ガウスの旅のブログ

学生時代から大の旅行好きで、日本中を旅して回りました。現在は岬と灯台、歴史的町並み等を巡りながら温泉を楽しんでいます。

旅の豆知識「モノレール」

2017年09月22日 | 旅の豆知識
 旅行先では、いろいろな乗り物に乗ることがあると思いますが、都市部や遊園地等で、モノレールを利用したことがあるのではないでしょうか。高いところを走っているので、スリリングで、眺望もよかったりします。
 昔は、モノレールといえば、遊園地等の遊戯施設や遊覧用のものが主流でした。しかし、都市部の交通機関として、地下鉄などより建築費が安く、道路上に設置できるので、用地買収が最小限で済むなどの利点により、設置・運行されるところが増えてきました。
 道路の上の高いところを走るので、その都市の様子もよくわかり、旅先で乗ってみても面白いので、お勧めです。

〇「モノレール」とは?
 1本の走行軌条(走行桁)を用いて車両を走行させる鉄道(単軌鉄道ともいう)のことで、日本の法令上では、鉄道事業法に基づく「鉄道(懸垂式鉄道/跨座式鉄道)」と軌道法に基づく「軌道(懸垂式モノレール/跨座式モノレール)」が存在しています。形式によって分類すると、地上数mの高さに架設された1本の桁に吊下がって走る懸垂(けんすい)式と、桁の上にまたがって走る跨座 (こざ) 式に大別され、さらに下記のように区分されました。
<懸垂式>
(1)ランゲン式:鉄骨で空中に支えられた鉄のレールに鉄の車輪がのり、車輪の車軸は逆L字型に曲がって車両を懸垂するもので、日本には現在ありません。
(2)日本車両式:レールは鋼板製箱型でゴムタイヤ車輪がレールに乗り、タイヤが外れないように補助車輪が左右からレールを挟んでいて、車両は片側補助車輪の車軸に懸垂されるもので、東京都交通局の上野懸垂線に採用されています。
(3)サフェージュ式:レールは鋼板製箱型の筒状で、車両を懸垂するために箱の下面中央部は開いていて、その開口部両側を、車両の屋根上の支柱につけられたゴムタイヤ車輪が走行するもので、千葉都市モノレールや湘南モノレールで採用されています。
<跨座式>
(1)アルウェグ式:レールは太いI字型の鉄筋コンクリートで、走行用ゴムタイヤがレールの上にのり、補助車輪が左右からレールを挟んで安定を保つもので、東京モノレールで採用されています。
(2)日本跨座式:アルウェグ式の改良型で、軌道桁を太くし、ゴムタイヤを使用するが、現在日本の跨座式モノレールの主流になっています。
(3)ロッキード式:コンクリート製の桁の上に鉄のレールを乗せ、その上を鉄の車輪が走るもので、姫路市営モノレールと向ヶ丘遊園モノレール線に採用されましたが、現在は廃止されて存在しません。
 日本で最初のモノレールは、大阪市で行われていた交通電気博覧会で、1928年(昭和3)に運用された懸垂式のものでした。太平洋戦争後は、1951年(昭和26)に、豊島園で遊戯施設として運行され、1957年(昭和32)には、上野動物園内に懸垂式モノレールが開業し、これが現存する最古のものとなっています。その後も、1961年(昭和36)に奈良ドリームランド、1962年(昭和37)に犬山のラインパークに、遊覧用のものが開業しましたが、いずれも廃止されました。1964年(昭和39)には、東京モノレールが浜松町~羽田(現、天空橋)間13.1kmを15分で結ぶ本格的都市交通機関として営業運転を開始し、その後は、都市交通機関として建設されるようにもなります。そして、1996年3月末時点で、モノレールは6事業者(総延長31.4km)でしたが、消長を経て、現在では、10事業者(総延長111.9km)によって運行されています。

☆「モノレール」のお勧め

(1)東京都交通局(東京都台東区)
 1957年(昭和32)12月17日、路面電車にかわる新しい都市交通機関の研究と園内遊覧用を兼ねて、東京都交通局が上野動物園に330mの懸垂式モノレールを建設しましたが、現存する最古のモノレールとなりました。日本車両会社が製造し、レールは鋼板製箱型でゴムタイヤ車輪がレールに乗り、タイヤが外れないように補助車輪が左右からレールを挟んでいて、車両は片側補助車輪の車軸に懸垂されるもので、日本車両式(上野式)モノレールといわれています。

