県)2011年9月加盟
・ジオパーク秩父(埼玉県)2011年9月加盟
・伊豆大島ジオパーク(東京都)2010年9月加盟
・銚子ジオパーク(千葉県)2012年9月加盟
・箱根ジオパーク(神奈川県)2012年9月加盟
<中部>
・佐渡ジオパーク(新潟県)2013年9月加盟
・糸魚川ジオパーク(新潟県)2008年12月加盟⇒2009年8月に世界ジオパークネットワークに加盟
・苗場山麓ジオパーク(新潟県)2014年12月加盟
・南アルプス(中央構造線エリア)ジオパーク(長野県)2008年12月加盟
・立山黒部ジオパーク(富山県)2014年8月28日加盟
・白山手取川ジオパーク(石川県)2011年9月加盟
・恐竜渓谷ふくい勝山ジオパーク(福井県)2009年10月加盟
・伊豆半島ジオパーク(静岡県)2012年9月加盟
<近畿>
・南紀熊野ジオパーク(和歌山県・奈良県)2014年8月28日加盟
・山陰海岸ジオパーク(京都府・兵庫県・鳥取県)2008年12月加盟⇒2010年10月に世界ジオパークネットワークに加盟
<中国>
・隠岐ジオパーク(島根県)2009年10月加盟⇒2013年9月に世界ジオパークネットワークに加盟
・Mine秋吉台ジオパーク(山口県)2015年8月加盟
<四国>
・四国西予ジオパーク(愛媛県)2013年9月加盟
・室戸ジオパーク(高知県)2008年12月加盟⇒2011年9月に世界ジオパークネットワークに加盟
<九州>
・島原半島ジオパーク(長崎県)2008年12月加盟⇒2009年8月に世界ジオパークネットワークに加盟
・おおいた姫島ジオパーク(大分県)2013年9月加盟
・おおいた豊後大野ジオパーク(大分県)2013年9月加盟
・阿蘇ジオパーク(熊本県)2009年10月加盟⇒2014年9月に世界ジオパークネットワークに加盟
・天草ジオパーク(熊本県)2014年8月28日加盟 - 2014年10月に天草御所浦ジオパークが合併
・霧島ジオパーク(鹿児島県・宮崎県)2010年9月加盟
・桜島・錦江湾ジオパーク(鹿児島県)2013年9月加盟
・三島村・鬼界カルデラジオパーク(鹿児島県)2015年8月加盟