旅行先では、いろいろな乗り物に乗ることがあると思いますが、大都市部を旅した時には、少なからず地下鉄を利用したことがあるのではないでしょうか。ほとんどが地下トンネルを走っているので、眺望は良くありませんが、スピードも速く、定時運行されているので、利便性の高いものです。
やはり旅先では、確実に目的地にたどり着くためには、時間に正確な乗り物は頼りになります。また、一部ではありますが、地上の高架を走る部分もあって、都市部を見晴らせて、ふいに感動したりもするのです。
さらに、鉄道車両に興味のある人は、レトロな車両に巡り合って、興味を持たれるかもしれません。そんな方は、東京都江戸川区にある東京メトロの「地下鉄博物館」を訪ねてみることをお勧めします。
〇「地下鉄」とは?
地下鉄道の略語で、地下にトンネルを掘り、そこに敷設された都市高速電気鉄道のことですが、一部地上を走る部分も含めて言う場合が多くありました。日本での法規上は、大阪市営地下鉄を除き「鉄道事業法」に基づくものです。大都市部では、鉄道用地取得が困難なため、やむを得ず地下に建設したもので、建設費はかかりますが、用地買収の手数が少く、道路との交差がないので高速運行が可能で、市街地景観も維持でき、沿線の騒音も小さいなどの利点があります。
日本最初の地下鉄は、昭和時代前期の1927年(昭和2)に、東京市の上野駅~浅草駅間(2.2km)の開通によるものでした。この路線は、1939年(昭和14)までに延伸されて、浅草駅~渋谷駅間が全通し、1941年(昭和16)に設立された帝都高速度交通営団に引き継がれ、営団地下鉄銀座線となります。一方、大阪市では、1933年(昭和8)に、梅田(仮駅)~心斎橋駅間(3.1km)が開通しました。
太平洋戦争後は、東京でも大阪でも新しい路線の建設や延伸が行われ、他の都市でも、1957年(昭和32)の名古屋市の名古屋駅~栄町駅間(2.4km)の開通を皮きりに広がって行きます。その後、札幌市(1971年)、横浜市(1972年)、神戸市(1977年)、京都市(1981年)、福岡市(1981年)、仙台市(1987年)などで開業し、2001年(平成13)時点の営業キロ数は672.9kmに達しました。それからも各地で新路線や延伸が進み、現在は、15事業者49路線で、営業キロ数は796.4kmとなっています。
☆「地下鉄」のお勧め
(1)札幌市営地下鉄(北海道札幌市)
1971年(昭和46)に、全国4番目の地下鉄として、南北線の北24条駅~真駒内駅間の12.1kmが開業したのが最初でした。その後、1976年(昭和51)に東西線、1978年(昭和53)に南北線延伸、1982年(昭和57)に東西線延伸、1988年(昭和63)に東豊線、1994年(平成6)に東豊線延伸、さらに1999年(平成11)東西線の再延伸がされ、現在では、3路線48.0kmが運行されています。この地下鉄の特徴は、全線がゴムタイヤを用いた案内軌条式鉄道(ゴムタイヤ式地下鉄)であることで、乗り心地が優れていました。
(2)東京メトロ(東京都区部)
日本最初の地下鉄として、1927年(昭和2)に、東京市の上野駅~浅草駅間(2.2km)が開通し、この路線は、1939年(昭和14)までに延伸されて、浅草駅~渋谷駅間が全通しました。そして、1941年(昭和16)に、「東京地下鉄道」と「東京高速鉄道」によって行われていた、東京市の地下鉄建設・運営事業が統合されて、「帝都高速度交通営団」に引き継がれ、営団地下鉄銀座線となります。太平洋戦争後、新たな路線の建設が進み、丸ノ内線(池袋駅~荻窪駅および中野坂上駅~方南町駅)、日比谷線(北千住駅~中目黒駅)、東西線(中野駅~西船橋駅)、千代田線(綾瀬駅~代々木上原駅および綾瀬駅~ 北綾瀬駅)、有楽町線(和光市駅~新木場駅)、半蔵門線(渋谷駅~押上駅)、南北線(目黒駅~赤羽岩淵駅)の路線を建設・運営してきました。しかし、2004年(平成16)3月31日に、国と東京都が出資する特殊会社である「東京地下鉄株式会社」(愛称は東京メトロ)へ受け継がれています。現在では、9路線195.1kmを運行する日本最大の地下鉄事業者となりました。今でも、最初に開業した銀座線には、駅ホームやトンネル等にレトロな感じが残っていて、一見の価値があります。