(2)東京モノレール(東京都港区・品川区・大田区)
 1964年(昭和39)9月17日にモノレール浜松町駅~(旧)羽田駅間が開業し、1993年(平成5)9月27日に、整備場駅~羽田空港駅間の開業に伴い、整備場駅~(旧)羽田駅が廃止されました。さらに、2004年(平成16)12月1日に、羽田空港駅~羽田空港第2ビル駅間が開業して、現在17.8 kmの総延長となったのです。このモノレールは、日本初の本格的都市交通機関として建設され、アルウェグ式を採用した跨座式モノレールでした。東京国際空港(羽田空港)への重要なアクセスルートで乗客も多く、途中、海上に敷設されている箇所もあって、なかなか見晴らしが良いのです。

(3)湘南モノレール(神奈川県鎌倉市・藤沢市)
 1970年(昭和45年)3月7日に、江の島線が部分開業(大船駅~西鎌倉駅)し、翌年7月1日に、延伸(西鎌倉駅~湘南江の島駅)されて、6.6 kmの全線が開通しました。サフェージュ式を採用した懸垂式モノレールで、全線単線で8駅あり、所要時間は13分45秒です。観光地を結んでいて、見晴らしも良いのですが、経営的には厳しい状況が続きました。

(4)大阪高速鉄道大阪モノレール線(大阪府豊中市・吹田市・摂津市・守口市・門真市)
 1990年(平成2)6月1日に、千里中央~南茨木間が開業、1994年(平成6)9月30日に柴原~千里中央間が開業、1997年(平成9) 4月1日に大阪空港~柴原間が開業、同年8月22日に南茨木~門真市間が開業とどんどん延伸していき、現在は、総延長21.2 kmと日本のモノレールでは最長の路線となっています。日本跨座式を採用した跨座式モノレールで、全線複線で14駅あり、大阪国際空港(伊丹空港)や万博記念公園などへの重要なアクセス路線となりました。現在、門真市から東大阪市の瓜生堂への延伸計画が進められています。

(5)スカイレールサービス広島短距離交通瀬野線(広島県広島市)
 1998年(平成10)8月28日に、広島短距離交通瀬野線(みどり口駅~みどり中央駅) として開業しました。独特のロープ駆動懸垂式による懸垂式モノレールで、小型車両(定員25人)を用い、駅間は一定の速度で循環するワイヤーロープを握索機で握ることにより駆動し、駅部ではロープを放してリニアモーター駆動するというものです。総延長1.3kmの全線複線で、3駅あり、高低差160mという、日本一の最急勾配(263‰)を登って行くのが見所です。

(6)沖縄都市モノレール(沖縄県那覇市)
 2003年(平成15)8月10日に、第三セクター方式により沖縄都市モノレール線(那覇空港駅~首里駅)が開業しましたが、愛称は「ゆいレール」といい、総延長12.9kmあります。日本跨座式を採用した跨座式モノレールで、全線複線で15駅あり、那覇空港や首里城への重要なアクセス路線となりました。日本最南の鉄道路線であり、この路線の赤嶺駅は日本最南端の鉄道駅となっています。尚、首里駅からてだこ浦西駅までの区間が延伸工事中で、2019年春に開通する予定となりました。

☆日本で営業中の「モノレール」一覧

・東京モノレール(東京都) 跨座式:アルヴェーグ式 羽田空港線[17.8km] 1964年開業
・東京都交通局(東京都) 懸垂式:日本車両式 上野懸垂線[0.3km] 1957年開業
・多摩都市モノレール(東京都) 跨座式:日本跨座式 多摩都市モノレール線[16.0km] 1998年開業
・千葉都市モノレール(千葉県) 懸垂式:サフェージュ式 1号線[3.2km] 1995年開業
・千葉都市モノレール(千葉県) 懸垂式:サフェージュ式 2号線[12.0km] 1988年開業
・舞浜リゾートライン(千葉県) 跨座式:日本跨座式 ディズニーリゾートライン[5.0km] 2001年開業
・湘南モノレール(神奈川県) 懸垂式:サフェージュ式 江の島線[6.6km] 1970年開業
・大阪高速鉄道(大阪府) 跨座式:日本跨座式 大阪モノレール線[21.2km] 1990年開業 、
・大阪高速鉄道(大阪府) 跨座式:日本跨座式 国際文化公園都市モノレール線(彩都線)[6.8km] 1998年開業
・スカイレールサービス(広島県) 懸垂式:ロープ駆動懸垂式 広島短距離交通瀬野線[1.3km] 1998年開業
・北九州高速鉄道(福岡県) 跨座式:日本跨座式 小倉線[8.8km] 1985年開業
・沖縄都市モノレール(沖縄県) 跨座式:日本跨座式 沖縄都市モノレール線[12.9km] 2003年開業