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トンパ文字

2018-10-22 | 知育タンスの引き出し
トンパ文字
「トンパ文字」をご存知ですか?
昔、レタリングを勉強していたときに出合ったのですけれど、最近やけに目にする機会が増えてきました。
「トンパ文字」とは、簡単にいえば象形文字のことです。中国南部の町・雲南省麗江がふるさととされています。
いまではパソコンで変換できるトンパ文字ソフトもあります。携帯電話の絵文字とは違い、実に芸術的な文字なので、ぜひ検索してみてください。
エジプトの象形文字などよりも、トンパ文字はずっと絵に近いものです。
それゆえ、今後はもっと広がると推測されます。
商品ではキリンビバレッジの「日本茶玄米」の
パッケージにも用いられています。

渋谷や新宿を歩くと、いたるところに看板も認められます。文字が元気に踊っています。そんなイメージが、トンパ文字にはあるのです。
山本藤光2017.12.06

273:詩織四十八歳

2018-10-22 | 小説「町おこしの賦」
273:詩織四十八歳
――『町おこしの賦』第9部:おあしすの里01
 四月二十三日は、瀬口詩織の四十八回目の誕生日である。いつもなら家族四人がそろって、お祝いをしている。しかし長女の明里(あかり)は、今春一橋大学経営学部に進学して不在である。
「明里のいない誕生パーティは、ちょっと寂しいわね」
 詩織は可武威(かむい)の差し出す茶碗を受け取り、深いため息をついた。
「おれがいるから、いいだろう。問題は、おれがいなくなったときだ。母さんは、寂しがり屋だから心配だ」
「おれがいるから大丈夫だ」
 焼酎の水割りを飲みながら、恭二は割って入った。頭髪に白いものが目立っている。恭二は現在、標茶町役場の助役である。宮瀬幸史郎町長は、現在四期目を務めている。その右腕としての恭二は、次期町長と噂されていた。

「おれ、新聞部部長になった」
 三杯目のおかわりをして、可武威はうれしそうに笑った。
「それはおめでとう。親子二代の新聞部長だね」
「父さんのときに全国一になってから、標高新聞をやりたくて、内地からくる生徒もいる」
「本当かい? それはすごいニュースだ」
「標高新聞はね、発行部数二千を越えている。しかも隔月発行だから、結構忙しい」
「父さんのときは、発行部数三百だった」
「生徒と教員で二百五十人だから、ほとんどは校外への郵送なんだ」
「どんなところに、送っているの?」
「標茶町の購読希望者が約千人。それと全国の高校新聞部からの購読希望が、どんどん増えている。マネされるのがイヤだから、本当は送りたくない。でも断れないだろう」
「送るべきだよ。知を積極的に提供すると、自分たちはさらに高いレベルを目指すようになる。胸を張って、どうぞ参考にしてください、と送ってあげるべきだな」

「六月号はね、町民の知らない標茶の魅力を特集するんだ」
「楽しみな企画だわね。でも、どんな方法でそれを実現するの?」
「樋口さんは、道外からの移住者第一号だよね。その樋口さんに習って、道外からの移住者は五十家族を越えている。標高にも道外からの生徒が、たくさん集ってきている。その人たちの声を拾って、標茶の魅力に迫ってみたいんだ」
「その記事なら、父さんも読んでみたいと思う」

「美影(みかげ)ちゃん、新聞部に入りたいって、いっていたわよ」
美影は猪熊勇太・ミユ夫妻の次女で、今年標高普通課への入学を決めている。
「ええ? まだ入部していないけど」
「勇太おじさんの命令だって、笑っていたわよ。そのうちに入部するんじゃないかしら」 