(3)名古屋市営地下鉄(愛知県名古屋市・日進市)
日本3番目の地下鉄として、1957年(昭和32)に、名古屋駅~栄町駅間(2.4km)が開通しました。その後、次々と新路線がつくられたり、延伸されたりして、 現在では、東山線(高畑駅~藤が丘駅)、名城線(環状線)(金山駅~栄駅~大曽根駅~八事駅~金山駅)、名港線(金山駅~名古屋港駅)、鶴舞線(上小田井駅~赤池駅)、桜通線(中村区役所駅~徳重駅)、上飯田線(上飯田駅~平安通駅)の 6路線93.2kmが運行されています。東山線の一社駅~藤が丘駅間は、地上区間で高架線となり、見晴らしが良いのが特徴です。
(4)京都市営地下鉄(京都府京都市)
1981年(昭和56)に、烏丸線の北大路駅~京都駅間が初めて開業しました。その後、新路線がつくられたり、延伸されたりして、 現在では、烏丸線(国際会館駅~竹田駅)、東西線(六地蔵駅~太秦天神川駅)の2路線31.2kmが運行されています。烏丸線では、竹田駅から近鉄京都線と相互直通運転が、東西線では、京阪京津線の電車が浜大津駅から御陵駅を経て太秦天神川駅まで直通運転され、利便性の向上が図られていました。
(5)大阪市営地下鉄(大阪府大阪市他)
日本2番目の地下鉄として、1933年(昭和8)に、梅田(仮駅)~心斎橋駅間(3.1km)が開通しました。その後、次々と新路線がつくられたり、延伸されたりして、 現在では、御堂筋線(江坂駅~中百舌鳥駅)、谷町線(大日駅~八尾南駅)、四つ橋線(西梅田駅~住之江公園駅)、中央線(コスモスクエア駅~長田駅)、千日前線(野田阪神駅~南巽駅)、堺筋線(天神橋筋六丁目駅~天下茶屋駅)、長堀鶴見緑地線(大正駅~門真南駅)、今里筋線(井高野駅~今里駅)の8路線129.9kmを運行する、日本第2位の事業者となっています。特に、最初に出来た心斎橋駅、淀屋橋駅はとても立派に作られているので、一見の価値があります。
(6)福岡市地下鉄(福岡県福岡市)
1981年(昭和56)に、1号線の室見駅~天神駅間が最初に開業しました。その後、次々と新路線がつくられたり、延伸されたりして、 現在では、空港線(姪浜駅~中洲川端駅~福岡空港駅)、 箱崎線(中洲川端駅~貝塚駅)、七隈線(橋本駅~天神南駅)の3路線29.8kmが運行されています。空港線ではJR九州筑肥線との相互直通運転が行われ、福岡空港へのアクセス路線としても活用されていました。
☆日本で営業中の「地下鉄」(日本地下鉄協会の分類)一覧
・札幌市営地下鉄(札幌市交通局)3路線48.0km 46駅 日本唯一のゴムタイヤ式地下鉄
・仙台市地下鉄(仙台市交通局)2路線28.7km 29駅
・埼玉高速鉄道線(埼玉高速鉄道)1路線14.6km 8駅 総延長の97%が地下区間
・都営地下鉄(東京都交通局)4路線109.0km 98駅
・東京メトロ(東京地下鉄) 9路線195.1km 141駅
・りんかい線(東京臨海高速鉄道)1路線12.2km 8駅
・東葉高速線(東葉高速鉄道)1路線16.2km 9駅
・横浜市営地下鉄(横浜市交通局)3路線53.5km 40駅
・みなとみらい線(横浜高速鉄道)1路線4.1km 6駅
・名古屋市営地下鉄(名古屋市交通局)6路線93.2km 87駅
・京都市営地下鉄(京都市交通局)2路線31.2km 31駅
・大阪市営地下鉄(大阪市交通局)8路線129.9km 100駅
・神戸市営地下鉄(神戸市交通局)4路線30.6km 25駅
・アストラムライン(広島高速交通)1路線0.3km 2駅 総延長の10%が地下区間
・福岡市地下鉄(福岡市交通局)3路線29.8km 35駅
やはり旅先では、確実に目的地にたどり着くためには、時間に正確な乗り物は頼りになります。また、一部ではありますが、地上の高架を走る部分もあって、都市部を見晴らせて、ふいに感動したりもするのです。
さらに、鉄道車両に興味のある人は、レトロな車両に巡り合って、興味を持たれるかもしれません。そんな方は、東京都江戸川区にある東京メトロの「地下鉄博物館」を訪ねてみることをお勧めします。
〇「地下鉄」とは?
