寓居人の独言

身の回りのことや日々の出来事の感想そして楽しかった思い出話

イスラム国?潜入記者の自己責任とは何か

2015年01月22日 10時27分35秒 | 日記・エッセイ・コラム
報道によるとイスラム国?に人質として2人の日本人記者が拘束され、72時間以内に高額の身代金を要求してきたという。 この記者たちは何故最も危険とされている地域に行ったのだろうか。報道の伝えるところによると、イスラム国?に居住している一般人の様子を知りたいという願望に駆られて入国したようである。途中までついて行った案内人の再三にわたる危険であるし生きて帰れないことがあるという忠告を、自己責任で行くと言ったという。
 記者たちのいう自己責任というのはどういうことだろうか。以前読んだ時代小説(小説の題名も作者も失念したが多分作者は司馬遼太郎だったと思う)の中にこんな話があった。上士(上役)が下士(部下)に「其方は武士の覚悟を持っているか」と問うた。下士は「殿の馬前でいつでも死ぬる覚悟があります」とこたえた。上士は「それではこのまま江戸に行き殿にこの書を手ずからお渡しするように」といった。すると下士は「直ちに居宅へ戻り仕度を調えて出立します」とこたえた。「其方は覚悟をどのように心得ているか」と叱った。下士はハタと思い違いをしていたことに気がついて、その場から江戸に向かったという。もちろん家族にも話すこと無くである。
 武士の覚悟というのはこのようなものかと感動したことであった。
 さて、記者がいう「自己責任」というのはどんな内容なのだろうか。危険地域に入るのだから不測の事態に遭っても誰にも迷惑をかけない。と言うことなのだろうか。そしてまた拘束されて身代金を要求されたとしても自分でなんとかすると言うことも考えていたのだろうか。
 しかし事態は自分の思うようにはならないことになっている。莫大な身代金を要求されそれと記者の生命を引き替えたとして、其の身代金によって更にテロ行為が拡大されることを考えたのだろうか。
 記者が拘束されたことで、どれほどの人たちがどれほどの時間と費用を負担しなければならない状態になるかを考えただろうか。
 私は記者の意図したことに無理解では無い。しかし記者のいう自己責任という発言に対して説明を欲しいと思う。そのためにも無事に帰還して欲しいと願っている。