ためつすがめつ
太宰治『斜陽』について、角田光代はつぎのような感想を書いています。
――読み手が抱きやすい「めめしくて甘ったれ」という部分も、無意識に垂れ流された作家の性質なのではなくて、じつに老獪(ろうかい)に計算され、わざと表面に押し出されたものではないか。自身の持つ繊細さや敏感さ、臆病さや卑怯さ、そういったものを、ていねいに自身から切り離し、笑えるくらい距離を置き、客観的に矯(た)めつ眇(すが)めつして眺め、そうしてから作品に落としこんでいるのではないか。(角田光代『私たちには物語がある』小学館文庫より)
このなかの「矯(た)めつ眇(すが)めつ」のところで、私の脳内にハテナマークが灯りました。語源が知りたくなったのです。いつものことですが。「語源由来辞典」で確認しました。
ねらいをつける、じっと見る意味の「矯む(たむ)
片目を細めて見る意味の「眇む(すがむ)」
あまりピンときませんが、「あーでもない、こーでもない」とはちがうようです。
山本藤光2018.02.05
太宰治『斜陽』について、角田光代はつぎのような感想を書いています。
――読み手が抱きやすい「めめしくて甘ったれ」という部分も、無意識に垂れ流された作家の性質なのではなくて、じつに老獪(ろうかい)に計算され、わざと表面に押し出されたものではないか。自身の持つ繊細さや敏感さ、臆病さや卑怯さ、そういったものを、ていねいに自身から切り離し、笑えるくらい距離を置き、客観的に矯(た)めつ眇(すが)めつして眺め、そうしてから作品に落としこんでいるのではないか。(角田光代『私たちには物語がある』小学館文庫より)
このなかの「矯(た)めつ眇(すが)めつ」のところで、私の脳内にハテナマークが灯りました。語源が知りたくなったのです。いつものことですが。「語源由来辞典」で確認しました。
ねらいをつける、じっと見る意味の「矯む(たむ)
片目を細めて見る意味の「眇む(すがむ)」
あまりピンときませんが、「あーでもない、こーでもない」とはちがうようです。
山本藤光2018.02.05