地下鉄道の略語で、地下にトンネルを掘り、そこに敷設された都市高速電気鉄道のことですが、一部地上を走る部分も含めて言う場合が多くありました。日本での法規上は、大阪市営地下鉄を除き「鉄道事業法」に基づくものです。大都市部では、鉄道用地取得が困難なため、やむを得ず地下に建設したもので、建設費はかかりますが、用地買収の手数が少く、道路との交差がないので高速運行が可能で、市街地景観も維持でき、沿線の騒音も小さいなどの利点があります。
日本最初の地下鉄は、昭和時代前期の1927年(昭和2)に、東京市の上野駅~浅草駅間(2.2km)の開通によるものでした。この路線は、1939年(昭和14)までに延伸されて、浅草駅~渋谷駅間が全通し、1941年(昭和16)に設立された帝都高速度交通営団に引き継がれ、営団地下鉄銀座線となります。一方、大阪市では、1933年(昭和8)に、梅田(仮駅)~心斎橋駅間(3.1km)が開通しました。
太平洋戦争後は、東京でも大阪でも新しい路線の建設や延伸が行われ、他の都市でも、1957年(昭和32)の名古屋市の名古屋駅~栄町駅間(2.4km)の開通を皮きりに広がって行きます。その後、札幌市(1971年)、横浜市(1972年)、神戸市(1977年)、京都市(1981年)、福岡市(1981年)、仙台市(1987年)などで開業し、2001年(平成13)時点の営業キロ数は672.9kmに達しました。それからも各地で新路線や延伸が進み、現在は、15事業者49路線で、営業キロ数は796.4kmとなっています。
☆「地下鉄」のお勧め
(1)札幌市営地下鉄(北海道札幌市)
1971年(昭和46)に、全国4番目の地下鉄として、南北線の北24条駅~真駒内駅間の12.1kmが開業したのが最初でした。その後、1976年(昭和51)に東西線、1978年(昭和53)に南北線延伸、1982年(昭和57)に東西線延伸、1988年(昭和63)に東豊線、1994年(平成6)に東豊線延伸、さらに1999年(平成11)東西線の再延伸がされ、現在では、3路線48.0kmが運行されています。この地下鉄の特徴は、全線がゴムタイヤを用いた案内軌条式鉄道(ゴムタイヤ式地下鉄)であることで、乗り心地が優れていました。
(2)東京メトロ(東京都区部)
日本最初の地下鉄として、1927年(昭和2)に、東京市の上野駅~浅草駅間(2.2km)が開通し、この路線は、1939年(昭和14)までに延伸されて、浅草駅~渋谷駅間が全通しました。そして、1941年(昭和16)に、「東京地下鉄道」と「東京高速鉄道」によって行われていた、東京市の地下鉄建設・運営事業が統合されて、「帝都高速度交通営団」に引き継がれ、営団地下鉄銀座線となります。太平洋戦争後、新たな路線の建設が進み、丸ノ内線(池袋駅~荻窪駅および中野坂上駅~方南町駅)、日比谷線(北千住駅~中目黒駅)、東西線(中野駅~西船橋駅)、千代田線(綾瀬駅~代々木上原駅および綾瀬駅~ 北綾瀬駅)、有楽町線(和光市駅~新木場駅)、半蔵門線(渋谷駅~押上駅)、南北線(目黒駅~赤羽岩淵駅)の路線を建設・運営してきました。しかし、2004年(平成16)3月31日に、国と東京都が出資する特殊会社である「東京地下鉄株式会社」(愛称は東京メトロ)へ受け継がれています。現在では、9路線195.1kmを運行する日本最大の地下鉄事業者となりました。今でも、最初に開業した銀座線には、駅ホームやトンネル等にレトロな感じが残っていて、一見の価値があります。
(3)名古屋市営地下鉄(愛知県名古屋市・日進市)