014cut:前任者にスポットがあたる

2018-10-22 | 完全版シナリオ「ビリーの挑戦」
014cut:前任者にスポットがあたる
――03scene::引き継ぎ
影野小枝 午前の診療を終えたG開業医の診察室です。漆原さんは前任の鈴木所長とともに、引き継ぎのあいさつで訪問しています。2人が着席すると同時に、医師が話しはじめました。
医師 (鈴木に向かって)転勤だな。
鈴木 そうです。相変わらず、鋭い洞察力で……。
医師 この時期に2人連れでくるのは、転勤のあいさつしかない。それで、どこへ行くのだ?
鈴木 山梨です。
医師(椅子を回転させ後ろ向きになって)そうか、山梨へ行っちゃうのか。ずいぶん、遠くだな。
鈴木 先生には、公私に渡ってお世話になりました。ご恩は一生涯忘れません。
医師 山梨にはゴルフ場はあるよな。富士山のふもとだから、きっと難コースだろう。
鈴木 ぜひ、きてください。先生とは、永遠のライバルですから。
医師 10年早いよ。明治の大砲みたいなスイングでは、いつまでたっても、おれに勝てっこないさ。
影野小枝 看護師さんが、新たな名刺の束を医師の机の上に置きました。待合室には、競合メーカーが待っています。しかし、2人の会話は途切れません。
鈴木 山梨に、先生の知り合いはいませんか。いたら紹介してください。その代わり、難コースへご招待させていただきます。
医師 確か、根本が県立病院の副院長のはずだけど。(婦長さんに向かって)ちょっと、同窓会名簿を持ってきてくれ。(暗転)
影野小枝 おやおや、漆原さんは寂しそうですね。引き継ぎって、だいたい前任者にスポットが当たってしまうもののようです。それにしても、前任者の鈴木さんは、楽しそうですね。個人的にも、ずいぶん親しいみたい。みなさんは、この場面に何を感じたでしょうか? 何か変でしょう。

020:「知育タンス」をつくる

2018-10-22 | 銀塾・知だらけの学習塾
020:「知育タンス」をつくる
パソコンのなかに、どうしても作成しておいてもらいたいファイルがあります。塾長が「知育(チーク)タンス」と呼んでいるものです。甘美で懐かしい響きがあります。

読書をしていて感銘を受けた文章には、アンダーラインを引きます。1週間後にその箇所を読み返し、感銘や共感が持続していたら「知育タンス」へ入れます。知育タンスは、著作の共感文章集なのです。

「知育タンス」はタイトルとキーワードをつけて、あいうえお順に並んでいます。「き」の「共感」というキーワードのいくつかを紹介します。

。・部下に共感する(共感)
――マネージャーと部下との間に共感が生まれるときというのは、いかなるときだろうか? それは、マネージャーの発想が「部下の共感を得る」という発想から、「部下に共感する」という発想へかわったときではないだろうか。(田坂広志『暗黙知の経営』徳間書店・P164)

・相手の心の世界がみえてくる(共感)
――コフトーの考え方では、共感は、自分の主観を用いた相手の気持ちの観察の手段だとされている。相手の立場に身をおいてみて、自分がどんな感情になるだろうと想像するのが共感である。こうすることで相手の心の世界がみえてくるという観察の方法なのだ。(和田秀樹『大人のための勉強法』PHP新書・P62)

・共感力は人材の三大要素の一つ(共感)
――共感性とはセンスを展開したことばで、英語ではsensitivity になる。これは、かねがねvitality (やる気)、creativity(創造性)と並んで、人材の三大要素とされてきたものである。(鎌田勝『知的リーダーシップ』知的生き方文庫、まえがき)

「知育タンス」は、どこにも売っていない自分だけの辞書です。塾長は旅行のときに、必ず「知育タンス」をコピーして携行します。いつでも感動がよみがえってくる快感を、あなたもぜひ味わってください。

三木清『人生論ノート』がいい

2018-10-22 | のほほんのほんの本
三木清『人生論ノート』がいい
これまで「妙に知(明日)の日記」として、日本語サーフィンと本の話を一緒に書いていました。友人から、古い文章の検索のときに不便だといわれました。そこで「妙に知」はエッセイ、本の話は「のほほんのほんの本」として欠き分けることにしました。本日の一冊は、三木清『人生論ノート』です。本書は青空文庫で無料で購読できます。久しぶりに再読しましたが、現在に十分に絶えうる名書だと思います。近いうちに書評をアップします。
山本藤光2018.10.22

勉強

2018-10-22 | 知育タンスの引き出し
勉強
値引き交渉のときに、商人は「勉強させていただきます」といいます。この「勉強」の意味が説明されていました。実は「学校で勉強する」という言葉以前に、商人が古くから「勉強する」を用いていたようです。「強いて勉める」から「勉強」という言葉が生まれました。―― 一歩を譲り相手(客)にトクをさせるのが商売に関しての努力であり、その精神的努力が勉強にほかならない。(『語源2・面白すぎる雑学知識』をまとめました)
山本藤光2018.10.22