日本3番目の地下鉄として、1957年(昭和32)に、名古屋駅~栄町駅間(2.4km)が開通しました。その後、次々と新路線がつくられたり、延伸されたりして、 現在では、東山線(高畑駅~藤が丘駅)、名城線(環状線)(金山駅~栄駅~大曽根駅~八事駅~金山駅)、名港線(金山駅~名古屋港駅)、鶴舞線(上小田井駅~赤池駅)、桜通線(中村区役所駅~徳重駅)、上飯田線(上飯田駅~平安通駅)の 6路線93.2kmが運行されています。東山線の一社駅~藤が丘駅間は、地上区間で高架線となり、見晴らしが良いのが特徴です。
(4)京都市営地下鉄(京都府京都市)
1981年(昭和56)に、烏丸線の北大路駅~京都駅間が初めて開業しました。その後、新路線がつくられたり、延伸されたりして、 現在では、烏丸線(国際会館駅~竹田駅)、東西線(六地蔵駅~太秦天神川駅)の2路線31.2kmが運行されています。烏丸線では、竹田駅から近鉄京都線と相互直通運転が、東西線では、京阪京津線の電車が浜大津駅から御陵駅を経て太秦天神川駅まで直通運転され、利便性の向上が図られていました。
(5)大阪市営地下鉄(大阪府大阪市他)
日本2番目の地下鉄として、1933年(昭和8)に、梅田(仮駅)~心斎橋駅間(3.1km)が開通しました。その後、次々と新路線がつくられたり、延伸されたりして、 現在では、御堂筋線(江坂駅~中百舌鳥駅)、谷町線(大日駅~八尾南駅)、四つ橋線(西梅田駅~住之江公園駅)、中央線(コスモスクエア駅~長田駅)、千日前線(野田阪神駅~南巽駅)、堺筋線(天神橋筋六丁目駅~天下茶屋駅)、長堀鶴見緑地線(大正駅~門真南駅)、今里筋線(井高野駅~今里駅)の8路線129.9kmを運行する、日本第2位の事業者となっています。特に、最初に出来た心斎橋駅、淀屋橋駅はとても立派に作られているので、一見の価値があります。
(6)福岡市地下鉄(福岡県福岡市)
1981年(昭和56)に、1号線の室見駅~天神駅間が最初に開業しました。その後、次々と新路線がつくられたり、延伸されたりして、 現在では、空港線(姪浜駅~中洲川端駅~福岡空港駅)、 箱崎線(中洲川端駅~貝塚駅)、七隈線(橋本駅~天神南駅)の3路線29.8kmが運行されています。空港線ではJR九州筑肥線との相互直通運転が行われ、福岡空港へのアクセス路線としても活用されていました。
☆日本で営業中の「地下鉄」(日本地下鉄協会の分類)一覧
・札幌市営地下鉄(札幌市交通局)3路線48.0km 46駅 日本唯一のゴムタイヤ式地下鉄
・仙台市地下鉄(仙台市交通局)2路線28.7km 29駅
・埼玉高速鉄道線(埼玉高速鉄道)1路線14.6km 8駅 総延長の97%が地下区間
・都営地下鉄(東京都交通局)4路線109.0km 98駅
・東京メトロ(東京地下鉄) 9路線195.1km 141駅
・りんかい線(東京臨海高速鉄道)1路線12.2km 8駅
・東葉高速線(東葉高速鉄道)1路線16.2km 9駅
・横浜市営地下鉄(横浜市交通局)3路線53.5km 40駅
・みなとみらい線(横浜高速鉄道)1路線4.1km 6駅
・名古屋市営地下鉄(名古屋市交通局)6路線93.2km 87駅
・京都市営地下鉄(京都市交通局)2路線31.2km 31駅
・大阪市営地下鉄(大阪市交通局)8路線129.9km 100駅
・神戸市営地下鉄(神戸市交通局)4路線30.6km 25駅
・アストラムライン(広島高速交通)1路線0.3km 2駅 総延長の10%が地下区間
・福岡市地下鉄(福岡市交通局)3路線29.8km 35駅